■スポンサードリンク
ドクター・スリープ
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
ドクター・スリープの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全41件 41~41 3/3ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
多分、原作より映画のほうを見られた人のが多いと思いますが、まず、読者はこれが映画「シャイニング」の続編だということを知っておいてください。 キューブリックの映画は閉鎖された古ホテルで父親のジャックひとりが勝手に狂気にさいなまれていき、最後には家族殺しへと爆発するホラー映画となっていて、ホテルの亡霊も病んだジャックの心の闇か実際に存在する超自然的なものか曖昧になっていますが・・・ 原作にはキューブリック映画ではほとんど語られない家族としてのトランスの葛藤(アルコール依存、DV、それでもぬぐいきれない夫婦、親子としての愛)が詳細に描かれており、ホテルの亡霊たちは実際に存在し、彼らの心の隙につけ入りながら、ジャックを狂気へと導き、息子であるダニーのシャイニングを手に入れようとします。小説「シャイニング」はホラー小説であるとともに、いや、もしかしたらそれ以上に家族の絆の物語なのです。 この前提なくして本作は成立しないので、読まれる前に映画は忘れて必ず原作「シャイニング」を読んだほうがよいかと・・・。 本作そのものは雪のホテルでの惨劇から生き残った少年ダニーが、事件のトラウマと己の超能力との葛藤と戦いながら成人し、ホームレス同様に放浪したあげくとある町の住人たちの善意によって立ち直ってゆく過程とシャイニングでリンクしあった少女アブラを餌食として狙うトルゥー・ノット(映画「ニア・ダーク 月夜の出来事」のように放浪する吸血鬼ですが、こちらは血そのものではなくダニーやアブラが持っているようなシャイニングを糧に生きている)との戦いが描かれます。 吸い込まれるような語り口、ついついページを繰ってしまう展開は健在ですが、キング全体の作品としてはイマイチ・・・そもそも「シャイニング」を超える・・・気はもともとないみたいなので、それを期待すると裏切られます。キング自身が言及しているように「意味あの人は今?」で始まった物語ということもあり・・・ホラーを楽しみながらダニー(成人してダン)のあれからと今を見守る物語として読むべきなのでしょう。ここには「シャイニング」に代表される初期作品群に流れる底辺生活の焦りと怒りはありません・・・苦悩、苦難を乗り越え円熟し、幸せをつかんだ作家が、過去からの同志であったキャラクターに、自分の幸せをおすそ分けしている姿を見るような気がしました。 キング・ファンとしてはトルゥー・ノットの連中がある意味シャイニングを持っているともいえるキャリー・ホワイトとチャーリー・マッギーを何故ターゲットにしなかったのか突っ込みを入れたくなりますね。(あいつらも食べようと思ったけど、キャリーは目覚めてすぐ死んじゃったし、チャーリーは捕まえる前にマスコミデビューして手が届かなくなっちまったし、ジョン・スミスのは後天性だし、それに歳取りすぎてる・・・とかね) なお、本書よりちょっと先に息子のジョー・ヒルが「NOS4R2」発表しており、こちらも超能力少女と魂を食い物にする吸血鬼との戦いを描いたものです・・・それ以外は本書とは似ても似つかぬ物語ですが、「NOS4R2」の悪役チャーリー・マンクスは自分の同族としてトルゥー・ノットを名指ししたり、その他にも本書を意識したお遊びが随所見られます。本書のほうを先に読んだのでわかりませんが、こちらにも同様のお遊びがあったのかもしれません。合わせて読むことお薦めです・・・というか、「NOS4R2」のほうが面白いです・・・。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!