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すべて真夜中の恋人たち
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すべて真夜中の恋人たちの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.37pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全127件 121~127 7/7ページ
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登場人物は、基本的に、主人公であるフリーの校閲者・入江冬子、その友人の石川聖、 それに冬子が恋をする相手の中高年男性・三束さんの3人しかいない。 確かに他のレビュアーの方が述べられている通り、 登場人物の人物像も、ストーリーの展開も、冬子の恋の結末も、あまりにも陳腐だ。 ストーリーだけなら、世の中にいくらでもある恋愛小説の1つにすぎない。 しかし評者にとっては、心に残るものがある作品だった。 それは、女性心理の繊細な描写と、細部にまでこだわった文章と言葉のおかげだと思う。 本書の文章については美しいだけでなく、格調の高さのようなものを感じる。 あまりにも陳腐な設定なのに、(少なくとも評者にとって)心理描写と文章力だけで 読ませてくれた作者・川上未映子の力量は確かなものだと思う。 しかし前作「ヘヴン」に比べてクリエイティビティに欠けることは否めないので、 星を1つ減らして星4つとします。 | ||||
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大きな評判を呼んだ「ヘヴン」から二年を経ての待望の新作。 期待して手に取ったものの残念ながら前作から後退したと言わざるを得ない。 以下は率直な感想 ' 村上春樹の「ねじまき鳥と火曜日の女たち」と 酷似した冒頭(〜から電話がかかってきたとき、スパゲッティー) '登場人物の魅力のなさ(類型的でかつセリフが説明的。学生時代のエピソードでクラスメイトが口にするセリフは陳腐きわまりない) '描写の冗長さ (美容院でメイクを施される描写にことさら何行も費やす必要があるのか) 'ひらがなを多用した文体の幼稚さ(「だからそのままじりじりとひからびていってしまうみみずをみてるしかないの」といった文章) ''''''校正者が登場するのに「運動靴」→「スニーカ」ーと表記の不統一(「みる」と書きながら「見知らぬ」「おおきく」→「小さく」等) ''''''主人公の対比となるキキャラクターの安易さ(大手出版社に勤務し、有能だが強気で同性には評判が悪く、最終的にシングルマザーを選ぶ……仮にこうした人物が現実に存在するのだとしても、小説で描くならばもう少し工夫が必要だろう) 一読して思ったことはとにかく冗長であるという一言に尽きる。一本調子の語りで展開に乏しい上に、ヒロインの行動ひとつひとつに執拗な描写が加えられる。モチーフにしても目新しいものではなく、エンターテインメントでは負け犬小説といったジャンルで散々書き尽くされたような類いの小説だ。 推敲に推敲を重ねて、200枚程度に収めるか、三人称にしてヒロインの対となる石川聖の視点を交える等の構成にすれば、より奥行きのある作品になったかもしれない。 物語の終盤は一人称の「わたし」の語りがくどくなり、息苦しさを増す。それは作品の言葉を借りれば「散乱」で、とっちらかったまま美しい「光」のイメージさえもぼやけさせてしまったように思う。 作者は文学賞の選考委員として、すでに審査する立場にある。後進への手本となるためにも「わたし病」が尾を引かないことを願うばかりだ。 | ||||
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主人公の冬子を静とすれば、美人で男に不自由せず、何でも自分で選択して前に進め、仕事(への姿勢)に最大価値をおく聖は動。彼女達の共通点は孤独で人から愛されず、また、愛してもいない東京で働く30代半ばの独身女性であること 恐らく彼女らと同年代の芥川賞作家・川上未映子の名前なしに出版されない小説でしょう 吉本ばななの父・吉本隆明の「第一級の作家はこの心の動きは俺だけにしかわからない或は俺しか体験したことがないと多くの読者に思わせる」という言葉を借りれば、☆3つが妥当だと思いますが 自分で自分の人生を選択してこれなかった、自宅で校閲者として働く孤独な冬子が、お酒の力さえも借りながら、ありったけのちから(勇気)で、仄かに自分の人生(恋愛であり、他者と関わること)を歩み出す姿に、一人でも多くの読者が希望を抱ければと願わせる切ない作品です | ||||
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「乳と卵」で川上未映子さんのファンになった私は、新作の長編小説が出るということを知って、単行本が出るのを待ちきれず、群像を購入して読みました。 そして、単行本が出版されたということで、単行本も購入しました。単行本はラストに少し手が加えられています。 そもそも、「乳と卵」での独特な文章表現に引き付けられ、その次の「ヘヴン」では文体がガラッと変わったものの、世の中で持てはやされている小説とは一線を画したテーマを扱っており、地味ながらも引き付けられるものがありました。 そして、今回の「すべて真夜中の恋人たち」ですが、私の期待以上の作品に仕上がっていました。 相変わらず、一般受けするようなサスペンスものや禁断の〜を前面に押し出したような内容ではなく、じれったいほどの会話のやり取りが繰り返され、非常に地味な印象を受けます。ですが、普通は取り上げないような中高年の恋愛をこんなにも美しく表現したところに、また新しい彼女らしさを感じました。じわじわと心に染み入る、とても気持ちの良い読後感を得ることが出来ました。 文句無く、お勧めです。 | ||||
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ミステリーが好きな私としては、こういうタイプは好きになれない。話題になっている作家だが、個人的に受け付けない。しかし作品とは裏腹にルックスは良い。自分の好みである。そういう意味で買ってしまったのもある。彼女を見るといつも思うが、元AV女優の天海ゆりに似ている。自分にはそう見えてしょうがない。 | ||||
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デビュー作から最新のエッセー、雑誌や新聞などのこまごした文章まで読んでいるほどの、川上未映子ファンであるし、すべて真夜中の恋人たちも、本になるのが待ちきれなく、群像を買って読んだのだけれど、正直、読みすすめるのが辛かった。しかしでも思うのは、この「すすまない感じ」が、すべて真夜中の恋人たちの、狙いの一部なんじゃないかということ。 この「すすまなさ」は、本作が初めてじゃない、川上ファンならきっと 感じると思う。あのたたみかけるような怒涛の未映子節が恋しくなる反面、すべて真夜中の恋人たちのなかの、人物が語るセリフの数々は、やや詩的だけれど、一つ一つ洗練されていて、川上さんのうでを感じずにはいられない。「光のようなものをかきたい」と言っていた意味が、とくにセリフに顕れていると思う。 恋愛小説という読み方をしないほうが、愉しめる。とにかくページの いたるところで、セリフが輝いている。川上さんの言葉のセンスというのに 惚れ惚れする人は、少なくないはずだし、恋愛小説としては失敗している という人もおられる。しかし、ファンにとっては、ヘヴンに続くほどの 衝撃はないかもしれないけども、こんな川上未映子もあるのか、という 驚きと、発見がある。 | ||||
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川上未映子の長編恋愛小説である。前作の『ヘヴン』を読んでいたので、私は、特に中身をほとんど確かめずに、書店の平台の上に積まれている1冊を取って、すぐに購入した。前作の『ヘブン』の時から、川上は、文章がとてもがうまい、と思っていたので、物語の内容は、すらすらと読むことが出来た。物語の内容に踏み込むことは控えるけれど、恋愛小説マニア(というのがいるのかどうか知らないのであるが)からすると-ちなみに、私は、その恋愛小説マニアではない-たぶん、もの足りない内容ではないか、と感じてしまう。もっとドロドロしたものがあった方が良いのではと思ってしまうのではないか。だから、「極めて観念的な恋愛小説」ではないか、と思うのである。それは、彼女が、哲学などを学んでいることと関係するのかもしれない、と邪推してしまう。この小説に出てくる主人公の会話も、何となく、形而上的な香りがするのである。ただ、私は、そのような会話がとても気に入っているけれど。 | ||||
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