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眼の壁



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眼の壁の評価: 3.83/5点 レビュー 30件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.83pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(3pt)

再び松本清張

40年も前に読んだ松本清張をまた読んでみた。とりあえずに3冊購入。やっぱり面白い。でも新潮文庫40年前の発行で、今と比較すると字は小さく紙も経年変化しているので、読んでいるとすぐ疲れてしまう。星三つにしましたが、小説の内容は五つ星。
眼の壁 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:眼の壁 (新潮文庫)より
4101109176
No.1:
(3pt)

前半はよいのだが…

給料日を前にして資金ショートに陥った中堅企業が、ヤミ金融に手を出してパクリ(詐欺)に引っかかる、という単純な出だしは結構読み応えがある。

もちろん最初の数十頁を読んだだけで、ツッコミどころを探せばいくらでも見つかる。
・3000万円(21世紀初頭の貨幣価値で10倍ぐらいか?)もの資金繰りを世話してもらう初対面の怪しげな金融ブローカーと待ち合わせに向かう前に、飲み屋で飲酒してから行くか?
・その月の10日が給料日?普通は月末だろう?
・代議士の名刺を見せられたぐらいで、銀行が正体不明の人物ら(パクリ屋たち)に立会いもなしに結果的に詐欺の舞台となる会議室を貸すか?

責任を感じて自殺した上司に代わって、主人公が旧友の新聞記者と一緒に素人探偵として犯人探しに走り回る、という「黒い樹海」や「蒼ざめた礼服」と同じパターンだが、登場人物たちに他の作品ほどの超人的な情報収集能力が与えられていないことはよしとする。

しかし中盤になると、いくらプライバシー意識の希薄な大らかな時代とは言え、犯人の足跡を追いかけて素人探偵がたどり着いた日ペリ(今の全日空、フライトコードの「NH」は「日本ヘリコプター」の名残り)のカウンターで容易く氏名・住所・電話番号・年齢の載った乗客名簿を書写させ、さらには当該フライトのフライトアテンダントの住所まで教えられるあたりから興ざめしてくる。もっとも、後の場面では「法律違反だが」と言いながら郵便局員が見せてくれた他人の為替支払い伝票と、村役場で40円払えば誰でも他人の戸籍を閲覧できた(当時の法律では「不当な理由でない限り」誰でも閲覧可能だったらしい)ことが犯人特定に結びついているが。

失望してくるのは、拉致した弁護士の東京から名古屋までの移送に、車を使えば簡単かつ秘密に済むところを、犯人側の20人あまりの手下を使って寺信徒の団体と担架に乗せた急病患者を装って、わざわざ東京駅に担架に乗せた弁護士の搬入経路の特別扱いまで要請して人目につく行動を取らせているあたりから。日本ペリの飛行機に登場した殺人犯も、逃避行なのだから普通はできるだけ大人しくしていそうなところを、執拗に乗り継ぐ列車の発車に間に合うかどうか周囲に尋ねて目撃者を作り出している。著者の大好きな鉄道時刻表を登場させたいがためだろうが、不自然さは否めない。犯人側が捜査攪乱のいろいろな小細工芝居を仕掛けてくるところも、「砂の器」ほど洗練されたところは見えず、ワザとらしい。

最高にがっくり来るのは結末部分。テッポウダマの殺人犯の抹殺はよいとしても、たかが3000万円ぐらいの金のことを理由にしたすべての黒幕である「大物」が劇的ではあるが呆気ない最後がお粗末。神出鬼没の謎の女の結末も、意外な人間関係が明らかにされるとは言え、それ以上の見せ所はない。大物右翼とそれに結びつく政治家という「社会派」の雰囲気を出したかったようだが、名刺を出した代議士に詐欺の金が渡ったのかどうかや、「けものみち」でみせた黒い裏の権力の影とその力の描写は何もなく期待外れ。

ところで、手形をパクられた主人公の勤め先の会社は、どうやってその日の給料の支払いをして、なおかつパクられた手形の決済をしたのだろう?

まぁ、つまらなくはない。タイトルの「眼の壁」は、内容とは無関係な著者特有のワケノワカラン言葉。
眼の壁 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:眼の壁 (新潮文庫)より
4101109176

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