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ゼロの焦点
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ゼロの焦点の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.99pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全107件 41~60 3/6ページ
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ストーリー展開は、少しも古臭さを感じません。 今を守るためには、人は冷静さを失ってしまう本質を知らされる思いです。 | ||||
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今でも北陸と言うと「訪問には時間がかかる遠隔地」という印象だが、本作が発表された時代ではなおさらだと思う。 その地と東京を往復しながら、新婚の夫の失踪事件を追いかける主人公の粘り強さと聡明さには驚かされる。 物語自体は、失踪した人間を探す手掛かりを持っている関係者が次々と殺され、謎が深まる感じが非常に面白い。またアリバイが一つ一つクリアされていく過程も楽しめる。 女性にとっての戦後の不幸な混乱期が一つのモチーフとなっているが、今の社会でも個人が自分の過去と決別して、新たに手に入れた現在の状況にしがみつく気持ちは共通である。いつの世でも普遍的に通用する内容だと思えた。 | ||||
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没落した華族という存在に興味を持ったのは最近のことだ。その連想とつながってか、本屋に行った際、なつかしくなり手に取った本が清張氏の代表作といわれている本作である。数十年前に一度読んだ本書の内容は即座に記憶を蘇らせるほど脳裏に残っていたわけではないが、読み進ませるその筆力に追い込まれてあっという間に読了した。 敗戦後の日本がどれだけ貧しかったのか、戦後生まれの日本人、ましてや平成生まれの世代にはいくら想像たくましくても、体感的にはわからない。食べるために、身体を売るという原始的行為、他に生活の手段がない状況、生活保護だ、年金だと騒いでいる今の社会的背景なぞ、この時代を生きた人々にとっては憤慨モノだったかもしれない。 昭和30年代に出版された作品なので、それはそれはレトロ感満載であり、例えば、見合い結婚、掘り炬燵に火をいれる、パンパン、、オンリーなどの表現、直感的にはわかりにくい。興味がある方はこれをきっかけに風俗史なり、調べるてみることをお勧めする。明治や江戸と違い今につながる現社会の基礎にある種の親近感が湧いてくることだろう。 鳥尾鶴代とGHQ高官のケーディス、森村誠一の「人間の証明」、サンダースホーム、、女の肉体が悲しき時代に籠絡されていった様々な逸話がある。 この作品もそうした女の過去を背景にしており、そうしなくては生きていけなかった、そして隠し通さなくては成らなかった事件の動機に昭和世代の人々は親和感を抱いた。だからこそここまで有名な作品に昇華したのだろう。 もうひとつ。 大変面白いのが、新潮社版のあとがき、昭和40年代当時の評論家が書いているのだが、もしこれが宮部みゆきあたりだったら、べた褒めでつまらなかったとおもうが、なんともいやみな筆致で、この作品が後年日本の文学史に残るような前提、ゼロの焦点という表題の力も大きいが、、、などまったく想定されず、笑ってしまう。ベストセラーというだけでなく、清張を語る上でたびたび引き合いにだされ、また映像化も数知れず、それほど大きな作品が当時の評論家の手にかかると、ミステリー、推理モノという「文学」足りえない、と思われていた娯楽小説がやや低くみられていたのかもしれない。 作品の情景、人物の心情の表現をとりあげて、「なかなかよろしい」などと書く嫌味な評論家のあとがきをよくのせたものだなぁと感心するし、それをいまだに変えず、平成の世の書棚に送り出す新潮社の胆力もたいしたものだと。 売れ線作家としては頭を下げたが、清張の思想とは相容れなかった出版社の最後の抵抗だろうか? ストーリー展開に無理が多いといわれれば、それも今風の目からすれば仕方ないものの、若い未亡人がさしたる頭脳を持ち合わせず、偶然(やや強引だが)と直感とで事件の真相に迫る姿は読者を引き込むには十分であろう。 | ||||
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著者の本はこれまで読んだことがありませんが、代表作ということでまずは読んでみました。すでに50年近く前の作品ですし、小説の時代設定はさらに前の1960年代のようなので2018年の視点から批判あるいは感想を述べるのは適切ではないかもしれませんが、ミステリーとしての面白さは今一つでした。主人公による謎解きの過程も強引な気がしましたし、犯行の動機も説得力を欠くように思いました。当時の社会的背景や社会的風潮を知らないがゆえの評価だとは思います。そもそも、1年半も同棲をしていた相手にはずっと偽名を使用した挙句、見合い結婚をした相手との生活のために同棲相手との生活をあっさり切り上げる男、その男の行方を探すために長い間北陸に留まる見合い相手の女性、というキャラクター像自体がしっくりこないのですが、やはり時代背景が異なるための評価になってしまっているのでしょうか。 | ||||
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登場人物の心情と厳しい能登の自然がマッチしている。 実感するためには冬の能登観光がベスト。 この作品で陸の孤島と呼ばれた能登にスポットライトが…。 | ||||
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推理小説の体裁を取りながら、その実、戦後日本の矛盾を告発した作品でもあります。 戦争の傷がまだ癒えきっていない昭和30年代前半。 戦後の混乱期を生き抜くために、秘密を抱えざるを得なかった人間の思いが胸に刺さります。 謎が少しずつ深まっていく前半部分を静とするなら、次々謎が明らかになっていく後半部分は動と言えるでしょう。 後半は文句なしに面白いのですが、普通なら飽きてしまいそうな前半部分でも、読ませてしまう清張の筆力はさすが。 次々と明かされる秘密。その要因は戦後の混乱に行き着いていきます。 戦争に翻弄された人々の強さと悲しさ、そして優しさも観ることが出来る作品。 そして、ラストシーンは胸に迫るものがあります。 傑作です。 | ||||
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初松本清張。面白かった。 犯人は、宗太郎が殺されて、金沢署で事情を聞いている辺りで分かりました。 他の作品も読んでみたくなりました。 | ||||
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松本清張はとにかく、題名をつけるのが上手い。 まず、そこで「推理」させられてしまう。 これは「リーマン予想」に着想を得たに違いない、と勝手に結論している。 (ゼータ関数の非自明なゼロ点はすべて直線上にあるはずだ) 占領下の日本では、「日本人」は消えてはいないが日本が一時的に存在しない。 その一見不明な時代に当てはめると、一本の直線状に並んでくる… 虚線が見えてくる…と | ||||
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ちょっとずつ、でも確実に進む読者の興味を離さない話の展開の仕方が上手です。捜査方法等、時代を感じますが、時代が違っても話自体は面白い。 Tantalizing thrillsを味わえます。 | ||||
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推理小説としての完成度うんぬんよりも、文学作品としての感動がありました。 戦後の動乱期の中で、数奇な運命に翻弄された男と女。そんな戦後文学の傑作と言ってもいいような傑作です。 鵜原憲一、田沼久子、そして室田佐知子・・・。 全編の主人公は、鵜原憲一と結婚したばかりの新妻、鵜原禎子なんだけど、全部読んだ後に、心に深く残るのは 前述の三人、とりわけ田沼久子ですね。すごく可愛そうな女性なんです。 もっと時代が良ければなあ、とか、もっと何とかならなかったのかなあとか、読みながらため息をついたけど、 でも、過酷な運命は、田沼久子を、どんどん悪い方へと押し流してゆく。 最後まで読めばわかるけど、この女性、とってもいい人なんです。悪いことなんかできっこないんです。 あと、途中、主人公の鵜原禎子が北国の断崖の上で思い出す、エドガー・アラン・ポーの「海中の都市」 という詩の一節は印象的でした。禎子がこの詩を思い出すシーンが、前後2回出てくるんですが、53行ほどの詩の 中から最後の方の9行ほどを引用しています。 その引用部分が、あの風吹きすさぶ北国の断崖絶壁のうえに立つヒロイン禎子、というあの場面で、 すごく効果的でグッときました。ゼロの焦点・・・やっぱり名作なんですね。 その証拠に、何度となく映画化されテレビドラマ化されているし。 近い所では2009年の映画。鵜原禎子に広末涼子、鵜原憲一に西島秀俊、田沼久子に木村多江、室田佐知子には何と中谷美紀!! この映画は私も見て、感動しました。 とりとめのないレビューになりましたが、本作はミステリーの傑作という以上に、戦後文学の傑作です。 | ||||
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終盤の沈思黙考があまりにも堂々巡りで、何度も繰り返すので、さすがにくどいと感じた。 でも解決からの情景は圧巻。 読み終わってから装丁(文庫版)の素晴らしさを知る。 | ||||
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本作品は日本社会に向けて批判的な一瞥を投げています。 同時に、いくつかの道具立てを取り入れて最終章へと読者の興奮を高めていく手際は確かなものです。 Whydunitな性質が前面に出ています。 その犯行の動機に特徴があります。 動機の追究は、占領され米陸軍元帥によって統治されていた戦後のあの時代の日本へと焦点が絞られていきます。 タイトルに「ゼロ」としたのは、発表当時50歳だった清張にはあの時代が、敗戦を経て日本が新生した、いわばゼロ時間0時0分0秒として意識されていたためなんでしょうか(実際には戦前からの国粋的心情は伏流し21世紀の現在に至る) 黒い過去を抱え、それを隠蔽するため罪を犯す人間。 社会がそのように追い込むという書き方が社会派と呼ばれる理由でしょう。 清張の射程距離は、占領軍に対する近衛文麿の忖度やRAAにとどまるものではありません。 むしろ、原作が発表された1959年ですか、その頃の日本社会に清張の目は向けられていると言ってもいいでしょう。 推理小説の他の側面、誰に犯行の機会があったかを絞り込んでいくWhodunitという性質は、本作品では後景に退いています。 Howdunitは・・・、よけいなトリックをもてあそんでいない点で坂口安吾的に最高の設定です(笑 Whodunitに注力した謎解き小説は、設定された条件の中で答えを絞り込んでいく、パズルを解く楽しさが持ち味でしょう。 パズルというなら論理パズルや数独のほうが上品だ、お手盛りの茶番でしかないミステリの謎解きなどはうっとうしいだけだというのも正論です。 しかし謎解きという点で、小説という形で頭の体操の楽しさが味わえるとすれば、茶番だろうが何だろうがパズラー(本格謎解き小説)はパズラーでいいんです。 本作品では別の性質が前景に来ているというだけの話です。 芥川賞作家、社会派作家、そしてエンタメ小説作家というのが、本作品から伺える清張の構成成分です。 ところで、文章はひどいですね。 本書と並んで知名度の高い「Dの複合」「点と線」は見事な文章ですが、本作品はとてもその水準には及びません。 短篇も含めすばらしい文章でたくさんの作品を書いた清張ですが、一体どうしたというのか・・・ | ||||
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とてもわくわくして読めました。読めば読むほど先が気になって気づけば夢中になって読んでいました。途中もしかして、この人が犯人かな?この人の過去にはこんなことがあったのでは…と思うのですが誰が犯人なのか最後まで謎に包まれていてとてもハラハラドキドキして読んでいました。松本清張シリーズはとても好きです。とてもよい作品だと思います。 | ||||
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これ程まで複雑にした事件を如何に解決するかがたのしみです。 松本清張を何十年振りかで読み返してますが、今の時代でも面白いです。 | ||||
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これが長編ミステリーの第1作でしたっけ。能登半島を舞台にした作品ですね。読後感として1950年代末ですね。いまだと北陸新幹線も開業したことですし、当時と比べて、交通事情は格段の進歩です。今の若い人には理解しづらい設定かもしれませんね。ストーリーそのものは、当時としては斬新で画期的だったと思います。 出だしから新婚早々の夫が突然行方不明になる。さてその真相はいかにで進みます。勿論のこと、お約束の大どんでん返しもあって2時間ドラマをみているようで一気呵成に2日で読みました。みんな小説そのものは論じつくされておりますので、私の雑感を少し。 どなたか、真ん中ぐらいで犯人分かってつまらないという方もおられましたが、私は最後のどんでん返しまで、犯人は・・・で、最後のところの種明かしで・・・になるまで、分かりませんでした。そういう意味で清張先生にまたしてもしてやられました。 あと、バンバン。あれはいまだと差別用語ですね。韓国の慰安婦はあれだけ問題視されるのに、我が国の慰安婦(厳密には韓国のは公娼。我が国は私娼でちょっと状況は異なります。)が全く問題視されないのは不公平です。その過去を隠しておきたいというのが犯行の動機です。ちょっと犯人には同情しました。ネタバレですみません。ただ、こういう人達も名誉が回復されると良いなあと思いました。 おそらく著者はこういう社会の歪みによる人間の性を中心にすえた社会派的立場から本作を世に出したのでしょう。難しいテーマです。 さて本作は2009年に映画化されたようですが、北陸新幹線も開業したことですし、現在の設定で、この作品、是非ドラマ化してほしいです。 | ||||
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松本清張原作の映画は数多いが、私のベストワンは「ゼロの焦点」(野村芳太郎監督)。時代に翻弄された女の悲しみが惻々と胸に迫る名作だった。 原作も名作。新妻の不安の心理描写。北陸(金沢と能登)の湿った雪に閉ざされた暗欝な背景描写。終盤一気にたたみかける展開。後の清張作品には見られないリリカルなエンディング。作品全体の重みがずっしりと心に残るので、日本の厳格な戸籍制度下で果たして別人になれるのかという疑問は大きくは見えない。タイトル「ゼロの焦点」もこの作品に関しては、よく分らないながら納得もできて絶妙。「点と線」に続くセカンド・ベスト作。時代の痛みが刻まれているので、古びることもない。 | ||||
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これは推理小説の体裁をとっているけれど、松本清張が書きたかったのは殺人者の動機のほうではないかと思う。むしろこちらのほうがかれの主の興味で推理小説の部分は大衆を社会問題に注目させるための飴だったのではないかなあと読後感じた。 『日本の黒い霧』とか『昭和史発掘』を読むと松本清張が現代日本の構造的問題として占領期や満州から続く問題が日本の根本問題の一つと思っているのはあきらか。この小説もその延長線上にある。 占領期MPが絶対権力で警察、検察はその岡っ引きでしかなかったという問題意識のもとに警察をやめていく主人公格の被害者。現在華やかな社会的地位を持ちながら、占領期は米兵相手に売春を行っていた女性。その過去が戦後10数年たったところで、大きなひずみとして表れて、必ずしも悪人でない人たちが大きな悪に手を染めて破滅していく。 ここまでいかないまでも占領期の社会状況がその後いろんな悲劇を生んでいったと思う。そこに光を当てるために万人が読みそうな推理小説、エンターテイメント仕立てにしたのがこの小説だと思う。決して、あー面白い推理小説だったと読んではいけないものだと思う。 | ||||
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松本清張さんの中でもこれは文句なく指折りの一冊。 淡々とした語り口が、どことなく寒々しく、荒い海の光景とよく似合います。 どこかに消えてしまいたくなった時に、ふと読みたくなる一冊かも。 | ||||
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たまには偉大なる推理作家の作品を読んでみるものだ。少しずつ、絡まった糸を解きほぐすようなミステリーの醍醐味を存分に味わった。 主人公の貞子は縁談を受け、十歳年上の鵜原憲一と結婚する。夫の憲一は前任地の金沢に出張に行き、失踪。貞子は夫を探しに金沢へ向かうが、関わる人物が次々と殺害される… 北陸という、寒さと哀しみを感じるような土地を舞台に敗戦という事実の重さを伝えるように描かれた傑作ミステリー。 | ||||
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中学生の時に読んで以来40年ぶりに読んでみた。もちろん当時の本は無いので買い直した。内容はすっかり忘れてしまっていたが読んでいて懐かしくなった。実にレトロな感じがするが、当時はワクワクして読んだのが思いだされる。現在の推理、探偵、警察小説と比較したら本書は隙が有る。それは年月がそうさせたので仕方ないが、あまり現在の感覚にとらわれず古典の名作だと思って素直に読んでみたい。こういった名作が有ったからこそ、それを踏み台にして現在の、この類の小説が有ると思う。現在、話題の北陸を舞台にした作品で、それらを旅行した私にとっては一種のトラベルミステリーと言っても良い名作でした。 | ||||
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