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(アンソロジー)
短編画廊 絵から生まれた17の物語
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短編画廊 絵から生まれた17の物語の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.90pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全21件 1~20 1/2ページ
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エドワード・ホッパーの絵画をモチーフにした17作品からなるアンソロジー。 ジェフリー ・ディーヴァ、スティーヴン・キング、マイクル・コナリー、ジョー・R・ランズデール、リー・チャイルドなど寄稿しているが、錚々たる面々の割にはミステリ色は強くない。 モチーフとなる絵があり、比較的短い作品が始まるという体裁で、絵からどのような物語を紡ぎ出されるのかを堪能するのが吉だろう。味わい深いが、あっと驚く作品は見当たらない。 探偵ボッシュの監視対象は『夜鷹』(コナリー)、ユダヤ人科学者を護衛するソ連諜報員の告白『11月10日に発生した事件につきまして』(ディーヴァ)、夫婦のくつろぎを邪魔するもの『音楽室』(キング)、映写技師の正義の鉄槌『映写技師ヒーロー』(ランズデール)、カフェテリアで食事をする女の目論みは『オートマットの秋』(ブロック)。 その他の寄稿者は以下の通り。 ミーガン・アボット/ジル・D・ブロック/ロバート・オレン・バトラー/ニコラス・クリストファー/クレイグ・ファーガソン/ゲイル・レヴィン/ウォーレン・ムーア/ジョイス・キャロル・オーツ/クリス・ネルコット/ジョナサン・サントロファー/ジャスティン・スコット | ||||
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懐かしさ一杯の物語です。短編なのであっという間に読めてしまいます。 | ||||
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絵を見る時、その構図や色彩、光と影の割合に注目する人もいれば、その絵の奥にある物語を想像して楽しむ人もいます。私は後者です。その意味で、とても楽しい本でした。特に気に入ったのは、「海辺の部屋」ニコラス・クリストファー、「アダムズ牧師とクジラ」クレイグ・ファーガソン、「夜のオフィスで」ウオーレン・ムーア、でした。三人とも初めて読む作家で、この本がなかったら出会えなかったでしょう。短編集には、今まで知らなかった作家を発見する楽しみもあります。 | ||||
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先ずは絵を見て、どんなストーリが展開するか想像して、それから読み始める。 意表をつく展開、ほのぼのするもの、不気味なもの、たっぷり楽しめます。ジョイス.キャロル.オーツの作品が特に気に入ったので、彼女の別の作品も購入しました。 | ||||
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知らない作家ばかりなので、スティーブンキング以外。わたしのHpperの絵に対する思い入れがあるので、それを広げてくれる物語を想像していた。たぶんhopperに興味のあるひとはそれを期待しているのだと思う。 ハードボイルド小説が嫌いではない。たぶん暗号解読やミステリーものと同じく嫌いではないと思う。しかし、ステレオタイプに女性たちを男性の性的対象物化した視線のお話は、そういう男性心理を理解したい分けではないので、げっぷが出てくる。そういうのを避けるため、小説を読もうと思ったとき、女の小説家の方をなるべく読むようにしているところがありますが、まだ4つくらいの短編を読んだところ。どれも男性作家の感じがしたので、性別を調べてみました。 ミーガン・アボット女 ジル・D・ブロック男 ロバート・オレン・バトラー男 リー・チャイルド男 ニコラス・クリストファー男 マイクル・コナリー男 ジェフリー・ディーヴァー男 クレイグ・ファーガソン男 スティーヴン・キング男 ジョー・R・ランズデール男 ゲイル・レヴィン女 ウォーレン・ムーア男 ジョイス・キャロル・オーツ女 クリス・ネルスコット女 ジョナサン・サントロファー男 ジャスティン・スコット男 ローレンス・ブロック男 話の語り手が女性であっても、男性であっても、男性目線の感じがしてしまい。すべては男女にまつわる話ではないですが、期待していたのとは違う感じがしてます。 期待したスティーブン・キングが、わたしの絵のイメージとはぜんぜん違うし、わたしのこの絵の想像を広げてくれるようなものではなありませんでした。他の短編もそんな感じ。 自分のhopperの絵から始まるイメージと、作家の思ってもみない違う系統のイメージに耳を傾ける感じです。 ひとつでも、宝物みたいな短編に出遭えることを期待して、続きを読みます。 | ||||
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ぼくの大好きな三人の画家、ヴィルヘルム・ハマスホイ、エドワード・ホッパーそしてアンドリュー・ワイエスにはある共通した特徴があると思っている。絵を紡ぎ出す対象となる地域やその世界の狭さもその一つかもしれないけれど、さらに言えばこの三人の画家は一枚のその絵を通じてどんな具体的な物語をも伝えたいとは思っていないのだが、観るものは勝手になんらかの物語の存在を感じてしまうという点があるとも思っている。 ハマスホイの描く妻イーダの後ろ姿、ホッパーのナイトホークスに登場する人物たちの背中、そしてワイエスの代表作の一つでもある海風に翻る古びたレースのカーテン。観るものの視線は絵の中へ中へと引き込まれ、そして逆に物語は観る者の頭の中で絵の外へ外へと広がって行く。絵の中には本当の主題は描かれていないし、画家はその絵の中では物語の未来も過去も提示してはいない。 それでも彼らの作品はそれを観るぼくらの頭の中に物語の種を植え付けてゆく。その誘惑に抗いきれず作家でありこの短編集の編者でもあるローレンス・ブロックは、エドワード・ホッパーの作品は「絵の中に物語があること、その物語は語られるのを待っている」と考えホッパーの絵から物語を紡ぎだすためにスティーヴン・キングをはじめアメリカのそうそうたる作家17人に短編集の呼びかけを行った。 ホッパーの代表作ともいえる17枚の絵を選び、各々の作家がその中の一枚について短編を紡ぎ出す。それらはきっとぼくらが漠然と思い描いていたのとは全く異なる物語になっているはずだ。もしかしたら、その物語が良くできていればいる程、ぼくらの中でその絵に対して特定の色を付けてしまうことになるかもしれない。その恐ろしさはあるが、当代の作家が例えばあの「ナイトホークス」からどんな物語を紡ぎ出したのかも知りたい誘惑にもかられる。 読んでみて、それはワクワクする体験だった。そこには絵を読み解く以上のものがあるし、当たり前のことなのだけれどそれはもちろんホッパーの意図したものではないはずなのだが、全編を通じてホッパーのアメリと言いう匂いが感じられて、もしかしたらホッパーが描き出したいと思ったのはその「匂い」だったのかもしれないとも感じた。 読み終わって今、ぼくはあらぬ妄想にふけっている。それはこうだ。もしポッパーの絵が先でなくて、ポッパーがこの短編を読んでそれを絵に描いていたら、果たしてどんな絵になっていただろうか、という妄想である。むろん答えなぞ無いけど…。各短編の最初にはその元となったホッパーの作品が載せられており、そこから物語はスタートする。怖いもの見たさの美術愛好家にはお勧めです。 [収録作品] 「ガーリー・ショウ」ミーガン・アボット 小林綾子 訳 「キャロラインの話」ジル・D・ブロック 大谷瑠璃子 訳 「宵の蒼」ロバート・オレン・バトラー 不二淑子 訳 「その出来事の真実」リー・チャイルド 小林宏明 訳 「海辺の部屋」ニコラス・クリストファー 大谷瑠璃子 訳 「夜鷹 ナイトホークス」マイクル・コナリー 古沢嘉通 訳 「11月10日に発生した事件につきまして」ジェフリー・ディーヴァー 池田真紀子 訳 「アダムズ牧師とクジラ」クレイグ・ファーガソン 不二淑子 訳 「音楽室」スティーヴン・キング 白石 朗 訳 「映写技師ヒーロー」ジョー・R・ランズデール 鎌田三平 訳 「牧師のコレクション」ゲイル・レヴィン 中村ハルミ 訳 「夜のオフィスで」ウォーレン・ムーア 矢島真理 訳 「午前11時に会いましょう」ジョイス・キャロル・オーツ 門脇弘典 訳 「1931年、静かなる光景」クリス・ネルスコット 小林綾子 訳 「窓ごしの劇場」ジョナサン・サントロファー 矢島真理 訳 「朝日に立つ女」ジャスティン・スコット 中村ハルミ 訳 「オートマットの秋」ローレンス・ブロック 田口俊樹 訳 | ||||
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絵画をヒントに作品を書く面白い趣向で楽しめますョ!! | ||||
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エドワード・ホッパーの18枚の絵から17人の作家が物語を綴る(1枚余る?)という短編小説集。 「線路わきの家」はさすがに「サイコ」のイメージが強すぎて誰も書かなかった(書けなかった)のか。 でも、絵を思い浮かべながら読んでいくのは楽しいし、作家の個性が表れてきて面白い。 ※郵便受けに入っていたけれど、本を梱包していた段ボールは中仕切りに使うようなペナペナな段ボール。コロナ禍になってCDもよくオンラインストアで買うけれど、さすがに割れないよう厳重に梱包されている。 封を開けたら案の定、本のカバーの何ヶ所かがぶつかった衝撃で潰れていた。本自体も背表紙の角がぶつかった衝撃でグリーンの下から白い紙の色が見えている。古本なら仕方ないと思うけれど、新らしい本を買ってきて表紙を開くときのわくわく感が削がれてがっかりした。救いはこの本の面白さとホッパーの絵が見られること。本はやっぱり書店でいろいろ見て買うのが楽しい。無いときは取り寄せてもらうことにする。 | ||||
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エドワード・ホッパーの絵がとてもいい。私好みだ。 私は昔の写真や映像を観るのが好きだ。ここでは日本の昭和初期~20年代にあたるものが多く、アメリカと日本の生活ぶりや服装等の違いに改めて驚く。写真はまだ少ない時代でモノクロ。ホッパーの絵は鮮やかなカラーで彩られており「この時代の日常を照らし出す美しい絵をたくさん描いてくれてありがとう」感謝の念さえ生じた。陰影のかけかたが巧みだし、それぞれに趣とドラマを感じさせてくれる見事な絵だ。 私は本書を図書館で借りたところ、高価な単行本(税込¥2420)だったのだが、表紙カバーの重厚感や上等な紙質により素敵な絵をいい気分で楽しむことができ、買うとしたら単行本だと感じた。 ホッパーの画集がほしくなってしまった…。 小説の内容としては、キング、コナリー、チャイルドという好きな作家の作品は期待外れで、 『11月10日に発生した事件につきまして/ディーヴァー』『映写技師ヒーロー/ランズデール』『窓ごしの劇場/サントロファー』『ガーリー・ショウ/アボット』がおもしろかった。 | ||||
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邦題「短編画廊」(原題は "In Sunlight or In Shadow" )。ホッパーの作品に全く思い入れの無い人間が、全く思い入れの無い人間に売る役にしか立たない。無味乾燥な文字列で、あまりにも凡庸。 装丁も悪い。題字のフォントは最悪。表紙も悪いが背表紙での作品(Hotel Robby)の使い方が更にひどい。本棚にこの背が見える事が不愉快で、結局手放した。 肝心の内容も、端的に言えば、どの作品も画面上の状況を説明せんがために安易で浅薄な筋書きを並べただけ。外国の映像に、無関係な日本語のセリフをアテレコしたような、あの滑稽さがある。物語と共に次第にホッパーの作品の景色が立ち上ってくるような構成を期待していただけに、非常に残念。 | ||||
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コンセプトが面白いと思い読んだが、あまりにも短絡的かつ浅い内容でびっくり。ホッパーの絵まで浅い気がして来て辛かった。短編でも人間の心の機微を表現する事が出来ただろうに残念。 | ||||
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企画も絵も素晴らしいと思って読みましたが、読みきるのが少しつらかった。絵を見て自分が膨らませる想像と、作家たちの想像が違いすぎて、最後は食傷気味でした。一度に全部読むよりたまに一話ずつとか読む方が良いかもしれません。 | ||||
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17名の作家による絵画をイメージした珍しい作品集。これだけの作家が集まると中にはいまいちか、と思ってしまう作品も無い事は無いですが概ね楽しめました。しかし、近代アメリカの闇がぼんやりと滲み出ている作品も結構有り、ホッパーの絵のイメージが醸す雰囲気とは違うのでは?と違和感も結構湧きました。 個人的には図書館で借りて読めば充分ではないかと感じます。 「キャロラインの話」と「アダムス牧師とクジラ」は是非一読することをお勧めします。 | ||||
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小説家ってちょっとしたことに枝葉をつけ、心象膨大、、このようなストーリーになるなんて、やはり天才が作家になるのかー、やはり凡人は作家にはなれないと実感だ! | ||||
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私はミステリーファンでもスリラーファンでもなく、本書に名を連ねている作家のうち知っていたのはスティーブン・キングだけ。それでも、十分に堪能できたから、知らない作家ばかりでも気にしなくていいです。 本書を手にとった主な理由は、ホッパーの絵に面白さを感じていたからだが、本書のおかげで、ホッパーについてあれこれ考えるきっかけになったし、鑑賞する楽しみも倍加した気がする。 ホッパーの絵はアンソロジーに参加した作家にとって、いわば「お題」のようなもの。この作家は、お題をどう料理するだろう? 絵と短編をどう関係させるだろう?――そんなふうにワクワクしながら短編を読む体験は、今までしたことのない種類の読書体験となった。読み終えると、お題の絵の見え方が変わってくるような、そんな作品にも出会えた。他の作品を読んでみたいと思えるような作家にも出会った。 ちなみに、お題に対する応答の見事さは、ディーヴァーが群を抜いていると思う。ホッパーの絵をまさかこんなふうに扱うとは! 思わず笑ってしまい、その手腕に降伏した。ネルスコットの応答も、ホッパーの絵について語られがちな言説を意図的に裏切って、なおかつ作品の挿画としてお題の絵がぴったりになるというひねりの効いた佳作だと思う。その点で、キング作品はストレートすぎて失望した。 残念な点は、それぞれの短編の冒頭を飾るホッパーの絵の印刷の発色がいまひとつなこと(本の表紙もそうで、デザイン的にもソンしていると思う)。でもその点は、ネットで画像を検索しながら補えば済む話だ。ホイットニー美術館など絵の所蔵館のホームページやその他のページで大きな画像が見つかる。 あと、支障はないが、経験の浅い翻訳家の腕試しの機会にもなっているようである。 | ||||
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アメリカの現代の画家エドワード・ホッパーは、同国の日常生活に起こりうる平凡な一齣を描き出したことで知られている。その平凡さからこのような見事な短編作品が生み出されとは想像だにしなかった。各著者の想像を絶する創造力に脱帽せざるを得ない。とにかく物語に次ぐ物語には圧倒される。 | ||||
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おもしろい。ホッパーをまざまざと目の前に見る重い。小説にするとこうなるのかと! | ||||
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恥ずかしながら17人中既知の作家は6人で、テーマとなっている画家エドワード・ホッパーのことは知りませんでした。割安のkindle版を購入したのだけれど、絵を何度も見返しながら読むのには向かず、作家紹介も文字が小さすぎて読めませんでした。紙媒体で買うべき本でした。 さて、中身はどれも悪くないのですが、数日掛けて読了後、タイトルだけを見て粗筋を喚起できるのはごくわずか。「アダムズ牧師とクジラ」「海辺の部屋」が2大収穫でどちらも知らない作家でした。期待していたランズデールと真打ちのブロックは、平均点レベルで、大御所キングの「音楽室」はいまいちでした。 | ||||
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ホッパーの17点の作品にインスパイアされて17人の作家が17の物語を紡いでいる。寄稿者にはスティーブン・キング、ジェフリー・ディヴァ―、マイクル・コナリーなどの著名作家の名前が並ぶ。この種の企画としてはめずらしく、品質のばらつきがなく、意趣を凝らした名作が揃っている。 画集をそばに置いて、各篇の扉に置かれたホッパーの絵を眺めてから短編小説をゆっくり読んでいく。読みながら何度も扉に戻ってホッパーの絵を確かめることになった。17編のどれもが意表を突くストーリーである。もちろん、時代も場所も、背景も大きく異なっている。そして、登場人物の多彩さにも驚いた。私立探偵、殺人を業にする夫婦、女性秘書、ソ連軍将軍、神を信じない末期がんの牧師、女性を食いものにする男、反人種差別の南部女性、ホッパーと縁の深い牧師、田舎町の映写技師、道化師、貧しい無職の女、等々。これらの人物がホッパーの絵から飛び出て主人公となって動くのである。 どれも完成度が高く、面白く読めたが、とりわけ印象に残った私のベスト3を紹介しよう。生まれ落ちてすぐに里子に出された女性が40年後に実の両親に巡り合う奇跡の物語「キャロラインの話」(ジル・D・ブロック)。町のやくざに脅される映画館主と片思いの少女を救うために映写技師の若者は思いがけない行動に出る「映写技師ヒーロー」(ジョー・R・ランズデニール)。地方から出てきた聡明な女性は弁護士事務所に職を見つけ、雇い主の弁護士に恋心を抱くが、不意の事故で亡くなってしまう。彼女は幽霊になってオフィスを眺めている。「夜のオフィスで」(ウォーレン・ムーア)。どの物語も絵との調和が見事であり、読後感はホッパーの作品を観たときの印象と重なる。その訳は、作家がホッパーの絵に触発されて執筆したからであろう。装丁も製本も本文の書体も美しい。長く手元に置いて、時折取り出して絵を眺め、ページを繰りたい本である。 1990年に東京都庭園美術館で開かれたエドワード・ホッパー展での衝撃は忘れられない。以来、私はニューヨークを訪れるたびにホイットニー美術館に足を運ぶようになった。人物が描かれた作品はもちろん風景画であっても作品がもつ静謐さ、哀切さ、寂寥感に惹かれた。作品が何かを訴えているように感じた。だからこの本が書店で平積みにされていたのを見つけたときの驚きは大抵ではなかった。長く望んでいたものが形となって不意に現れたからだ。 | ||||
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作家が異なる短編集となれば、ハズレも数話ありそうなものだが、どの作品も楽しめる、ハズレなしの稀有な短編集だった。 錚々たる執筆陣はさすが独自の筆を思うがまま走らせているが、十人十色の作品をエドワード・ホッパーの絵が見事1つの世界につないでいる。(ハズレがないのはそのせいもあるかも知れない。) 各話の冒頭に話の下敷きになったホッパーの絵が入り、話を読む前、読みながら、読んだ後と何度も見比べられ、二度美味しい。 粒揃いの中でも『映写技師ヒーロー』『アダムズ牧師とクジラ』『オートマットの秋』『夜鷹』が贔屓。装丁も美しく手で持っていたい本。 | ||||
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