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(短編集)
遠い接近
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【この小説が収録されている参考書籍】
遠い接近の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.52pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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主人公の過酷な経験は勿論同情に値するが、この経験はあの戦争の時代にはかなり多くの日本人が共有していたものではないのか?「霧の旗」ほどではないが、主人公の怨念は逆恨みと言えなくもない。 原爆で家族を亡くしたという悲劇を組み込まなければ、このルサンチマンの物語は成立しないのではないか? 清張さんご自身の軍隊経験が投影されていて、ファンには興味深いストーリーなのだが、傑作とは言い難い作品。 清張信者たちの憤激を招きますか? | ||||
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兵隊にとられて悲惨な運命を辿った男が、自分に召集令状を書いた役場の小役人を探し出して仕返しするというストーリー。 おもしろい。そういう発想は個人的には大好き。思いついた時点で百点。いかにも清張が書きそうな小説。 だが、これは明らかに筋違いである。逆恨みといってもよい。それが証拠にそんなことをした奴は現実には誰もいない。もし、こんな報復劇が実際に行われたなら、役場の戸籍係は全滅だ。 この場合、主人公に召集令状を書いた区役所の職員に他意はない。軍事教練の出席率が低かった者(主人公はしきりに仕事があって出たくても出られなかったとエクスキューズしているが……)から優先的に徴兵にとるというのは、消去法というか、まともな発想であり、職員の行った行為は少なくとも死に値するようなシロモノではない。 言うまでもなく、本当に悪いのは戦争をやらかした連中であり、戦争で旨い汁を吸っている輩であり、国家であり……などとはじめると、これはこれで『人間の條件』になってしまう。 というわけでルサンチマンの帝王、松本清張のねちっこくクールな報復譚ができあがった。著者もこんな仕返しが正当でないことは百も承知。最後はお約束の殺人事件と謎解きとお縄頂戴で締めくくられる。 まあ、ここに出てくる小役人や古兵はみんな大嫌いなんですがね。 でも、『坂の上の雲』とかが好きな人たちは、こういうのが苦手なんだろうな。たぶん。 | ||||
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