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悪意の糸
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悪意の糸の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.38pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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防ごうと思えばいくらでも防げたことだ。 そう思った時点ですべて結果論である。 みんな、何かヘンなことをしている。医者のくせに、弁護士のくせに、そりゃあないよな。 多分、「私だったらこんな間抜けなことはしない」とあなたが思ったとしたら、 それで作者の勝ちなのであろう。 そうは上手くはいかないということを、自分が気づいていないということが炙り出されたにもかかわらず、 我々はまだ他人事だと思っていうからである。 | ||||
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初めてマーガレットミラーの作品を読みました。 あらすじを読んだときは、てっきり妊娠した患者ヴァイオレットの物語だと思って読み始めたのですが、これは女医シャーロットの物語だったのですね。 1ページ目を開いた瞬間から目が離せなくなり、1日で一気読みでした。50ページ以内に事件が発生、100ページ以内に急展開、とてもスピーディで、全体のページ数も多くなく、読みやすかったです。 最後まで読み終わってみると、話自体はシンプルなのですが(最後に少しひねりがある)、登場人物達の駆け引きや、心理描写が卓越なので、良い内容に仕上がっています。 メロドラマ風のお話ですが、もちろんミステリーの醍醐味も味わえます。 マーガレットミラーさんの、他の作品もぜひ読んでみようと思います。 | ||||
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独自の視点によって犯罪に巻き込まれる女達の過酷な人生模様をスリリングに描く女流心理サスペンスの名手ミラーの秀作推理です。本書のヒロイン、女医のシャーロットは偶々自らの患者の夫である既婚男性と不倫関係を続けているのですが、ある事件をきっかけにして「愛があれば」などという甘ったるい考えを粉々に打ち砕かれる強烈な体験をする事となるのですね。 女医のシャーロットは突然クリニックに現われた若い女ヴァイオレットが訴えた夫以外の男との間に出来たお腹の子どもを中絶して欲しいとの願いをあっさりと退けて断る。女が姿を消した後でどうにも気になったシャーロットは住所を記憶していてその夜に訪ねるのだが、それから不吉な事件の幕が一気に開き始めるのだった。 本書の訳題「悪意の糸」とは本当に上手く名づけた物で、金づると見さだめた悪党どもや過去の過ち等々が複雑に絡み合って、全てが結びつき悲劇的な死へと導かれて行くのですね。ヒロインのシャーロットはこの事件での自らの役割に直接的な責任はないかも知れませんが、その狂気の発露には影響を与えた面が皆無とは言えないと自覚したでしょうし、中途半端で無責任で不毛な不倫関係を続けて来た事の愚かさと、自分は愛や人生の全てを理解して完全に生活をコントロール出来ているとうぬぼれていた事に気づかされ、その全てが音を立ててガラガラと崩壊するさまを見つめるのは誠に辛いことこの上ないでしょうね。けれど彼女はまだ若くこれからでも十分に出直して正しい道を歩み始めるのに決して遅くはないのがせめてもの救いでしょうね。著者の作風は意外性を狙ったトリッキーな推理の構築というよりも、苦悩し狂気に至る女の内面と性をあまさず赤裸々に映し出す迫真の心理描写を味わわせてくれる衝撃的な人間ドラマの魅力が大きいと言えるでしょうね。どんなに苦くショッキングな結末を迎えようとも著者の作品には本物だけが持つ真実味が確実に感じ取れますので、これを機に再び過去の傑作群を読み返して見たいなと強く思いました。 | ||||
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原題 Do Evil in Return (原著1950年刊) 第二次大戦後のアメリカにおける心理サスペンスの開拓者にして巨匠ミラーの久々の邦訳。 望まぬ妊娠をした若い女性の謎めいた失踪から幕を開ける展開は、伴侶であったロス・マクドナルドの諸作を思わせる。静かな筆致で爛熟を遂げつつあったアメリカ社会の歪みや人間関係の欺瞞を描くというテーマも共通しているのが興味深い。 傑作『狙った獣』(1955年)同様に本書でも抑圧された女性の心理が招く悲劇がサスペンス豊かに描かれている。 本書の出来栄え、特にプロットの緊密さは代表作である『殺す風』(1957年)や『まるで天使のような』(1962年)に及ばないが、被害者と対照的に、当時としては社会的に自立した存在である医師のヒロインが真相に至って心揺さぶられる、その心境を描く精緻さは未だ鮮明さを保っている。 | ||||
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