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名もなき毒
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名もなき毒の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.81pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全189件 161~180 9/10ページ
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この「名もなき毒」は、宮部みゆきが漠然と感じている社会全体への気持ちが主に感じた。 私達が今暮らしている社会は<名もなき毒>が蔓延して、人はとても無力なのだ。 テレビで報道される事件から、住居や職場など読者の生活にも繋がる事柄をゆっくり絡めて、ラストで宮部みゆきが隠していた<毒>を浴びる。 私達が生きる社会は、解毒剤を持たないまま、毒を避けて生きるしかないのだろうか。 他人の幸福が妬ましい、不幸にしてやりたいと実行してしまう人たちの繁殖に、人は無力でいるしかないのか。 宮部みゆきの寂寥感だけが、印象に残る本だった。 | ||||
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宮部さんの小説は人間に対する暖かいまなざしが持ち味ですが、本書のような寂寞とした人間関係がテーマとなると、内容と語り口とがそぐわなくなる感じがします。犯罪被害者の家族は本当に本書の登場人物のように犯人に対し寛容でいられるのか、やや釈然としないものが残りました。 | ||||
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読みました。一気に。傑作というしかありません。とても悲しくなります。涙がこぼれます。確かに、昔の宮部さんとは違いますね。模倣犯以降かな、こういうテーマが多くなりました。読者の中には、物足りない人もいるかもしれません。でも、なにか、自分の日常と照らし合わせて、重く響いてくるような気がします。「自己実現」から今、人は「何か」にならなくてはいけない錯覚に陥り、人は皆苦しんでいるのですね。「ダイエット」、「スポーツ」、「受験」etc。「そのままでいい」とは思わなくなってしまい、その「何か」になれずに苦しみ、「毒」が生まれる。まさに、自分もそうです。この本を読んで心に何かが残った人は、みな、自分の毒が分かっているので、心を揺さぶられるのでしょう。 | ||||
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財閥今多コンツェルン社内報「あおぞら」の編集 部に勤務する杉村三郎はトラブルを起こしてパート を首になった原田いずみの身上調査の過程上で連続 無差別毒殺事件の関係者とも関わることになる。 世の中には色々な毒がある。毒殺に使用される青酸カリ のみならず,住人をさいなむシックハウスや土壌汚染・・・ 本書の文中にもあるように「人間が住まう限り,そこ には毒が入り込む,なぜなら我々人間自体が毒なのだから。」 実際の毒も描きながらも人の心に巣喰う毒を静かに 描いた本である。人の心って難しい・・・ 読んで気付いたのであるが,「誰か」の続編である。 しかし,前作の話も出てくるが,単体でも十分に読める 内容であった。 | ||||
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ほかの方も書いておられましたが、私も人物描写の薄っぺらさが気になって、最後まで物語の世界に入っていけませんでした。 いくら裕福であくせくしていないとはいえこんなに浅い夫婦の描き方があるでしょうか? なんだか子供向けの探偵小説でも読んでいるような感じがしました。 土壌汚染など社会的なことも織り込んでいますが、ストーリーにどうしても必要なものだったとは思えませんでした。 薄っぺらな登場人物がほんとに必要なのか?というくらいちょこちょこ出てくるし・・・ 楽しみにしていただけに残念です。 でもしょうもないとはいえ、最後まで一気に読み進められたのは宮部さんの筆力によるのかな〜と思ったりもしました。 | ||||
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本屋でさんざまよった挙句購入。(ハードカバーはめったに買わないので) しかし買ってよかった。通勤中に読もうと思っていたけれどとまらず、最後は結局会社のトイレでこそこそ読みきってしまった。ごめんなさい、会社。 大筋は毒物混入無差別殺人事件が軸になるのだけれど、さまざまな毒、さまざまな事件が絡みあって話は進んでいく。各々のエピソードが興味深く、それだけでじゅうぶんおもしろかった。 けれど、それらを最後にまとめあげる手腕はさすが宮部さん!あーー、こういうことが言いたいがための話でしたか、と最後迄きて深く考えさせられた。 世の中には名もなき毒がたくさんある。それは誰もが持っている。誰もがその毒にさらされて生きている・・・。 生まれながらに不平等な世の中。北見さんの言葉を借りるなら「生きにくく、生かしづらい」か。 深く考えさせられた。ああ、人間こそが毒。 惜しむらくは、いろいろなエピソードが絡まりすぎて、各々が若干薄くなってしまっていることか。 もう少しそのへん聞かしてくれんかい!?と思う個所がちらほら。それは欲張りってもんですか? | ||||
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憎悪は心の毒。ごく普通の幸せな会社員が探偵役に巻きこまれる本シリーズ2作目は、青酸カリによる連続毒殺事件、土壌汚染、シックハウス症候群といった化学薬品の毒を横糸に、そして周囲を次々に不幸に陥れる憎悪に満ちた「普通の」キャラクターを縦糸に物語が織られて行く。モルヒネは勿論、毒は人間の脳内で生成される・・・ 一人ひとりの登場人物の描き方、過不足のない横糸・縦糸、陰惨な事件なのにどういうわけか心地よい読後感。ブレイブストーリーでの実験に物足りなさを感じる読者にとっては、名匠・宮部みゆきの最近の代表作といって差し支えない。 | ||||
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単なるミステリーに留まらない、文字通り社会の、人間の「毒」をえぐり出す作品です。 個別の事件にというよりは、事件を引き起こす背景、社会に恐ろしさを感じさせる作品。それでいて400ページ以上の長編をあっという間に読ませる力。宮部さんの他の作品も好きですが、本当にすごいと思います。是非一読を! 「死者は帰ってこない」ではなく「喜ばない」。こう言わせる心の中に、毒に抗する光を見出したいものです。 | ||||
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『誰か』は未読ですが、十分に楽しめました。 少しだけ読む予定でしたが、結局最後までページをめくる手が止まりませんでした。読後感も、すっきりした感じです。 『名もなき毒』というタイトルが気になっていたのですが、この本を読み終えて、本当に世の中のあらゆるところに毒のようなものが散らばっているのかもしれないと思いました。目に見える毒だけでなく、人の心の中や、ことばのはしばしや、いろんなところに。私たちは、自らの中にも毒を秘め、時にはそれを吐き出しながら、様々な毒に囲まれて暮らしているのではないかと。 土壌汚染の問題なども出てきて、勉強になりました。 ボリュームがあり、先が気になるので、まとまった時間がとれる時に読んでいただきたい一冊です。 | ||||
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やっぱり宮部みゆきはすごい!!人間観察のするどさ、温かさは他の作家にはない。お約束のように出てくる下町気質のおっちゃんもいいし、若者にたいする温かい視線もいい。 何不自由ない生活をおくる杉村については、前作ではあまり感情移入できなくて、あまり好きではなかったのだけど、ここで「働かせる」ためにとっておいたんだとガッテンした。 「日常生活の中に、どこにでも潜む悪意。その名もなき毒に名前をつけて、解毒剤をつくらなくてはならない」怨恨やカネ絡みといった犯罪からかけ離れてきた昨今の犯罪社会にたいして警鐘をならしている、そういう作品です。 普通と言う言葉は「空虚」と同義語だ、「自己実現」なんていうやっかいな言葉が生み出されて、皆が空虚に気づいてしまった、という、コワイ言いっぷりにもガツンときます。 | ||||
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青酸カリによる連続無差別殺人事件を縦糸に人間の奥底に潜む「毒」を描いた作品。前作『誰か』の主人公杉村が同じような狂言回しとなる。それなりに思いいれのある人物なのかもしれない。480頁にも及ぶ長い作品だが一気に読ませるのはこの作家の力量だとつくづく思う。かっての宮部作品のように社会問題やオカルトなどをテーマに深刻な悲劇を描きつつ、ラストでどこか人の心を和ませるハート・ウォーミングな作風は、『理由』『模倣犯』以降変りつつある。この作品のラストでも主人公杉村氏の今後の生き方を予感させるような記述がある。でも、どの可能性もまた悲しいものを予感させてしまう。 | ||||
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「誰か」と同じ登場人物が登場しますが、もちろんこの「名もなき毒」単品でしっかり楽しめます。ただ、前作の誰かを読んで杉村氏とその周辺の登場人物をつかんでいた方がやはり色々楽しめます。 詳しくは書けませんが、私はこの本の中に登場する事象について名前は聞いたことはありますが、自分には関係のないこととしていました。それが、これを読んで人や物が怖いなと思うところがたくさんありました。 相変わらず人物がとても丁寧に書かれていてそれでいて不自然ではなくまさに周囲にいそうな人がたくさん出てきます。 複雑に絡み合った人間関係の末、まったくどのように事態が収束するのか予想もつかないまま、気がついたら結末を迎えていました。 やっぱり読んでいる間は苦しいところもありますが、最後まで読み終わった感想はすっきりとしました。さすがですね。 やっぱり宮部さんの現代ミステリ、好きです。 | ||||
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ひとつひとつの情景を思い描き読み進めていて、 つい泣いてしまった箇所がいくつかありました。 「今の自分の状態を受け入れられない」 「自分を認められない」 前向きに考えれば、向上心になるところが、 殺人の動機となっていく。 人の心には毒になる要素が多すぎると感じた作品でした。 | ||||
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夏風邪で有給とった時、病院の待合室でベッドで一気に読んでしまいました。 それには腕には重い一冊でした。 読み進めるうちに、『杉村さんて、宮部作品の常連さんなの?』という疑問が 湧きましたが、「誰か」で登場済みだったんですね。 ほかの方のレビューにもありましたが、この作品からでも馴染めます。 絡み合う事件と環境問題、人物の心の動きなど、1ページ目から惹きつける宮部さんて本当に巧いです。 | ||||
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「誰か」の登場人物で会社の会長の婿養子的存在の杉村さんが主人公のお話です。続編がでて、うれしかったですが、期待していたよりも、最後がちょっと端折りすぎてて、なんだか宮部先生にしては、「キレ」が無いかなって思う作品でした。でも、登場人物の特に家族の、ほのぼの感は宮部先生らしくって大好きですが・・・終わり方が急ぎすぎて、えっ、こんなんで終わりですか?って言う感じで物足りなかったです。個人的には、残酷ですが、もっとえげつないラストにしても良かったと思います。次回作に期待します。 | ||||
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人物描写への踏み込みが絶対的に足りません。特に不満をもつのは主人公の杉村氏とその妻、周囲の人々に関するものです。彼らがあまりにも「善良で罪のない人」と書かれてしまうので、逆に作者によって「救いようのない悪人」とされる登場人物に同情心をもってしまうほどです。 宮部みゆきという人自身が常に現実世界の中で「人間のもつ毒」を敏感に感受し続けるゆえに、自分の作品世界の中だけは理想的な楽園にしたいのでしょうが。 さすがに慧眼の持ち主だけあって、主人公たちのもつ善性の矛盾をチクリ、とさす箇所はいくつかはありますが寸止め程度で抑制されてしまいます。「火車」のころには確かにあった、日常生活に潜む、オカルトの類とは異なる恐怖を感じさせてくれた筆力はもう戻ってこないのでしょうか? | ||||
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面白いと思ったし、実際、人の心に毒は存在すると思うのですが、それぞれの犯罪の動機が今一つだなあと思いました。人の怒りってそんなふうに表面化するものなのでしょうか?多少の度合いはあるにせよ、そんなものなのかなあと思いました。物語としては面白いし、「誰か」の続編みたいだけれども、宮部みゆき大ファンとしては、「模倣犯」や「レベル7」の勢いと巧みさで書いてほしいと思いました。でも、みゆきさんのひさびさの現代ミステリー(私は、宮部みゆきは現代ミステリーを書かせたら、日本一だと思っています。)満足の出来です。 | ||||
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宮部みゆきさんの大ファンで新作が出るごとに読んでいます。 今回も期待通りの内容でした。 名もなき毒、の意味が最後にやっとわかりました。 その時点で、その強度に違いこそあれ、すべての登場人物が毒を内包しているのでは、と感じられました。無邪気に見える菜穂子さんでさえ、常識的な今多会長さえ、見方によれば毒を持っていると言えるのではないでしょうか。毒が他人に与える影響が多いか少ないかだけの違いではないでしょうか。私たち誰もが知らないうちに毒を吐き出して、他人を傷つけているかもしれない、と思ってしまいました。 | ||||
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この、もの悲しい読後感は、何なんだろうかと思う。正直で全うな生き方をする人間が不幸に見舞われることか、権力・地位・財力を得てもなお無力感を感ずることか。どうやら、ここで描かれている登場人物は、正直で素朴な主人公も、権力や財力を得ているその義父も、また犯罪を犯した人々も、皆、満たされぬ思いを持っているからかもしれぬ。その満たされる思いを、解消するすべをもっているか否かで、犯罪者になるか否かが決まる。犯罪者、異常者と、ここで描かれている良い人々との、実は差異があまりないことに、もの悲しさを感ずるような気がする。 | ||||
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文章が巧みなので情景が目に見えるように書かれていて引き込まれる。 杉村さん一家が皆とてもかわいらしく好感が持てる。それと悪い人との 対比がすばらしい。この話の怖いところはごく普通の (この言葉の意味も掘り下げられててよかった)人たちが自分の中で 毒を作り出し、人に危害を加える存在になる、というところ。 今もどこかでこんなことが起こっているからこそたくさんの人に 読んでもらいたいと思う。 土壌汚染の話がとても興味深かった。 宮部さん、杉村さんものをシリーズにしてください! | ||||
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