アイガー・サンクション
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| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt | ||||||||
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ようやく「これは!」という作家を見出した私は早速各社の文庫目録でトレヴェニアンの作品をチェックした。非常に寡作な作家であり、その時点で入手可能な作品はハヤカワノベルスの『シブミ』と河出文庫の本作と『ルー・サンクション』の3作のみ。『このミス』1位の『夢果つる街』は絶版で長らく手に入らず、98年の復刊企画にてようやく手に入れることが出来た。この作品の感想については後日述べることにしよう。最近桜庭一樹氏が角川文庫の月間編集長になった際、新装丁で復刊されたので以前より触れやすいのでは。未読の方はぜひ読んでみて下さい。傑作です。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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| 『シブミ』で名高い著者のデビュー作。 1975年にクリント・イーストウッドの監督・主演で映画化されたので、その世代への知名度も高い。1985年に邦訳出版された本書にしても、明らかに表紙のおじさんはイーストウッドだ。 本作の特徴と言えば、まず迫真のアイガー北壁の登攀シーンが挙げられるが、意外なことに後半70頁程度しかなかった。もちろんその頁数でも十分印象的なのがさすがだが、小説全体の魅力を支えているのは、主人公ジョナサン・ヘムロックのキャラクターであろう。【注1】 当時のスパイの定番イメージ、ジェームズ・ボンドと同じく、ヘムロックもやたら女に強い。税金を自由に使いこんでカネ回りもいい。自分勝手とは言え、コミニュケーションも軽妙洒脱だ。だがボンドが愛国的なのに較べて、ヘムロックは徹底的に利己的な人物として設定されている。しかもなにをしても罪の意識がない……。【注2】 ヘムロックがボンドの同類のバーション違いなのか、あるいはアンチテーゼなのかは人によって意見が分かれるだろうが、アイガー登攀のメンバー内にターゲットが潜んでいるという設定は、『ナヴァロンの要塞』を想起させるし、先行の小説や映画からの影響、あるいはそれへの挑戦の意志がハッキリしている。 いずれにしても、本書を魅力的にしているのは、個性際立った主人公の言動を追っかける時にユーモアが滲んだ文体である。冷静に読めばツッコミ処だらけ【注3】なのであるが、それを補って余りあるトレヴェニアン節。これがデビュー作からすでに確立しているのが流石である。 ユーモラスと言うか、皮肉と言うか、例えばCIAを意識したと思われるCIIの名称の成り立ちなどは笑ってしまうのだが、全体の調子に加えて、彼の前での女の股の開きっぷりなどを合わせて考えると、著者はむしろスパイ小説のパロディとして書いたのではないかと疑いたくなる。 基本的に単発作品の寡作の作家だが、ヘムロックを主人公にした作品はもう一作、『ルー・サンクション』がある。楽しみである。 【注1】まだ二冊目だが、著者の作品はキャラクター小説でもある。 【注2】この冷徹な利己主義者が、後半になるにつれやや心情が変化する。自分自身で戸惑っている描写があるが、今一つ変化の理由が読みとれなかった。ジェマイマ? 【注3】冷静にストーリーを思い返すと、アイガー登攀中の報復暗殺なんて、どう考えてもスジが悪すぎる。しかもヘムロックを登攀隊に急遽加えるために、CIIは隊員を一人、事故に見せかけて排除しているという……。 | ||||
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