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コンビニ人間
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コンビニ人間の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.99pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全749件 501~520 26/38ページ
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やはり村田沙耶香は天才だと思った。 小4になる私の息子は幼い頃にアスペルガーと診断されている。 たしかに、その時まず私が息子に思ったのは、息子はちゃんと「就職」して「恋愛」して「結婚」して「普通の幸せ」を味わうことができるのだろうか?ということだった。 息子は幼い頃から、明らかに集団の中で浮いていたし、友達は気味悪がって近づかなかった。 ただ息子は一人で遊んでいたときにその自分のテリトリーを荒らす友達が邪魔で、突き飛ばしただけなのだ。 そのうち、息子は年の近い男の子には近寄らなくなった。 私がそう言った訳ではない。8歳の頭で考えたなりの処世術なのだと思う。 でも、担任の先生には「いつも休み時間は静かに本を読んだり、女の子とお喋りをしたりしています。年の近い男の子のお友達とも仲良くできるといいんですけど」と面談のたび言われる。 その時に、私は、普通ってなんだろうと考えることになる。 ちなみに息子は、朝きちんと自分で起き、朝ご飯も自分で食べ、体調不良のとき以外は必ず学校に遅れず行き、宿題は欠かさずきちんとやり、決まった時間には必ずゲームをやめ、寝る。 私や先生の言いつけは真面目すぎるほど守る。 私は普通に恋愛して結婚して子どももいて、仕事もたまにサボるし、ゲームして夜ふかしもするし、二日酔いで仕事に行くことすらある。 ファッション雑誌を見てはお金をかけるし、趣味はたくさんあるし、ママ友とのランチは大好きだし、欲にまみれた「あちら側」の「普通」の人間なので、息子やこの本の主人公にはむしろ尊敬の念すら持つ。 この小説は、特にハッピーな話でもないし、暗くて辛い話なわけでもない。 ただただ、一人の人間がそこに存在しているというだけの話。 村田沙耶香は決して現実から並外れたことを書いてるわけではない。 主人公や白羽のことも、気味悪がる人もいれば、理解不能だと言う人もいるのは、当たり前だと思うし仕方ないことだ。少数派だから。 ただ、欲にまみれ、愚痴ばかりで、人の悪口ばかり言い、ないものねだりして、そして勝手な幸か不幸かの物差しにブレる「普通な私たち」のが、もしかしたら不幸なのかもしれないな、ともふと思った。 ただ私は、白羽のことは結構好きだな。アイツ、結構人間臭くて意外と優しいとこあるよ(笑) | ||||
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現代日本社会の「普通に普通」を風刺的に捉え、未来の社会象も射程に収めたグロテスクでユーモラスな寓話として読める。登場キャラクターは極めて直観的で劇画的な造形が施されている。環境が「人間」をつくり、環境が「普通」を醸造していく。この時、危ういのは環境が人に強制するものへの無批判な態度というよりは、それ自体を認識できない状態であり、この小説を偏見や差別的な内容のものとして捉える人はただ端にナイーブとされるだけに留まらず、小説の中に取り込まれ徹底的な批判を受ける対象ともなるので心地良い読書感は望めないかもしれない。ただ、この小説の凄みは、すでに手垢にまみれた主題である「ステレオタイプなカテゴラズによる個人の排除」という社会病理を扱った古臭いものではなく、それをあくまでも見せ玉に使うことでなされた、近未来に到来するであろう「非人間」と「人間」が織りなす不条理劇を予感させるところだと思う。面白かったです。 | ||||
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うん、人は人。 自由に生きていいんだと、 この本を読んで思いました。 | ||||
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若い人たちの、考え方を知りたかった。それに、最近の芥川賞の作品を読んでいなかったので、 選定基準など、どんな基準があるのかとの興味もあった。 | ||||
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5~6時間で読み終わる短さであり、決して読みにくい文体ではないが、深刻な話だった。人間社会の一面を冷徹な視点で描いている。極端にいえば動物としてのヒトの社会。 ヒトは群衆動物である。そして、私も含めて大部分のヒトは社会の歯車・部品で、いくらでも代わりがある。だから、恐怖から逃れるために、その時々に正義をつくって群れようとする。 しかし、その正義は、あくまで群の意識を維持するために創り出されたものであり、それと異なると「やべぇ」として、共感する者どうしの群の関係を確かめる手段となるものである。 そうすると、私たちが当然に受け入れてきた正義は、実際は相互に影響しあうなかで、群から排除される恐怖を背景になんとなく醸成された、真理とは無縁なものが含まれているかもしれない。 また、どんなに金持ちのヒトでも肩書のあるヒトでも一人では絶対に生きられないはずである。しかし、差別意識・格差意識は無くならない。作品中、結構残酷な言葉が主人公に投げかけられる。私自身も職業差別を口にするヒトに会ったことがある。それでも主人公が社会の一部であることに歓びを感じ、自己肯定感を認識できる居場所に出会えていることは、今の私から見ればむしろ幸せな事であるようにも思える。しかも、市場調査もできて、店のみならず客=ヒトに対する臨機応変な優しさもある。これは、マニュアルではなく経験等によるものであるはずだ。ヒトに対する愛おしさも感じるエピソードだ。 一方で、妹の子供が泣いているときのエピソードなどは合理的というだけでは済ますことができない危うさを感じることも事実だ。前述の優しさと矛盾しているようで悩ましい。「店員」と「お客様」というコンビニでのロールプレイングだけだったということだろうか。しかし、プライベートにもコンビニで働く影響が入り込んでいるエピソードがいくつもある。 とにかく、考えるほど、この小説は混沌として多面的で私には難しい。単なるコンビニ店員の職業の問題や白羽の人間性の問題のみに矮小化できるものでない。 最後に、社会生活では、大勢の正義から逃れることはなかなか困難である。しかし、たとえ適応できなくても卑屈になる必要など当然にないと思う。 正直に言うと私自身も困難の最中。群の中で他人との比較によってつくられたアイデンティティーによる幸せも良いが、ありのままに生きることができればそれも幸せなのだと思う(いたい)。 それから、小説はもちろん、巻末の解説も良かった。テクニックも含めた内容の理解に資する、品のあるしっかりした解説だと感じた。 | ||||
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読んでいくうちに、なるほどと思わせられる瞬間が多々あって考えさせられた。是非二十代に読んでほしいと思いました。 | ||||
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平易な文体で読みやすく、情景描写なども無機質で一見味気ないものですが、要所要所に文学的ギミックが散りばめられており最近の作品にはない完成度の高さを感じました。 芥川賞作品も捨てたもんじゃありません。 | ||||
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共感できるかどうかはわかりませんが、なかなか面白かったです。 | ||||
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コンビニという文化を通し、主人公のニヒルな人格が形成されていく。「発達障害」というテーマはさておき、引き込まれる物語だった。 この物語の主人公は、機械学習(自ら学習するAI)を搭載したヒューマノイドのような印象を受ける。いわゆる「普通」といわれる人たちの言動を模倣し、主人公なりの「普通」の最適解を導き出そうとしている。 主人公が妹宅に訪問したとき、甥っ子に対しゾッとする描写があるが、どこかシンギュラリティを題材にした映画のワンシーンに出てきそうだ。『ターミネーター』のようなユーモラスでなく、『2001年 宇宙の旅』のようなシニカルなそれに近い。 科学の裏付けにより無宗教者が増加する昨今、コンビニを崇拝(自己形成の要因)する主人公の姿は、これから迎えるそう遠くはない未来を描いているようにみえる。GAFA(Google・Apple・Facebook・Amazon)の人間からしたら、僕たち消費者はすでに「コンビニ人間」なのかもしれない。 | ||||
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割とコメディーっぽく面白く読めるな、と思っていたら、主人公の合理的過ぎる発言にホラー要素も感じました。 でも、主人公の発言をホラーと感じている時点でおそらく自分も、「普通」という基準で人を裁いているんだろうな、と思いました。 自分は他人を差別したり、多様性を認めないようなことはない、と思っていましたが、それが幻想であったことに気付かされました。 また、主人公はコンビニ店員でいる時だけ世界と繋がれるようですが、人が社会と関わるということは、誰もが何らかの役割を「演じている」のではないかと思います。 「演じる」ことは悪いことではなく、むしろ社会とつながるための技術だと思います。さらに、演じる役割を複数持つことで、その分だけ視点も増えて、人生は豊かになるのではないかと思いました。 | ||||
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本は苦手ですが非常に読み易くイッキ読みしました。レビューにありましたが主人公たちの言動や行動に不快感をもつ読者もいるかもしれない。 それでも社会から疎外感を感じている人ほど共感できる部分は多いと思う。 わたし自身も家族や身近な人からの同調圧力に苦しめられ生きづらさを抱え鬱になりそうな時期がありました。 今わたしは福祉職ですがコンビニという世界で自己実現している主人公はむしろ主体的に生きることができていてとても素晴らしいこと。 勇気をもらえました。 | ||||
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コンビニで十年以上バイトした女性を何人か知っていますが、彼女たちに聞くと、「居心地がよくてついズルズルと長くなってしまって」と答えます。居心地がいいというのは店長さんとか他の店員との人間関係がよかったのだと想像していましたが、この本を読んで彼女たちは全てがマニュアル化された労働環境に居心地のよさを感じるコンビニ人間なのではないかと思いました。コンビニ人間は女性特有で男性にはあまりいないのではないでしょうか。男性でも長期バイトの人を知っていますが、その人はマニュアルをはるかに逸脱した神対応で地元の有名人であり、コンビニ人間とは別種のように思います。登場人物の白羽氏は男性の典型と思え、自分が向上するような創造的な仕事でなければ仕事でないと思って自身の過剰評価をし続けるタイプで、コンビニ人間との対比がおもしろかったです。 | ||||
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文章に明るさはない。 しかし、人の本質を捉えて離さない物語に考えさせられる事が多々ある。 主人公はコンビニ人間であるが、誰しも◯◯人間だと思う。何かを吸収し、知らず知らずのうちに発現し、他者に影響を与えているのだ。 この世は広く思えるが、案外自分の世界は狭い。 自分を構成している物、自分が向き合っている物、自分の未来。突き詰めると、意外とちっぽけな世界ではないだろうか。 自分の人生を見直すきっかけになる本であった。 | ||||
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話は主人公の目線で終始語られます。恵子がアスペ傾向のため、見て感じたことは異質そのものです。 他の感想の中で気持ち悪いと感じたというものもありますが、恵子という宇宙人からの目線のお話だからでしょう。 読み手と恵子は、途中で出てくる《普通でない》白羽から、恵子を取り巻く周囲の状況が思ったより悪くなっていることを知らされます。 恵子はただ、規則に従った世界でたんたんと生きたいだけなのに、周りがそれを許してくれない。 白羽がその理由をうまく言語化して、異質の姿で生きていくと世界から叱られるからと説明します。 私も、世間から見て普通でない自分に居づらさを感じた時もあったため、恵子や白羽も、それになんやかんや言うコンビニの仲間たちの気持ちもわかります。 自分らしく生きるって何?を考えさせられる、素晴らしい本でした。 | ||||
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発達障害なのか、適応障害なのか、はたまたアスペルガーなのか?よくわからないけど、ちょっと変わった人が主人公だけれど、そうじゃなきゃ生きられないのだ。変な人。なんて思っても、実は、自分も変な人。面白かったです。 | ||||
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売れていると聞いたので買ってみたが、これはおもしろい。斬新。お薦めする。コンビニ無しの生活が成り立たない現代社会に出るべくして出た作品だと思う。何がおもしろいのかは、うまく説明できないが、薄い本なので読んだ方が早い。主人公は、まあポンコツだし、非人間的といえばそうなのだが、憎めない。感動するわけでもないのだが、読後感がなぜか、さわやか。 | ||||
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思考の深いすごい本だ。 コンビニは同じ目線でサービスを受けることができる。 そのサービスはすべてのひとに顧客満足を与えている。 24時間、365日があたりまえ。 一日も休まずにオープンしている。 そして、ほしいものが速やかに手の届くところにある。 オートマチックにさえ思える合理的なシステムである。 これは、機械が仕事をしているのではなく、人の労働によるもの。 先日、「もう限界」と、あるコンビニが時短営業にしたら「契約違反だ」とのこと。 コンビニは機械ではないのに、徹底したマニュアル主義。 究極の合理化。 本書では機械のごとく扱う合理化システムに一石を投じている。 また、「異質な他者を排除する」といった人の性質について問いかけている。 人は共存、共有、共助は必要だが、何よりも人の尊厳を守るべきと力説。 「普通」とは何か。 | ||||
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主人公の恵子は、何事にも先入観がなく、裏表がなく、素直な性格だ。自分が生きていける、そして、自分が必要とされている場所があるってことは、幸せなことだと思う。 | ||||
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良く出来た作品というよりは、現実を良く見ている作品だと思いました。 また、作者は他者に対して深い理解と包容力を持つ人だと感じさせられました。 現実の社会は身体的障害者には手を差しのべる傾向にあるが、 精神的に異なる者には違和感を隠そうとしない。 肉親や近い距離に主人公のような人がいると、この本が真実味を持って迫ってきます。 この女性の存在自体の悲しみが一層心の奥に突き刺さり、 最後の意思決定には喝采をおくりたくなった。 この本のおかげで今後人を受け入れられる自分になれそうです。 テーマといい、文脈の構成も新しく映像的です。 否定されている方もいますが、変わらない芸術や文学はありません。 いつまでも過去の文学の香りだけに浸っているのもどうかと思いますよ。 | ||||
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読みやすい文体でした。 話しの展開には惹かれませんでしたが、主人公の心理描写で厭きずに読めます。 読む人の境遇や性格、環境によって、主人公に対する思いや共感、受ける印象が変わります。 淡々とした語り口に暗いと感じるかたもいるようですが、冷静に見えて小さな感情の起伏もあります。 周りが勝手にそういう目で見ているだけで、主人公は明るく楽しい日々を送り、 自分なりの普通を過ごしているように私には見えました。 | ||||
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