さらば愛しき女よ

【この小説が収録されている参考書籍】

評判

さらば愛しき女よの評価:

4.18/5点 レビュー 87件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.18pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全168件 61〜80 4/9ページ
No.108
(4pt)

村上春樹翻訳本など読む必要などないのでは・・・。

レイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』を、過日何十年ぶりに再読し、『さらば愛しき女よ』を再読してみたくなり家中探したが見つからずアマゾンで古本を購入してしまった。
 『長いお別れ』は、1953年(昭和28年)探偵フィリップ・マロウものの第6作である。
 本書『さらば愛しき女よ』は、このシリーズ第2作目で1940年(昭和15年)の作品である。
 やはり13年の時の流れは随所に読みとることができてなかなか面白い。
 この『さらば愛しき女よ』では、マーロウが若くて女性にモテモテなのが『長いお別れ』では、中年になったマーロウをうまく描写しているから13年という時の流れを読者に与えてくれる。(評者は、読む順序を間違えたようである)
 この『さらば愛しき女よ』が、チャンドラーが私立探偵マーロウのを書いた2作目だからか、『長いお別れ』と比べると勢いはあるが、少し荒削りで繊細さに欠けるように思えた。
 ロバート・ミッチャムがマーロウ役で映画化されたのが1975年であるが、本書に登場するマーロウが若いだけになんだかピンとこない映画だった記憶がある。
 やはりチャンドラーのマーロウものでは、『長いお別れ』がベストではないかと思いながら本書を何十年ぶり再読したのだが、ベストではないかもしれないが楽しみながら読み終えることができた。
さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2)) Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))より
415070452X
No.107
(4pt)

村上春樹翻訳本など読む必要などないのでは・・・。

レイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』を、過日何十年ぶりに再読し、『さらば愛しき女よ』を再読してみたくなり家中探したが見つからずアマゾンで古本を購入してしまった。
 『長いお別れ』は、1953年(昭和28年)探偵フィリップ・マロウものの第6作である。
 本書『さらば愛しき女よ』は、このシリーズ第2作目で1940年(昭和15年)の作品である。
 やはり13年の時の流れは随所に読みとることができてなかなか面白い。
 この『さらば愛しき女よ』では、マーロウが若くて女性にモテモテなのが『長いお別れ』では、中年になったマーロウをうまく描写しているから13年という時の流れを読者に与えてくれる。(評者は、読む順序を間違えたようである)
 この『さらば愛しき女よ』が、チャンドラーが私立探偵マーロウのを書いた2作目だからか、『長いお別れ』と比べると勢いはあるが、少し荒削りで繊細さに欠けるように思えた。
 ロバート・ミッチャムがマーロウ役で映画化されたのが1975年であるが、本書に登場するマーロウが若いだけになんだかピンとこない映画だった記憶がある。
 やはりチャンドラーのマーロウものでは、『長いお別れ』がベストではないかと思いながら本書を何十年ぶり再読したのだが、ベストではないかもしれないが楽しみながら読み終えることができた。
さらば愛しき女よ (1956年) Hayakawa Pocket Mystery 247 Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (1956年) Hayakawa Pocket Mystery 247より
B000JB1IF6
No.106
(4pt)

マーロウの語り、タフガイ振りに魅せられる

レイモンド・チャンドラーが1940年に発表した第2作目の長編。
原作は、長く清水俊二訳の『さらば愛しき女よ』(1956年刊行)で親しまれてきたが、本作品は2009年に村上春樹が新訳で発表(単行本。2011年に文庫化)したものである。(邦題は清水訳が優れていると思うが)
本作品の魅力は、やはりフィリップ・マーロウのかっこよさであろう。月並みな表現ながら、これが一番ピッタリくるように思われる。
推理小説としては、巧妙なトリックに優れたアガサ・クリスティーやエラリー・クイーンの作品(刑事コロンボ物が典型か?)に譲るのかも知れないが、発表後70年を経ても新たな支持を失わないのは、マーロウのクールで、ウィットに富んでいて、少しシニカルな語りと、見かけによらないタフガイ振りに、魅せられる読者が多いからであろう。
あるホテルに聞き込みに行ったマーロウが、情報を得るために切り出す場面〜「好きな方を選んでくれ・・・聖書を一章読んであげてもいいし、酒をいっぱいおごってもいい。どっちがいいね?」
事件を解決した後、アン・リオーダン嬢がマーロウに語る場面〜「あなたって大したものよね・・・どこまでも勇敢で、強情で、ほんの僅かな報酬のために身を粉にして働く。みんながよってたかってあなたの頭をぶちのめし、首を絞め、顎に一発食らわせ、身体を麻薬漬けにする。それでもあなたはボールを離すことなく前に前にと敵陣を攻め立て、最後には相手が根負けしてしまう。どうしてそんなことができるのかしら」
なんというかっこよさ。。。
村上春樹は「あとがき」で、「チャンドラーの小説のある人生と、チャンドラーの小説のない人生とでは、確実にいろんなものごとが変わってくるはずだ。そう思いませんか?」と書いているが、言わずもがなであろう。
(2013年5月了)
さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704627
No.105
(4pt)

マーロウの語り、タフガイ振りに魅せられる

レイモンド・チャンドラーが1940年に発表した第2作目の長編。
原作は、長く清水俊二訳の『さらば愛しき女よ』(1956年刊行)で親しまれてきたが、本作品は2009年に村上春樹が新訳で発表(単行本。2011年に文庫化)したものである。(邦題は清水訳が優れていると思うが)
本作品の魅力は、やはりフィリップ・マーロウのかっこよさであろう。月並みな表現ながら、これが一番ピッタリくるように思われる。
推理小説としては、巧妙なトリックに優れたアガサ・クリスティーやエラリー・クイーンの作品(刑事コロンボ物が典型か?)に譲るのかも知れないが、発表後70年を経ても新たな支持を失わないのは、マーロウのクールで、ウィットに富んでいて、少しシニカルな語りと、見かけによらないタフガイ振りに、魅せられる読者が多いからであろう。
あるホテルに聞き込みに行ったマーロウが、情報を得るために切り出す場面〜「好きな方を選んでくれ・・・聖書を一章読んであげてもいいし、酒をいっぱいおごってもいい。どっちがいいね?」
事件を解決した後、アン・リオーダン嬢がマーロウに語る場面〜「あなたって大したものよね・・・どこまでも勇敢で、強情で、ほんの僅かな報酬のために身を粉にして働く。みんながよってたかってあなたの頭をぶちのめし、首を絞め、顎に一発食らわせ、身体を麻薬漬けにする。それでもあなたはボールを離すことなく前に前にと敵陣を攻め立て、最後には相手が根負けしてしまう。どうしてそんなことができるのかしら」
なんというかっこよさ。。。
村上春樹は「あとがき」で、「チャンドラーの小説のある人生と、チャンドラーの小説のない人生とでは、確実にいろんなものごとが変わってくるはずだ。そう思いませんか?」と書いているが、言わずもがなであろう。
(2013年5月了)
さよなら、愛しい人 Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人より
4152090235
No.104
(3pt)

忠実ではない

ネタバレになるので内容は書きません。
ただ翻訳についての感想を書かせていただきます。
私は原文も読んでいますし、また清水訳も読んでいます。ただ大分前の話になるし、好きなチャンドラー作品ということもあり今回村上春樹訳ということで新しい小説を読む感じで幾分期待して購入しました。
読み始めて数ページ、なんか違和感を感じる。あれ?チャンドラー作品ってこんなに読みにくかったけ?変だな。すかさず清水訳を手にとり読み直してみた。その文章のスピーディーでリズミカルなこと。ウィスキーサワーをウィスキーと訳していたりしたのは残念ではあるがとにかく読みやすい。それから原文をみてみる。なんてことだ。村上春樹訳が読みにくい原因はなぜだかしらないが、ささいなところを省いてしまっているではないか、また選ぶ言葉が丁寧すぎる。清水訳では最初のシーンにきちんと原文にあるとおりマーロウと黒人バーテンダーは手を壁につかされるし、マーロウは黒人バーテンダーを突き飛ばす。jostledという言葉が原文で使われた言葉だ。村上訳にはマーロウは手をつかないし、バーテンダーを押し出してしまう。突き飛ばすと押し出すとは細かいようだが印象が大分変わってしまう。村上春樹訳にもいいところがもちろん沢山あるんだが、やはり原文とは性質が違っている。
そのことをわきまえ読んでいたほうがいい。他のレビューにあったように100%忠実とは私には思えなかった。
さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704627
No.103
(3pt)

忠実ではない

ネタバレになるので内容は書きません。
ただ翻訳についての感想を書かせていただきます。
私は原文も読んでいますし、また清水訳も読んでいます。ただ大分前の話になるし、好きなチャンドラー作品ということもあり今回村上春樹訳ということで新しい小説を読む感じで幾分期待して購入しました。
読み始めて数ページ、なんか違和感を感じる。あれ?チャンドラー作品ってこんなに読みにくかったけ?変だな。すかさず清水訳を手にとり読み直してみた。その文章のスピーディーでリズミカルなこと。ウィスキーサワーをウィスキーと訳していたりしたのは残念ではあるがとにかく読みやすい。それから原文をみてみる。なんてことだ。村上春樹訳が読みにくい原因はなぜだかしらないが、ささいなところを省いてしまっているではないか、また選ぶ言葉が丁寧すぎる。清水訳では最初のシーンにきちんと原文にあるとおりマーロウと黒人バーテンダーは手を壁につかされるし、マーロウは黒人バーテンダーを突き飛ばす。jostledという言葉が原文で使われた言葉だ。村上訳にはマーロウは手をつかないし、バーテンダーを押し出してしまう。突き飛ばすと押し出すとは細かいようだが印象が大分変わってしまう。村上春樹訳にもいいところがもちろん沢山あるんだが、やはり原文とは性質が違っている。
そのことをわきまえ読んでいたほうがいい。他のレビューにあったように100%忠実とは私には思えなかった。
さよなら、愛しい人 Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人より
4152090235
No.102
(5pt)

文句なく読む価値がある

気にいったのは、
或る作家が、”チャンドラー小説を読んでいる人と、読んでいない人生では、いろんな事が変わってくるはず.”と言っているが、正にその通り。
探偵小説が好きで、色々な作家の作品を読んできたが、チャンドラーの小説は面白い!!
特にその文章表現は他者とは違う、そういう箇所に出会うとウワ~とタダタダ感心。
読む価値大いにありますよ。
大西塊山
さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2)) Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))より
415070452X
No.101
(5pt)

文句なく読む価値がある

気にいったのは、
或る作家が、”チャンドラー小説を読んでいる人と、読んでいない人生では、いろんな事が変わってくるはず.”と言っているが、正にその通り。
探偵小説が好きで、色々な作家の作品を読んできたが、チャンドラーの小説は面白い!!
特にその文章表現は他者とは違う、そういう箇所に出会うとウワ~とタダタダ感心。
読む価値大いにありますよ。
大西塊山
さらば愛しき女よ (1956年) Hayakawa Pocket Mystery 247 Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (1956年) Hayakawa Pocket Mystery 247より
B000JB1IF6
No.100
(1pt)

ひどい・・・

状態が「良い」ということで購入しましたが実際は外見もボロボロ、中身もシミだらけ・・・
一瞬で読む気が失せました。もう二度とこの作品には触れないでしょう。
駿河屋絶対に許さん。
さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2)) Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))より
415070452X
No.99
(1pt)

ひどい・・・

状態が「良い」ということで購入しましたが実際は外見もボロボロ、中身もシミだらけ・・・
一瞬で読む気が失せました。もう二度とこの作品には触れないでしょう。
駿河屋絶対に許さん。
さらば愛しき女よ (1956年) Hayakawa Pocket Mystery 247 Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (1956年) Hayakawa Pocket Mystery 247より
B000JB1IF6
No.98
(5pt)

挑戦

チャンドラーにハズレなし読み尽しに挑戦
これも一気に読んで後味迄たのしんだ。
さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2)) Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))より
415070452X
No.97
(5pt)

挑戦

チャンドラーにハズレなし読み尽しに挑戦
これも一気に読んで後味迄たのしんだ。
さらば愛しき女よ (1956年) Hayakawa Pocket Mystery 247 Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (1956年) Hayakawa Pocket Mystery 247より
B000JB1IF6
No.96
(5pt)

気に入った。又機会があれば発注したい。

新刊本同等の綺麗さであった。
知らせ通りの日に到着した。
梱包も問題ない。
しばしば行われている、古本表示の裏表紙への直接貼付がなく良かった。
さよなら、愛しい人 Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人より
4152090235
No.95
(5pt)

気に入った。又機会があれば発注したい。

新刊本同等の綺麗さであった。
知らせ通りの日に到着した。
梱包も問題ない。
しばしば行われている、古本表示の裏表紙への直接貼付がなく良かった。
さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704627
No.94
(3pt)

おもしろい

ところどころジョークがわかりにくいところがあります。英語で読んでも、同じかもしれません。わからないかも。訳は簡潔でこちらのほうが読みやすいとの評を見てこちらにしました。本は黄色くなって臭いがするのではじめは気になりましたが、読んでいるうちに大丈夫でした。
さらば愛しき女よ (1956年) Hayakawa Pocket Mystery 247 Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (1956年) Hayakawa Pocket Mystery 247より
B000JB1IF6
No.93
(3pt)

おもしろい

ところどころジョークがわかりにくいところがあります。英語で読んでも、同じかもしれません。わからないかも。訳は簡潔でこちらのほうが読みやすいとの評を見てこちらにしました。本は黄色くなって臭いがするのではじめは気になりましたが、読んでいるうちに大丈夫でした。
さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2)) Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))より
415070452X
No.92
(5pt)

これは文学だけではなく、例えば業務上の報告書でも同様だ

読んでいて大変勉強になった。読後感は二点である。

 一点目。村上春樹は気のきいた喩えやセリフで有名であるが、その先生はチャンドラーであることが
今回良く分かった。実際に本書を読んでいると、チャンドラーのセンスの冴えにはいささか驚かされた。

 村上はチャンドラーを「文章で戦える人」だとどこかで評していた記憶があるが、その意味が今回良く
分かった。かつ文章やセリフのセンスという点では、チャンドラーは村上を凌駕していることも強く
感じた。先生である以上、生徒には負けられないとでも言うべきか。

 二点目。チャンドラーに欠けているものも本書から見えてくる思いがした。

 本書には鮮やかな脇役が出てくる点は村上も指摘している。但しきらりと光る登場人物が有っても
背景が書きこまれない重要人物も多い。特にムースマロイに関しては、彼の「哀しみ」にもう少し彫の
深さが有ったら本書はがらりと変わったはずだ。Farewell,My Lovelyと言っているのはマロイだと理解
した僕としては、そのFarewellという言葉の重さをもう少し感じたいと思った次第である。

 「一流の文学」という言い方は好きではない。しかし敢えて使うとしたら、チャンドラーは「一流の
文学」という範疇には入らないかもしれない。但し、村上が何故チャンドラーを今再発見させているのか
を想像することは楽しい。勿論、村上がチャンドラーを偏愛しているからであろうが、では何故村上
がチャンドラーを偏愛しているのかである。僕としては、それは上記の通り「文章で戦う」という
点で村上はチャンドラーに強く共感したからだと思う。

 実際、優れた文章とは、含まれているコンテンツだけではなく、表現形態としての「文章」に因る
部分は非常に大きい。これは文学だけではなく、例えば業務上の報告書でも同様だ。僕自身、例えば
出張報告といった無味乾燥な文章にも妙にこだわりがある。それは非常に稚拙なレベルとはいえ、村上
の「共感」に共感しているからかもしれない。


さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2)) Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))より
415070452X
No.91
(5pt)

これは文学だけではなく、例えば業務上の報告書でも同様だ

読んでいて大変勉強になった。読後感は二点である。

 一点目。村上春樹は気のきいた喩えやセリフで有名であるが、その先生はチャンドラーであることが
今回良く分かった。実際に本書を読んでいると、チャンドラーのセンスの冴えにはいささか驚かされた。

 村上はチャンドラーを「文章で戦える人」だとどこかで評していた記憶があるが、その意味が今回良く
分かった。かつ文章やセリフのセンスという点では、チャンドラーは村上を凌駕していることも強く
感じた。先生である以上、生徒には負けられないとでも言うべきか。

 二点目。チャンドラーに欠けているものも本書から見えてくる思いがした。

 本書には鮮やかな脇役が出てくる点は村上も指摘している。但しきらりと光る登場人物が有っても
背景が書きこまれない重要人物も多い。特にムースマロイに関しては、彼の「哀しみ」にもう少し彫の
深さが有ったら本書はがらりと変わったはずだ。Farewell,My Lovelyと言っているのはマロイだと理解
した僕としては、そのFarewellという言葉の重さをもう少し感じたいと思った次第である。

 「一流の文学」という言い方は好きではない。しかし敢えて使うとしたら、チャンドラーは「一流の
文学」という範疇には入らないかもしれない。但し、村上が何故チャンドラーを今再発見させているのか
を想像することは楽しい。勿論、村上がチャンドラーを偏愛しているからであろうが、では何故村上
がチャンドラーを偏愛しているのかである。僕としては、それは上記の通り「文章で戦う」という
点で村上はチャンドラーに強く共感したからだと思う。

 実際、優れた文章とは、含まれているコンテンツだけではなく、表現形態としての「文章」に因る
部分は非常に大きい。これは文学だけではなく、例えば業務上の報告書でも同様だ。僕自身、例えば
出張報告といった無味乾燥な文章にも妙にこだわりがある。それは非常に稚拙なレベルとはいえ、村上
の「共感」に共感しているからかもしれない。


さよなら、愛しい人 Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人より
4152090235
No.90
(5pt)

これは文学だけではなく、例えば業務上の報告書でも同様だ

読んでいて大変勉強になった。読後感は二点である。

 一点目。村上春樹は気のきいた喩えやセリフで有名であるが、その先生はチャンドラーであることが
今回良く分かった。実際に本書を読んでいると、チャンドラーのセンスの冴えにはいささか驚かされた。

 村上はチャンドラーを「文章で戦える人」だとどこかで評していた記憶があるが、その意味が今回良く
分かった。かつ文章やセリフのセンスという点では、チャンドラーは村上を凌駕していることも強く
感じた。先生である以上、生徒には負けられないとでも言うべきか。

 二点目。チャンドラーに欠けているものも本書から見えてくる思いがした。

 本書には鮮やかな脇役が出てくる点は村上も指摘している。但しきらりと光る登場人物が有っても
背景が書きこまれない重要人物も多い。特にムースマロイに関しては、彼の「哀しみ」にもう少し彫の
深さが有ったら本書はがらりと変わったはずだ。Farewell,My Lovelyと言っているのはマロイだと理解
した僕としては、そのFarewellという言葉の重さをもう少し感じたいと思った次第である。

 「一流の文学」という言い方は好きではない。しかし敢えて使うとしたら、チャンドラーは「一流の
文学」という範疇には入らないかもしれない。但し、村上が何故チャンドラーを今再発見させているのか
を想像することは楽しい。勿論、村上がチャンドラーを偏愛しているからであろうが、では何故村上
がチャンドラーを偏愛しているのかである。僕としては、それは上記の通り「文章で戦う」という
点で村上はチャンドラーに強く共感したからだと思う。

 実際、優れた文章とは、含まれているコンテンツだけではなく、表現形態としての「文章」に因る
部分は非常に大きい。これは文学だけではなく、例えば業務上の報告書でも同様だ。僕自身、例えば
出張報告といった無味乾燥な文章にも妙にこだわりがある。それは非常に稚拙なレベルとはいえ、村上
の「共感」に共感しているからかもしれない。


さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704627
No.89
(5pt)

村上春樹訳による決定版、文庫化。チャンドラーを今一度堪能しよう

■ハードボイルド小説の大家、レイモンド・チャンドラー(1888‐1959)。彼は生前7つの長編を書いた。全作に探偵フィリップ・マーロウが登場した。『プレイバック』におけるマーロウの台詞「タフでなければ生きてゆけない。やさしくなければその資格もない」はあまりにも有名だ。
■村上春樹は、チャンドラーをこよなく愛しており、文体にはその影響も見られる。確かに、ある種硬質で、乾いたユーモアの漂う文体は両者に共通して流れている。
■本書はチャンドラーの長編第2作で原題は「フェアウェル、マイ・ラヴリィ」。これまで清水俊二訳の『さらば愛しき女よ』があり、ロングセラーを続けてきたが、2009年、チャンドラー没後50年の節目の年に村上春樹が新訳の単行本を発表、邦題も『さよなら、愛しい人』として決定版とした。その文庫化が本書だ。
■私立探偵マーロウは、しがない人探しの仕事をしている最中、殺人事件に遭遇する。刑務所帰りの派手な服を着た大男、ムース(へら鹿)・マロイが、熱を上げていた踊り子のヴェルマを探しに来ていて、かつての店が黒人の店に様変わりして相手にされなかったことに逆上、オーナーの首をへし折って店を去る。マーロウは、ナルティー警部からヴェルマ探索を持ちかけられる。
■かくして探偵はロスの街を彷徨するのだ。渋い顔つきで、ほろ苦い余韻漂うラストに向かって―。イヤー、泣けます。
さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2)) Amazon書評・レビュー: さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))より
415070452X