さらば愛しき女よ

【この小説が収録されている参考書籍】

評判

さらば愛しき女よの評価:

4.18/5点 レビュー 87件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.18pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全168件 101〜120 6/9ページ
No.68
(5pt)

新訳は完訳!

村上新訳か、清水訳かについては、他のレヴュワーが詳しく書いているので、特には書かないが、完全訳を成し遂げた村上氏には賛辞を惜しみたくない。村上氏はこの良質なミステリの筋よりも、本人が書いているように、むしろチャンドラーの"tangible"な文体に惚れたのだ。

 「それが私という人間だ」の一行にゾクッとさせられる。これは男の美学が描かれたミステリ、と言ったらフィリップ・マーロウ、かっこよすぎるだろうか。

 オリジナルがリリースされたのが1940年ということだが、全然古さを感じさせない。2011年の今読んでも引き込まれる面白さはさすが!である。
さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2)) Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))より
415070452X
No.67
(5pt)

新訳は完訳!

村上新訳か、清水訳かについては、他のレヴュワーが詳しく書いているので、特には書かないが、完全訳を成し遂げた村上氏には賛辞を惜しみたくない。村上氏はこの良質なミステリの筋よりも、本人が書いているように、むしろチャンドラーの"tangible"な文体に惚れたのだ。

 「それが私という人間だ」の一行にゾクッとさせられる。これは男の美学が描かれたミステリ、と言ったらフィリップ・マーロウ、かっこよすぎるだろうか。

 オリジナルがリリースされたのが1940年ということだが、全然古さを感じさせない。2011年の今読んでも引き込まれる面白さはさすが!である。
さよなら、愛しい人 Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人より
4152090235
No.66
(5pt)

新訳は完訳!

村上新訳か、清水訳かについては、他のレヴュワーが詳しく書いているので、特には書かないが、完全訳を成し遂げた村上氏には賛辞を惜しみたくない。村上氏はこの良質なミステリの筋よりも、本人が書いているように、むしろチャンドラーの"tangible"な文体に惚れたのだ。

 「それが私という人間だ」の一行にゾクッとさせられる。これは男の美学が描かれたミステリ、と言ったらフィリップ・マーロウ、かっこよすぎるだろうか。

 オリジナルがリリースされたのが1940年ということだが、全然古さを感じさせない。2011年の今読んでも引き込まれる面白さはさすが!である。
さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704627
No.65
(5pt)

文体を意識すると至福の読書時間を過ごすことができます。

チャンドラーは比喩の使い方がとても上手く,本作においても比喩を多用することで
人物や風景の描写,匂いや音が生々しく感じることができます。
 今回は文体を,特に比喩の使い方を意識して再読し,気に入ったいくつかの比喩を上げてみたい
と思います。
 「自由の女神像を初めて見たヨーロッパからの移民みたいに」うっとりとした表情
 「エンジェルケーキに乗ったタランチュラみたいに人目をひく」服装
 「ベッドに行くのを拒否する強情な子どもたちのように,端っこにしがみついて咲いていた」野生の花
 「古い城にある,九百年くらい昔に掘られた井戸」のように深い瞳
 「サーカスの呼び込みのような愛らしい」声
 「ワルツを踊っている二匹のネズミみたい」にふらふらする身体
などなど,数え切れないほどの比喩の数(比喩が使われていないページの方が少ないくらい)で,それが実に生き生きとしています。
 清水版で物語りの面白さに酔った方も,本書を再読することで,絶妙な文体を味わうことができます。
さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2)) Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))より
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No.64
(5pt)

文体を意識すると至福の読書時間を過ごすことができます。

チャンドラーは比喩の使い方がとても上手く,本作においても比喩を多用することで
人物や風景の描写,匂いや音が生々しく感じることができます。
 今回は文体を,特に比喩の使い方を意識して再読し,気に入ったいくつかの比喩を上げてみたい
と思います。
 「自由の女神像を初めて見たヨーロッパからの移民みたいに」うっとりとした表情
 「エンジェルケーキに乗ったタランチュラみたいに人目をひく」服装
 「ベッドに行くのを拒否する強情な子どもたちのように,端っこにしがみついて咲いていた」野生の花
 「古い城にある,九百年くらい昔に掘られた井戸」のように深い瞳
 「サーカスの呼び込みのような愛らしい」声
 「ワルツを踊っている二匹のネズミみたい」にふらふらする身体
などなど,数え切れないほどの比喩の数(比喩が使われていないページの方が少ないくらい)で,それが実に生き生きとしています。
 清水版で物語りの面白さに酔った方も,本書を再読することで,絶妙な文体を味わうことができます。
さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704627
No.63
(5pt)

文体を意識すると至福の読書時間を過ごすことができます。

チャンドラーは比喩の使い方がとても上手く,本作においても比喩を多用することで
人物や風景の描写,匂いや音が生々しく感じることができます。
 今回は文体を,特に比喩の使い方を意識して再読し,気に入ったいくつかの比喩を上げてみたい
と思います。
 「自由の女神像を初めて見たヨーロッパからの移民みたいに」うっとりとした表情
 「エンジェルケーキに乗ったタランチュラみたいに人目をひく」服装
 「ベッドに行くのを拒否する強情な子どもたちのように,端っこにしがみついて咲いていた」野生の花
 「古い城にある,九百年くらい昔に掘られた井戸」のように深い瞳
 「サーカスの呼び込みのような愛らしい」声
 「ワルツを踊っている二匹のネズミみたい」にふらふらする身体
などなど,数え切れないほどの比喩の数(比喩が使われていないページの方が少ないくらい)で,それが実に生き生きとしています。
 清水版で物語りの面白さに酔った方も,本書を再読することで,絶妙な文体を味わうことができます。
さよなら、愛しい人 Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人より
4152090235
No.62
(5pt)

タイトルは実は正解かもしれない

プロットはすでに非常に有名なものですし、翻訳は、読みやすくスッキリしております。
 タイトルについて申し上げさせていただきますと、過去の清水氏の「さらば、愛しき人よ」は
一つの作品のタイトルとしてだけとらえれば他に比肩するモノがないほど美しく、すばらしいものです。
 誰もが忘れられないタイトルで、私が頭に描いているハードボイルドのイメージそのものです。
 しかし、「Farewell、Mylovely」と語るのが誰なのかを考えると、村上氏の訳の方が、俗な響きと甘さが同居しており、内容に沿っているのではないかとも思っています。
 確かに、細かくみていくと、疑問を感じる部分もありますが、もはや社会的に定番となっているタイトルについて、このように考え直す機会ができたこと、書店に古典ハードボイルドが平積みされる機会を与えてくれたことを評価して星5つで行きたいと思います。

さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2)) Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))より
415070452X
No.61
(5pt)

タイトルは実は正解かもしれない

プロットはすでに非常に有名なものですし、翻訳は、読みやすくスッキリしております。
 タイトルについて申し上げさせていただきますと、過去の清水氏の「さらば、愛しき人よ」は
一つの作品のタイトルとしてだけとらえれば他に比肩するモノがないほど美しく、すばらしいものです。
 誰もが忘れられないタイトルで、私が頭に描いているハードボイルドのイメージそのものです。
 しかし、「Farewell、Mylovely」と語るのが誰なのかを考えると、村上氏の訳の方が、俗な響きと甘さが同居しており、内容に沿っているのではないかとも思っています。
 確かに、細かくみていくと、疑問を感じる部分もありますが、もはや社会的に定番となっているタイトルについて、このように考え直す機会ができたこと、書店に古典ハードボイルドが平積みされる機会を与えてくれたことを評価して星5つで行きたいと思います。
 

さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704627
No.60
(5pt)

タイトルは実は正解かもしれない

プロットはすでに非常に有名なものですし、翻訳は、読みやすくスッキリしております。
 タイトルについて申し上げさせていただきますと、過去の清水氏の「さらば、愛しき人よ」は
一つの作品のタイトルとしてだけとらえれば他に比肩するモノがないほど美しく、すばらしいものです。
 誰もが忘れられないタイトルで、私が頭に描いているハードボイルドのイメージそのものです。
 しかし、「Farewell、Mylovely」と語るのが誰なのかを考えると、村上氏の訳の方が、俗な響きと甘さが同居しており、内容に沿っているのではないかとも思っています。
 確かに、細かくみていくと、疑問を感じる部分もありますが、もはや社会的に定番となっているタイトルについて、このように考え直す機会ができたこと、書店に古典ハードボイルドが平積みされる機会を与えてくれたことを評価して星5つで行きたいと思います。
 

さよなら、愛しい人 Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人より
4152090235
No.59
(4pt)

男らしさという病

昔読んだけど、内容は全く覚えておらず。村上春樹新訳ということで、読み直した。男はあらゆる意味において強くなければならないという信念を持って、若い時は僕も生きていた。線の細い気の小さな優等生が、酒を飲みタフガイを演じて、前歯をへし折られたりもした。男らしさの病を手放し、ありのままの弱い自分を受け入れてノロノロ生き方を変えた今でも、フィリップ・マーロウのような男の魅力は僕を引きつける。「正直に生きたくても、正直に生きられない時代」。本の中のそんな台詞が印象に残った。狂おしく女を愛してしまった男の切なさと哀しさ。でも、マロイが不幸だったとは思いたくない。
さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2)) Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))より
415070452X
No.58
(4pt)

男らしさという病

昔読んだけど、内容は全く覚えておらず。村上春樹新訳ということで、読み直した。男はあらゆる意味において強くなければならないという信念を持って、若い時は僕も生きていた。線の細い気の小さな優等生が、酒を飲みタフガイを演じて、前歯をへし折られたりもした。男らしさの病を手放し、ありのままの弱い自分を受け入れてノロノロ生き方を変えた今でも、フィリップ・マーロウのような男の魅力は僕を引きつける。「正直に生きたくても、正直に生きられない時代」。本の中のそんな台詞が印象に残った。狂おしく女を愛してしまった男の切なさと哀しさ。でも、マロイが不幸だったとは思いたくない。
さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704627
No.57
(4pt)

男らしさという病

昔読んだけど、内容は全く覚えておらず。村上春樹新訳ということで、読み直した。男はあらゆる意味において強くなければならないという信念を持って、若い時は僕も生きていた。線の細い気の小さな優等生が、酒を飲みタフガイを演じて、前歯をへし折られたりもした。男らしさの病を手放し、ありのままの弱い自分を受け入れてノロノロ生き方を変えた今でも、フィリップ・マーロウのような男の魅力は僕を引きつける。「正直に生きたくても、正直に生きられない時代」。本の中のそんな台詞が印象に残った。狂おしく女を愛してしまった男の切なさと哀しさ。でも、マロイが不幸だったとは思いたくない。
さよなら、愛しい人 Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人より
4152090235
No.56
(4pt)

「さよなら、愛しい人」新しい邦題にはズッコケてしまう

味気ないのにも程があります
「さらば愛しき女よ」では何故いけないんですかね?
さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2)) Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))より
415070452X
No.55
(4pt)

「さよなら、愛しい人」新しい邦題にはズッコケてしまう

味気ないのにも程があります
「さらば愛しき女よ」では何故いけないんですかね?

さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704627
No.54
(4pt)

「さよなら、愛しい人」新しい邦題にはズッコケてしまう

味気ないのにも程があります
「さらば愛しき女よ」では何故いけないんですかね?

さよなら、愛しい人 Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人より
4152090235
No.53
(5pt)

赤毛 VS 金髪

赤毛的な古き良き世界と、染められた金髪の世界との葛藤の物語。
 アメリカ男性の理想の女性像は昔、赤毛だったそうだ。それが金髪にとって代わられた。ハメットの書く悪女は赤毛。大衆ハードボイルドのスピレインは金髪。この本が書かれたのは、世代交代の時期だったのかも。
 あるいは偽金髪だって、赤毛の田舎者であり続けたかったろう。でも都会で生きるには自分を偽らねばならなかった。彼女の歌う感傷的な失恋の唄は、赤毛的な世界に向けられてたのかもしれない。巨漢の元夫、父親代わりの現在の夫、そして本来の自分の属する世界に。
 清水訳で読んだときは、DVを感傷で正当化する話としか思えなかった。俺もそれなりに歳くったのかな。
さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2)) Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))より
415070452X
No.52
(5pt)

赤毛 VS 金髪

赤毛的な古き良き世界と、染められた金髪の世界との葛藤の物語。
 アメリカ男性の理想の女性像は昔、赤毛だったそうだ。それが金髪にとって代わられた。ハメットの書く悪女は赤毛。大衆ハードボイルドのスピレインは金髪。この本が書かれたのは、世代交代の時期だったのかも。
 あるいは偽金髪だって、赤毛の田舎者であり続けたかったろう。でも都会で生きるには自分を偽らねばならなかった。彼女の歌う感傷的な失恋の唄は、赤毛的な世界に向けられてたのかもしれない。巨漢の元夫、父親代わりの現在の夫、そして本来の自分の属する世界に。
 清水訳で読んだときは、DVを感傷で正当化する話としか思えなかった。俺もそれなりに歳くったのかな。
さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704627
No.51
(5pt)

赤毛 VS 金髪

赤毛的な古き良き世界と、染められた金髪の世界との葛藤の物語。
 アメリカ男性の理想の女性像は昔、赤毛だったそうだ。それが金髪にとって代わられた。ハメットの書く悪女は赤毛。大衆ハードボイルドのスピレインは金髪。この本が書かれたのは、世代交代の時期だったのかも。
 あるいは偽金髪だって、赤毛の田舎者であり続けたかったろう。でも都会で生きるには自分を偽らねばならなかった。彼女の歌う感傷的な失恋の唄は、赤毛的な世界に向けられてたのかもしれない。巨漢の元夫、父親代わりの現在の夫、そして本来の自分の属する世界に。
 清水訳で読んだときは、DVを感傷で正当化する話としか思えなかった。俺もそれなりに歳くったのかな。
さよなら、愛しい人 Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人より
4152090235
No.50
(4pt)

意表をつく真相・男女の哀切な愛情が胸に響くハードボイルドの古典的名作

村上春樹が『ロング・グッドバイ』に続いて新訳に挑戦した、レイモンド・チャンドラーによる1940年発表の、私立探偵フィリップ・マーロウの物語。これも私は初読なので、清水俊二の翻訳による『さらば愛しき女よ』との比較ではなく、作品自体の感想になる。

8年間の服役を終え、消えた恋人を捜してLAの街をさまよう前科者ムース・マロイ。彼と出会ったことでマーロウは奇妙な事件の渦中に巻き込まれる。
『ロング・グッドバイ』の時もそうであったが、次に舞い込む依頼や出会う人々、遭遇する殺人事件、またマーロウが痛めつけられるわけは、一見本筋とは無関係に思われるのだが、読み進んでいくうちにそれぞれにつながりがあることが分かる。

本書では肝心のマロイが表に登場するのは巻頭と巻末だけにすぎないが、彼の存在感と、捜し求める恋人ヴェルマが、物語の最後まで影のようにつきまとうのだ。そして意表をつく真相。読者は一体いつの間にマーロウはそこに辿りついたのか煙に巻かれるようだ。物語の終末で、アン・リオーダンがマーロウに言う言葉はまさに的を射ている。

「どこまでも勇敢で、強情で、ほんの僅かな報酬のために身を粉にして働く。みんながよってたかってあなたの頭をぶちのめし、首を絞め、顎に一発食らわせ、身体を麻薬漬けにする。それでもあなたはボールを離すことなく前に前にと敵陣を攻め立て、最後には相手が根負けしてしまう」

ともすれば本書は、村上春樹が訳したということがクローズアップされがちだが、上述のマーロウの姿や意外な真相・男女の哀切な愛情に心を揺さぶられる、<チャンドラー・ハードボイルド>の古典的名作である。
さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2)) Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))より
415070452X
No.49
(4pt)

意表をつく真相・男女の哀切な愛情が胸に響くハードボイルドの古典的名作

村上春樹が『ロング・グッドバイ』に続いて新訳に挑戦した、レイモンド・チャンドラーによる1940年発表の、私立探偵フィリップ・マーロウの物語。これも私は初読なので、清水俊二の翻訳による『さらば愛しき女よ』との比較ではなく、作品自体の感想になる。

8年間の服役を終え、消えた恋人を捜してLAの街をさまよう前科者ムース・マロイ。彼と出会ったことでマーロウは奇妙な事件の渦中に巻き込まれる。
『ロング・グッドバイ』の時もそうであったが、次に舞い込む依頼や出会う人々、遭遇する殺人事件、またマーロウが痛めつけられるわけは、一見本筋とは無関係に思われるのだが、読み進んでいくうちにそれぞれにつながりがあることが分かる。

本書では肝心のマロイが表に登場するのは巻頭と巻末だけにすぎないが、彼の存在感と、捜し求める恋人ヴェルマが、物語の最後まで影のようにつきまとうのだ。そして意表をつく真相。読者は一体いつの間にマーロウはそこに辿りついたのか煙に巻かれるようだ。物語の終末で、アン・リオーダンがマーロウに言う言葉はまさに的を射ている。

「どこまでも勇敢で、強情で、ほんの僅かな報酬のために身を粉にして働く。みんながよってたかってあなたの頭をぶちのめし、首を絞め、顎に一発食らわせ、身体を麻薬漬けにする。それでもあなたはボールを離すことなく前に前にと敵陣を攻め立て、最後には相手が根負けしてしまう」

ともすれば本書は、村上春樹が訳したということがクローズアップされがちだが、上述のマーロウの姿や意外な真相・男女の哀切な愛情に心を揺さぶられる、<チャンドラー・ハードボイルド>の古典的名作である。


さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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