カウントダウン・シティ
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小惑星の衝突で地球が滅亡することが確実な状況で主人公の元刑事が失踪人捜査を依頼され・・・というお話。 前作同様、破滅することが既成事実の中で事件を捜査しなければならないはめに陥った元刑事の奮闘ぶりを活写したSFミステリ。この破滅が判っているのに孤軍奮闘する主人公の行動を人によっては狂気の沙汰に見る人もいる様ですが、そういう状況でも公共の秩序の安寧に奉仕する姿に個人的には感銘を受けました。同じ状況だったら自分はやはり、死ぬまでにやりたいことリストを作って実行するであろうから。この辺の主人公の行動をどう解釈するかで評価が割れるシリーズだと思いました。 ミステリとしての出来も、基本設定の小惑星の衝突と失踪の謎が絡み合っていてなるほどと納得できる出来だと思いました。人によっては食い足りないという方もいるかもしれませんが、私はこれでいいと思いました。 シリーズ最後にどうなるかとても気になる第二作。機会があったら一作目からどうぞ。 | ||||
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連作ものとは知らずに購入。 つまり、第一作を読んでいないのだが、それでも楽しめた。 小惑星が衝突するカウントダウンが始まった地球での、一般市民があたふたする様子が背景に描かれつつ、警官をリストラされてしまった主人公は、旧知の女性から、行方をくらました夫を探してほしいと懇願され、捜索を始める。 読み始めて少し、「何だ、この展開は!」と少々とまどったものの、どんどんと引き込まれてしまった。 さすがに、後半、唐突に終了、「どうするんだこのもやもやは!!!」 あとがきを読んで、連作ものと知った。なるほど、第3部に続くのか。 早く、第3部の次作が刊行されることを望む。 そして、第1作をそれまでに読まねばと思っている。 | ||||
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サウンドトラックはボブ・ディランのアルバム。 1作目の「地上最後の刑事」では「ストリート・リーガル」が、 2作目では「プラネット・ウェイブス」が低く流れている。 街を覆い始める狂気から逃れようとするかのように、主人公は別の狂気にしがみつく。 今回は失踪人捜索だ。 主人公による一人称現在完了形の導きで終末の町へ出かけよう。 多くの一人称ミステリは、ひとつの視点で物語が進むため、 読者は主人公に寄り添っているつもりで読み進む。 だが、大抵は主人公の思考すべてが開陳されているわけではないことに、 ある時点で気づかされる。 今回も前作同様、一人称に仕込まれた趣向を気持ちよく味わった。 でも、ちょっとばかり不満もあるぞ。 ミッションの手がかりを持つであろう人物や場所を主人公は訪ね歩くが、 この過程の一部に若干の無理はないか。 干し草の山の中から一本の針を探し出せた主人公の幸運を、 読者は喜べばいいだけかもしれないけれど。 それにしても3作目が待ち遠しくてならない。 主人公の新たなミッション(狂気)は何か。 右腕はだいじょぶか。 そして2作を通して描かれる都市伝説ちゅうか謀略史観プロジェクトの決着はどうなる。 最終巻に採用されるディランのアルバムはどれか。 頼むぞ。ハヤカワ。早く出してくれ。 | ||||
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小惑星の衝突まで三ヶ月を切った地球。アメリカの小さな街コンコードでも、人類滅亡への恐怖から混乱が広がっていた。刑事を辞めた主人公はある日、昔馴染みの女性から出て行った夫を探して連れ戻してほしいと依頼される。多くのが人が街を去るなか、主人公は家出人を探す意義を見定められないながらも依頼を引き受けるが…。 人類滅亡の危機に怯える街を描いた全三作となるシリーズの第二作。円城塔の『Self-Reference ENGINE』を次点に抑え、2013年度フィリップ・K・ディック賞を受賞した作品です。 前作『地上最後の刑事』を読んでいないと人物相関図や伏線がよくわからないので、本作から読み始める読者の方は注意が必要です。 前作は小惑星衝突の半年前でしたが、本作では三ヶ月ほど前が舞台です。そのため前作よりも恐慌状態が広がり、生と死が紙一重という緊迫感が増しています。 SF的状況下におけるハードボイルドという展開は前作と同じですが、ミステリとしては前作よりも劣ると思います。しかし心理描写におけるリアリズムの切れ味はずっと研ぎ澄まされています。 前作では仲間の刑事たちが仕事をおざなりにしているなか、主人公は一人一心不乱に事件解決に臨んでいました。それは警察機構再編によって刑事を辞めざるをえなかった本作でも同様です。 前作でも主人公がなぜ誰もが見向きもしないことに打ち込むのか、その理由は明確に叙述されませんでした。本作では、それがさらに加速して、主人公による家出人捜索が一種の強迫観念と化しています。 本シリーズが主人公の一人称による語りで進められるのに、主人公の行動原理が不明瞭なのは、おそらく語り手である主人公自身がその理由をうまく説明できないからでしょう。しかし反対に、人々から理性が失われいく様が克明に描写されています。そこに、理由が隠されているのだと思います。 人々が迫り来る恐怖に怯えて狂騒に陥るなか、あるいは妄想に駆られて狂奔に走るなか、あるいは気力を失い自堕落に陥るなか、主人公は理性を欠片でも保とうと必死にあがきます。いかに無様であろうとも、どれほど醜態をさらそうとも、自らに「やるべきこと」を課すことで、理性の灯火を消すまいと奔走しています。 しかし主人公の行動もまた、多くの人々と同じような狂気を帯びているように見えます。私たち読者の視点からだと、自分とは無関係な事柄に没入する姿は妄執にとらわれているようにしか映りません。 つまり本シリーズ全体をとおして、主人公が明確に語りえぬものをあえて語らないまま放置しておき、周囲の人々と対照させることで、主人公の自覚しえない狂気が雄弁に語られてるのです。それは理性にすがろうとするがゆえの狂気でしょう。 冗長さを感じさせず緊張感を維持したまま、徹頭徹尾この手法をつらぬいた作者の筆力に感服しました。 シリーズ最終作となる次作“World of Trouble”は、本国アメリカでは2014年7月に出版されたようです。邦訳もなるべく早く出版されることを期待しています。 | ||||
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小惑星の衝突まで三ヶ月を切った地球。アメリカの小さな街コンコードでも、人類滅亡への恐怖から混乱が広がっていた。刑事を辞めた主人公はある日、昔馴染みの女性から出て行った夫を探して連れ戻してほしいと依頼される。多くのが人が街を去るなか、主人公は家出人を探す意義を見定められないながらも依頼を引き受けるが…。 人類滅亡の危機に怯える街を描いた全三作となるシリーズの第二作。円城塔の『Self-Reference ENGINE』を次点に抑え、2013年度フィリップ・K・ディック賞を受賞した作品でもある。 前作『地上最後の刑事』を読んでいないと人物相関図や伏線がよくわからないので、本作から読み始める読者の方は注意が必要。 前作は小惑星衝突の半年前だったが、本作では三ヶ月ほど前が舞台。そのため前作よりも恐慌状態が広がり、生と死が紙一重という緊迫感が増している。SF的状況下におけるハードボイルドという展開は前作と同じだけれど、ミステリとしては前作よりも劣ると思う。しかし心理描写におけるリアリズムの切れ味はずっと研ぎ澄まされている。 前作では仲間の刑事たちが仕事をおざなりにしているなか、主人公は一人一心不乱に事件解決に臨んでいた。それは警察機構再編によって刑事を辞めざるをえなかった本作でも同様だ。前作でも主人公がなぜ誰もが見向きもしないことに打ち込むのか、その理由は明確に叙述されない。本作では、それがさらに加速して主人公による家出人捜索が一種の強迫観念と化しているが、やはり主人公の動機は不明瞭。 本シリーズは一貫して、主人公の一人称による語りで進められるのに、主人公の行動原理は語られない。それは、おそらく語り手である主人公自身がその理由をうまく説明できないからだろう。しかし反対に、人々から理性が失われいく様が克明に描写されている。そこに、理由が隠されているのだと思う。 人々が迫り来る恐怖に怯えて狂騒に陥るなか、あるいは妄想に駆られて狂奔に走るなか、あるいは気力を失い自堕落に陥るなか、主人公は理性を欠片でも保とうと必死にあがく。いかに無様であろうとも、どれほど醜態をさらそうとも、自らに「やるべきこと」を課すことで、理性の灯火を消すまいと奔走しているのだ。 しかし無意味に見えることに没入する主人公もまた、私たち読者の視点からだと、多くの人々と同じように妄執にとらわれているようにしか映らない。つまり本シリーズ全体をとおして、主人公が明確に語りえぬものをあえて語らないまま放置しておき、周囲の人々と対照させることで、主人公の自覚しえない妄執が雄弁に語られてるのだ。それは理性にすがろうとあがくゆえの妄執なのだろう。 冗長さを感じさせず緊張感を維持したまま、徹頭徹尾この手法をつらぬいた作者の筆力に感服した。 シリーズ最終作となる次作“World of Trouble”は、本国アメリカでは2014年7月に出版されたよう。邦訳もなるべく早く出版されることに期待。 | ||||
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