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水の葬送



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【この小説が収録されている参考書籍】
水の葬送 (創元推理文庫)

水の葬送の評価: 3.90/5点 レビュー 10件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.90pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全8件 1~8 1/1ページ
No.8:
(5pt)

ペレスに、はまりました。。。

フランを亡くしキャシーを育てるペレス。そんなペレスに親近感がわく。前作に続き、大丈夫かと心配になるが、事件の解決に取り組むペレス。これで六作目。これからもこのシリーズが、続いてほしいと切に願う。
水の葬送 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:水の葬送 (創元推理文庫)より
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No.7:
(4pt)

またべレスに会えました。

シェトランドシリーズが、これでいいの?という終わり方だったので、フィクションなのに納得できずにいました。べレス警部にももう会えないのかと寂しかったのですが、また会えました。ぐだぐだでもボサボサでも、べレスに会えただけでもうれしいのに、以前のように仕事に向かっていけるようになって一安心。「(仕事に)行かなきゃだめよ。お金が必要だもの。遠足に150ポンドかかるのよ。」というキャッシーの言葉にべレスも救われたけど、わたしも救われました。おもしろく読み進めていたのですが、終わるのがもったいなくて最後はゆっくり。
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No.6:
(5pt)

複雑な人間模様、英国の多様性

シェットランドシリーズの5作目です。シェットランド四重奏と呼ばれる最初の4作がいったん完結し、しかも非常にショッキングな終わり方だったので、いったいこれをどう再開するのだろうと思っていました。が、時系列的にも素直に4作目の延長で、それぞれ登場人物の物語が続いていてなじみのある雰囲気だったので、何かなつかしいような気持ちになりほっとしました。

生まれも育ちもシェットランドだけれど、ロンドンの大手新聞社に勤め記者として成功したジェリーが小船の中で死体となって発見されます。彼は野望いっぱいで石油プラントに関する特ダネを狙っていた様子。けれど、帰省した本当の目的はいったい何だったのか?死体の発見者は、いつもなら捜査を上から見下ろし監督する立場のローナ・レイン地方検察官。発見者が容疑者である可能性が高いという基本的法則から、微妙な立場に立たされた彼女はどうやら何か隠している様子。若手刑事のサンディが捜査に当たりますが、いつも導いてくれる上司ペレスは、先の事件のショックから病気療養中でまだ精神的に立ち直れていません。そこへ上司として本土から派遣されてきたのは、やはり僻地の島であるヘブリディーズ諸島出身の女性警部ウィロー・リーヴスでした。
美しい北国の大自然と島という閉ざされた場所での人間関係、そこで起きた事件が描かれているのはこれまでと同様ですが、今回少し違うのは、石油と天然ガス、それらによって潤い発展する島と、昔ながらの生活をかたくなに守り、環境問題を重視する反対派など、社会問題の要素が入ってきたことです。英国最北、僻地の島と言われていたシェットランドの変わり行く姿も描かれています。また、これまではシェットランド本島の他にウォルセイ島とフェア島が登場しましたが、今回はイェル島とフェトラー島が描かれます。このシリーズを読んでいたら、いつかシェットランド群島を訪ねてすべての島に足をのばしてみたくなりそうです。

個人的に興味深かったのは、新しく登場したウィロー・リーヴス警部の出身地ヘブリディーズ諸島とシェットランド諸島の対比です。ヘブリディーズ諸島は英国本土の西側、アイルランドとの間の海域から北西に渡って広がる島々です。本土に近いインナー・ヘブリディーズはウィスキーの蒸留所で有名なアイラ島や観光地スカイ島などがあり、さらに遠くに位置するアウター・ヘブリディーズは英国最後の秘境とも呼ばれていて、最近、日本でも人気が出てきたハリス・ツィードの本拠地で、ケルト文化の名残が強く残っている土地でもあります。
ロンドン出身の警視に、両方を一緒くたにされ、シェットランド出身のサンディ刑事は思います。「彼らはゲール語をしゃべるし、あそこの小農場は砂と海藻だらけだ。地形も違えば文化も違う。ヘブリディーズ諸島では日曜に酒を飲めない。ヘブリディーズ人とシェットランド人に共通点があると考えることができるのはイングランド人だけだ。」ウィロー・リーヴス警部も、インバネスの上司に「シェットランド人は世界の果てで暮らしていて、自分たちは世間一般の規則の粋外にいると考えているいかれた連中だよ。」と言われ、こんなふうに感じます。”その言葉の言外の意味は、彼女もまたいかれた連中の1人であり、ただし彼女の場合は”北の果て”ではなく”西の果て”の出身だったが”と。このように日本人にとってはめずらしい地方色が色濃く出ているのも、このシリーズの魅力でもあります。

4作目に起きた事件で精神的に大きな打撃を受け療養中のペレス警部が、ゆっくりと少しずつ元気を取り戻していきそうな様子にほっとしました。先に希望が持てる終わり方でよかったと思います。2013年にすでに次作が発表されているので、日本での翻訳出版もそろそろではないかと期待しています。このシリーズ、ずっと続けていっていただきたいです。
水の葬送 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:水の葬送 (創元推理文庫)より
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No.5:
(4pt)

リバース読み中

1冊めの著者の本でした。そして今シリーズ1作めの「大鴉の啼く冬」を読んでいます。
本作「水の葬送」で、主人公ペレスは恋人をなくし自身も「療養中」だったことが分かっていますが、その恋人フランとは「冬」で知り合っていたのですね。シリーズの順を追って読んでいないので、彼女の人柄を懐かしむことはできなかったけど、今、以外に普通の女性といった印象の生き生きとしたフランの輝きを感じながら、これから成就していくであろう新しい恋の始まりを楽しんでいるところ。そして「秋」に大きな何かが起こるのですね。レビューを拝見するのは本作のみにしておきましょう。
「冬」を読みながらひとつ気になっていることがあります。
サンディ巡査のあつかいひどくないですか。どうしようもなく子供でアホな人としてペレスも容赦ない。本作「水の葬送」でも単純なキャラでしたが、ジモピー巡査として大活躍するわけで...その間で成長したということでしょう。この辺も楽しみ。
本作でも、気になることが。本土からくる女性の新任警部リーブスにペレス男になっております。まだ鬱状態になることもあるというのに、かたや若い女性の髪の匂いに興奮してる。正直と言えばそうだけど、ちょっと簡単すぎ早すぎな感想。ただ、彼女のキャラクターが面白いので、そこくっつくなよーと思いながら読んでました。続編も楽しみです。
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No.4:
(4pt)

称賛あまたの中で、残念な点

アン・クリーブス四部作中、最高点をつける読者が多いなか、残念な点がひとつ。それは、犯人逮捕後、かんけいした刑事計三名が主人公刑事の自宅にあつまり、事件をめぐり解説を行うわけだが(これはミステリーにはよくあるシーン)、その時点で、あれはこうだった、それはこういうことだった・・・とかの種明かしが多過ぎ。とうぜん刑事三名が三名とも、正しい理解と納得のうえに終盤の犯人逮捕にたどり着くわけはないのだが、それにしてもこのシーンで、アレはこう、コレはこういう事情があったとの、後付け説明が多過ぎ。それは、せいぜい二つ三つが好ましい。そして夜も更け、その仲間たちがドアをあけ出ていくとき、「ああ、それから最後にひとつ・・・」とかなんとかのセリフを誰かに言わせ、それがもっとも当該小説のキモになる箇所なのだが、「それはね、じつは・・・・、こういうことだったんだよ!」みたいな余韻があったほうが・・・。ただし人それぞれ、作家にも読者にも好みがあるわけだし。そういう点から、最高点は上げられないな、個人的に。
水の葬送 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:水の葬送 (創元推理文庫)より
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No.3:
(5pt)

失意と苦悩の日々を乗り越え本来の姿を取り戻したペレス警部の名推理を味わえる幸せ。

近年の英国本格ミステリー界の大きな収穫と言える重厚な四部作〈シェトランド四重奏〉の延長線上にあるペレス警部シリーズ待望の第5作です。本作は舞台がシェトランド諸島である点はこれまでの四作同様で、その代わりに題名に色彩を配し季節感を取り入れる趣向が消えた事で真相を暗示する要素が減って漠然とした感じになり(少し平凡な題にはなりましたが)詩的でもあり私は却って良くなったのではないかなと思いますね。今年61歳とまだまだ若く現役バリバリの著者はペレス警部シリーズを今後も順調に書き継いで行ってくれそうでますます楽しみですが、欲を言えば(時間は十分あるのですから)もう一つの「女性刑事ヴェラ・スタンホープ」のシリーズも何時か紹介されて読めると良いなと思いますね。
地元出身の若い新聞記者マーカムは本人曰くエネルギー産業関連の問題について取材すべく帰省したとの事だが、その後シェトランド諸島の地方検察官ローナによって家の近くの海に漂う小船の中で死体となって見つかる。インヴァネスから新任の女性警部リーヴズが派遣され捜査に当たる事となり、サンデイ刑事と恋人フランを失ってから病気療養中で本調子ではない地元署のペレス警部も次第に参加して行くのだが事件は杳として解決の目処が立たぬままで進み、やがて不可解な第二の殺人事件が発生する。
今回もやはり大長編で長かったなあというのが実感ですが、考えると小説の上では前作から半年後の物語とは言え、著者は前作から3年後に別シリーズの執筆を間に挿んで一年を掛けて感情を込めた上でじっくりと書き込まれるのですからどうしても長くならざるを得ないのかなと思いますね。結論から先に言いますと、ミステリーの派手なトリックという面では次第にインパクトは減りつつありますが、それでもやはり犯行動機や犯人隠しのテクニックには秀でていて、著者の描くシェトランド諸島には本当に秘めた激情の思いを抱きながら決して本音を明かさない人々が多いものだなあとつくづく感じますね。それから本作には一時期の我が国で盛んに流行した企業を巡る殺人ミステリーの気配が濃厚に漂っていましたが(私としてはそうなるとあまり面白くないなと内心で心配していました)、その要素は皆無ではないにせよ全体から見て期待は大きく裏切られなかったので満足でした。登場人物の面で言いますと、やはり事件の鍵を握る地方検察官ローナが一番怪しからん!と凄く腹が立ちましたね。自分にとって非常に不名誉な事とは言え重要な事実を正直に警察に打ち明けていれば真相にもっと早く到達できたかも知れませんし、犯罪に携わる立場の職業人として間違いなくプロ失格でしょうね。それから女性警部ウィロー・リーヴズについては、気取りのない自然体でなりふり構わず捜査に打ち込んで全力を注ぐ姿に心打たれる物がありましたので叶うなら彼女自身の力で事件を解決させてやりたい気持ちにもなりましたが、結局は(著者の配慮もあってか)やはり経験の深いペレス警部に軍配が上がりましたね。そのペレス警部は冒頭ではすっかり人が変わって人間嫌いになり丸で自信も無さげで急に老け込んだ様な風情を感じ随分と心配しましたが、今回の殺人事件をきっかけにして自然に血が騒いだのか何度も迷いながらも昔の捜査勘を徐々に取り戻して行って漸く最後に到達した真相を導き出した鋭い名推理を味わえて久々に幸せを感じさせてもらえましたね。そしてペレス警部の日常生活に事件の謎を解くヒントを仕掛けて言わば彼の援護射撃をした著者の手法は心憎い演出だったなと心から感心しましたね。もう一つの面でクライマックスの犯人との対決シーンでは無理もなくペレス警部の悪への怒りと憎しみが沸騰して危なかったですが、後日に対面を回避して自制する姿勢にホッと安堵しましたね。最後にウィロー警部とペレス警部の間にロマンスが芽生えるというのは少し安易すぎる様に思えるのと他にも二人の性格が違いすぎて(短気と気長)どうやら成立しそうにない気がしますね。またこれまでの例から言うと同僚の何時までも一人前になれそうにないサンディ刑事は別にして著者は二度の大物同士の共演を避ける傾向がありますのでウィロー警部とはこれっきりになる予感がしますが、二人の別れの場面があまりにも素っ気なかったのと併せてちょっぴり残念に思いましたね。
水の葬送 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:水の葬送 (創元推理文庫)より
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No.2:
(4pt)

狂気と愛情は紙一重

最後に明らかになった真相は、「狂気と愛情は紙一重」といったことだろう。 読み終わった後で考えると、作中の色々なことが伏線になっており、なかなか読み応えのあるミステリーだった。 ※本レビューは、拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものの抜粋です。
水の葬送 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:水の葬送 (創元推理文庫)より
4488245099
No.1:
(5pt)

シェトランド四部作の続編・ペレス警部復活

シェトランド四部作に続き、ふたたびジミー・ペレス警部が地元で起きた殺人事件に挑む本作。

シェトランドというイギリス本土と異なる独特の風土を持った土地に
代替エネルギー構想など時代の波が押し寄せ、それを取材しようとした記者が殺害されます。
前作の事件でまだ精神的に大きな傷を抱えるペレスに代わり、ちょっと変わり者の女性警部が
現場の指揮にあたりますが、この土地を知り尽くしている敏腕のペレスの存在抜きに
事件は解決できません。ですが捜査陣の奮闘をあざ笑うように、事件は複雑さを増していきます。

謎解きと同時に、少しずつ苦しみから立ち直っていくペレスの姿や
シェトランドの美しい自然、個性的な登場人物たちの人間模様、
捜査陣の心理的駆け引きなどさまざまな要素が見事に組み合わされた
P.D.ジェイムズを思い出させる古典的で重厚なミステリーです。

イギリスでは続編”Thin Air"も刊行され、こちらも好評とのこと。邦訳が待たれます。
水の葬送 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:水の葬送 (創元推理文庫)より
4488245099

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