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限界点



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【この小説が収録されている参考書籍】
限界点
限界点 上 (文春文庫)
限界点 下 (文春文庫)

限界点の評価: 3.00/5点 レビュー 17件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(3pt)

なかなか次に進めません

エンターテインメント系の著作物に対して、この翻訳はやや難ありでしょう。次の一ページをめくりたいという意欲がいちじるしく削がれます。読みにくい。純文学でも、カポーティの同じ作品を訳すにしても、別の訳者とでは、ここまで違うのかと驚くことがありますが。ましてや、この作品はエンターテインメント。もっと翻訳のやりようがあったと思います。ストーリーはいつものディーヴァーで、それなりに楽しませてもらいました。
 
p47上段
〈「~ラヴィングは家に押し入り、情報を取ろうと男の目の前で子どもを拷問しようとした」
「やめて」ジョアンは喘いだ。「でも……アマンダが。わたしたち、娘がいるの」〉
 とあるが、なぜ、《でも……》なのか。意味がわかりません。

 p49下段〈~ラップトップを抜き出した。大きなユニットを起動して、新たなウィンドウに〉とあるが、〈大きなユニット〉ってなんだ。おそらくコマンドを打ち込むパワーシェルのことだと思うがわかりにくい。

 p52上段〈『ビルおじさんのとこで不自由な生活をなさい』〉って、話し言葉の中で、こんな言いかたはしないだろう。p66下段〈尾行を確かめるには、平和そのものの路地に住みつくか迂回してみることである〉とあるが、作中では今、現に尾行されているかもしれない車を撒いているところだ。その中での描写だ。〈平和そのものの路地に住みつく〉ってなんだ。

 p67上段〈まず彼女は、ラヴィングと仲間の隠れる場所がはっきりしているだけに、少なくとも義理の娘とビル・カーターは安全だという正確な分析をしてみせた〉とあるが、この描写は、〈ラヴィングと仲間〉たちが隣家の人間を利用して〈彼女〉たちを襲った直後のことだ。隣家に〈ラヴィングと仲間〉たちが潜んでいたからこそ〈潜んでいた場所がはっきりした〉と思ったわけだから、ここを〈ラヴィングと仲間の隠れる場所がはっきりしているだけに〉と現在形で訳すのはおかしい。さらに〈ラヴィングと仲間〉は、この時点では、これからどこに潜伏するのかまだ不明なのだから、別の意味でも〈場所がはっきりしてい〉るはずもない。意味が通らない。

p72上段〈被害者は危険人物──テディ・ノックスにたいし、武器を捨てることを厭わなくなる〉も単に、〈テディ・ノックス〉に対する攻撃をためらわないというだけのことだ。〈武器を捨てることを厭わない〉なんて、持って回った描写をする必要があるのだろうか。

 p73上段〈携帯片手のその間抜けがぶつかってきて〉とあるが、〈その〉は必要ないだろう。ここで初めて〈ぶつかってきた〉ことを描写しているのだから。p76上段〈こちらの振りつけどうりに動かすことを“餌とすり替え”と呼ぶ〉とあるが、〈餌《の》すり替え〉でしょう。このあと何回も〈餌とすり替え〉とあるが、なんか違和感があります。

 p90下段〈これが頭に定着しないうちに、彼女のほうがしゃべりだしていた〉とあるが、〈定着しないうち〉って、なんだかなあ。p91上段〈私が持って生まれたようなゲームプレイヤーの気質はそなえておらず、したがって私と調べ屋、消し屋が戦う命懸けのチェスマッチは彼女の性に合わない〉とあるが、わかりにくい。ここは〈《彼女は》私のように持って生まれたゲームプレイヤーの気質はそなえておらず〉でしょう。

 わかりにくいところが、ほかにも多々ある。p92からp93にかけてがとくにそうだ。〈マーリーはステーションに寄ってコーヒーを注いだ〉とあるが、これは室内での話だ。リヴィングステーションのことだと思うが、それほど一般的な日本語とも思えないのだが。ほかにも〈コーヒーに戻り〉、〈口を開かなかった〉は〈口を開くことはなかった〉だろうし、〈髪はさっぱりとクルーカットにしていた。身代わり、すなわち近接警護官である〉とあるが、意味がよく通じない。〈私は手を握ったガルシアをアフマドに紹介し〉とあるのは単に〈握手して〉じゃないだろうか。

 p95上段〈わが組織にない部門が戦術だった〉って、意味がよくわからない。p112上段〈DC一帯では、このようにさまざまな政府関係の本部が散在している〉とあるが、〈さまざまな政府関係の本部〉を描写するのは、このあとだ。それなのに〈このような〉はないだろう。まだ紹介していないのだから。p120上段〈いや。その逆だ。みんなが四万ドルのことに、聞かれるまで知らんぷりを決めこんでいる〉も、〈ことに〉は〈こと《を》〉だろうし、なぜ、〈ことに、〉と、ここで読点を打つのか。

 p133上段〈ラヴィングは影も形もなかった〉。p141下段〈『上等だ』とエリスは口の中で言った〉。p180上段〈こちらの様子をうかがってきたグレアムは〉は〈うかがって《い》た〉だろうし、p181上段〈コンピュータはかなりのことしかできない〉は、〈コンピュータ《なり》のことしか〉だろう。p194下段〈『アマンダ、大丈夫だ。なにも心配いらない……で、車か? こっちはアライグマも近寄らない人間の屑だが、一台通るのは見た』〉って、まったく意味が通じない。p196上段〈ラヴィングの道をすばやく移動した〉は〈ラヴィングの《通りそうな》道をすばやく移動した〉だろう。p237〈炎の哮りはすさまじく、サイレンの音を耳にするころには、消防車はもうすぐそばまで来ていた〉って、あたり前だろう。

 ほかにもいろいろ、「?」と思う描写があったが、とても書ききれない。それにしてもp330下段〈心臓の四分の一拍ごとに目が合った〉とあるが、どういうことだろう。心臓は普通、一拍で「ドクン」と鳴る。それが四分の一拍とは、ちょっと想像するのに苦労しました。音符じゃねえよと。
限界点Amazon書評・レビュー:限界点より
4163902287
No.3:
(3pt)

読みにくい翻訳。池田真紀子さんに再度翻訳して欲しい。

シリーズものではなく、単発もの。
ボディガードと、調べ屋と言われる殺し屋との頭脳と肉弾戦。
大どんでん返しはほぼ無く、ジェフリー・ディーヴァー作品の中ではシンプルな部類の作品ですね。

とは言え、
黒幕は誰?何故狙われている?
という部分はかなりひっくり返しています。24的な作風ですね。

ただ、とにかく翻訳が読みにくい。
ライムシリーズなどを翻訳されている池田真紀子さんに慣れているからかも知れませんが、読みにくい。

「追撃の森」や「青い虚空」も名作と言われながら、読みにくさを感じていましたが、同じ土屋晃さんの翻訳で妙に納得。

池田真紀子さんの翻訳でもう一度読んでみたい作品です。
限界点Amazon書評・レビュー:限界点より
4163902287
No.2:
(3pt)

何というか…

大山鳴動して鼠一匹…的事件の印象。オチというか「舞台裏」は好みではある。
1人称が読み難い。流れに乗りにくいと思いながら読み進んだ感じ。
ディーヴァーでそう感じたのは本書が初めて。
元々の期待値が高すぎるという点を差っ引いても、この作家さんで、初めて「ハズレ」を引いたと思った。
限界点Amazon書評・レビュー:限界点より
4163902287
No.1:
(3pt)

スピーディーに展開する、4日間の攻防!

主人公は連邦機関の警護官コルティ。
主人公コルティの対決相手、すなわち悪役は、ヘンリー・ラヴィング。
重要事件の証人や関係者を拉致し、残虐な方法で情報を引き出す、という凶行を重ねる極悪人です。ラヴィングの背後には、彼が引き出した情報を悪用する黒幕がいます。
 
ワシントンDCの刑事、ケスラーとその家族が、ラヴィングのターゲットとなり、主人公のコルティはケスラーたちをガードする任に就きます。
 
なぜ、ケスラー一家が狙われるのか、ラヴィングを動かす黒幕は誰なのか、これらを謎として、4日間の出来事がリアルタイムに、スピーディーに、また、「私」の一人称、コルティの主観で進行していきます。
 
コルティとラヴィングの対決、コルティの警護を受けながらのケスラー一家の逃避行はスリリングで、スピード感に溢れており、良かったところですが、その半面、事件の背景が隠されすぎで、読み手への展開がやや足りなく、話について行くのに少々苦労したようにも思います。
 
銃撃、戦闘といったアクションだけでなく、頭脳戦、情報戦をもって敵味方が相対していく展開も緊迫感を高めていたと思いますが、事件の展開のポイントとなる情報の入るタイミングが少々唐突だったような気も...捜査というのは、常に順序だって情報が入るとは限りませんので、割り切って、展開を楽しみながら読むのが良いのかもしれません。
 
コルティの戦略や心理が投影された、種々のボードゲームのゲーム理論に関する記述は、やや難解ではあったものの、興味深く読めました。
限界点Amazon書評・レビュー:限界点より
4163902287

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