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夜の谷を行く
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夜の谷を行くの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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連合赤軍の事件は単なる背景で、過去に教職であった老女が送る悔恨の日常、のような内容。 事件の首謀者の殆どが20代でもあったので、非指導部の兵士は実際、その程度の感覚なのかも知れないが、数年の懲役を経て過去を隠して生活しないといけない状況に陥った過去にしては、軽く扱われ過ぎているのではないか。 忘れたいにしても拘りたいにしても、もっと「共産主義化」について、そこに青春を費やしてしまった事への悔恨であったり誇りであったりを語って欲しかった、というのが読者の期待だったのではないか。 特に主人公は、他の兵士とは異なり、一度教職を経てから活動に参加しているのだから、単なる軽率な若者ではなく、それなりの知識や信念、覚悟を持っての活動だったであろうに、その心情は「言語化できない」ままなおざりにされてしまった。そんな未熟な思想しか持たない教師が、革命戦士の母たらんとして共産主義化を唱えていたというのだろうか。 あるいはそれも、桐野夏生の伝えたいメッセージなのだろうか? | ||||
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桐野さんの作品は何作か読んで面白かったので、連合赤軍事件のことを書いたこの本を読みました。主人公の「言語化できない」という言葉が何度か出てきてどうしてもそこのひっかかってしまい、なぜわかってもらえなくても、説明しよう努力しないのだろうとそこばかり気になってしまいました。連合赤軍に入る強い情熱のようなものはこの本には書かれておらず、刑を終えて帰ってきて疎外感の中で孤独に生きていることに焦点が当てられてはいるのですが、自分が理想として目指そうとしていた社会とはどんなものだったのだろうか、そういうことが知りたかった私しには少し物足りないものでした。言語化しようとして欲しかったと思います。 | ||||
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人の考え方で正解は無いと思います。この本は、連合赤軍の行動とその後の話が主の小説です。私はこの係累の本は何冊か読了しました。読んでみてください。右と左・白と黒のついて考察できればと思います。 | ||||
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連合赤軍問題を扱った作品。オウム真理教事件とならんで、連合赤軍事件は、組織犯罪として、規模および社会に与えた衝撃度がきわめて大きい。関係者が手記などで詳細に背景や事実経過を記し、それらが証言者において異なっている(いわゆる「藪の中」)ので、未だに解けない問題が存在している。 この作品は、連合赤軍と集団リンチに参加した架空の主人公の、初老を迎えた心象風景と、語られなかったある事実を扱っている。誰もが陥る独居老人の孤独、親類や身近な人々との軋轢と、過去のしがらみ、邂逅と希望などを巧みに描写している。しかし、一読してこの心象風景はおかしいと感じた。主人公はひたすら過去を隠そうとし、回りの人々の些細な言動にいらだちを募らせる。あたかもその「過去」が一度の偶然の過ち(例えば破廉恥犯)のようだ。しかし連合赤軍事件は、参加者たちが、ある確信や思想を持ち、その確信ゆえに集合的に内部の脆弱性に牙を向く、というカルト的組織犯罪である。参加者は、リンチを止められなかったという点では、罪悪感を持つのだろうが、その端緒である思想や確信は、紛れもなく自己選択の結果である。こうした自己選択を経験した人々は、過去を全て封印するのではなく、選択そのものの問題点や普遍性を振り返りながら、残りの人生を生き、他者との関係を再構築していくはずである(本書が扱った「革命左派」のグループでは、その確信とは毛沢東思想と切り離せない)。 桐野夏生は、本書の構想について、「革命左派には、ある計画があったそうです。それが、山で子どもたちを産み育てていく計画だった、と彼女の口から聞いたときは衝撃でした。」と語った。しかし、この計画は戦略的なものではなく、当時の中国で採られていた、人民公社などの単位組織内の労働の共同化、保育・家事の共同化のマネにしかすぎない。捜査包囲網が狭まると、都市での潜伏活動もままならないのでいっそ山奥で疑似共同体を作ろうということになる。つまり分散している公然・非公然の活動家を子供も含めて全て包括した共同体を作ってダンゴになってみたら意外と楽しかった、という経験的なものだったと思う。そこに異なる文化を持つ赤軍派が加わることで、共同体に緊張と亀裂が走り悲劇に向かって転落していった。 | ||||
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過去を封印し静かに暮らしていた主人公の平穏な日常が永田洋子の訃報と共に揺らぎ始める。 そういうはじまりかたをするサスペンスとして読んだ。 連合赤軍のおはなしを期待して読むと肩透かしを食らうのではないでしょうか。 背景として連合赤軍の事件が出てくるが、この本を読んで興味を持った人は、参考文献として紹介されている本を読めばいい。 読みだすととまらず一気に読めたし、一夕のエンタテイメントとしては上出来、叙述トリックの趣もなきにしもあらずでしたが、謎解き本位の物語ではないし、むしろ、ふつうにものを言う女性をトレースするとああいう風にしかなりません、という現実描写に見え、主人公と登場人物が演じる場面からは自分にも響いてくるものがあったし、そこから日常を省みることもできる。 でも個人的にはラストで興ざめしました。が、物語の感想は人それぞれだし、あのラストがいいという人もいそうですね。 追記: 上で「興ざめした」と書いてしまいましたが、これは言い過ぎかなと反省しました。主人公がラストで過去の呪縛から解放され、生を肯定できる予感が漂う終わり方で、よかったな……感じつつ、素直にそう言えなかったのは、私自身に子供がいないからかもしれない。そういう個人的な感想です。読みだすととまらず終わりまで一気に読めましたから、おもしろかったのです。 そして、子供、というよりは、妊娠していたのにリンチされ死んでいった同志だった女性に対して、自分も女性である主人公がずっと負い目を抱いていた、殺された女性の無念さを忘れずにいたという、女性同士の友情とでもいうか、そういう主題のおはなしとして受け止めるほうがいい作品ですね。 | ||||
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桐野氏の作品を初めて読んだ。最初に読んで不快な頭痛が襲い、しばらく目の届かないところに 置いていたが、なんだか気になる作品で、また手に取ってみた。 息絶えた仲間を埋めにいくとか、子供を革命戦士にとか・・・言葉が悪いかもしれないが 『マジか』という感じだし、西田とその妹親子の関係や会話に嫌悪感をもった。 当時のことを器用に伝えられない西田と当時のニュースをスマホで検索する姪。 ネットの記事をうのみにしないでと西田は言うが、姪の世代には無理な話。 このシーンは特にイライラした。どちらも現実を見ていない気がして。 とは言っても、さて自分はどれだけ連合赤軍事件を知っているかと問われれば 知っていることは少ないまま読んだから、結局西田の姪と自分は同じか? 知らないことは無責任だな。 | ||||
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桐野作品は相変わらず読みやすいです。連合赤軍はリアルタイムで知らないので、 読後調べるきっかけになりました。 主人公の「穏やかに暮らしたいがあちこちで脅かされる」という心理は面白いのですが、 妹や姪っ子への「私の気持ちは誰もわかってくれないんだから!」にはイラっときました。 あんただって妹や姪っ子の立場や気持ちはまるでわかってないんだろ・・・と。 結局、いいばあさんになってもまるで成長することの出来なかった人間の末路で、 妹に指摘された通りいちいち自分を正当化する言い訳が鬱陶しいです。 ラストもなんだかなぁ・・・ライターはてっきり主人公に反目する人物の関係者かと思いきや、 意外な展開でした(面白くないけど)。 やはり桐野作品は男性が主人公の方が面白いです。 | ||||
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これがあの連合赤軍連続リンチ殺人事件の実相?深層?「違うでしょう!桐野さん!」と強く思った。「瞼の母」的な終末にも強い違和感を感じた。 連合赤軍事件を扱った多くの作品は、結局小説・映像作品を問わず、事件の周縁をなぞるだけに終わってきたが、『夜の谷を行く』も屋上屋を架しただけ。事件当時21才であった桐野さんならではの社会観に期待していただけに、残念。的外れでもいいので読者が求める筈の、事件の深層へのトータルな視点・解釈が欠けている。とにかく物足りない。 | ||||
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最後まで読んで気がついたのは、この本は小説でフイクションだったということ。 連合赤軍事件という重い素材を扱って、こんな結末でいいのかと思うが「小説」だからオッケイなのだ。 苦いドキュメントが最後に一変、メルヘンになっちゃった。 「安寿と厨子王」みたいな。 巻末に掲載してある「参考文献」以上の真実は書かれていない。この本はあくまでエンタメとして読めばいいのかなと。 | ||||
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事件を知るにはいいかも。 「鬼の首を取ったよう」 を誤用している。 ベテラン作家なんだからさ、しっかりしようよ。 | ||||
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すらすらとは読めますが、老後の孤独とか、人間の厭らしさとかが現実的すぎて、気分暗くなりました。 過去を隠して目立たなく生きる主人公の現実が中心で、過去のお話はそんなに出てきません。 期待していたほどのドラマチックは話ではありませんでした。 | ||||
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