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夜また夜の深い夜
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夜また夜の深い夜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.62pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全40件 21~40 2/2ページ
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母親の事情で世界を転々とし、本当の名前は絶対に語らず実は母親の本名さえ知らず、国籍も持たず、逃げるように引っ越しスラムの中で身を潜めて生きるマイコの手紙から物語は始まる。小学校しか出ておらずしかもそれがロンドンの公立小学校なので、マイコの日本語文章力がこんなに高いわけがないし、こんなに漢字を知ってるなんてあり得ないとは思ったが、そんなところを突っ込むのはヤボだと思えるくらい結局は引き込まれる。それが桐野さんの筆力なんだろう。彼女の作品はわりと読んできているが、毎回独特の桐野ワールドの中にある一味違った面白さに驚かされる。現実とフィクションの間を浮遊する楽しさに星一個おまけです。 | ||||
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奴隷小説とともに購入して、奴隷小説を読んで、桐野夏生ワールドへ、どっぷりとつかってしまった。 読み始めたら、どうにも先が気になり、結局1日で読み終わってしまった。 おもしろかった。 特に、エリス、アナとの生活に入ってからの部分は圧倒的な力。 登場人物に語らせる自伝の形をとっているのに、さらっと悲劇が描かれているのが、むしろ想像力を駆り立てる。 桐野さんの小説は、どことなく乾いているところが気にいっている。 じっとりとしていないが、若干の湿度はある感じ。 桐野さんの本は怖いので、読む前にちょっと覚悟がいるのだけれど、やっぱり読むと魅了される。 | ||||
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世界の様々な国で目立たないように暮らす母と娘。母の名前も自分の苗字も知らず、小学校しか通わせてもらえず、人に自分のことを話すのを禁じられ、外の世界がどうなっているのかも知らない少女の物語。 主人公のマイコが似たような境遇の七海に手紙で状況を伝えていく物語はMANGA CAFÉに通い始めるところから一気に加速しはじめる。徐々に外の世界のことを知り、悪事に手を染めながらも必死に生きて、最終的に自分は何者なのかを突き止めていく展開はぐいぐい引き込まれた。 ただ、終盤はこれからどうなっていくのか気になるところなのに、あっさり終わってしまったのが残念だった。七海との手紙のやりとりも中途半端に感じた。 著者の「優しい大人」が好きな人は楽しめると思う。 | ||||
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手紙形式で進んでいくスタイルの小説です。 桐野さんの作品は大体がそうなのですが、今作もハラハラしてページをめくる手がとまりませんでした。 舞子は街で知り合ったアナとエリスという2人の少女と行動を共にすることになるのですが、 3人はそれぞれ過酷な状況を生きてきただけでなく、見た目も性格もまったく違うタイプ。 この3人がうまく描き分けてあり、それぞれとっても魅力的です。特にエリスが素敵。 後半でやっと読者も舞子も気になっていた真実が明らかになるのですが、 それに関しては「まぁ、こんなかんじのことだろうな」とそれほど驚きはなし。 けど、最後の母の告白は真実なのかがはっきりしないし、まさか最終的にこうなるとは・・・。 ううーーん。梯子を外されたというか、中途半端感が残りました。 以前の桐野作品はその世界観の暗さや登場人物たちの中に立ちこめる悪意など読んでるだけで胃がキリキリと痛むほどの毒をはらんでいた。 だけど今作はディープな世界を描きながらも、それほどの切羽詰まる息苦しさは感じませんでした。 作風が少しずつ変化してるのでしょうか? 作中で舞子が手紙を書く「七海さん」のモデルは重松房子の娘・メイさんとのこと。 桐野さんのことだから誰か実在のモデルがいるんだろうなと思いつつ読んでいましたが、恥ずかしながら私はこの人達のことを知らず(^_^;) 読後にネット上の他の方のレビューを読んで知りました。 作品をより深く理解するために、この人物についてこれから調べてみます。 | ||||
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数年ごとに住む所を変え、名も変える。 友人は作らず、日本人と話すことも禁じられた娘・マイコ。 ナポリのスラムに母と二人、隠れるように住むマイコは18歳。 内緒話ができる友人もいないし、悩みを打ち明ける人もいない マイコが取った方法は、雑誌の記事で知った七海(ナナミ・但し 塩野氏ではない)に手紙を書くことだった。 なぜ、日本人と話してはいけないのか。 母とぶつかるマイコに忍び寄る、マイコの知らない世界の人間たち。 少女から大人へと変わってゆくマイコの微妙な思いと、したたかに 生きる生活力をサスペンスタッチで描いた一冊。 すべてマイコの一人称で、手紙の形式で描かれているのが面白い。 | ||||
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とっても貧しい ほかの世界を知らない 愛情を注ぐ人がいない と、おだやかで優しい心は 生まれないとつくづく思いました… | ||||
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国籍も不明で父親も分からない、学校にもまともに通わせてもらえず、時々姿を消し整形を繰り返す母親とナポリのスラム街で二人で暮らすマイコ。最初は現実感が乏しく、お伽話のような感覚でしたが、読み進めていくに一気にのめり込みました。 MANGA CAFEに入り浸ることがきっかけとなり、開かれた外の世界へ飛び出すマイコが、CAFEの店主や過酷な人生を歩んできたアナやエリスと知り合い、多くのことを体験し逞しく生き、最後は母親や自分が何なのか知ることになります。 この様に書くと成長物語のように感じますが、勿論そんな清々しいものではありません。桐野夏生氏らしく毒を含んだ作品になっています。 | ||||
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なんだか物語の方向性がよく分からなかった。 前半は(最後まで姿を現さない)七海という人物への手紙文である。七海は女性テロリストの娘で父親が不明という境遇である。主人公マイコも似たような境遇ー父親が犯罪者で母親も追われている、そのため世界中を整形を繰り返しながら転々としているーであるため共感を抱き、見知らぬ七海に手紙を書くという形で物語が進んでいく。 後半は、偶然出会った二人、アナとエリスというやはり故郷喪失者と仲良くなり一緒に過ごすのだが、この3人はなんというかオトボケ三人娘という感じである。もちろん悲惨な人生を歩いてきてまた、悲惨な運命も待ち受けているのだが、書かれ方は軽い。 そして最後の数ページで一挙に終了。後日談になってしまう。著者らしいヒリヒリ感を期待したのだが、それはなかった。こんな話なのにほのぼの感が残る。著者には最近そういう作品が多いような気がする。少し丸くなった? | ||||
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最初は山の上から下に向けて、雪玉が雪だるまになるようにどんどん流れが急になり、妄想がどんどん膨らんで行きましたが… ラストシーンが終わってみれば…?という感じでした。 面白かった前半が後半の膨らみにつまずき、結局ラストも別物になったような感じでした。 もっと違った形の結末を期待していました。 残念です。 | ||||
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最初、主人公の舞子は礼儀を知らないし、世間を知らなすぎるし、自意識ばかりが肥大していて、 あまり共感できなかった。 「どうしてそんなことをしてしまうのか」とハラハラしながら読み進めていくうちに、 舞子がんばれ、エリス、アナ、がんばれ、と応援している自分がいた。 自分でもどうしようもない運命のもとにうまれ、 それでも、どうしたら自由を手に入れられるのか、と、闇の中を手探りしながら進んでいく少女たちの姿に ページをめくる手がとまらなかった。 女として生まれても、自分の足で立って幸せをつかみ取らなくちゃ、 男なんてあてにしちゃだめ(!)というメッセージをひしひしを感じてしまいました。 | ||||
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どこかアンネの日記っぽい構成、手紙って形をとっているんだろうけど。 ただ何処かで、桐野節を期待し、それはおぞましい怖さでもあるわけで、 たしかに随所に桐野節はあり、それはそれでさすが!と思い、 しかし、最後の方の真実の展開が今一つ緊張感なく、桐野節が炸裂せず不発感はぬぐえない。 たしかに宗教や死世界、生世界の冒涜哲学等々・・・テーマは奥深くはあるんだけど、そのテーマに文章というか描写等が追い付いていない感があって・・・ なんか生意気な感想になった気もしますが、娯楽として読んでいる一感想です。 最後に読み終えて思ったのが、こちらの作品をベースに映画化するとかえって面白いかも。 もちろん監督の技量がかなりでかくなると思うけど、ベース材料には良いかも。 小説、テクストはイマイチ!><; ちなみに表紙のイラストは好き。私のイメージでもあるし、それとも表紙をみたからそう決めつけたか??? | ||||
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最近の桐野夏生はどうも緊張感がなくて困る。 この人の場合自分が「女」である事を鋭利な武器にしたような描写が 読むたびに脳にダメージと快感を与えられたものだが 最近の作品は緊張して前のめりになることはない。 とても面白いので盛りを過ぎちゃったとかではないだろう。 なんか優しくなってきちゃったというか太った感じだ。 以前は「グロテスク」のようなヒリヒリした作品でない「魂萌え」みたいな 爽やかな作品でも独特の凄みがあった。 それはもう桐野夏生ならではのもので最近の作品にはそれがない。 でもラストはちょっとカッコよくて桐野ワールド健在を感じさせた。 キャラはモロにAジョリーの仲間の1人や強烈な整形母も カッコよく良い感じだ。しかし存在感は弱い。 本作は桐野作と知らず読んでたら桐野の真似してるがまだまだだね、 というような作品。 かつてのようなもっとガツンと痺れる作品を期待する。 | ||||
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18歳の少女マイコは、母と二人でナポリに住んでいる。幼いころから外国を転々と旅する生活で、一度も日本へ行ったことがない。 母はいつも何かの影に脅えている。彼女は日本でどんな罪を犯したのだろうか。 物語はマイコが書く手紙という形式で語られる。淡々とした筆致だが、想像を絶する苛酷な状況だ。 母が届けを出していないため、マイコには国籍がないのだ。この世に存在しないはずの幽霊、それが彼女の身分だ。 それでも絶望はしない。人は国によって保障される以前に、人であるから人なのだ。 国籍や民族を価値観の中枢に置く人には我慢ならないだろうが、私はマイコに大いに共感した。 異様な環境の中でも様々な出会いがあり、自由を求めて冒険の旅に出る。 一癖ありげな脇役たちが、リアルかつ魅力的に造形されている。 特に不法滞在者の黒人少女エリスが強烈な印象を残す。世界は理不尽と苦痛に満ちている。 それでも彼女の背筋は伸びており、瞳は最後まで明日を見つめていた・・・と信じたい。 心の闇を描くのが得意な作家だが、本作は個人ではなく社会の闇がメインテーマだ。 内戦中のアフリカ、貧しげな欧州の下町、そして作中には登場しないが日本。 どの社会にも目をそむけたくなるような現実が横たわっている。明けない夜の世界で、したたかに生き延びる少女たちに拍手を送りたい。 本作をきっかけに、桐野先生が国際的社会派作家として飛躍をとげるかもしれない。そんな期待の高まる力作だった。 | ||||
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ネタバレなし。桐野さんの真骨頂といえば、『ポリティコン』『グロテスク』にあるような人間(特に女性)が持っている、人には隠しておきたい本質的心理をえぐるような描写。ここ最近の単行本『緑の毒』、『ハピネス』、『だから荒野』は生活感があるライトな作品が続いた。負の感情を突き詰めていく作品を求めていた私には、感情の黒さ、重たさがやや足りなかった。しかし本書は久しぶりに切迫した時にでてしまう人間の本質の欲望をあらわに書かれた作品です。分厚く、文字も小さく読みごたえがあります。重たい作品を待っていたファンにとっては満足する1冊だと思います。 | ||||
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久しぶりの桐野ワールド全開の長編小説 主人公の舞子は自分の本当の名前も知らず、整形を繰り返しながら隠れ暮らす母の秘密も 父親が誰なのかも知らずに生きている少女です。 舞子は家にあった雑誌で七海(ななみ)と言う女性を知り親近感を抱き、手紙を書き始めます。 その七海宛ての手紙を通して舞子のその時その時の状況が読者に解る様に物語は展開して行きます。 舞子はその後エリスとアナと言う地下に住む2人の女性と出会い更に物語はサバイバルな状況へと変化して行きます。 この物語の中心人物である舞子・エリス・アナの人物描写がとても丁寧に描かれていて登場人物にも魅力を感じ 表紙に描かれている3人の女性が絶えず脳内映像で動いていました。 今回の長編は途中で飽きる事が全くなく、グロテスクなシーンや目や耳を塞ぎたくなる様なシーンも出て来ますが その後の展開が気になり本を閉じる事が出来ませんでした。 最後の最後まで良い意味でどんでん返しの連続で「OUT」以来の衝撃を受けました。 決して心地よい作品とは言えませんし自分の住む世界とはかけ離れている世界での出来事の様ですが とてもリアルな部分や問題定義も感じられ、久々にのめり込んで一気読みした作品です。 | ||||
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自分は「OUT」や「柔らかな頬」のようなひりひりするクライムノベル を彼女に期待しています。 しかし最近はどうも作風がそっちそっち方面には向いていない。今 後はもう少し内容を確認してから購入に踏み切ろうと思います。 ちょっと残念。 | ||||
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文章もストーリーも、桐野ワールドだった。 それなりに楽しい作品では、あったと思う。 最後、少なからず失望させられた。もうひとつ工夫して貰いたかった!。 | ||||
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国籍もなく、偽名で生活し、友達でさえ作れない。何のアイデンティティをも持たない18歳が、手紙で独白する形で始まり、読み込んでも見えそうで見えない謎だらけで、家を飛び出してからの環境や心模様にはひやひやし、どうなってしまうのか気になって気になって頁をめくる手が捗って仕方ありませんでした。 最後は「なんて鮮やかなんだ!さすがッ」と唸ってしまいます。 | ||||
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ナポリのスラムに母親と二人で住む舞子が七海に書き送る、 Dear Nanami,で始まる手紙からはじまります。 一緒に暮らす母親の名前もわからず、 母親が出生届をださないために国籍もなく、 たまに母親が姿を消すとろくに物も食べられなかったり。 そんな舞子が家を飛び出し、 もっと過酷な人生を送ってきたエリスとアナに知り合い、 三人で苛烈な現代を生きていくサバイバル物語・・・ 中でも、 それこそほんの幼女の頃から、常に虐殺の最中におかれて、 生きていくためにはなんでもせざるを得ない状況にあるという 究極のサバイバルを乗り切ってナポリまで逃げてきたエリス。 アフリカ南部の激烈な戦いは、ニュースでは聞いていたけど、 こんな風に小説で読むと ほんとに身の毛がよだつような過酷さで。 平和日本に生まれて育ったことのありがたさを もっと感謝しなきゃなとマジに思いました。 ところで、七海は「重信房子」の娘「メイ」がモデルと思います。 テルアビブ空港乱射事件をリアルで知っている年代の方は ご存知と思いますが、 数奇な運命をたどったこの二人のことを知らないで読むと 面白さが半減しますから、 もし知らないのでしたら是非その前に、 この親子のことを調べてから読んでみてください。 | ||||
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世の中から隔離されてきた主人公が、MANGAを通して別の世界を知ったことをきっかけに自分の足で外に踏み出したものの、様々な体験を重ねることと、壮絶な過去を持つ友人との交流を通じて、世界観が徐々に変わっていく様は読み応えがありました。特に友人のエリスの生き様は、主人公以上に魅力的でしたね。 一方で、最終的に明らかになるストーリーラインは、主人公の心理をプレーンな状態からスタートさせる為にこのような設定にしたのだと思いますが、ちょっと納得感がなく、主人公が手紙を書き続ける相手の掘り下げも不十分で物足りなさを感じました。 それでも一気に読んだのですから、書き方うまいんですね、この方は。 | ||||
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