過去からの弔鐘



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初公開日(参考)1987年04月
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長編小説

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過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

1987年04月21日 過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

【探偵マット・スカダー・シリーズ】 大都会ニューヨークで、人々は今日も孤独に生きている。 もと警官のアル中探偵への依頼は、ヴィレッジのアパートで殺された娘の過去を探ってくれというものだった。 犯人は逮捕された後、独房で自殺していた。スカダーは二人の過去を調べはじめたが、意外な真相が明らかになっていく! 大都会の片隅で生きる人々の哀歓を鮮烈に描き出す、現代ハードボイルド・ミステリの傑作! (「BOOK」データベースより)




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過去からの弔鐘の総合評価:8.00/10点レビュー 7件。Bランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

スカダーの別の一面を見てしまった!

この本の時はマットスカダーはまだお酒を飲んでいたのですね。
私が読み終えたスカダーシリーズは全て断酒しているマットばかりだったので、ある意味?新鮮でした。
お酒を飲んでいてもいなくても、やっぱりマットは格好いい!
特に後半に近づくにつれて凄みが増してゆく感じが良かったです。やっぱりそうでなくっちゃ!

ミステリーとしても展開よりもニューヨークそのものに魅力を感じました。行ってみたいな〜っと。
この頃はまだTJは登場していないので、ちょっとワクワク感には欠けところもありますが、これはこれでビシッと決まった大人のミステリーに仕上がっていると思います。


ももか
3UKDKR1P
No.1:
(8pt)

優しきアル中探偵、ここに登場

アル中探偵マット・スカダーは本書から我々の前に姿を現した。ローレンス・ブロックの筆によって我々に紹介されたのだ。
ブロックは存在した探偵を掘りだし、それを文章と云う形で教えてくれたのだ。そんな風に考えてしまうほど、このマット・スカダーという人物が人間臭い。

1作目の本書で既にマットのありのままが語られる。
ライセンスを持った探偵ではなく、人の依頼を受けて便宜を図ってやる商売をしていること。元警官で警官時代に強盗を撃ち損じた弾が誤ってたまたま近くにいた7歳の女の子の命を奪ってしまったこと。それが彼が警察を辞める原因となったこと。彼には別れた妻アニタが居て2人の息子がいること。娼婦エレインとは時々会って寂しさを紛らわすこと。飲み友達のトリナとは何でも話せる関係なのに、なぜか身体は交わさないこと。

そんなスカダーの生活がストーリーを追うにつれ、静かに心に積もっていく。そしていつしかスカダーが心に住まっているのに気付く。

とにかくそれまで読んでいたブロック作品の雰囲気を覆す芳醇なウィスキーのような大人の香りに満ちた文体が非常に心地よい。

ウェンディとリッチー。2人の若者は一緒に暮らしながらなぜ死んだのか?
50代の男性から金を貰ってはデートをし、一夜を供にして金を稼いでいたデート嬢とホモの集まるバーに通っては近寄ってくる男を受け入れるでもなくついていくようなシャイな男が同棲していたのはどうしてなのか?
スカダーは彼と彼女の近況、そして過去を探ることで次第にその奇妙な関係に納得のいく理由を突き止めていく。

そしてスカダーの目に映る生前の彼ら2人の像は実に哀しくも寂しい存在だったということだ。

みんな一人は寂しい。だから一夜限りであれ、誰かと共にいることを選ぶ。しかしそんな刹那的な出逢いではなく、純粋な物を欲しがった2人が見つけたのは足りないものをお互い補う関係。
それは父親から幼い頃に影響を受けたがために普通に振舞えなくなった社会的不適合者2人がお互いの傷を舐め合いながらそれでも生きていく姿だった。

事件の当事者の関係者を辿り、質問することで隠された正体を探り当てるスカダーの行為はロス・マクドナルドのリュー・アーチャーを想起させる。しかしリューは全てを知るために相手が嫌がるほどに質問を繰り返すのに対し、スカダーは必要以上のことを知ることで被る迷惑を知っており、それが故に忘れたい過去をほじくり返されて安定した生活を壊される人々がいることをわきまえているからこそ、そこまでの追及はしない。それは彼の優しさなんだろう。

ただし罪を犯した者に対しては容赦はしない。彼は真犯人に自分のやったことを胸に問い、自殺した方がましだと強要する。さもなければ警察に再捜査の依頼をすると。
スカダーは決して恐喝者ではない。ただ彼は優しいのだ。
被害者たちを調べていくにつれ、彼と彼女のこれからの生活を打ち砕いた者が許せなかっただけなのだ。
従って自殺を促すスカダーは冷酷などとは決して感じない。
彼は、そう、純粋なのだ。

久しぶりにじっくり味わうプライヴェート・アイ小説に出逢った。心に傷を負い、トラウマと共に生きる探偵を主人公にしたのがネオ・ハードボイルドというジャンルでこのマット・スカダーシリーズはその中でも代表作とされるものだ。
しかしそんなことよりもまずはマット・スカダーと彼を取り巻く人々の世界にこれからじっくり身を任せ、浸っていこう。


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Tetchy
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No.5:
(5pt)

私、スタガーに惚れました!

大都会ニューヨークで、人々は今日も孤独に生きている。もと警官のアル中探偵への依頼は、ヴィレッジのアパートで殺された娘の過去を探ってくれというものだった。犯人は逮捕された後、独房で自殺していた。スカダーは二人の過去を調べはじめたが、意外な真相が明らかになっていく!大都会の片隅で生きる人々の哀歓を鮮烈に描き出す、現代ハードボイルド・ミステリの傑作!
過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)より
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No.4:
(4pt)

ニヤリとする会話。

元警官でアル中の私立探偵マット・スカダーシリーズの記念すべき第1作である。と云ってもアメリカ本国では、第3作「一ドル銀貨の遺言」くらいまで、殆ど注目を浴びることはなかったらしい。やはり映画化された、第5作「八百万の死にざま」でメジャーになったのは間違いない。

個人的には、倒錯3部作と云われる、第8作「墓場への切符」、第9作「倒錯の舞踏」、第10作「獣たちの墓」辺りが一番油の乗り切った時期で、この頃になると即文庫ではなく、ハードカバーだったが、高価くはないと思ったものだ。

それらに較べると、本書はあまり目立たないが、このシリーズ特有の会話の妙と云うか、文章の巧さは既に第1作で出ており、やはり唸ってしまう。
例えば、以下の会話などにニヤリとするのである。

「コーヒーとお酒。なんだか変な取り合わせね」「そうかね?」「お酒は人を酔わせるもので、コーヒーは人を素面にするものだもの」
私は首を横に振った。「コーヒーは人を素面にするものじゃないよ。コーヒーは人をただ目覚めさせるだけさ。だから酔っ払いにコーヒーを与えれば、それはよく目覚めた酔っ払いができるだけだよ」
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No.3:
(4pt)

80~90年代を先導した名シリーズ、記念すべき第一作

殺された女性の父がスカダーに調査を依頼し・・・というお話。
まだ、初期のシリーズとあってそれほどのスケールの大きい話ではありませんが、小味なれど結構がまとまっていて好感が持てます。特に、シリーズ第一作からスカダーの過去がほぼすべて曝け出されていてファンには興味深い展開になっております。まだこの後の大物感はありませんが、肩の力をぬいて楽しめるハードボイルドだと思いました。
偉大なるシリーズ第一作。機会があったらご一読を。
過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)より
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No.2:
(4pt)

英語学習の副読本としてもお勧め

謎解きを楽しむという意味では、中心となる謎が弱く、明かされる事実も(少なくとも小説の世界では)良くある話です。ただ、ぶっきらぼうな語り口から垣間見える主人公の信条や街の姿はなかなか魅力があると思います。
英語はセンテンスも短く、難しい副詞、形容詞の類もあまり出てきません。また小説のボリュームも少なく、章が細かく分かれているので、英語学習のリーディングに向いていると思います。ただ登場人物は、数こそ少ないものの、どのような人物(昔の同僚とか、依頼主とか)を最初の1回しか説明してくれないようなので、読むのに時間がかかりそうな人は、登場人物一覧を創ったほうが良いでしょう。
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No.1:
(3pt)

スカダーシリーズ導入編

マットスカダーシリーズは、先に「墓場からの切符」を読み、これを後に読んでしまったせいで、この本自体への感想はシリーズの導入編程度のものしか持てなかった。ただ、人を裁き、人の生命を決めるのが神の役割だというキリスト教的な考え方を理解する意味ではこの本を読む意義はあると思う。このテーマがスカダーシリーズの根本をなすと思うからだ。
この作品でも、主人公の独特の死生観と正義への絶対的な忠誠がその台詞の端々から伝わってきて楽しめるが、肉が足りない展開という欠点は否めない。スカダーの真価は「八百万の死に様」以降に発揮され、それまではやはりB級ハードボイルドの域を出ないようだ。
過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)より
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