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皮膚の下の頭蓋骨
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皮膚の下の頭蓋骨の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.15pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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古い本の物理的にも古い中古本で活字も細くて小さいので読みにくかったですが、結構楽しめました。心理描写ではなく情景描写が詳しくてある意味では新鮮な感じでした。 | ||||
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P・D・ジェイムズのコーデリア・グレイもの、といってもたった2作しかなくて、僕は『女には向かない職業』はすでに読んでいたので、本書が最後のコーデリア・グレイものということになる。 長いが、読みごたえのある作品だった。殺人事件が起きるまでに本の半分が費やされるため、退屈する読者もいるかもしれない。僕も長いなと思いつつ、しかし不思議と退屈はせずに読んだ。それにはコーデリア・グレイの魅力も大きいだろう。この探偵は、いわゆる名探偵ではない。しかしどこまでも誠実であり、イノセントであり、健気である。 と、ここで村上春樹がイスラエルで行った有名な「卵と壁」のスピーチを思い出す。「もしここに硬い大きな壁があり、そこにぶつかって割れる卵があったとしたら、私は常に卵の側に立ちます」と、パレスチナを「卵」に、イスラエルを「壁」に例えたものだ。悪に立ち向かうコーデリアを見ていると、まさに壁の前に立つ卵という感覚を覚える。 訳については毀誉褒貶あるようだが、オリジナルの英語の文章がクセが強いので、何が言いたいのか? と分かりにくいところも確かにあるけれど、ミステリ作家としても活躍した小泉喜美子氏の訳は、なべて名訳だと思う。ところで本書には「屍衣」に「きょうかたびら」とルビを打ったところがある。ということは『ナイチンゲールの屍衣』も「しい」ではなく、そう読むべきなのかなと思った。 | ||||
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もし自分が小説家ならこの作品を読んで筆を折るかもしれない。読み返したのは三度目だが、その度に圧倒的な描写力と一人としておざなりではない血の通った登場人物の造形の魅力に驚嘆する。P・D・ジェイムズの偉大な作品群の中でも頂点というに値する名作であり、可憐で聡明なヒロイン、コーデリア・グレイが冷え冷えとするような悪意をたたえた真犯人と対峙するクライマックスの迫力は凄まじいの一語。 | ||||
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二百年前の不気味な伝説が残る孤島コーシイ島。そこの贅を凝らした壮麗な舞台で演じられる古典劇に招かれ、いま、数人の客が島を訪れていた。主演女優クラリッサの義理の息子、従姉妹、元愛人……女探偵コーデリア・グレイもそのひとりだった。頻々ととどく死を暗示する脅迫状におびえるクラリッサの身辺警護のためである。狷介な女優とそれぞれ思惑を胸に秘めた七人の男女――不吉な雰囲気の漂うなか、開演を目前に、自室で顔を叩き潰されたクラリッサの惨殺体が発見された。 | ||||
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島を舞台にした古典的なミステリ。 古典ミステリは好きですが、昔の訳って読みづらいんですよね。いかにも文語調というか。 途中で何回も挫折しそうになりました。 盛り上がりに欠ける淡々とした展開が続き、 結末も尻すぼみ。 設定などは面白くなる要素がたくさんあるのにもったいない。 | ||||
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P・D・ジェイムスの代表作ともいえる『皮膚の下の頭蓋骨』が気になり入手してしまいまいました。 大昔に読んだ『女には向かない職業』(An Unsuitable Job for a Woman、1972年)の続編なのに気が付いたのは購入してからでした。 彼女の作品は、ダルグリッシュ警視シリーズの『不自然な死体』を少し前に再読したところであり、評者の好みでない作家だったのを失念し、ついアマゾンで購入してしまったのです。 『女には向かない職業』を、何年か前ですが本棚から取り出して、何十年ぶりに再読を始めたのですが途中で投げ出したのを思い出してしまいました。 本作『皮膚の下の頭蓋骨』(The Skull Beneath the Skin、1982年)を読みはじめて、クリスティなどを彷彿とさせる古色蒼然とした古典的な探偵小説の系統を継いだ作家であることも思い出してしまったのです。 離れ小島の密室殺人事件であり、犯人は島に寝泊まりした限られたひとたちの中いるというおきまりのシチュエーション。 ただ一人だけの例外は、殺された女優のクラリッサ・ライルの依頼を受けて身辺警護を依頼された本編の主人公の私立探偵コーデリア・グレイのみ。 とにかく登場人物の心理描写や風景描写の繊細さにページを割き、事件を進めるスピード感のない作品なのです(島のビクトリア様式屋敷の描写だけで数ページを読まされるのですが、これらは著者の創造した実在しない島と屋敷なのです)。 ありきたりなフーダニットものであるにも関わらず文学作品にしたいという著者の意図も伺え、ことさら流麗な文章が連なります。 くわえて訳者の翻訳も流麗で難しい用語を用いていたのも少なからず散見され気になってしまいまいました。 たとえば「帯刀」とすれば誰でも理解できる言葉ですが、「佩刀」などとことさら難しく翻訳する意図が解せません。(P305) 他の例をあげれば「船着き場」と訳せばだれでも分かるのに、「バンド」と英語をそのままカタカナにしているのも理解に苦しみます(bund=「海岸通り」、「船着き場」)。 これなど英語に疎い読者を迷わすために意図的にしたのかとさえ思ってしまったのです。(P376) ネタバレになるからここでは書くことを控えますが、ミステリとして読む読者にとってこの物語の結末は、少々悪い食べ物を無理矢理食べて消化不良になったような気分を味わうことになるかも知れません。 著者は、他の探偵小説とは異なり格調高い文学的探偵小説にしたかったようですが、やはり探偵小説なのだから読者のカタルシスを満足させる結末で終えたほうがよかったのでは、と、評者は愚考してしまったのです。 580ページもの長編探偵小説だかなんだか知れないような作品でしたが、著者の努力(文章の多さと流麗さ)を啓して星3個進呈しておきました。 | ||||
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主に海外のミステリーを読んでいますが、コーデリア・グレイはベスト5に入るお気に入りの探偵です。にもかかわらず、本書と「女には向かない職業」の2作にしか彼女は登場していません(わたしの知る限り)。 この作品はP.D.ジェイムズのなかでも特に秀作といえるでしょう。彼女の洗練された描写と独特の人生観がコーデリアを通してあちこちに垣間見え、興味深いです。 ネタバレになるといけないのであまり書けませんが、読んだ後は胸に迫るものがあります。ぜひ読んでほしいと思う一冊です。 | ||||
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期待通り。 読み終わってしまうのがもったいない。 他シリーズも読みたいと思う。 | ||||
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P .D.ジェイムズ「皮膚の下の頭蓋骨」は《ポケミス》発刊30年に当たり、それを記念する一冊として出版されました。1982年の作品。ドーセット州沿岸2マイルの沖に浮かぶ、不気味な伝説の残るコーシイ島を数人の客が訪れます。女優クラリッサ、クラリッサの義理の息子、従姉妹、もと愛人の演劇評論家ーその一行の中には女性私立探偵コーデリア・グレイの姿もありました。脅迫されていると思われるクラリッサを護るのがコーデリアの仕事でした。しかしー。本書でジェイムズは、1930年代の黄金期の本格物を連想させる設定を施した上で、1980年代のミステリーを描いてみせます。20数年振りに再読したのですが、十分に楽しめました。立派な作品だと思います。 | ||||
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コーネリア・シリーズの第二段で、英国近海の孤島を舞台にした推理劇。島にはヴィクトリア朝の城が建ち、野鳥の宝庫でもあるという風光明媚な立地。島の所有者アンブローズは城内での素人劇団の舞台を開催するが、そこに客演する女優クラリッサの護衛役としてコーネリアも同行したという設定。クラリッサは脅迫状とも取れる手紙を何通も受け取っていたのだ。手紙の内容と言い、題名と言い、「死」をテーマにした作品のようで、ミステリとしては逆に意外感がある。 六部構成なのだが、第一部(約100頁)はクラリッサとその関係者の人物紹介に当てられる。動機を散りばめておこうとの意図もあるだろうが、重厚な作品を目指している印象を受けた。そして、後に凶器となる大理石製の王女の手首、島の忌わしい伝説、頭蓋骨を蒐集した教会の納骨堂、スパイの拷問・処刑用の地下水洞"悪魔の湯沸し"、などが紹介され雰囲気が盛り上がって行く。そして開演前、遂に殺人事件が起きる...。事件直後に警察が島に到着するので、科学的捜査が不可との孤島のミステリ的特性は発揮されない。容疑者が絞られる危険を承知の上で何故犯人は孤島で犯行に及んだのか ? 終盤、コーネリアの捜査に伴って物語が加速する。明かされる真相、犯人、動機はミステリ的に巧みに出来ていて、文学的趣味に終始するのではないかという予想は良い意味で覆された。伏線も巧みに張られているが、何より、「皮膚の下の頭蓋骨」という題名が表す真の意味、"悪魔の湯沸し"の結末での使われ方の両趣向には感心した。知的で内省的なコーネリアを初めとする登場人物達の造形・心理描写にも優れ、読み応え充分の出来と言って良い。現代ミステリのあり方の一例を示したとも言える秀作だと思う。 | ||||
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コーネリア・シリーズの第二段で、英国近海の孤島を舞台にした推理劇。島にはヴィクトリア朝の城が建ち、野鳥の宝庫でもあるという風光明媚な立地。島の所有者アンブローズは城内での素人劇団の舞台を開催するが、そこに客演する女優クラリッサの護衛役としてコーネリアも同行したという設定。クラリッサは脅迫状とも取れる手紙を何通も受け取っていたのだ。手紙の内容と言い、題名と言い、「死」をテーマにした作品のようで、ミステリとしては逆に意外感がある。 六部構成なのだが、第一部(約100頁)はクラリッサとその関係者の人物紹介に当てられる。動機を散りばめておこうとの意図もあるだろうが、重厚な作品を目指している印象を受けた。そして、後に凶器となる大理石製の王女の手首、島の忌わしい伝説、頭蓋骨を蒐集した教会の納骨堂、スパイの拷問・処刑用の地下水洞"悪魔の湯沸し"、などが紹介され雰囲気が盛り上がって行く。そして開演前、遂に殺人事件が起きる...。事件直後に警察が島に到着するので、科学的捜査が不可との孤島のミステリ的特性は発揮されない。容疑者が絞られる危険を承知の上で何故犯人は孤島で犯行に及んだのか ? 終盤、コーネリアの捜査に伴って物語が加速する。明かされる真相、犯人、動機はミステリ的に巧みに出来ていて、文学的趣味に終始するのではないかという予想は良い意味で覆された。伏線も巧みに張られているが、何より、「皮膚の下の頭蓋骨」という題名が表す真の意味、"悪魔の湯沸し"の結末での使われ方の両趣向には感心した。知的で内省的なコーネリアを初めとする登場人物達の造形・心理描写にも優れ、読み応え充分の出来と言って良い。現代ミステリのあり方の一例を示したとも言える秀作だと思う。 | ||||
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「女には向かない職業」で、登場した女探偵コーデリア・グレの第二弾である。 この主人公の、りんとしているものの、はかなげな強さに心を惹かれる。 物語は、孤島にある。コーデリアは、ボディガードの依頼で孤島に赴くことになる。そこで殺人事件が起きるのだが、この結末は興味深い。 P・D・ジェイムズは、その描写の細かさ、文章の長さなどから、読みづらいと感じるかもしれないが、この作品も例外ではない。しかし、読み進めていくと、けなげなコーデリアの息づかいが聞こえてくるのである。 この本の中には、重々しい世界の中で、彼女の放つ消えそうでいて消えない、かすかな輝きがある。それがぼくには気になってしようがない。 | ||||
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女には向かない職業で、初めて登場したコーデリア・グレイもの。コーデリア・グレイには、ダルグリッシュに無い魅力があります。探偵小説の探偵役として、彼女のような若い女性が似合うのも、PDジェームズの作風が、暴力シーンが少なく、トリックにあまり重点をおかない、心理描写に力を入れたものであるためでしょう。作品の舞台である城も、城の主人が集めているアンティーク小物も、離島という雰囲気も作品に重厚感を与えている。また、作中に良くシュークスピアなどのイギリスの劇作家の引用も数多く出てきているのも楽しい。心理描写のほかにも、情景の描写も事細かで楽しめる作品。 | ||||
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