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もう過去はいらない
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もう過去はいらないの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.29pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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ヒトラーのホロコーストを逃れて移民したユダヤ系アメリカ作家は悲惨な体験を基に人間の偽善、欺瞞、裏切り、愛欲等を小説に書いているが、ダニエル・フリードマンもユダヤ人のアイデンティティと悲惨な過去を作品中に盛り込んでいる。単なる推理小説に終わらないのは主人公がユダヤ人であるゆえの過去を背負い、アメリカ社会の体制側の立場とユダヤ社会の共同幻想の板挟みで葛藤しながらも自己の信念を貫くハードボイルドな生き方が痛快であるからだろう。前作の『もう年はとれない』の続編になるが、前作同様、エンターテインメントな小説として堪能できた。 ちなみにシンガーはノーベル文学賞受賞作家で、マラマッドは『魔法の樽』の作者である。シンガー、マラマッド共にユダヤ系作家だ。アメリカ文学に豊穣さをもたらしているのはこうしたユダヤ系作家の存在があればこそだ。 | ||||
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評者がダニエル・フリードマンの『もう年はとれない』 を、読み終えてレビュー投稿したのが2015年9月24日であった。 その折のレビュー・タイトルに、「歳が歳だけに期待できないバック・シリーズ」と、書いてしまった。 そんなことから次作が刊行されていたのは知ってはいたが、なんとなく読む気にはならなかった。 でも、著者が、このご老人にどのような物語を創作するのか多少興味があり本書を入手してしまった。 本書『もう過去はいらない』は、前作のラストから4ヶ月後の2009年6月から始まる。 前作で受けたダメージからバックは、ヴァルハラ・エステートという名称の介護付きライフスタイル・コミュニティ施設で、辛いリハビリを強いられながら、妻のローズの助けも借りて過ごしている(孫がこの施設を「老人ホーム」というたびにバックが、「介護付きライフスタイル・コミュニティ」と訂正するのが笑ってしまう)。 著者フリードマンは、歩行器に頼らなければ立って歩くことも難儀なバック老人が、どのような技を使ってストーリーを構築するのか興味津々で読み始めた。 2009年と1965年という時を行ったり来たりしながらストーリーをパラレルで語って行くから、バックが若かりし頃に活躍するシーンも登場して読者を飽きさせないという著者のプロット構成に苦心が伺える。 「忘れたくないこと」などという囲みのページも挟んでいることもストーリー展開にスパイスを利かせていて効果的である。 1965年にバックが出会った稀代の銀行強盗イライジャを、2009年に登場させながら物語は進んでゆく。 ネタバレになるからストーリーの内容は書かないが、まあバック・シリーズ第二作として期待外れの作品ではなかったから楽しむことはできた。 が、巻末の川出正樹氏が、このシリーズの第三作と第四作が刊行されると書いていたが、評者は手にしたいとは思わない(怖いもの見たさで気が変わるかも知れないが・・・)。 それよりもこの解説で紹介されてたのだが、ケンブリッジ大学在学中のロマン派詩人・バイロン候が、下宿屋で発見された若き女性の遺体を巡る謎を追う『RIOT MOST UNCOUTH』という作品が読みたくなってしまったので早く翻訳出版されないかな~と、思いながら本書を読み終えたのです。 | ||||
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前作を読んでいるにもかかわらず、本作を読んでもその内容がまったく思い出せず、主人公以上にもうろくしている自分が心配になりました。 本作も読んでいる間はとても面白かったのですが、読了直後の現時点において、この続編が出た頃には、本作が忘却の彼方に行ってそうな予感がひしひしとしています。 言い訳をさせてもらえば、ユダヤ人に対する差別、その受けてきた苦難、同胞に対する愛憎が肌感覚で理解できない限り、この主人公の行動原理に深いシンパシーを抱くのは困難なような気がします。私なんかは、白人の中のユダヤ人を、名前や顔や習慣で見分けられないし、ナチスの特殊性はともかくとして、北米の白人社会の中での差別・被差別感がよくわからず、なんでそこまでという場面が多かったです。 なので、家のどこかに埋もれている前作を苦労して探し出すほどの吸引力は感じませんでした。 | ||||
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前作もハリウッドシナリオのようで面白かったですが、今作はさらに深く、知らないことも多かったためヒジョーに勉強にもなりました。ダニエル・フリードマンあなどれない。このシリーズの続きがさらに楽しみです。 | ||||
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多くの方が絶賛しているので、内容の良さについては書きません。文句なし!! ただ……。 電子版で読んだのですが、奥付手前の著者プロフィールが、前作のものをそのまま流用になっているようです。 邦訳編集時の単純ミスなんだと思いますが。 | ||||
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面白い!次作も早く読みたい・ ユダヤ人社会の話は、フエイ・ケラーマンでも、興味深く読みましたが。こちらもためになります。 | ||||
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前作「もう年はとれない」でヒーロー史上最高齢(?)87歳で登場した元メンフイス署刑事バック・シャッツが帰って来た。前作で傷ついた彼は、もっと 身体も弱り、自宅を売り妻のローズと介護付きホームで暮らしている。その彼の所にやって来たのは、シャッツが昔追い掛け回した伝説の 銀行強盗イライジャ。彼も80歳手前の年になっている。同じユダヤ系であっても信念も辿って来た道も異なる二人だが、今回イライジャは自分を 助けてくれと依頼する。そこから、昔のイライジャが起こした銀行強盗と、現在彼が追っかけられる理由となった事件が、並行的に描かれて 行く。シャッツは、身体は弱り、やや認知症の傾向があることを恐れながらも、ここぞとなる事件の分析には極めて鋭いところを見せるし、 ちょっとやり過ぎの感があるくらいまだ「暴力的」でもある。だが、前作に比して、より彼のユダヤ人としての苦悩が描かれ、若くして逝って しまった息子ブライアンとの葛藤にも触れる場面も多い。それが作品に深みを与えている。一方、彼が吐き出す毒舌はより鋭く、またブラック ユーモアも満載である。米国のハードボイルドに良く出てくる、「世の中には2種類の人間しかいない、利用できる奴とそうでない奴」的な表現も 多く、私は好きだ。ブライアンの死の原因についてはこの作品でも触れられなかった。多分、この重いテーマを引きずりながら第三作、四作と 進んで行くのだろうと思う。楽しみなシリーズである。 | ||||
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前作は87歳の元刑事が孫と一緒にドタバタするというもので、ミステリーとしての面白さもさることながら、認知症の一歩手前の爺さんと孫の掛け合いがコメディー的でいい味を出していた。 その続編となる本作では主人公は前作より一歳年を取ったにもかかわらず、歩行器を使いつつも、頭の方は至って明晰で、孫の助けもほとんど不要となっており、コメディー的要素が減った一方、仇敵との対決に関するミステリー的面白さに加えて、アメリカ社会におけるユダヤ人の立場といった文化的な側面への言及もあり、前作とは別の小説といっても過言ではない読後感を得た。 ユダヤ人というと金融、法曹、芸術といったいわば頭脳労働で活躍しているイメージがあるが、この爺さんはどこへ行くにもマグナムを持ち歩き、すぐにそれをぶっ放す危険なユダヤ人で、通常の日本人の持つユダヤ人のイメージと全く違う。まあ、イスラエルがパレスチナでやっていることを思えば、それを個人レベルでやっているとも言えるが。 ちなみに、前作でも不明であった息子の死因は今回も明らかにされなかったが、それに何らかの関わりを持つに違いない(と私が思う)仇敵が逃走中のまま本作が終わっているところから、Buck爺さんはまだまだ死ねない。三作目を期待しよう。 Buck, don’t ever die. | ||||
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面白い。 意外と社会派。 なにせ、主人公は88才。 現役時代を織り混ぜないとハードボイルドにはいささかつらい。 昔の若者の憧れは○○だったが、今どきは○○だというフレーズはクール。 | ||||
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前作に続き、面白く読みました。 何れ出版される予定の次作・次次作が楽しみです。 | ||||
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大当たりでした。 じいさんヒーローってどうなのよ? と思いつつ、「窓から逃げた100歳老人」などもすごくおもしろかったし、海外ドラマでも再雇用のじいさん刑事が大活躍している時代です。 で、読んでみてすぐハマりました。 歩行器必須の老いっぷりと不屈のユダヤ魂の華麗なるコラボ。 通勤電車で笑わずに読むのは困難です。 文章のリズムもイイです。 翻訳もよいのでしょう。 最近、冒頭と最後だけ読めばいい! って感じの、中盤はただだらだらと結末までひっぱるためにコトを複雑にしようという魂胆見え見えの、執筆スキルの拙い作家が人間関係を冗長に書き連ねるだけの駄作ばっかり読まされていたので(C級北欧ミステリ乱発の被害者ですわ・・・)、こういう無駄のない痛快な作品にめぐりあえて良かったです。 シリーズらしいのに前作を読み逃してしまったので、これから読みます。 イケてるよ、バック・シャッツ!! | ||||
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375マグナムが口を利けるなら、 高齢のシャッツ氏に対して拳銃所持期限が満期を過ぎていると通告するだろうか。 氏には長生きをしてもらいたいが、くさった町をゆくには、銃はやはり必要かもしれない。 ふたたび登壇したシャッツ氏を大きな拍手で迎えたい。 この拍手は、今作に登場するシャッツ氏との因縁浅からぬ犯罪者の歓迎も兼ねる。 前作を痛快なハードボイルド・ミステリとして能天気に楽しんだ。 この痛快さは本作でも持続するが、物語の奥行きは相当に増している。 主要登場人物たちの行動原理がより濃密に書き込まれているためだ。 行動原理の一部は特定の宗教観に支えられており、 その方面の知識を持たないので、 この物語を十二分に味わえていないのではないかと 少々の不安を感じている。 その不安を蹴散らすほどの面白さが、この物語にある。 翻訳文体も素晴らしい。 前作同様、シャッツ氏の一人称視点で、現在と過去との2本立てで進行する。 過去と現在はやがて交錯する。 因縁との対峙する瞬間であり、 ツケの支払い方、或いは受け取り方が示される。 その双方のハードでルーズでクールな心の綾は たまらなくかっこいいのだ。 | ||||
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