冬を怖れた女



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初公開日(参考)1987年10月
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長編小説

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冬を怖れた女 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

1987年10月31日 冬を怖れた女 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

ニューヨーク市警の刑事ブロードフィールドは警察内部の腐敗を暴露し、同僚たちの憎悪の的となった。折りしも、ひとりの娼婦が彼を恐喝罪で告訴。身の潔白を主張する彼はスカダーに調査を依頼した。だが、問題の娼婦が殺害され、容疑はブロードフィールドに!彼の苦境に警官たちが溜飲を下げる中、スカダーは単身、真相の究明に乗りだした…。鬼才の筆が冴える第1級のハードボイルド! (「BOOK」データベースより)




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冬を怖れた女の総合評価:8.75/10点レビュー 4件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

冬の寒さにぬくもりを求める男女の機微

アル中の無免許探偵マット・スカダーシリーズ第2作。殺された娼婦と警官の悪行を検察官に売ろうとした悪徳警官のために警官たちの反感を買いながら真相を探る。

誰もが憎む相手の無実を証明しようと奮闘する探偵と云えば、最近ではドン・ウィンズロウの『紳士の黙約』が思い浮かぶ。しかし本書では同書よりも四面楚歌ではない。
ウィンズロウ作品では主人公の許を仲間が一旦離れ、しかも親友が敵となる絶妙な設定だったが、本書では嫌われているのは依頼者であり、主人公ではないため、それほど阻害されているような印象は受けない。

ただとにかくこの本を読むのが今の私には実にマッチしていた。色んな人に捜査を辞めるよう諭されながらも真実を知りたいという一心で妨害に抗い捜査を進めるマットの心情が今の私の心情に重なったのだ。周囲に理解されずとも己の信ずる道を歩むスカダーの姿に今の私を写したように感じた。

またマットが依頼人ブロードフィールドの妻ダイアナと逢瀬を重ねるのが実に興味深い。恋とか愛とかを期待することの無くなった男が一時の迷いから留置場に夫を入れられ、怯える女性にほだされてしまう。それはお互いが孤独を怖れたからだ。
マットは長い孤独に嫌気が差しており、ダイアナは子供を抱えてこれからどうすればいいのか不安に駆られている。そんな状況で生まれた恋情はしかしマットに余計な犠牲者を増やすという過ちを犯させてしまう。酒に溺れるだけでなく、今回は女に溺れることで有力な手がかりを持つであろう男を喪うマットはこのように有能でないからこそ、実存性をリアルに感じさせる。

さらにマットが娼婦エレインと今のような関係になった経緯についても語られている。
元警官が娼婦と懇意になる、このことは確かに悪意ある取引を連想させるが、この2人はそんな下世話な部分とはかけ離れた、純粋に人間同士の付き合いという美しさと潔さを感じていたが、やはりそうだった。
時に一人の客とその相手として、時にそれぞれ一人の男と女として、そして時に友人同士として協力し合う関係。彼ら2人の関係はことさらドラマチックな化学反応があったわけではないのだが、それが逆に私達読者が持つ人間関係の始まりと実に似通っていて、腑に落ちるのだった。

真相と真犯人は実に意外だ。というよりもこの真相を読者は当てることが出来ないのではないか。それほどそぐわないように感じた。

今回はこの素晴らしい邦題を褒めたい。この物語にはこの題名しかないとしか思えない絶妙な仕事だ。
原題は“In The Midst Of Death”、『死の真っただ中に』とでもなるだろうか。これが“Deaths”と複数形ならば今回出てくる3つの死人の中心にある物という意味になるのだろうが、恐らくはそれが正解なのだろう。しかしやはり本書では冒頭マットと出逢い、すぐに死んでいくポーシャ・カーが印象的だからだ。1章の最後でふとこぼれる台詞が非常に強く印象に残るからだ。そしてマットもまた冬を怖れる理由を探る。この実に詩的な謎が本書に深みをもたらしている。

短いながらもこんな風に大人の心の機微を考えさせられる作品だ。そしていまだに私は彼女が怖れた冬とは何だったのかと考えに耽っている。


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Tetchy
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No.3:
(5pt)

めちゃくちゃ面白い!

スタガーのふたつの恋。ひとつは依頼人の妻とのよくある的な恋。ひとつは殺された娼婦の残像との恋。娼婦の残された声を聞くために留守電に電話をするスタガー。彼の孤独を強烈に印象づける名場面だと思う。
冬を怖れた女 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:冬を怖れた女 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)より
4576871595
No.2:
(4pt)

孤高の探偵の魅力で読ませるシリーズ二作目

警察腐敗を内部告発した男が殺人の容疑を掛けられ・・・というお話。
今回は腐敗した警察を告発した男の無実を晴らそうと、スカダーが捜査する話で私立探偵ものの定石どおりに様々の関係者に聞き込みの回る内に事件が意外な方向に発展するという展開でした。
はっきり言ってこの時点では、後の私立探偵小説/ハードボイルドのジャンルの偉大なシリーズになるという予感は見出せませんでしたが、プロットや謎解きなどは、流石にこのシリーズを書く前に色々修行して書いていただけあり、まずまず納得できる出来ではありました。
キャラクターもそれぞれ魅力があり、やはり主人公のスカダーにはなんとなく男も憧れるような所があり、読ませます。ただ、アル中というものがどういうものか、殆ど酒を呑まない(呑めない)私のような輩にはいまいちよく判らないものがるということも付け加えておきます。それと、作中スカダーが人妻とあっさり関係を結ぶ所なども私のような40独身男で異性と交際したこともない野郎には不可解に思えました(やっかみもありますが)。☆3・7くらい(四捨五入ということで)。
栴檀は双葉より芳し、といえるかどうかは判りませんが、良く出来た二作目。続きも読んでいきたいシリーズ、機会があったら是非。
冬を怖れた女 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:冬を怖れた女 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)より
4576871595
No.1:
(5pt)

前期三部作

マット・スカダーシリーズの2作目。
第1作の「過去からの弔鐘」と、この第2作「冬を怖れた女」が1976年発表。翌1977年に3作目の「一ドル銀貨の遺言」。
この三作が続けて発表されている。これを、スカダーシリーズの前期三部作と呼ぶ。(勝手に)
4年後の傑作である第4作「暗闇にひと突き」以降にくらべれば、どれも小粒であるとは言えるが、
スカダー誕生の瞬間に立ち会っているというスリルは味わえる。
マット・スカダーシリーズという希有のミステリの一部として、文句なく☆5
冬を怖れた女 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:冬を怖れた女 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)より
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