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到達不能極
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到達不能極の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.21pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 21~29 2/2ページ
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導入から前半部分は、なかなかいい。文章も読みやすく、わくわく感を持って、中盤までは進みます。 しかし、後半はドタバタ紙芝居。今どき南極にナチの秘密兵器だなんて、関暁夫ですら、言わんでしょう。 しかも、登場人物は悪玉、善玉。それもプロトタイプで深みがない。とってつけたようなアクション+鼻につく自己犠牲のオンパレードで、さあ感動してくださいって言われても、読者はしらけます。 この本の一番いい読み方は、途中まで読んだら、本を閉じて、後は読者が先のストーリーを想像すること。 完読するより、よほどいい物語が描けそうです。 | ||||
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南極といえばとにかくすごい寒そう(小並感) みたいな知識しか持っていなかったため、南極の描写だけでも面白く読めた。さすが南極、試される大地北海道よりもよっぽど試される場面が続出する。 話は2018年の南極ツアーと、南極観測隊、そして1945年戦時中の日本軍の3つの物語が平行して進んでいく構造で、それぞれが公務員の待遇並みの安定感のある硬派な文章で綴られていく。ところが内容は、初めのうちはいかにも優等性的に手堅く話が進んでいくのだが、「いったいこの3つの話がどう絡んでくるのだ?」と思いながらページをめくっていくと、中盤からいきなりナチスが出てくる。かと思ったら、冷凍睡眠とか全脳の電子化(トータルブレインアップローディング)とかの話が登場。さらにさらに銃撃戦や核ミサイルまで飛び出して、最終的にはなんでもありのハリウッド映画みたいになって驚いた。冒頭の堅実な展開からは想像できないぐらい話がぐちゃぐちゃになっていくのだ。ブットビ展開なるのは、話の核となるSF周りの設定がかなり適当なのが理由の一つであり、原理主義右翼のSFファンなら激おこ間違いなしだが、まあこれはこういうもの、ファンタジーかなにかだと思って読めばいいと思う。ハリウッド映画だからねしょうがないね。でもこういう先の読めなさも、この本の面白さの一つだ。 あと、一番よかったのは南極でもSFでも銃撃戦でもなく、過酷な時代に生きた少年少女のラブストーリー。二人の想いが時空を超える展開はかなり切なくて、ぐっときた。むしろこの恋物語を話の主軸にして欲しかったぐらいだ。 安定感のある筆致が、アクションシーンではむしろ短所と化しているところが唯一気にはなったが(たとえば冒頭の、●●●に乗っているときのトラブルとか、小便チビるとかいうレベルを遙かに超える恐怖だと思うのだが、文章が淡々としていて緊迫感があまりない)、全体としては面白く読むことができた。前々回の『QJKJQ』に続いて、乱歩賞が面白い作品を世に出してくれて満足だ。 | ||||
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到達不能極。 南極のさらに最果ての、到達不能な場所で、一体何が起こるんだろう…… タイトルを見ただけで、地平線まで果てしなく続く白い世界や、そそり立つ氷山を連想し、わくわくしながら頁をめくりました。 賞の選考委員も賞賛したとおりの、プロの域に達した筆力。 南極大陸の情景描写や、理由も分からずに最果ての地に向かう登場人物たちの不安な心の内、さらには、極寒に備えるための細かな装備まで、著者の体験を綴ったのではと思わせるほどの、精緻な描写。しかも、過去と現在がどこかで繋がるであろう、スケールの大きさを感じさせる構成。 1945年と2018年を行き来する描写に、最初のうちは良い意味で焦らされて、ぐいぐい引き込まれた。 しかし、ずっとこのパターンの繰り返しで、だんだんと消化不良を感じだし、読む速度がスローダウン…… それでも最後の山場まで読み進め、どんなカタルシスがあるのかと期待したけど、何ら心を揺さぶられることもなく、淡々と読み終えてしまった。 他のレビュワーさんも指摘していますが、本作の要のSF的な仕掛けに、どうしてもリアリティが感じられず冷めてしまい、小説の世界に没入出来なかったことが、あっさり読み終えてしまった理由。 冒頭から中盤までの密度の濃い情景描写が、山場になると嘘みたいに淡白になり、また、戦闘場面になっても文章のリズムが一定で、緊迫感を感じない。 ナチスと南極、意識をエネルギーに置き換えるSF的な設定、 七十年以上の時を超えた純愛など、男の冒険心とロマンを満たす世界。 こんな夢溢れる壮大なスケールの小説待ってました! と、期待が最高潮に膨らんだだけに、後半が残念でした。 でも、次回作は読んでみたいと思います。 | ||||
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池井戸ジュンが絶賛したとのことだが、テーマが殺人事件ではなく、現在の池井戸の路線に近いから高く評価しただけでしょう。 この小説は、小松左京のコピーのような作品で、小松左京賞をもらうならわかります。 推理小説を読むワクワク感がありません。構成上、仕方がないが、場面がブツリブツリと切れて、あーあって感じ。 乱歩賞受賞作と思って読むと、がっかりします。 以下、矛盾点をいくつか 1、頭に高密度の電流を流すと、頭を刀で切ったように切れます。スパッと、切れます。頭蓋骨が切れるかどうかは、電流次第ですが、少なくとも、頭蓋骨に達するまで、皮膚や筋肉が切れて、出血します。高密度という表現ではなく、高頻度なら、まだ読者を騙す手段として妥協可能。 2、意識は、現代の最新の考え方では、電磁波となっていて、いくらナチスの時代でも、この理論は浅はかすぎて、それなりの知識がある人には、アホくさと思える。 このような、最低レベルにも達しない科学的なデタラメを書くことは、審査員は文系だからわからんだろう、と思っているかもしれませんが、日本人の読書レベルを落とすので、やめてほしいです。 SFは抽象的なギリギリの表現なら、ありえるかもと読者は思いますが、いざ電流など詳細に解説すると、理論が破綻して興醒めです。 池井戸は次回は審査員おりたみたいだし、乱歩賞自体が迷走していて、読者が被害にあってる、読者が到達不能な場所へ迷い混んで、読むのをやめて、この本はせっかく高い金を出して、買ったのに、風に吹かれて放置されるでしょう。 ちなみに、著者は、前々回受賞の佐藤究氏と気持ちで通じるところがある、みたいなことを言っているが、読者から見て、佐藤究氏のあの作品と、この南極の話をいっしょにして欲しくないし、言われた佐藤究氏も、困っていると想像する。 | ||||
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ネタバレがある部分があります。未読の方はご注意ください。池井戸潤氏が帯に書かれているように構成力はしっかりしています。文章も手堅く、読みやすいです。前半はぐいぐいと引き込まれました。しかし、後半にいくにつれて、説明的な会話が多く、若干の拙さを感じました。文章そのもは作者の知性を感じるの洗練されたものです。ただ、絶体絶命の状態なのに、緊迫感がなく、主人公や周囲の人々は常に冷静です。読んでいる方としては、まあ、通過点だからな、と合点はいくものの、本当にこの状況に置かれたら怖いという感じは味わえませんでした。作者はアクションシーンはあまり得意でないようですね。ストーリーはこうなるのかな、と思って読んでいくと、そうなります。ほぼ、驚きはない展開です。選評によると選考委員の辻村深月さんも、こうなるのかなと思って読んでいくと、そうなると、ほぼ同じ感想をお持ちになったようです。伏線の回収という意味では、前に書いてある気になった記載が、ああそうだったのか、という感じに特にカタルシスもなく、自然に回収されていきます。作品は後半になるにつれて、SF的要素が強くなっていきます。 <以下ネタバレがあります>ナチが開発したという設定の心理的な影響を与える兵器などは特に科学的な根拠もないので、残念ながら作者の妄想のようにしか感じられませんでした。結末も現実には存在しないものを前提に書かれているので、リアリティがなく『なんで?』と、思わず笑っていました。タイトルを『お笑い南極物語』にした方が内容にはあっているのではと思ってしましいました。しかし、筆致の滑らかさと、作者の誠実で暖かい人柄の伝わる良い作品だと感じました。次回作に期待いたします。妙な酷評になってしまい、お詫び申しあげます。 | ||||
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第64回江戸川乱歩賞受賞作。ネタバレはありませんが、一部内容に言及しますので、未読 の方はご注意下さい。星は3個としたが、面白さは4~5。リアリティーは2というところ。 1945年の日本軍、2018年の南極観測チーム、同じく南極観光ツアー、これら3つが 並行して描かれていく。それぞれは比較的抑揚が少ないのだが、それでも物語に引き込まれる のは、筆力のなせる業か。その3つがやがて1つの真実に結実するというのは予想通りだが、 後半から急にSFめいてくる。 1945年のシーンでは若い日本人通信兵とドイツ人ユダヤ娘の恋も描かれていて、これが 固い内容の物語に良い意味での弛緩と人間くささを与えている。全体として、非常に面白く読 めるのだが、終盤のSF的設定が出て来る段階で、興ざめする人も知るかも知れない。なぜな ら、コンピュータ、AI、半導体などまったくない時代の技術による遺物(ある種の兵器)が、 現代の高度な技術をも凌駕する形で侵入してくる。これはいくらなんでもあり得ない。 この辺りを完全なSFとしてしまうか、あるいはどの読者も納得出来るような説明があれば、 もう一回り出来の良い作品になり得たかもしれない。が、基本設定を考えると、小手先の改変 では不可能ともいえるから、この辺りが妥協点かもしれない。 SF的部分はリアリティーを下げているが、南極観測チームの装備、旧日本軍の兵器、飛行 機、南極の気候などの考証は充分にされていて、リアリティーは高い。 星の数は3としたが、技術に詳しくない人は、上記のデメリットをあまり気にしないだろう。 実際に読んでおもしろいから、受賞作としてのレベルは充分に確保できていると思う。 | ||||
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肝となる部分がSFなので好き嫌いは分かれるでしょうね。 心理描写が上手なのでリアリティある展開を期待してしまうと期待が外れる。期待が外れるといろんなことが気になってしまう。 SF以外のところでも、90を超えたじいさんがテキパキとツアコン代わりに搭乗客を落ち着かせるところとか、地磁気発電って世界大戦の時に基地を維持できるほど実用化されていたのかしらんとか、「基地を爆破します」って地下の原子炉を忘れてないか?とか、90を超えた老人の「お願いします」に従って本当に大丈夫なのか?とかとか。 そして、 一番気になるのが、ステレオタイプにナチを悪者にしているのに日本兵はとても理性的に書かれていること。(しないとは思いますが)英訳したら全く受けないだろうな。外国人がたくさん出てくるけど、グローバルな感覚は全く感じられない。 | ||||
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前半は大変面白く読みました。南極隊員が問題に直面し、飛行機が遭難する場面などその後何が起こるのかドキドキしました。 その後、第二次対戦時代に人工冬眠行う話がでてきたのはビックリです。それに比べ、後半は、展開が活劇風にドンパチなり今一ついていけませんでした。出てくる人のバックグランドはよくわかりましたが、そこに至る過程が今一つ分かりにくかったです。 もう少し後半部分を集中して書いて欲しかったです。 今後に期待します。 | ||||
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江戸川乱歩賞受賞作ですが、ミステリというよりはサスペンスSFかな。 太平洋戦争時代と2018年の現代が交錯しつつ収斂してくさまは、浅田二郎の「日輪の遺産」をほうふつとさせるし、人間の意識を移し替えた電子回路(人類への復習をたくらんでいる)との戦いは、アーサークラークの「2001年宇宙の旅」を連想させます。そういう意味では、斬新さはないのですが、文章が巧みで、キャラも魅力的。デビュー作とは思えないクオリティでした。南極のシーンもリアルで、ちょこっとだけ出てくるペンギンが、ストーリーの伏線になっているのもいい。 心あたたまるラストシーンも良かった。「(少子高齢化やら、国際情勢やら)いろいろ悲観もしているけど、まだ希望を失っていないし、人間というものを信じているよ」という作者のメッセージ(想像ですが)を感じました。 次作も楽しみです。 | ||||
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