■スポンサードリンク
眼の壁
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
眼の壁の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.83pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 1~20 1/2ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本書は、松本清張の初期のミステリー小説で、『週刊読売』に1957年4月から年末まで連載された作品。推理小説作家へと軸足を移しつつある時期の作品である。松本清張は同年2月から『旅』で『点と線』を連載した。1958年2月両作品が単行本として世に出た。 当時私は中学一年生、会社勤めの長兄の書棚のこれらの作品にこっそり読み耽った。後年、英国ミステリーのフアンになったのも、少年時代に遭遇した松本清張の社会派ミステリーの魅力の虜になったからだ。 今年の夏休みの読書リストに本書を入れた。後の作品に比べると、まだ、推理作家としての未成熟さも感じる。本来は警視庁の捜査2課の刑事が主人公になるべき手形詐欺事件であるが、大手メーカーの経理課長が詐欺に遭い、自責の念に駆られて、自殺を遂げる。その部下が上司の仇討ちのために、旧友の新聞記者と共に、事件の黒幕の右翼の大物を追い詰めていくという奇想天外な展開である。 亡くなった経理課長の責任を叱責したことで自責の念に駆られる社長以下が、主人公の経理マンの「捜査」活動のための休暇を容認するなど、当時の企業の運命共同体的な性格が描写されている。筋立ては、後の成長作品と比べると随所に甘さも感じるが、当時の警察や新聞社の人々の仕事の綿密さや精度の深さやチームワークぶりも作品から読み取れる。 初版あとがきで、著者は、本書が原稿用紙600枚となった、と述べているが、65年ぶりに再読して、読み始めてから、最後まで読み続させられた。著者の筆力はさすがだと思った。ひさしぶりに、本を読み耽った。著者は作品を構成する上で、動機と人間性や社会性を尊重している。 給仕や、印刷工から身を起こし、朝日新聞西部本社に勤務、『西郷札』が直木賞候補になり『或る「小倉日記」伝』で1953年に芥川賞を受賞した著者の作品には、社会のどうしようもない貧しさに翻弄される庶民への熱い眼差しと、困窮する大衆の苦しみに目もくれずに権力や富を享受する人々への激しい憤りが見え隠れしている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
清張の作品にしては、話しの盛り上がりに欠ける。後半になっても、ぐいぐいひかれなかった | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
最初のうちは、単純に手形詐欺事件であり犯人像が分からないのですが、竜雄と田村の執念で徐々に手掛かりが掴めて行きます。兎に角時間軸と犯人を追い詰めていく手法は、松本清張ならではと思いました。是非一読してください❗️ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
とても面白かったです。当時の社会的背景や登場人物の特徴や描写が明確にされていて、読みやすかったです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
面白かった」 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
主人公のとある疑問から,気がついたら巨悪に対峙・・・・・というのは清張お決まりのパタンかな,という感じですが, さすが清張,飽きさせません。 最後の方は結末が見えてしまいましたし,「巨悪」の大元がこんな簡単に降参するの?とか, 主人公は恩人がなくなったことに対する義憤から調査し始めたのに,捜査関係者の女性に・・・・・とか, いろいろ,「これってどーーよ?」という部分もないわけではありませんが,とにかく一気読みさせてくれる清張の力には脱帽です。 今の作家さんでこれほどの方はやはりいらっしゃらない。 もっともっと作品を残していただきたかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
面白いです、途中で止められませんでした。松本清張の小説はいつも点と線が繋がっていくところが好きです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読んでいると、ページがノドから落ちてきたが、内容は面白かった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
現在のスピーディなエンターテインメント・ミステリーとは違う、ゆったりと流れるストーリー。 手形パクリの設定やその他のトリックが単純すぎたり無理があったりという瑕疵。 色々な人物が出てくるが、その収斂具合がすっきりしない不消化。 まあ、いろいろ穴はありますが、発表当時の反響は大変なものだったと聞く。 どんな時代でも古びないミステリーなんて少ないということでしょう。 でも、清張ファンならやはりマイ・ベスト・テンには入れないと収まりのつかない初期秀作ですよね、皆さん。 タイトル「眼の壁」。 これは何の謂なんでしょう?清張さんの悪い癖ですよね。 ワカラニズム・タイトル。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
清張作品はほとんど読んでいるが、この本はその中でも記憶に残っている著書。長編だが隅々まで伏線が張られ、飽きさせない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
開幕早々に詐欺事件が起こり上司が自殺、その後次々にあれこれと事件が起こると 妙に展開がスピィーディーで読んでいて飽きさせない ただ所々妙なトリックが使われており首を傾げることもしばしば 誘拐した相手に使うネタではないだろう その辺を割り切って読めば、比較的読める作品だろう | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
大変面白かった。個人読書履歴。 一般文学通算15作品目の読書完。1973/01/10 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
これぞ銀行を舞台に、巧妙に仕組まれた手形詐欺を巡る社会派推理本の傑作。現代でも、同じような手口で手形詐取犯罪事件が多発していることを考えると、一昔前にこれだけの作品を書けたと有うことは、時代を超えた優れた作品の証だと感じました。少し難をいえば、推理の一部が理に合わない点で、全体で観れば清張氏の代表作の一つだと思いますお勧めの本です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
事件の発端となる手形詐欺の場面から、話に引き込まれました。 資金の工面に奔走する会計課長とそれを心配しながら見守る部下。そして事件が発覚した時の社内のやり取りや当事者たちの絶望感等。自分の会社勤めの経験と照らして、ある種の強い共感を持って読み進みました。 全編を通じて推理小説というよりは、当時の日本を描写した社会小説としての面白さを強く感じます。主人公を捜査に駆り立てる’正義感’もどこか前時代的で懐かしく、ヒロインとも言うべき女性に寄せるロマンティシズムにも時代を感じさせられます。 事件には、金融ブローカー、右翼団体、代議士等が登場し、いかにも社会派推理小説といった展開を見せるのですが、最後はある個人の事件へと収斂し、派手で猟奇的な結末を迎えるあたりは、過渡期の作品との印象も受けます。 しかしながら、日常的なリアリティと一般的な人間の心理を重視し、的確さと分かりやすさを重視して語られる本作は、豊富なトリックが盛り込まれていることもあって、まさに不朽の名作と言うのにふさわしい作品だと思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一流企業でさえ手を焼く手形詐欺師集団が相手です。 それに挑むのは素人の会社員です。 清張作品を読みなれている読者には、この主人公がいつ闇組織に 消されてしまうのだろうと不安に駆られる場面が続きます。 そして、けものみちのような日本の暗部に踏み入るような展開になると思いきや、 後半からは美しい南アルプスが舞台になります。 何を言ってるのか解らないかと思いますが、 旅情とか電車ダイヤのトリックとかチャチなもんじゃ断じてありません。 もっと恐ろしい清張さんの懐の深さの片鱗を味わってください。 残念な点もあります。 金融業者、詐欺集団、国会議員、右翼、在日団体、医療法人などの怪しいキーワードが チラチラと現れますが、結局は一人の男の行き過ぎた野望ということで片づけられてしまってます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一流企業でさえ手を焼く手形詐欺師集団が相手です。 それに挑むのは素人の会社員です。 清張作品を読みなれている読者には、この主人公がいつ闇組織に 消されてしまうのだろうと不安に駆られる場面が続きます。 そして、けものみちのような日本の暗部に踏み入るような展開になると思いきや、 後半からは美しい南アルプスが舞台になります。 何を言ってるのか解らないかと思いますが、 旅情とか電車ダイヤのトリックとかチャチなもんじゃ断じてありません。 もっと恐ろしい清張さんの懐の深さの片鱗を味わってください。 残念な点もあります。 金融業者、詐欺集団、国会議員、右翼、在日団体、医療法人などの怪しいキーワードが チラチラと現れますが、結局は一人の男の行き過ぎた野望ということで片づけられてしまってます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
社会のゆがみと人間の思いが絡み合ってストーリーとなる。これが松本清張の真骨頂である。 手形詐欺で多額の損失を出し、責めを負って自殺した関野課長。彼を慕っていた部下の萩崎竜雄は事件の真相を求めて休職する。右翼のボス、事件記者、貧しい農村から出てきた青年たち、ミステリアスな美女などが入り乱れてストーリーは展開する。 背景となる風景も信州の山や三重県の田舎町などが描かれており、電車の時刻表も巧妙に組み込まれている。映画の原作としての良い条件も揃っている。 事件の真相が気になって一気に読んでしまった。 もしこの作品に欠点があるとすれば、あまりに盛り沢山の内容が文庫で400ページ程度の活字量では描ききれないということかもしれない。 例えば関野課長が巧妙な詐欺にあう場面などはページ数を十分に使っているので臨場感があり、登場人物の不安が追体験できるくらいだ。それに比べると、事件を起こした犯人たちは十分には描かれていない。松本清張は貧困などで社会的ハンディを負った者たちを描くときに筆が冴えるはずなので、残念である。 日本の小説は全般的にページ数が押さえられる。スティーブン・キングくらいの枚数が与えれたらこの作品はもっと精密で密度が濃いものになっただろう。ただしその場合には負担が大きくなるから読者は減ったかもしれない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
社会のゆがみと人間の思いが絡み合ってストーリーとなる。これが松本清張の真骨頂である。 手形詐欺で多額の損失を出し、責めを負って自殺した関野課長。彼を慕っていた部下の萩崎竜雄は事件の真相を求めて休職する。右翼のボス、事件記者、貧しい農村から出てきた青年たち、ミステリアスな美女などが入り乱れてストーリーは展開する。 背景となる風景も信州の山や三重県の田舎町などが描かれており、電車の時刻表も巧妙に組み込まれている。映画の原作としての良い条件も揃っている。 事件の真相が気になって一気に読んでしまった。 もしこの作品に欠点があるとすれば、あまりに盛り沢山の内容が文庫で400ページ程度の活字量では描ききれないということかもしれない。 例えば関野課長が巧妙な詐欺にあう場面などはページ数を十分に使っているので臨場感があり、登場人物の不安が追体験できるくらいだ。それに比べると、事件を起こした犯人たちは十分には描かれていない。松本清張は貧困などで社会的ハンディを負った者たちを描くときに筆が冴えるはずなので、残念である。 日本の小説は全般的にページ数が押さえられる。スティーブン・キングくらいの枚数が与えれたらこの作品はもっと精密で密度が濃いものになっただろう。ただしその場合には負担が大きくなるから読者は減ったかもしれない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
手形詐欺に遭って自殺した上司の無念を晴らすために、詐欺事件を調べていく主人公・萩崎竜雄(はぎざき たつお)。事件に関わりがありそうな右翼のボスの動向を探り始めた辺りから、組織的な犯行の黒い闇が立ち現れてくるサスペンス小説。 事件の舞台に信州が選ばれていること、ひとりの民間人が組織的な謀略に負けずに事件を調査していくこと、事件に関わる美しい謎の女を主人公がかばうこと、こうしたところに、本作品のおよそ二年後に執筆される『影の地帯』との共通点を感じました。話に引きずり込まれるスリリングな迫力、犯罪の奥にひそむ闇の深さという点では、後年の『影の地帯』のほうが優っていた気がします。 リアルな描写に引き込まれた場面は、冒頭、会社の会計課長が三千万円の手形詐欺に遭い、責任を一身に背負って自殺するまでの件り。実際に現場に立ち会っているかのような臨場感がありましたね。読み手を話の中に引き込む作品のつかみの部分が、松本清張は実に巧い。本書でも、ぐいっと気持ちをつかまれました。 もう一点、印象に残ったのは、作品の重要人物が●●風呂に浸かって×××場面。かなり凄惨なこの件りを読みながら、江戸川乱歩あるいは山田風太郎の怪談色の濃い作品を思い浮かべました。清張先生、一体どんな顔してこのシーン(417頁・右側)を書いたんだろう。 1957年(昭和32年)、『点と線』と並行して執筆、連載された作品。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
手形詐欺に遭って自殺した上司の無念を晴らすために、詐欺事件を調べていく主人公・萩崎竜雄(はぎざき たつお)。事件に関わりがありそうな右翼のボスの動向を探り始めた辺りから、組織的な犯行の黒い闇が立ち現れてくるサスペンス小説。 事件の舞台に信州が選ばれていること、ひとりの民間人が組織的な謀略に負けずに事件を調査していくこと、事件に関わる美しい謎の女を主人公がかばうこと、こうしたところに、本作品のおよそ二年後に執筆される『影の地帯』との共通点を感じました。話に引きずり込まれるスリリングな迫力、犯罪の奥にひそむ闇の深さという点では、後年の『影の地帯』のほうが優っていた気がします。 リアルな描写に引き込まれた場面は、冒頭、会社の会計課長が三千万円の手形詐欺に遭い、責任を一身に背負って自殺するまでの件り。実際に現場に立ち会っているかのような臨場感がありましたね。読み手を話の中に引き込む作品のつかみの部分が、松本清張は実に巧い。本書でも、ぐいっと気持ちをつかまれました。 もう一点、印象に残ったのは、作品の重要人物が●●風呂に浸かって×××場面。かなり凄惨なこの件りを読みながら、江戸川乱歩あるいは山田風太郎の怪談色の濃い作品を思い浮かべました。清張先生、一体どんな顔してこのシーン(417頁・右側)を書いたんだろう。 1957年(昭和32年)、『点と線』と並行して執筆、連載された作品。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!