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怒り
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怒りの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全200件 161~180 9/10ページ
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登場人物の山神一也は市橋達也だとの指摘がありますが、 判例宴のあとには該当しないのでしょうか? 該当しないのでしょうね 該当しないんです 実在する人物を本人に無断でモデルにしても その人が犯罪者ならいいのではないでしょうか 誰かを思わせる設定でも 誰かを思わせる登場人物名でも 誰かを思わせる表紙絵でも良いと思います 仮に、小説を出版してしまった後で無罪だったり冤罪だったりしても 書き逃げすればいいのです 吉田先生は確かデビューの頃、受賞会見で 「水のような小説が書きたい」とおっしゃっていましたね 今回も濃厚な味つけの傑作だと思います | ||||
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他の作品、特に「悪人」が秀逸だったので購入したが正直言って期待はずれだった。 まず構成が複雑で、個々の繋がりもなく読んでいて疲れること。そしてなにより殺人犯の最期があまりにもあっけなく、殺人の動機や殺人に至るまでの犯人の心理描写やその背景等の記述がないので、読後感はすっきりしない。本屋大賞の候補作らしいが、候補に挙げた書店員さんにも疑問が残ると言わざるをえない。 | ||||
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一気に読了したから、面白かったことは間違いないのだが、何がどう面白かったのか、人に説明するのがとても難しい小説である。下敷きにしているのは、市橋某の殺人事件および逃亡劇。あるインタビューで著者の吉田修一氏は、「事件そのものより、目撃情報の通報者に興味があった」と述べている。身近な人間に対して疑念が生まれていく、事件の遠景にこそ関心があったと。 複数(今回は3つ)の人間模様が交互に描かれる手法は、同じ著者の作品で台湾を舞台にした『路(ルウ)』を思わせるが、本書はミステリ仕立て。テイストとしては『悪人』に近いのだけれど、『悪人』では本流となる人間模様にいくつもの小さな傍流が絡んでくるのに対して、こちらは3つの人間模様が同程度の質量をもって描かれる。その熱に煽られるように、読者はただただページを繰っていくことになる。ということはつまり、作者の筆力によって生み出される圧倒的なディテールこそが、「面白さ」の源泉なのだろう。 3つの人間模様に通奏低音として流れるのは、「人を信じることの難しさ」。このテーマは、恋愛小説の傑作『東京湾景』にも顕著だが、今回おやっと思ったのは、傍流として描かれる刑事のエピソードだ。ここには、じゃあ何もかも不問にして受け入れることですべてがオッケーになるのか、という自己反論が感じられる。その意味では、作者は「信じることの大切さ」を手放しで叫んでいるわけではない。そんなややこしさをもそっとしのばせて、人の世の綾を織り成す手腕は、吉田修一という作家の稀有な才能だろう。ただ「ああ面白かった!」ではなく、私たちは少し不安な気持ちを抱えたまま、ページを閉じることになる。 | ||||
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推理小説として読むと物足りない作品だと思うが、人の心の機微や人間関係の難しさが書かれた小説として読むと、 良い作品、というか胸に残る作品だと思う。犯人の動機、犯行手口、これまでの逃走経緯を、ラストに崖の上でとうとうと 涙ながらに犯人に語ってもらって探偵役の人達と分かち合う姿を見てスッキリしたい、という人は読むとイライラが募って たまらなくなるだろう。 ちょっとニュアンスが違うかもしれないが「異邦人」を読んだ時のモヤモヤと似ている気がする。 これまでの人生で自分が言ってしまった言葉、取ってしまった態度の理由の全てを、一から十まで理路整然と語れる人は いるだろうか。自分が起こしてしまった出来事にどのような理屈や感情が働いたのかを全て、他人にキッチリと説明しきって、 納得してもらえる自信のある人はいるのだろうか? こうすれば上手くいったかもしれない、ああ言えばうまく運べたかもしれないと、後から思っても、取り返しのつかないことがある。 そういったことをまざまざと見せつけてくる小説だと思う。星5つにしたいところだけど、苦しすぎて読み返すのが辛いからマイナス1。 | ||||
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猟奇的殺人の後、”怒り”の文字を残して、行方をくらまし、手配中の山神。 各地に、前歴不明の、3名の男が現れる。 周囲にいる人達は、近づくほどに、山神ではないかと、、疑っていく。 3名の謎の男性の書き方も良かったし、 その周辺の人達の疑惑の持ち方も、、関係性もよかったのだけど。 下巻に入って、なんだか、尻切れトンボなんですよね。 あれほど、三つの話しが交差して、面白そうだったのに。 それと、怒りの意味がわからない。 どうして、あんな怒りを持つのか、あれが、怒りなのか。 本当に尻切れトンボな感じで、 もやもやと終わった、、。 | ||||
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殺人事件の犯人の可能性がある人物が、作中に3名出てくる。 3名の近くにいる人物たちは、信じたいがもしものことがあったら・・、 という考えにとらわれる。 他の方も書いておられるようにミステリーではないが、 他者を信ずることの難しさを突きつけられる。 途中、間延びがする感じがあったが、後半は一気に読めた。 ラストは、かなり切ない・・。 | ||||
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「悪人」もそうですが、常に今の日本の「普通の人々の生活」が 丁寧に描かれているからこその、この読後感。 物語は夫婦の殺害現場から始まります。 そして、逃亡しているその殺人犯らしき青年が3人描かれます。 3人とも過去の何かから逃げている様子。 一人は千葉の漁村で、徐々に地域にうけいれられつつある。 もう一人は波照間島から、さらには慣れた孤島でくらすバックパッカー。 最後の一人はゲイの男性の部屋に、ひょんなことから居ついた男性。 それぞれの生活が周りの人々の生活に加えて 殺人犯を追う刑事の様子とともに、描かれていきます。 この3人のうち、誰が殺人犯??と思いながら読み進めると 3人の周りの人々もTV報道などで 「ひょっとして・・あの殺人犯では?」と疑い始めます。 人と人とのつながりとは? 「NO!」と言い続けることの難しさ。 そして「人を信じるとは、どういうことか」を 考えさせられる小説でした。 満足、満足。 | ||||
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前半は、複数の容疑者のうち誰が犯人だろうかと思って、読み進むことができた。 しかし、後半は、犯人は分かったものの、結末がなんとも寒かった。 殺人の動機もはっきりせず、「怒りを向ける相手を間違えた『八つ当たり殺人』か?」という、すっきりしない読後感だ。 | ||||
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この作者の作品は初めて読むので、他の作品もそうなのかは分かりませんが、話の展開になかなかついていけず、数ページ戻って確認しながら読んだりしていました。 本だから戻って確認するのも簡単ですが、新聞小説の時に読んでいたら、流れについていけなくなって途中でやめたかもしれません…。 好みの問題なのかもしれませんが、「これは書かなくてもいいだろう」と思ったり「これを書いてくれればいいのに(読者にお任せじゃなくて)」という部分が多々あり、私はこの作者の作品には向かない読者なんだろうなと思いました。 普段ミステリーをよく読むのですが、最初の事件の顛末はもう少し知りたかったな…と思います。 (この作品もamazonではミステリーに分類されているようですし…。) | ||||
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様々な登場人物の日常に犯人が潜んでいる雰囲気を出しながら進んでいくストーリー。 流れ者を信じていいのか疑心暗鬼になりながらも信じようとする人たちの葛藤。 自分も同じ立場にたったらと、想像出来ることが妙にリアリティがあり、 先が気になって一気に読める内容です。 | ||||
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上巻で描かれていた物語が徐々にまとまり最後のゴールへと向かう流れは非常に面白かったが、 最後の結末は少し残念。 「怒り」の真相を解かないところと、今回登場する人物たちの葛藤がリンクする感じがしたが、 他人を理解するのは難しいというメッセージなのかな。 | ||||
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一気に読み進めました。そういう意味では面白かったんだと思います。 冒頭から誰もが実際に起きた事件を想起させるような描写から始まります。いくつか世間を騒がせた事件を織り交ぜて物語が進行していきます。いろいろな事情を抱えて懸命に生きている人、いろいろな事情を抱えて素性を隠している人。身近で大切な人になったけれども素性がわからない、指名手配された凶悪犯の共通する特徴を持つ人。微妙な均衡を保ってきた関係が些細な疑惑から崩壊していきます。犯人かと思われる3人の素性のわからない男性、また犯人を追う刑事の恋人も素性を隠しています。事件の結末は納得のいくものでは決してありません。事件の全容がわからないこともよくありますし、実際には起こりうることでもやはり、純粋な少年があのような罪を犯してしまうことは読んでいて辛いです。またゲイカップルもそれほどの事情ではないのだから、最後には打ち明けて幸せになってほしかった。疑いを口にした途端姿を消す、やっぱり怪しいぞ(でも実は自分の意思で姿を消したわけではなかったのかぁ)と思わせるためにあの結末にしたのでしょうが、そのために○○されたのかと思うとやり切れません。ある意味二人が望んだ通りになったとしても。 この作家の作品は初読ですが、今一つ筆力が拙い気がします。またあからさまに読者をひっかけるためのトラップが見えているのでげんなり。そんなもんはいらないから純粋に楽しませてくれと思いました。 面白かったかと聞かれれば面白かったです。ですが、読んでよかったかと聞かれれば心地いい読後感とは言えません。人に勧められるかと聞かれれば勧めないかも?読みたいなら止めませんけどね。 | ||||
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上巻を読み終えた時点で、なにか鋭い爪でつかまれているような思いに駆られ 一挙に下巻を読み終えました。 エンターテーメントと呼ぶにはあまりにも混沌とした重たい読後感が残りました。 とてもスッキリとはいえない終わり方で、読んだ直後はそのあっけなさにあ然としましたが 時間が経つにつれ共にもがいている作者の姿がみえてくるようになりました。 吉田修一はこの作品を習作としてなにかとてつもないものを描こうとしているのではないか。 恐ろしいような期待です。 人のこころの深淵を分析的にではなく、あくまで小説としてそのどろどろとした膿のにおいまでも感じさせる そんなものが世に出る日もそう遠くはないと感じさせる秀作です。 | ||||
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この作家が好きだ!という人以外は読む必要はありません! 読んだところで本当に「怒り」が湧いてきます。 | ||||
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後半に犯人像が明らかにされ、思いがけない結末が用意されています。犯人かと思われる人物達とその人物を取り巻く人間関係を描くことがとても巧く、犯人を捕らえ、犯罪を究明するのがミステリーだとすれば、本書は明らかにミステリーではなく、ミステリー形式をとった文学作品だと言えましょう。犯人が誰かよりも、犯人もしくは犯人と疑われる人物と親しく交わってきた人間達の動揺や、その人物が失踪したことによる喪失感が見事に描かれています。読者が犯人が誰かということよりも、周囲の人間達の苦しみや悩みの方に気が向いていくように書かれています。人間がどういう状況であれ、他者と関わり、かけがえのない人間関係を結ぶことの重みや大切さを読者に伝える小説です。めまぐるしい場面転換のために、ストーリーの流れをともすれば失いがちになりやすい書き方をとっていますが、本書は間違いなく傑作です。文学ファンにお薦めの一冊です。 | ||||
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『愛に乱暴』を読んで数日後に読みました。前作と同じく構成の巧みさに圧倒されます。 上巻は若干読み進むのが遅かったけれど、下巻ではひとりの謎の男の正体がわかってからは、読み進まずにはいられませんでした。 それぞれの謎の男たちの正体がわかった後も、その後の顛末も書き込んであり納得して読み終えました。 それぞれの登場人物の言動や心の動きも多くの人が「そうするかもしれない」と共感するだろう。心と言葉と行動の微妙なズレによって大きく変わっていく他人との関わり、それぞれの心象をすとんと腑に落ちる言葉で表現されている。 3つ(正確には刑事自身の話もあるので4つ)の話からは、今の実際に起きたいろいろな事件や現代社会の要素を散りばめてそれぞれの話を構成してあり、この上下巻の2冊でこれだけのトピックが入っているのは「もったいない」と思えるくらいだった。とりわけ、少数派(又は、大嫌いな表現ですが社会的弱者)が登場人物の多くを占めているのも興味深い。著者の視野の広さを再確認できる。 単なる主観ですが、 読み終えて時間がたつにつれて、このタイトルが熟成している。勿論、登場人物のものであるのは間違いないが、ひょっとしたら、著者のものではないかと思う。視野が広いが故に気づくあれこれ。それが納得がいかない結末をむかえるあれこれ。そして、真実っていったい...。 著者が感じていることの全てに共感できるとは思わないけれど、いくつかを共感して『怒り』として実感したい。 願わくば、自らなんらかの行動を起こしたい。 ★4つにしたのは、前作もそうですが、構成が凝っているので、(今のところ)しばらくは再読したいとは思わない。 それぞれの話をつなげたヴァージョンを読んでみたい。それなら、何度でも再読したいと思う。 電子図書ヴァージョンではそれを選べるといいな。 | ||||
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さすが吉田修一、上下巻一気読みさせていただきました。 星を分けるとするなら、上巻4.5、下巻3.5です。 上巻を読み終えた時点では、(あえてストーリーに触れることは避けます)事件の真相は? どうリンクするの?この人はどうなっちゃうの?と、久しぶりに「ページを捲る手が止まらない」状態でした。 私にとっては「読ませる」本っていうのがとても貴重で、こういう本にはなかなか出会えません。 さて、本作ですが、読み終えた時点ではちょっとした残念感が拭えませんでした。 もう少しなんとかならなかったのかなと、読み手の勝手な感想を持ってしまいますね。 結末がどうでも、後味が悪くても、登場人物がみんな不幸に終わってもいいんです。 ただ、小説の入りである事件を、読者はどうしても追ってしまいます。 書き手の思惑が少し別次元にあるのは、本作の後半には見えてきますが、やはり別々の物語は「事件」という共通項はあるものの、 きちんとリンクして欲しかったし、せめて確固たる犯人の動機や背景は描いて欲しかった。 「ホクロ」「左利き」などのキーワードを登場させたのは、当然収束に向けての意思があったと思うのですが。 全部拾えきれなかったのかなあ、と思わざるを得ません。 もう少し分厚い本で構わないので、その部分は描ききって欲しかったですね。 と、吉田修一だからこそ思います。 | ||||
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設定は、実際の事件をいくつか参考にしたうえで書き込まれたもの。 しかし、小説として本当に深みがあり、引き込まれた。 「面白かった」という陳腐な表現では語れませんね。 ここ数年読んだ小説のなかではベストでした。 | ||||
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吉田修一の本は、「悪人」のレビューをざっと一読してもわかるように、 いわゆる読書家ほど、評価が低いような気がする。 文章がおおらかというか雑駁というか、他の純文学作家の著作をよく読んでいる人には、 えぇ! という表現がある。 「紺碧の海」とか「雄大な海」とか「人生を切り開く力」とか、「最愛の××」とか。 もっと頭ひねって他の言い方考えろ、といいたくなるような表現がある。 以前の著作にも、「美しい風景」というのがあって、びっくりしたことを覚えている。 確信犯で使っているのでもないし、無意識に使っているのでもないだろう、たぶん。 人を信じる難しさ、尊さ、危うさ、がテーマかな。 同時進行で三つの話が進み、それぞれの人間関係のなかにどこかからやってきた「よそ者」が加わる。 それぞれの「よそ者」が、全国指名手配の犯人と疑われるが、もちろん犯人はその中のひとりである。 整形して逃げ回っていた実際の事件があるが、それをヒントにしているだけで、 凄惨な殺人事件そのものがテーマではないのだから、殺人の動機などあまり問題ではない。 というか、よく本作を読めば、動機なき殺人(もともとDNAが凶暴な奴)ということがわかる。 作者の小説の登場人物は、いつだって理性や論理や信仰や政治的信条で行動する人間はいない。 エロスやタナトスで行動する。 つまり大方の日本人と同じである。 それぞれ相手に分からない闇を抱える人と人とが信じあうこと、 とかなんとか書評を書いていた人がいたけれど、 人間同士、根本的に分かり合えないのは言わずもがなのことであって、 夫婦だってお互いの心の闇は分かり合えない。 この作者自身、深い無意識の衝動で作品を書いているのだろうと思う。 | ||||
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読んだ動機は、購読している「週刊読書人」の三月七日号に、著者・吉田氏と「週刊読書人」の編集者の対談が載っていたからである。この作家が、映画にもなった「悪人」を書いた人だということを知ったので、自分の好みの本ではない、とは思ったものの、一面から二面に掛けて掲載されている「週刊読書人」の対談の熱意に駆られるようにして読んだのだった。 話は、八王子市の新興住宅街で夫婦二人を惨殺した犯人がその血で、「怒」の文字を書いて逃走した、から始まる。作者は犯人らしき者として三人のよそ者を設定し、彼等が東京の新宿と、房総と、沖縄の波留間島に住み着き、それぞれの生活をしていく様子を描いていく。三人の間には何のつながりも無い。だから読者は三つの物語を読んでいくような気になる。 作者はこの三人のよそ者と、それに相対する人びと、新宿ではゲイの恋人、房総では父親と気だてのいい娘、波留間島では薄幸の母と娘、との関係を描くことによって、人間の絆や信じ合うということを伝えたかったのだと思う。その意味では作者の意図するところはよく伝わっている。 話の終わりの方で、作者が犯人の人間性を描く箇所には凄まじさがあり、思わず寒気がしたものである。こういう人間を犯人に仕立てたことにより、作者は、信じることの出来ない人間、というものも居るのだ、ということを描いてもいる。 読み終わった瞬間は、いやな後味で気持ちがざらつく思いになり、その想いがなかなか消えなかった。その反動か、人を信頼する、ということについて改めて考えてみる機会にはなった。小説としておもしろかったし、構成にもさすがと思わせるものがあったが、「週間読書人」に記載されたほどの迫力と感動はなかった。 | ||||
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