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夜の谷を行く
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夜の谷を行くの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全77件 41~60 3/4ページ
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連合赤軍事件を知らないかたにはお勉強にもなるし,人生いろいろ考えさせてくれるし,ちょっとしたミステリー気分も味わえるし読んでみてもいいかもしれません。ただ一連のあの出来事と同時代を生きてきたかたにはちょっと物足りないかも。それほどリアルワールドは不気味で切実でした。謎かけも割と早い段階で気づいちゃうし……。 | ||||
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彼女の作品としては、女神記 (角川文庫)がこれまではベストでした。今回のこの作品は、食卓のない家☆円地文子と比較してみると、赤軍に加わった息子や娘を持った家族の置かれてしまった立場が同じでも、家族の受け止め方に大きな違いがあるところが、読み応えがあった。 私自身はひと世代遅れで、革命の理想に立ち上がった純粋な若者の燃えた世界をしらないのですが、国鉄の分割民営化で、職場を追い出されるまでは、どちらかといえば過激な仲間に囲まれた青年部に所属していて、新左翼や全共闘は後追いで勉強させて頂きました。 わずかな労働運動体験からみた赤軍派は、スゲーという驚きと、うーんという危うさが入り混じったセクトでした。所詮はプントが銃を取っただけの、路線の誤った組織と見えました。 それはさておき、この作品ですが、光の雨のような悲愴感はなく、終わった時代をある出来事から、再び見直さなくてはならない主人公が、世捨て人のような生き方をして、少ない親族の枠の中で、仲良くしたり、ぶっかったりする物語です。永田の病死を機会に過去と向かい合うことになり、そこで知り合ったライターが、自身の棄てた息子だったという衝撃的なラストは、男の私より同性の方の方が衝撃が深く感じられると思いました。 あの時代に生きた皆さんのさまざまな証言や、それにもとづく小説がもっとたくさん発表されることを期待します。 方針の誤りで結果的に自滅の道を歩よんだ、新左翼諸派の皆さんですが、わたしは、改めてこの作品を読み、ロシア革命の歴史を丹念に調べたり、トロツキーの諸作品を読み返し、純粋に社会を変革することを夢見た人達の正しかった一面を探し出したいと思いました。 そんな気持ちにさせていただけた良い作品と評価しています。 いずれにせよ、あの時代をある一面から切り取っみせる手法と筆力はさすが桐野さん!と星五つです。 | ||||
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連合赤軍問題を扱った作品。オウム真理教事件とならんで、連合赤軍事件は、組織犯罪として、規模および社会に与えた衝撃度がきわめて大きい。関係者が手記などで詳細に背景や事実経過を記し、それらが証言者において異なっている(いわゆる「藪の中」)ので、未だに解けない問題が存在している。 この作品は、連合赤軍と集団リンチに参加した架空の主人公の、初老を迎えた心象風景と、語られなかったある事実を扱っている。誰もが陥る独居老人の孤独、親類や身近な人々との軋轢と、過去のしがらみ、邂逅と希望などを巧みに描写している。しかし、一読してこの心象風景はおかしいと感じた。主人公はひたすら過去を隠そうとし、回りの人々の些細な言動にいらだちを募らせる。あたかもその「過去」が一度の偶然の過ち(例えば破廉恥犯)のようだ。しかし連合赤軍事件は、参加者たちが、ある確信や思想を持ち、その確信ゆえに集合的に内部の脆弱性に牙を向く、というカルト的組織犯罪である。参加者は、リンチを止められなかったという点では、罪悪感を持つのだろうが、その端緒である思想や確信は、紛れもなく自己選択の結果である。こうした自己選択を経験した人々は、過去を全て封印するのではなく、選択そのものの問題点や普遍性を振り返りながら、残りの人生を生き、他者との関係を再構築していくはずである(本書が扱った「革命左派」のグループでは、その確信とは毛沢東思想と切り離せない)。 桐野夏生は、本書の構想について、「革命左派には、ある計画があったそうです。それが、山で子どもたちを産み育てていく計画だった、と彼女の口から聞いたときは衝撃でした。」と語った。しかし、この計画は戦略的なものではなく、当時の中国で採られていた、人民公社などの単位組織内の労働の共同化、保育・家事の共同化のマネにしかすぎない。捜査包囲網が狭まると、都市での潜伏活動もままならないのでいっそ山奥で疑似共同体を作ろうということになる。つまり分散している公然・非公然の活動家を子供も含めて全て包括した共同体を作ってダンゴになってみたら意外と楽しかった、という経験的なものだったと思う。そこに異なる文化を持つ赤軍派が加わることで、共同体に緊張と亀裂が走り悲劇に向かって転落していった。 | ||||
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連合赤軍、あさま山荘、総括、リンチといった暗いイメージはある事件。その事件から脱走した元関係者の40年後を描く作品。自分の過去を隠して、ひっそりと暮らす日々。地味だけど、興味深く読みます。当時の関係者とも会って過去を振り返ったり、フィクションの中に事実はあるのだろうか。ラスト5ページは深い。 | ||||
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小説としては非常に面白いのだが、自分のしたことをあまり悪いと思っていない主人公にどうしても共感できない。米軍基地にダイナマイトを持っていて、それでもし人が死傷していたら立派な犯罪ではないか。兵隊なら怪我しても死んでもいいと思っているのだろうか? 過去の事件に関しても、それほど反省しているように思えず、むしろ自分が被害者のような心情になっていないか? | ||||
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読みごたえあり 良かったのですが 最後がちょっと物足りなさを感じました | ||||
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過去を封印し静かに暮らしていた主人公の平穏な日常が永田洋子の訃報と共に揺らぎ始める。 そういうはじまりかたをするサスペンスとして読んだ。 連合赤軍のおはなしを期待して読むと肩透かしを食らうのではないでしょうか。 背景として連合赤軍の事件が出てくるが、この本を読んで興味を持った人は、参考文献として紹介されている本を読めばいい。 読みだすととまらず一気に読めたし、一夕のエンタテイメントとしては上出来、叙述トリックの趣もなきにしもあらずでしたが、謎解き本位の物語ではないし、むしろ、ふつうにものを言う女性をトレースするとああいう風にしかなりません、という現実描写に見え、主人公と登場人物が演じる場面からは自分にも響いてくるものがあったし、そこから日常を省みることもできる。 でも個人的にはラストで興ざめしました。が、物語の感想は人それぞれだし、あのラストがいいという人もいそうですね。 追記: 上で「興ざめした」と書いてしまいましたが、これは言い過ぎかなと反省しました。主人公がラストで過去の呪縛から解放され、生を肯定できる予感が漂う終わり方で、よかったな……感じつつ、素直にそう言えなかったのは、私自身に子供がいないからかもしれない。そういう個人的な感想です。読みだすととまらず終わりまで一気に読めましたから、おもしろかったのです。 そして、子供、というよりは、妊娠していたのにリンチされ死んでいった同志だった女性に対して、自分も女性である主人公がずっと負い目を抱いていた、殺された女性の無念さを忘れずにいたという、女性同士の友情とでもいうか、そういう主題のおはなしとして受け止めるほうがいい作品ですね。 | ||||
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桐野氏の作品を初めて読んだ。最初に読んで不快な頭痛が襲い、しばらく目の届かないところに 置いていたが、なんだか気になる作品で、また手に取ってみた。 息絶えた仲間を埋めにいくとか、子供を革命戦士にとか・・・言葉が悪いかもしれないが 『マジか』という感じだし、西田とその妹親子の関係や会話に嫌悪感をもった。 当時のことを器用に伝えられない西田と当時のニュースをスマホで検索する姪。 ネットの記事をうのみにしないでと西田は言うが、姪の世代には無理な話。 このシーンは特にイライラした。どちらも現実を見ていない気がして。 とは言っても、さて自分はどれだけ連合赤軍事件を知っているかと問われれば 知っていることは少ないまま読んだから、結局西田の姪と自分は同じか? 知らないことは無責任だな。 | ||||
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桐野作品は相変わらず読みやすいです。連合赤軍はリアルタイムで知らないので、 読後調べるきっかけになりました。 主人公の「穏やかに暮らしたいがあちこちで脅かされる」という心理は面白いのですが、 妹や姪っ子への「私の気持ちは誰もわかってくれないんだから!」にはイラっときました。 あんただって妹や姪っ子の立場や気持ちはまるでわかってないんだろ・・・と。 結局、いいばあさんになってもまるで成長することの出来なかった人間の末路で、 妹に指摘された通りいちいち自分を正当化する言い訳が鬱陶しいです。 ラストもなんだかなぁ・・・ライターはてっきり主人公に反目する人物の関係者かと思いきや、 意外な展開でした(面白くないけど)。 やはり桐野作品は男性が主人公の方が面白いです。 | ||||
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あっという間に読めるが、早く読めるということが作品の底の浅さを示している。結局、連合赤軍事件はただの背景で、若い時に世間を騒がせた事件に関わった人間は、こういう人生をたどりますよ、ということを言いたいだけ。終わりで、若いライターがどうして連合赤軍事件を追っているのかを語ってくれるのでは、と期待したが、え? という呆れたオチで開いた口がふさがらなかった。最終盤に来て、つい魔が差し、考えていなかった終わり方をしてしまったのでは、と好意的に解釈したが、もし、最初からの予定だったとしたら、何をか言わんやである。 三人称で書いていて肝腎なことを明らかにせず、読者を引っ掛けるなんてプロの作家がすることではない。それを最初から明らかにしていたら、主人公の苦悩ももっと違ったものになったはずなのに。 連合赤軍事件を知らない世代にとっては概略を知ることができるが、それとてもWikipediaで十分といったところか。 | ||||
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恥ずかしながら歴史的知識がなく、史実を調べながら読んだ。 ぼんやり知っていただけの事件をある程度、詳しく調べることになって、勉強になったし、面白かった。 ストーリー運びもテンポよく、主人公が語らずにいるエピソードがこぼれ落ちるように提示されるときはカタルシスがあった。 ただラストは個人的には出来過ぎと感じて、やや白けた。 また、ここで物語を終わらせるのは、中途半端に思えた。 主人公は受身ですべてを諦め無欲のつもりかもしれないけど、頑固で身勝手でプライドが高いだけに思えた。 主人公が夜の谷を超え、自発的に他者に働きかけた結果のシーンを見たかった。 | ||||
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浅間山荘事件に関しては 立松和平さんの「光の雨 」の 描写が生々しく、本書を読む前に一読すると 本書の視点も 理解しやすくなると思います。 桐野さんの著作はほとんど読んでいますが、最後の 種明かし的な告白は 推理小説のオチのように 驚かされるものであり、霧野さんとしては新しい 構成だったと思えます。最後の最後でそれまで首尾一貫して核心に迫らない 主人公の心のうちの謎が解けるので、これは ミステリーと考えたほうがいい作品なのではないかと思いました。 | ||||
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読みながらもしかしたらこれはノンフィクションなのか?と勘違いしてしまいそうになる。ただ実在の人物・事件を描いているので臨場感あふれる。事件とは連合赤軍のあさま山荘の前のあたり。総括というリンチで人殺ししていた頃と東日本大震災の頃を描いてある。 主人公は、あさま山荘に行く前にチームを脱走、警察に捕まり5年ほどの刑期を終えて娑婆に復帰。父親と母親は心労で早死に、妹は一人娘を連れての離婚。そりゃあそうだろう。日本赤軍の親戚がいたらたまらない…。 ひっそりと自分を消して一人で生きていくのだが、生活のいたるところで「赤軍に加わった際の正義感」のようなものが発揮される場面がある。しかし表に出てはいけない…と自戒し何とか大事にならずに生きて来れたのだが… ボスの永田洋子が獄中で病死、そこで自分のアイデンティティの崩壊が始まり翌月の東日本大震災で、自分の中で何かが変わる。 そんな中、当時を知るメンバーが「永田洋子を偲ぶ会」を開催するので出てこい…と連絡。出所後当時のメンバーとは一切連絡を絶っていたのに、どうして連絡先がばれているのか? さらに取材して本にしたいというライターからの依頼。 ひっそりと生きて行く中で近くのヨガ教室などに通うが、そこでも「私あなたと同級生だった気がする…」という女性と出会い必死でごまかしたり、駐車場の管理人と些細な事で戦ったり…。一番のショックは、唯一の近親者である姪っ子の結婚式に呼ばれた事。いろいろ考えてサイパンで可座句だけの結婚式を挙げようとするのだが、主人公は学生運動時代に米軍基地に侵入し、爆弾仕掛けて火をつけて逃げた…という前科があり、サイパンに行けばアメリカに捕まるという…。結婚式の出席を断る事で、今まで隠していた真実を姪に告げる事での喧嘩別れ…。 取材したいというライターに、昔一番仲好かった同志に会いたいという要望を伝え、色んなメンバーを取材していたライターが向こうに了解を取り何十年ぶりかの再会。そこで主人公は自分が思っていた自分と周りの評価にずれがある事に気づく。もう一人会いたい同志への連絡もライターに依頼したが。向こうが拒否。ライターに対して「どうして会いたくないのか」を聞いてほしいと頼み、その結果を聞いたら…。 最後のシーンで、そのライターと一緒に総括というリンチを実施していたキャンプ地を訪れ、そこでのライターの告白が…。 同時の事件や背景を知らない人が読んでもピンとこないであろう。11歳であった私もいまいちわからないところはある。しかし世の間中を騒がす大事件を起こした人たちの行く末はこんなモノだろう…という事はよくわかる。 | ||||
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これがあの連合赤軍連続リンチ殺人事件の実相?深層?「違うでしょう!桐野さん!」と強く思った。「瞼の母」的な終末にも強い違和感を感じた。 連合赤軍事件を扱った多くの作品は、結局小説・映像作品を問わず、事件の周縁をなぞるだけに終わってきたが、『夜の谷を行く』も屋上屋を架しただけ。事件当時21才であった桐野さんならではの社会観に期待していただけに、残念。的外れでもいいので読者が求める筈の、事件の深層へのトータルな視点・解釈が欠けている。とにかく物足りない。 | ||||
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主人公にも全く共感できるところが無い。 また、この人の作品だからやはり底が浅い。 ただの孤独なババアの話ではせっかく重みのある素材を扱っている意味がない。 最終部の展開は救いのつもりなのか、あんな陳腐な話は余計しらける タイトルは変えたほうがよいのではないかなと思える終わり方 | ||||
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最後まで読んで気がついたのは、この本は小説でフイクションだったということ。 連合赤軍事件という重い素材を扱って、こんな結末でいいのかと思うが「小説」だからオッケイなのだ。 苦いドキュメントが最後に一変、メルヘンになっちゃった。 「安寿と厨子王」みたいな。 巻末に掲載してある「参考文献」以上の真実は書かれていない。この本はあくまでエンタメとして読めばいいのかなと。 | ||||
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僕達は今も、[あつものに懲りてなますを吹く]中にいるのだろうか。軽妙に続く話の果てに重く残りました | ||||
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当時の社会を震撼させた連合赤軍事件、40数年を経て、今その時代をかえりみる小説です。 強烈にとがっていた時代があり、今のまるまった時代につながっていくのです。 部分的には実名と共に表され、生々しく、赤裸々で、強く印象に残ってきます。 加えて、ミステリアスなゾーンを描き、衝撃的な結末を迎える。 その時、長年の逃避から救われたような、神々しい光に導かれた思いがする。 当時と団塊世代を迎えた今をつなげる思想の変化。 地味な暮らしぶりと、ずっと引きずっていく心模様。 それはなんだったのかを問いかけています。 決して許されるべきではないおぞましい「総括」。 その「山岳ベース」で起こった出来事を勇気を出して振り返ってみる。 平均的で、自らの信念は持っていない世の中と、過度に偏った信念を持ち行動した時代。 世の中を変えようとした事実は間違った道を歩んでしまったものの、本気で未来をつなごうとしたものです。 ”青春”という血潮を感じつつ、今となっては”青春”という二文字は使わなくなってしまった。 「二十歳の原点」たる時代は確かにあった。 | ||||
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連合赤軍の一員で、「山岳ベース」事件で逮捕された女性のその後の人生の物語。刑期を終え静かに侘しく暮らしていた西田啓子だが、昔の仲間からの一本の電話から歯車が狂い始める。唯一の親族といえる妹や姪との関係も拗れはじめ、元夫との出会いに心もかき乱され、平穏だった日常に封印していた過去が雪崩れ込んでくる様子が描かれていきます。 そして、個人的興味で事件を追っているというジャーナリストの男を通じ、当時と仲間と会ったり等するうち、新しく知り得た事実や事件当時の記憶に押し潰されそうになります。ラストシーンの事件の現場でのジャーナリストとのやり取りは息詰まるものがありますが、一方、その判明した真実の割にはあっさり物語が終わったなという感もありました。 | ||||
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事件を知るにはいいかも。 「鬼の首を取ったよう」 を誤用している。 ベテラン作家なんだからさ、しっかりしようよ。 | ||||
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