■スポンサードリンク
鐘楼の蝙蝠
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
鐘楼の蝙蝠の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.62pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
原著は1937年。 マクドナルド主席警部ものの一冊だ。 ロンドン中心部にありながら、ゴシック風の廃墟を思わせる建物で起こる謎の事件を、マクドナルドが丹念に解きほぐしていくという本格ミステリだ。 ミスリーディングが効いており、途中でああでもないこうでもないといろいろ考えさせられ、最後まで真相が分からない。 不気味な要素も横溢しており、読み応えのある一冊であった。 訳文もこなれていて読みやすい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ロラックのマクドナルド主席警部シリーズはミステリーに対する衝撃的な挑発的な問題作品群である。 ホームズとワトソンに象徴される受け入れられない天才とそれを支える凡人のコンビはそういう要素が読者の中にあるわけで、 だからこそそのコンビが権威を打倒したり近代の都市の闇を暴くとき喝采され、そのフォーマットはハリウッド映画だろうが日本の連ドラだろうが不滅のパターンだが、 現実には奇嬌な天才が意外な逆説を振り回しても事件関係者は口を開いてはくれない。 マクドナルド刑事は違う。 事件関係者はあいつは犯人かも知れないが庇いたいとか様々な思惑を持っている。 そこにマクドナルドは捜査で知り得た情報を元に出していい情報といけない情報を吟味しながら関係者に情報を与え、 人間関係を築いていくこと、共に捜査に協力させながら少しずつ関係者の隠しているものを解き明かしながら事件を解決に導く。 まずもって人間関係を築くことが捜査なのだ。 その過程で事件の見方は二転三転するがあらゆる可能性を排除せずに人間への洞察を保ちながら、捜査でその人間関係でないものを潰して真相にたどり着く。 いわゆる奇嬌な名探偵のように決めつけ断言はしない。 関係者の立場を尊重しその中で出していいものを出させて埋めていく。 そういう洞察の元にこのシリーズは成り立っている。 ここにはホームズはいない。マクドナルドはワトソンであり、ワトソンのままで名探偵なのだ。 あなたはあなたのままで名探偵なのだ。 ホームズやポアロやクイーンや御手洗が尋問してきたら事件関係者は怒りだすし、思弁を弄さず行動を誇るというマーロウもフレンチも人間関係を築いていない点で同じ穴の狢だが。 彼らは全てマクドナルドに比べれば独りよがりなのだ。 マクドナルドが困難を乗り越え人間関係を作るのはリアルであり事件関係者がじょじょに打ち解けて情報を提供する過程には真実の響きがある。 事件関係者がこうじゃないかと思っている事件の情報を与え見方を変えさせ情報を得て事件を詰めていく。 ホームズのいないワトソンが名探偵であること。聞き上手な名探偵。 ミステリー最大の逆説がここにはある。 人格円満で聞き上手な名探偵。 何故人が話すかと言うと、的確に捜査し適切に推理した上で事件関係者その人の欲しがっている情報を洞察し与えるからだが、 その能力を全て聞き上手になるために費やしている名探偵。 真相を隠してたり真相を誤解していたりする関係者の心を溶かし的確に情報を引き出す名探偵。 今となっては犯人が意外でない、隠されていない、トリックが驚きがないとか批判もあるだろうが、ミステリーの前提を突き崩してしまっている衝撃の反ミステリーがここにはある。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
事件のミステリアスさやトリックの巧みさはとてもすばらしく一気に読んだのは確か。 ただし、この作品ではマクドナルド主任警部の活躍や推理があまりパッとしない感じがしたのは少し残念に思われる。 結末も、急転直下と言えば聞こえがいいが、主人公の作戦勝ちというよりはアクシデントに近い。 全体として、クリスティー型の天才探偵の大活躍でもなければ、クロフツ型の地道な捜査による刑事ものでもなく、事件の 関連人物の行動を主軸とするサスペンスものに近く、そのまとめ役にマクドナルド主任警部が動くと言った構成だと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「ECRロラック」の日本語訳の本は全て読んでいるが、これも今までは通り気に入った。読み始め少し退屈・・だが読み進めるうちに 一気に読んでしまった。自分の頭の中で犯人を考えたりしながら。。。 最後ページの「解説」も読んでみたが コレはよくない と思った。登場人物について解説者の意見を頭にふきこまれる。こんな解説無意味です。そのぶん、本の値段を10円でも20円でも・・・すこしでも安くしてくれ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[?] ネタバレを表示する | ||||
---|---|---|---|---|
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
恐喝に怯える登場人物が不審な失踪を遂げ・・・というお話。 筋はこの頃のミステリにありがちな金を巡る因縁話。登場人物もよくあるタイプが殆ど。話の主導権を握るマクドナルド警部もあまり個性的でなく、突出した魅力に乏しい感じ。こう書くと全く新鮮味がなく長所もなくよくあるパターンのミステリに見えて読む気がなくなるかもしれませんが、まずまず面白い小説でした。個人的に黄金時代のUKミステリに得も言われぬ郷愁を感じてしまう人間なので点が甘くなってしまうのかもしれません。なので、余計な情報をとっぱらって純粋にミステリとして読まれる方はもうちょっと低い評価になるとも思いますし、それが正当な評価だとも納得できます。クリスティのさりげない描写に超絶技巧を織り込む明晰さ、クィーンの論理にこだわる徹底さ、カーの命懸けでミステリを書く気迫、ブランドの禍々しい悪意、そういう突出した個性がこのロラックという人には若干欠けるのが大御所と言われながらも翻訳が遅れた原因かなとか思いました。なので私みたいな本格おたく向けかも。ともあれ黄金時代のUKミステリの補完作業は重要だと思うのでこういう点数にしておきました。 人にすすめるかどうかは微妙ですが、暇つぶしには最適でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ロラックの作品はいくつかパブリックドメインになっていて、この作品は先日電子書籍で読んだばかり。改めて日本語訳を読了。死体の身許と犯人になりえる人物の組み合わせがさまざまに検討されていくところは楽しいが、地味な印象もある。訳文はもう少し古色があったほうが良かった。この作家の紹介が遅れたのは、初期はマイナーな出版社で、コリンズやダブルデイのクライムクラブに書くようなったのが遅く、日本人の目には入りにくかったためと思われる。このままロラックの作品の紹介が続いてくれればありがたい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
原題 Bats in the Belfry (原著1937年刊) 「顔の無い死体」テーマの巧妙なヴァリエーション。 絶妙に読者の予想を外して行くプロットや、仮説を重ねて行くマクドナルド首席警部の推理はコリン・デクスターの作品を先取りしたかのような面白さがある。 そして場面転換の早い動的な展開に読者を飽きさせない工夫とサーヴィス精神を見る。 『悪魔と警視庁』でも感じたが、1930年代の本格派にありがちな退屈とは無縁なリーダビリティは普遍的な魅力を持つ。 さらに人物描写に膨らみがあれば言うことは無いが、それを多作であった作者に望むのは酷だろうか。 本書以外の既訳作品を読んでもこの作家が従来、日本での紹介に恵まれなかったのは不可解で、今更ながら翻訳出版はタイミングや運に左右される要素が大きいのを痛感する。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!