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ノア・P・シングルトンの告白
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ノア・P・シングルトンの告白の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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死刑囚ノア。「好戦的」と作中にも描かれるノア。でもそうじゃない!母子家庭の裏側、銃社会の裏側、警察組織の裏側、司法制度の裏側、裁判員制度の裏側、死刑制度の裏側、学歴社会の裏側、格差社会の裏側、被害者女性の裏側、弁護士でもある被害者の母親の裏側、ノアの実父の裏側、そして「好戦的」と描かれるノアの繊細で聡明な裏側…世の中の面と裏なんて紙一重と気づかされる。読後の爽快感、達成感を求める人には向かないけれど、主人公を正視できる人なら、この小説の面白さがわかるはず。作者エリザベス・P・シルヴァーの長編小説デビュー作とのことだが、この視点は新鮮。 | ||||
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ここしばらく読んだ作品の中で最高に面白かったです! 去年は、「その女アレックス」が翻訳ミステリNo.1だったと思いますが、今年のNo.1はこの作品なのではないでしょうか。 「その女アレックス」と共通しているのは、主人公ノアが「囚われの身」であるということ。 ただ、大きくことなるのが、アレックスが暴漢に誘拐されたということに対して、ノアは死刑判決の確定囚、つまり、法律によって囚われているということ。 さらに、ノアは自らの罪状を争う意思はありません。 となると、執行のその日をただ、待つのみということになりますが、ある日、死刑廃止運動に身をおく弁護士2人がノアへの面会に訪れ、再審、または恩赦によって、ノアの極刑を差し止めたいと、そう、ノアに申し出ます。 しかも、その弁護士のうちの一人は、ノアが起こした事件の被害者の母親で、法曹界の有力者です。 ただ、ノアは自身の立場について達観していて、この2人に冷めた姿勢で応対します。 この人物関係と状況設定にスタートからぐっと引き込まれます。 また、弁護士2人による真実の究明、事件の再再捜査が始まるのかと思いきや、本作のタイトルのとおり、ノアの告白が語られていくことになります。 その告白のスタートも「母は出産後、わたしをまっさかさまに落とした」と、これまでのノアの人生が、いかにもいわくありげで、ノアの悔恨が語られていくのかと思わせられるのですが、(実際、彼女自身の生き様の悔恨も語られるのですが)これも全く予想の裏切り、の連続です。 ストーリーの展開は、弁護士2人が面会にきてからの状況と、ノアの過去の告白の語り、この2本のプロットがノアの一人称で語られていくのですが、この展開にもう一本、太い軸が交わります。 それは、ノアの事件の被害者の母親の弁護士、マーリーンの娘への手紙です。 この3本のプロットが多面的に進行しつつ、事件の真相を巧みに見え隠れさせ、読み手にとって、ストーリーの先行きに予断を全く与えず、非常にスリリングに展開していきます。 この緊迫感の高い展開とあいまって、非常に印象的なのが、主人公ノアの皮肉とブラックなユーモアーに満ちた語りです。ノアの立場はとても笑いを呼び起こせる状況ではないのですが、あまりにも巧みな語り口に、つい、吹き出してしまうこともありました。 また、ノアの回想の中で本当に素晴らしかったのが、裁判のシーンです。彼女自身が、本作のスタートの時点で、死刑の確定判決を受けている状況なわけですが、それゆえ、ノアが判決を受けるまでの被告目線で描かれた、審理の拙さ、陪審制の問題をあからさまにしながらの法廷シーンは秀逸! 本作のクライマックスは、もう、一言たりとも触れられません。 死刑囚ノアがどうなったか、そして、事件の真相は。。。 すでに映画化検討されている、とのことですが、本作が映像化されたときには、映像よりも、おそらく、ノアの「語り」が暗鬱な音声でもって、深い深い、インパクトを残すことでしょう。 小説で読み終えた今、すでに、このような声なのでは、と、勝手にイメージを想起した、ノアの語り、告白が、未だに聞こえてくるような思いです。 | ||||
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