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悪意の糸



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【この小説が収録されている参考書籍】
悪意の糸 (創元推理文庫)

悪意の糸の評価: 3.38/5点 レビュー 8件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.38pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(3pt)

戦後のメロドラマ・サスペンス

不倫関係を続ける女医、一夜の関係で望まぬ妊娠をしてしまった若い女、夫に裏切られていることに気付かないお人形の様な妻。そして女医の不倫相手の医者と、そこに横恋慕して口を挟んで来る刑事、後は如何にもな小悪党が少々。メロドラマ的設定に、サスペンス的展開、そして安直な謎解きと意外でもない結末。推理小説としては凡作か、精々佳作の域を出ないが、人物描写が一定のレヴェルに達しているので、そこそこ読める。但し紹介文に有る様に「卓越した心理描写」とまで持ち上げる気には成れないし、「技巧を凝らし」ているとも思えない。カサカサに乾いた戦後の世相の雰囲気は上手く出ているので、ミステリ史の動きを考える上では興味深い存在なのかも知れないが、今の読者にとっては面白いかどうか。しかしまぁ、メロドラマは時代を超えて普遍なので、その意味ではまだまだ古びてはいないのかも知れない。
悪意の糸 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:悪意の糸 (創元推理文庫)より
4488247083
No.2:
(3pt)

ちょっと考えさせられます。

主人公の女性が賢いはずなのですが、ちょっと無謀です(!?)
良くある話の気もしますが、やはり、悪意の種は自分で蒔いているようです。
悪意の糸 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:悪意の糸 (創元推理文庫)より
4488247083
No.1:
(3pt)

哀しい狂気の旋律

均衡を崩した精神が見つめる不気味な風景。壊れかけた人格の鏡に映った世界の崩壊を、不安な描線とグロテスクな色調もつシュールレアリズムの絵のように描出したマーガレット・ミラーのミステリー。そこにある哀切な美しさに、初めて酩酊させられたのは、もう何年前のことだろう…。

久しぶりの初訳作品とあって購入に躊躇はなかったが、代表作と評価される作品と比較すると、いささかライト級の感がある本作だった。作品世界はグロテスクなほどの超現実的な歪みは見せておらず、バランスを保った平穏な日常の所々に、不吉な陥穽を予感させるほころびが散見できるという、定石的なサスペンスの風景が展開される。

不倫…、一夜の情事の結果の妊娠…、昼メロじみた素材ばかりで始まる導入部には、正直やや落胆させられる。しかしページが進むにつれ、悪意の糸はより複雑にもつれはじめ、徐々にサスペンスのボルテージをあげてゆく。そして、謎解きの背景を演出して吹きすさぶ風の音色に、哀切な狂気の旋律を奏でさせながら幕を引いてみせるクライマックスには、いかにもミラーらし味わいがあって引き込まれていた。

ただ過去に読んだ、『鉄の門』『殺す風』『まるで天使のような』『狙った獣』などの代表作と比較してしまうと、やはり軽量感は否めず食い足りなさが残ったので、この星の数の評価とした。
悪意の糸 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:悪意の糸 (創元推理文庫)より
4488247083

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