雲
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タイトルの「雲」からして、本にまつわる謎解き、または黒曜石雲の事件を巡るストーリーか、と期待に胸踊らすも、主人公にまつわるストーリー展開。本との出会いは閉じられた過去への追憶のきっかけという事か。 ストーリー展開は一筋縄ではいかずバリエーションがあって面白かったが、黒曜石雲のエピソードが謎めいてこちらに期待が膨らんだ分、結末を迎えてなんだか肩透かしをくらった感がある。あの黒曜石雲は一体何だったのだろうか。そういう意味ではこれもリドルストーリー? | ||||
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昔、伊那地方?を扱った民族学関係の二巻本を読んで、しばらく spellbound の状態に陥ったことがある。この本を読んでそのことを思い出した。読者を魅するのにも似た型があるものだとの思いに至った。無理矢理の出会いから始まる恋愛要素だけ取り出せばはハーレクインかというような平凡極まるもので、その他も一応筋書きがあるようで、実はそれには重きが置かれているわけではないのではないか。民俗学的妄想・素材が適当に配置されるよう組み立てているだけではないか。そのためだとすると人物は話型を構成する単なる駒に過ぎないゆえ、妙に肉感をを伴って迫ってこないのも納得できる。この作品の魅力は folktale 風味付けのそのやり方にある。これは一種の発明である。 まあ、そうなのではあるが、優生学の延長上にあるようなエピソードも不快だし、「黒曜石雲」も落ちのないまま最後まで「黒曜石雲」だったし、終盤に近づいて表現がやけに回りくどくてやや失速を思わせるし。 ということで馬鹿高い原書や翻訳書を買わずに図書館で借りて大正解だった。 | ||||
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この本の煽り文句に『幻想小説、ミステリ、ゴシック小説の魅力を併せ持つ』とあるが、この小説はそのどれでもない。特に、ゴシック小説的な部分は皆無といって良い。たとえ、謎の稀覯本、打ち捨てられた屋敷、暗く荒涼とした自然/街、異常な気象現象、ロボトミー手術を受けた怪物染みた女といったゴシック的要素が散りばめられていたとしてもだ。 なぜなら主人公および主要な登場人物のなかに『ゴス』な人物が一人としていないからだ。 この小説をあえて評するならば、「家族」をテーマとしたロードノベルといったところか。 まあ、小説としては巧みで十分面白くはあるのだが、私のように最初に提示した煽り文句に惹かれた読者にとっては物足りない感も否めない。 実は、マコーマックは初読ではなく、『隠し部屋を査察して』と『ミステリウム』は読んでいるのだが、だからこそ、あの作者でもってあの煽り文句とくれば、これは読まざる得ないなと思ったわけだ。 あと、たしかに読みやすいと言うか、リーダビィリティは良い。小説好きの人にも、この点を評価する人が多いと思われるが、通常の小説においては、それは称賛されるポイントになりうるだろうが、怪奇・幻想を旨とする小説においては、欠点とまで言うと明らかな言い過ぎだが、少なくとも評価のポイントにはなりえないと思う。 | ||||
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長いお話は4部構成になっており、愛する人にダンケアンという街で捨てられた所から、傷心の旅に出て、再び戻ってきて、愛する人の謎にせまっていきます。 どこまでが本当の知覚で、どこまでが幻覚なのか、入り混ざって独特の世界観が繰り広げられていました。 途中のグロテスクな描写など、評価は分かれると思います。 | ||||
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主人公がメキシコで発見した古書に記された<黒曜石雲>という超常気象をモチーフとした一人称の物語。プロローグで<黒曜石雲>が起きたとされる(真偽不明)ダンケルンというスコットランドの町に主人公が若い頃に居た事からこの事象に興味を持つ事が記される。第一部は主人公の幼少期から"失恋"のためにダンケルンを離れるまでの回想譚が綴られる。淡々とした筆致ながらゴシック・ホラーの風味が濃く、「人にとって(自身を含めた)人は"謎"」というのが主旋律らしい。 第二部はダンケルンを離れてアフリカへの航海を経てカナダの鉱山採掘企業に就職するまで。土地柄のせいか、第一部に比べて幻想味・呪術性に満ちている。幻想味が増した理由は主人公の語り口と旅先で知り合った人々の語り口とが混淆している事にも依る。実際、主人公はマラリアに罹り、熱に浮かされながら見た白昼夢をそのまま綴っているのかも知れない。なお、第二部の冒頭から(プロローグの続きとして)ダンケルンの学芸員と主人公との通信がなされ、きっと、ダンケルンを目指してこの幻想旅は続くのであろう。第三部はそれから25年間程。主人公は企業の令嬢アリシアと結婚し、息子も誕生し、アリシアの父親の死に伴い社長となるが、そのアリシアも死去する。如何にも現実的な内容に映るが、性的倒錯にも多くの筆が割かれ、第二部の登場人物の医者(脳の禁忌の実験中)からダンケルンの衰退を聞かされる。この時点で主人公は古書を入手し、学芸員と主人公とを仲介したのは息子だった事が語られる。第四部とエピローグでは、当然、主人公はダンケルンへと赴き、ある真実を知って<黒曜石雲>に覆われた町の如くに驚愕する。 全編を通じて"猫"が何度も登場するのには意味があるのだろうか ? 性的混迷を中心として上述の主旋律を幻想小説、写実小説、ゴシック・ホラー、魂の遍歴小説という多彩な技巧で描いた秀作だと思った。 | ||||
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