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怒り



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【この小説が収録されている参考書籍】
怒り(上)
怒り(下)
怒り(上) (中公文庫)
怒り(下) (中公文庫)

怒りの評価: 3.68/5点 レビュー 202件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.68pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全202件 201~202 11/11ページ
No.2:
(5pt)

この作家の見る世界

巧い。
点に散りばめられた小さなエピソードが、それぞれ化膿した傷のように痛み出す。
その各キャラクターたちの痛みに共感したら、もうこの物語から逃げられない。
吉田修一はこの作品で、よりエンタテイナーになったように思う。
パワフル且つ繊細で、読む者を、吉田ワールドへ引きずり込む。
ただ、エンディングあたりで、前作「愛に乱暴」と似たような失速感?を感じる。
唐突に、読者はドラマティックな世界から、ドライで無機質な現実に戻されるのだ。
吉田修一が敢えてそういう手法を選ぶのか、それとも飽和して尽きた結果なのか。
いずれにしても、前後編の85%まで、読み手は激しい感情に揺さぶられるのだから、凄い力量には違いない。
イッキ読み必至の面白さ。保証します。
怒り(下)Amazon書評・レビュー:怒り(下)より
4120045870
No.1:
(5pt)

普通のエンタメ小説ではない。

殺人を犯し、整形をして逃げる犯人の男といえば、誰もが実際に起きた事件の容疑者を思い浮かべるだろう。
沖縄の離島や、千葉の漁港で働き、はたまたゲイの居候をしていたと聞けば、より上記の事件の犯人の足取りと結びつく。
殺害現場に残された怒りの文字。犯人は怒りを体現し、それを示したかったのか、それとも何か別の理由があるのか。
この三人の男たちは同一人物なのだろうか。「怒り」はどこにあるのか?
読み終えて最初に思ったのは、ある意味で肩透かしの部分はあるし、掘り下げるべきテーマがもっとあったのではないかということだった。
しかし、それをやってしまえば他のエンタメ小説と変わらないし、作者が書きたかったのは、ワーキングプアの実態とか同性愛者の差別とか、そんな世俗的なものではないと思い直した。
誰の心にも潜み、そして時折抑えられない衝動として湧き上がる、怒り。
けれど、それさえも本当のテーマではない。激しい怒りのあとに訪れる虚しさや哀しみ、そして虚無。
ラストには救いがある。同じく、救いはない。
怒り(上)Amazon書評・レビュー:怒り(上)より
4120045862

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