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(短編集)

常設展示室: Permanent Collection



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【この小説が収録されている参考書籍】
常設展示室: Permanent Collection

常設展示室: Permanent Collectionの評価: 4.08/5点 レビュー 38件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.08pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全38件 21~38 2/2ページ
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No.18:
(3pt)

群青というタイトルに疑問

ツッコミどころはいっぱいあるものの、ドラマチックな感動が好きな人には楽しめる本だと思います。
介護関係は他の方のコメントでは残念なところがあるようです。私はそのあたりはよくわかりませんが。

問題なのは1つ目の作品の「群青」というタイトルです。

ピカソが青の時代に使った色は、プルシアンブルー、和名は紺青です。群青ではありません。
群青は別の顔料で、ピカソの青の時代を表すには不適切な色名です。群青は一般には合成ウルトラマリン、つまりラピスラズリを合成的に作った顔料ですが、ピカソが青の時代に使った紺青は全くの合成顔料でフェロシアン化鉄です。

この全く別物の色名(顔料名)を、絵画の専門家であった原田マハ氏がタイトルとしていることには疑問を感じざるを得ません。そうしたことを知らない読者は、ピカソの青は群青だと思うでしょう。絵画に詳しくない作家ならともかく、原田マハ氏ならばそのような誤解を招くタイトルをつけるべきではなかったと思います。
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No.17:
(1pt)

医療職として悔しいと思った

作品の中に、認知症の父親が病院で抑制され、抑制に同意した弟を責めるような内容があります。自分は仕事が忙しいと弟に父親の世話を任せきりなのにです。抑制が悪いような表現で、医療職の私も責められている気分になりました。私たちも出来れば抑制などしたくはありません。しかし、抑制をしなけれぼ、転倒・転落し、骨折や頭部打撲などの大怪我をします。また、ケアの時に叩かれる、蹴られる、噛みつかれる事もあります。点滴やチューブ類を抜いてしまい危険もあります。けれど、医療の現場は一人で、何人もの患者さんを受け持ちます。24時間、1人の患者さんに付き添って、転倒しないように見守る事は不可能です。ドラマの中のようにはいきません。
医療職者は、抑制しては責められ、転倒しては責められる。だから、辞めていく人が後を断ちません。私達は、そんな中でも、必要な時のみ抑制をし、出来る限り外せる時間を考えています。
抑制は、決して悪いだけではなく、命を守る物でもあります。抑制があたかも悪いものであるかのような表現で、医療職として頑張っている者にとって、この作品はとても悔しいものでした。
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No.16:
(5pt)

アートは誰に対しても平等である。

一流のアート作品はどれも驚くほど高額だ。フィンセント・ファン・ゴッホやパブロ・ピカソなどの作品は、普通の人々には手が出ない値段を付けられる。当然、アート市場で活躍するのは、高額所得者やギャラリー関係者、そして、有名美術館のキュレーターたちだ。
 が、しかし、それらのアート作品が美術館に収蔵されているものならば、我々庶民でも実物を見ることができる。しかも、公立の美術館で常設展示されているのであれば、様々な割引を利用して何度でも見学できる。そのいい例が第六の短編「道 La Strada」であろう。
 路上で自作のポストカードを1枚200円で売っている鈴木青年は、客としてやってきた若くて裕福な女性に国立近代美術館の入場券を渡される。金曜の夜に一緒に見に行こうと誘われたのだ。戸惑いながらも、約束通り美術館で待ち合わせ、常設展示を見て回る。そして、東山魁夷の絵に引きつけられる。ファンならば「ああ、あの絵ね。」とわかる作品だ。貧しい青年であっても、裕福な留学生であっても、優れたアート作品はその人の心に大きな足跡を残す。もしかすると、その後のその人の人生を左右してしまうかもしれないほど大きなインパクトを与える。
 おそらく、美術館の地元の人間にとっては、常設展示作品はなじみがありすぎて、あまり印象に残らないのかもしれない。それがわかるのが、二つ目の短編「デルフトの眺望 A View of Delft」だろう。オランダ・マウリッツハイス美術館所蔵のこの名画は、ヨハネス・ファン・フェルメールの傑作といって良いだろう。光を自由に操る、フェルメールの魔法の一端がこの絵には見て取れる。(残念ながら本物は見たことがないが)入館者(観光客が多い)は同じ部屋の『青いターバンの少女(真珠の耳飾りの少女)』に群がる。確かに「フェルメール・ブルー」と呼ばれる、ラピスラズリをふんだんに使ったこの絵も名画でありフェルメールの代表作でもある。でも、「デルフトの眺望」の前が閑散としているとは!常設展示を軽く見ていないだろうか。
 と、いうことで、私も地元の美術館の常設展示をもう一度よく見てくることにしよう。たしか、藤田嗣治や岸田劉生なんかもあったはずだ。そういえば見学者は少なかったように思う。もったいない。
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No.15:
(4pt)

親の命には限りがあり大切にしたくなる

テレビで「泣ける」と紹介された本で、原田マハなら外れはないと思い購入。親が老いることをしみじみ感じさせられる作品。
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No.14:
(2pt)

感じかたは人それぞれなので。

原田マハさんも好きで絵も好きなで
前情報が感動するということで期待して
読みましたが、私には、うーん、いまいちな内容でした。現実離れした内容が多く引っ掛かる部分が多く感じました。軽い内容なので
一気に読めます。
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No.13:
(4pt)

カイユボットの偉業

仲間たち印象派の絵を買い集めた功績は大きい。
自身の絵も僕は好きです。絵画を楽しむ入門書としても良い本だと思います。
美術教師はこんなこと教えてくれませんからね。
公務員は楽やと思います。努力なくお金もらえてええ仕事ですわ。
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No.12:
(4pt)

6人の女性の人生の1シーン

本書は、190ページに6つの短編が収められています。なので、1話はそれぞれごく短いもの。
 登場する6人それぞれの人生の1シーンを鮮やかに切り取ったような話で、そこに1作品ずつ絵画作品が関係したストーリーです。

 私は、本書を読んで、「常設展示室」というタイトルのとおり、まるで美術館の常設展示室で色合いの異なる6作品を一つずつ鑑賞して、そしてそれらが響きあって静かな興奮と感慨が盛り上がってくる、というような本と思いました。全体としては、静謐な穏やかなタッチのストーリーですが、読み終えてみると、作品が発酵して、静かに心ゆさぶられる話という印象です。
 じんわりと心にしみる話が多いので、誰が読んでも高評価されるのかどうか心もとないですが、お薦めしたい良い本と思います。

 なお、6つの作品は、いずれも小説新潮が初出ですが、(どの作品かはあえて書きませんが)4作品と2作品の発表時期には相当の年月の開きがあります。それを踏まえて読後に振り返ると、両者の間には微妙なタッチの差があるように思えてきます。読後にそんな楽しみもある、興味深い本です。
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No.11:
(5pt)

6作の短編集 1作目と6作目が素晴らしい。

学芸員として、ニューヨーク近代美術館で働いていた原田マハさんの体験を生かした第1作「群青 The Color of Life」は、難しいテーマを描きながら、しっかりと心に残る作品となりました。
メトロポリタン美術館所収のパブロ・ピカソ「盲人の食事」を取り上げながら、ややもすれば小説のテーマにし難い「盲人」と絵画との関わりを見事に心の交流に昇華させた力量は計り知れません。長編も良いですが、短編も優れた書き手としての証明を示しています。
毎回、直木賞候補になりますが、これだけの作品を書けるわけですから、十分受賞に値します。いつの日か受賞されることでしょう。

2作目の「デルフトの眺望 A View of Delft」は、当方がデルフトを訪れた時の思い出とリンクして、別の感慨に浸った作品です。介護をテーマにしながら、フェルメール作品をからめているわけで、美術好きにはたまらない展開です。これぞ原田マハでしょう。

3作目の「マドンナ Madonna」は、フィレンツェのパラティーナ美術館にあるラファエロ「大公の聖母」を上手く作品に取り入れていました。当方も、パラティーナ美術館を訪れ、「大公の聖母」の前でしばし佇んでいた幸せな気持ちを反芻しています。ラファエロ作品の持つ包み込むような温かさが、小説の中に通奏低音のように流れており、絵画のイメージと作品とが見事に絡んでいました。

4作目の「薔薇色の人生 La Vie en Rose」とゴッホ「ばら」は少しこじつけ感が強いですね。主人公の行動も不自然でした。
5作目の「豪奢 Luxe」とアンリ・マティス「豪奢」も主人公の気持ちの変化と行動についていけませんでした。違和感があります。
第2作から第5作までは、小説新潮2018年1月号、3月号、5月号、7月号に掲載されたもので、最近の作品です。売れっ子になりますと、忙しいせいか筆が荒れた感じで、ストーリー展開も深さが足りません。

第6作の「道 La Strada」は見事な作品に仕上がっています。泣けました。東山魁夷「道」をモティーフにしながら、主人公の人生の歩みと登場人物の接点を見事に演出しており、上手さと共に、読み手を感動に導く、見事な短編作として記憶に残るものになりました。これと出会えたことで、この作品集もより価値が高まったという感想を持ちます。

第1作と第6作は、期せずして小説新潮2009年3月号と7月号に収められたものでした。原田さんが多くの文学賞を受賞される少し前の作品ですが、素晴らしい小説家としての地位を固めていく道中には、このような珠玉の短編が生まれていると言わざるを得ません。
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No.10:
(4pt)

さらっと読める原田マハ短編集

まさに美術館に足を踏み入れた時の静寂のような静かな文章がやはり好き。楽園のキャンバスが一番お気に入りだけど、短編集のこちらもよかった!少々この作者の文章は繰り返しが多くくどいときがあるので、短編は合っていると思う。また新しい作品が読みたいな。そして主人公の女性たちがアートに関わっていて羨ましい。
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No.9:
(4pt)

暖かい涙がじんわりと

6人の女性のホッコリとする物語で、絵そのものの描写よりどちらかと言えば主人公の心象に重きを置いた
作品である。そのためか、絵に対する著者の熱量(と言うか読む者の心に迫る圧力)が長編小説に比べ少し
少ない様に感じられ残念だった。

  いやしかし、第6章 道.La Stradaでは主人公の思いに同調し、こらえていた涙がとうとう滂沱と溢れてし
まった。もう文字が読めない。何故こんなにも切なく心を揺さぶる物語に書き上げてしまったのですか。
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No.8:
(5pt)

短編でこそ

短編になると、
とたんに、実力者のように感じる作者が多いような気がする。

この作者の本を、
ほとんど読んでいる私にとって、
作者の成長を感じさせてくれる短編集だった。
と言ったら偉そうになってしまうが・・・

6枚の絵を思い浮かべながら読もうと、
どんな絵なのだろう、と想像しながら読もうと、
それは、どちらでもいいように思う。

ただ、そこにその絵の存在があるから、物語が生まれた。
少しの切なさ、といったものが全編に流れている。
味わいながら浸りたい短編集だ。
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No.7:
(5pt)

珠玉の六編、

心の機微・親子の機微・兄弟の機微・男女の機微、どれも絵画が絡まずとも普通に小説世界となり得る題材。そこにマハさん独自の手法が鮮やかな彩りをつける。
ありきたりの表現だが珠玉の短編集。
親を持つ者としてまた兄弟を持つ者として思わず涙が溢れる作品もいくつかあった。
男女の機微二編はそれこそシンプル イズ ベスト、だってみーんな男か女。

既に名作と言われるようになったマハさんの長編もけっこう読んでるが私は本作がいちばん好きかもしれないなー。
兄妹の機微だけは「なぜあの時に・・・」と思う部分もあったが、読了間際には落涙。
長編だったらこれがかなり気になるアラになったりもするマハさんですが。
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No.6:
(4pt)

選ばれた6枚の絵画

6枚の絵画からそれぞれ紡がれる物語。
以下、タイトルとテーマに使われている絵画。

〈群青〉
ピカソ『盲人の食事』
数年前に訪れたメトロポリタン美術館を思い出しながら読んだ。
主人公はメトで働くアシスタントプログラマー。アジア系などのマイノリティは肩身が狭い。内部で働くスタッフは、花形部門に良家の子女や、超エリートばかりが占めているという。自由であるはずのアートの世界なのに、アメリカの階級社会を見るとは。
大型展に巨額の経費が動くことや、美術館が自らメディアに売り込む様子など、知らないことが多かった。見ることが仕事の主人公に課せられた試練は、あまりに残酷で辛かった。

〈デルフトの眺望〉
フェルメール『デルフトの眺望』

〈マドンナ〉
ラファエロ『大公の聖母』
内容は異なるが、この二つに共通するのは年老いた親と、仕事に夢中のキャリア女子の話し。親子の関係が微妙に離れてしまった切なさを描いている。婚期を逃し、仕事に打ち込むうちに、親は歳を取り、介護の問題がのしかかってくる。いまの日本の現状を切り取っていて考えさせられる。
親は子どもがキャリアを積むことに熱心に応援してきたのに、気づいたら自分は歳を取り子どもの負担になっている。認知症の親をどうするかなど、日本の現状の問題を描いている。
彼女たちは、一枚の絵画を観ることによって、心を新たに、また次のステップに踏み出していくのが救いだ。

〈薔薇色の人生〉
ゴッホ『ばら』
束の間の夢を見ることで、日常の生活が薔薇色になる中年の女性の話し。
騙されたのかもしれないが、それでもそれをきっかけに見たゴッホの薔薇の絵は、何の変哲もなかった彼女の日常に明るい光を投げかけたようで、絵画の持つ力を見た思いだ。

〈豪奢〉
アンリ・マティス『豪奢』
大好きな美術の仕事を捨ててIT長者の愛人になった女の子の話し。美術を資産価値でしか評価しない彼の愛人としての自分に疑問を抱きつつ、揺れ動く気持ちの変化が理解できる。
数年前に上野に「ポンピドゥ展」を観に行った。あまりに良くて数日後に再び行ったのを思い出した。マティスは本物を見るとその色使いが圧倒的に素晴らしい。『豪奢』も見てみたくなった。

〈道〉
東山魁夷『道』
小さい頃に離れ離れになった兄との奇遇の再会が、悲しい最後を迎えるまでの物語。
東山魁夷の道の絵からこれだけの話しを紡いだ筆者の力量は素晴らしい。

以上、その絵に思い入れのある主人公が、日常生活を送りながらぶつかる現実世界のあらゆる問題を、絵を見ることで心がリセットされ、次に踏み出していく様子を、原田マハさんらしいシンプルな筆致で描いている。
絵に秘められたパワーと、それを感じることのできる彼女たちが大変魅力的であった。
美術館へはよく足を運ぶが、何かを感じるほどの絵にはまだ出会っていない。これからはそうした一枚が現れることを楽しみに鑑賞するのもありだな、と思われてくれた短編集である。
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No.5:
(5pt)

【書評】絵画を見る視点が変わる! 『常設展示室』

生きていて苦しいとき、絵画によって希望が湧いたり、人の思いに気づいたり、自分の間違いに気づいたり、人と人とを繋いだり…
色々な思いを抱えた人たちが生き方を変える絵画に出会う、6編短編集。

絵画に携わる仕事をしている人たちが各編に登場しますが、私はそういう仕事や世界は全く知らないなと思い出しました。世界を飛び回り、とてもハードな仕事なんだなと感じる場面も数々あります。
話の中には、そんなハードさゆえに家族の思いに寄り添うことが出来ず悲しみ、でも絵画によって家族の気持ちに気づく話もあります。
5話目は、あの、バンクシー騒動がチラッと頭をよぎりました。高い絵を商売道具にしているお金持ちの彼との決別。全てを脱ぎ捨てて前に進む彼女の姿が爽快です!
最後は、絵で家族をつなぐ感動の話。幼い時に家族と離れてしまう辛い過去をもつ主人公が懐かしい一つの絵画と再会!?
6編に出てくる主人公たちは皆、優しくて真面目で、そんな人たちが絶望に直面していく姿に自分も絶望したり、最後には心から「よかったぁ!」と独り言を言ってしまうほど感情移入してしまいます。

著者の、原田マハさんは、馬里邑美術館、森ビル森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館に勤務後、フリーのキュレーターとして独立。
本書の帯にも「アート小説の第一人者」と書かれてあり、絵画にまつわる著書が沢山ある。ドラマ化や映画化した作品も手がけている。

「運命を変える」とか「人生のきらめき」などの前向きなフレーズに弱く、そういう本は思わず手にとってしまう私。本書もTBS「王様のブランチ」で見たときに、絵画に興味を持ったことがなくてもそのフレーズに負け、しかも絵画との出会いで運命が変わるなんてロマンがあると思い、購入。
飽きっぽいし長編を読むことに抵抗がある人や、読書をあまりしたことがないという方には短編集はオススメです。

私のような絵画に無知な方は、本書だけ読んでいては有名な絵画も自分の想像の絵になってしまうので、ぜひ、本書に出てくる絵画をググってみてください。そうしないともったいないです!そうしたら「あー!こういうことか!」と、納得いくことがあり、内容はもちろん、絵画と主人公の思いを照らし合わせることで、とてもおもしろく読み進めることができると思います。
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No.4:
(5pt)

美術を知らなくても十分楽しめる

最近の中で1番良かった一冊かも。
6つの短編が入っています。
4時間ぶっ通しで読み終えました。飽きさせない文章と構成でオススメの一冊です。
それぞれ対象の画家と目次のタイトルは以下。
ピカソ「群青」
フェルメール「デルフトの展望」
ラファエロ「マドンナ(聖母)」
ゴッホ「薔薇色の人生(未発表だった設定)」
マティス「豪奢」
東山魁夷「道」
どれも主人公が美術館と名画をヒントに戸惑ったり悩みながらも力強く生きようとする話しばかりです。と言っても、アートがメインではない為、美術を知らない人でも楽しめる内容。「たゆたえども沈まず」や「楽園のカンヴァス」みたいなどっぷりアートではないです。
原田マハさん自身の知識をひけらかさないで、読み手に美術の興味を持たせるのもまたこの方の魅力。
それほど重くはないけども親のありがたみをそれぞれのストーリーで感じました。4章と5章のマティスとゴッホの話はちょっと後味悪かったと個人的に思いましたが、大変感動したという意見も読書メーターやインスタのレビューではあったので、好みがあるところだと思ってます。←大丈夫か、私。
それにしても安定の原田マハさん。
最後の「道」で泣かせてくれて、まさかのカフェで号泣する事態。この続きの話があったら読みたいと思うくらいです。
6章の「道」という物語に出会えただけでもこの本を買った価値がありました。

原田マハさんや宮部みゆきさん・山本文緒さんの文章やストーリーに触れてしまうと、現在もてはやされている他の女流作家さん達(辻◯さんとか)の文章や表現力がちんけなものに思えてしまうので、読み過ぎ注意です。
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No.3:
(3pt)

細かいところが引っ掛かって

いまひとつ…
視野がかけてる人は弱視の子ども抱き上げちゃいけないと思う…
24時間介護なのに「つきそう事が励み」とか言われちゃったら、身内追い込みだなあ…
「見ないふり」で離れてる人間に「目を逸らすな」とか言われたら、自分なら瞬間沸騰する。普段見てない人ほど「なんでこんなになっちゃった」とか言いたがるよな。心痛めるアピールで、日常に心痛んでる側のことは思い至らない。
↑が3編と、浮かれた女が2編。
画の価値なのか、そこに至るドラマの価値なのか、どっちが主なのかよくわからなくなるラスト1編。
って感じだった
面白くは読めると思うが嗜好外だった
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No.2:
(5pt)

美術にあまり興味がなくても、泣けます。

人生で、自分の意志で美術館に行ったことが
  一度もないので購入をためらっていましたが、
  読んでよかったです。
短編6作……すべてで泣けるかどうかは
  読み手の経験によって違うでしょうけれど、
  それぞれが味わい深い作品です。
登場する作品や画家を知っている方が
  感じるものが多いのかもしれませんが、
  ほとんど作品をイメージできなかった僕でも
  泣けましたから、
  おススメです。
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No.1:
(4pt)

時空を超えてつながる「絵画」と「心情」

美術小説の第一人者である作者は実は「泣かせの天才」でもある。本作では、特に「群青」で目の不自由な女の子と母親との眼科医院でのふれあいの後での、予想通りの結末は抜群の安定を感じるとともに強く涙腺を刺激されるし、「道」は完全に始まりの部分から「もっと早く気がついてくれよ!」と思いながら読み進めると、恥ずかしながら号泣に近い状態になってしまううえに、あえて「幸せな結末」を書かずに物語を終了して、読者のこころに灯りをともす巧みな構成に再び涙。

「記憶の川をさかのぼる小舟に乗った。」「この世でもっとも贅沢なこと、それは、豪華なものを身にまとうことではなくそれを脱ぎ捨てることだ。」「全部捨てた。そうしたら道が見えてきた。」などなどハードボイルドな探偵さんも裸足で逃げ出しそうなセリフにも大拍手。

失礼ながら一時期、エッセイや新書かきおろしに時間を割かれていたようだが、また「正統派美術小説」に戻ってこられたことに感謝です。
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