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イスタンブールの群狼



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【この小説が収録されている参考書籍】
イスタンブールの群狼 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

イスタンブールの群狼の評価: 3.00/5点 レビュー 7件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全7件 1~7 1/1ページ
No.7:
(4pt)

主役はイスタンブールの街

ドラマ「オスマン帝国外伝」をずっと見ていて、ちょうどオスマン帝国に興味を持っていたところにこの作品をみつけました。1800年代前半のイスタンブールで、新設軍である近衛新軍の兵士が連続して殺される事件が起き、危機感をおぼえた司令官が聡明な宦官ヤシムに解決を依頼するというお話です。
ジャンルとしてはミステリに入りますが、やはり歴史学者が書いたミステリというべきか、歴史好きでおっとりした作風が好きな方にあうと思います。動機やトリック、種明かし重視の本格ファンや、スリリングでスピーディなエンタメ・アクション好きが読むと期待はずれになるかもしれません。あとがきで訳者が書いておられるように、主役はむしろ、イスタンブールというエキゾチックな街だという気がします。いかにもイギリス人作家らしく、くすっと笑えるユーモラスな部分も多いです。

イスタンブールに住んでいる様々な人種、宗教、階層の人たちを描いて秀逸です。アルバニア人のスープ屋親方、皮なめし職人たち、質のよい野菜を売ることを誇りにしているギリシャ人の八百屋、気のいいオカマちゃん、すでにロシアに滅ぼされてしまったポーランドの大使、ロシア大使の若すぎる美人の奥様、そしてオスマン皇帝のスルタンにフランス人の母后、黒人宦官長、スーダンから連れてこられた文書管理室の賢い青年奴隷などなど。翻訳はちょっとわかりにくいところがありましたが、人物のセリフがそれぞれにふさわしい言葉使いに書き分けられていて、リズミカルに生き生きとして楽しいです。
もちろん歴史の勉強にもなります。他国が恐れたオスマン帝国最強の軍団イェニチェリのことは知っていましたが、最後は傲岸不遜になってやりたい放題、市民にも憎まれた末に静粛されたというのは初めて知りました。オスマン帝国は同じ王朝が数百年続いた稀有な例ですが、それはキリスト教に凝り固まって他宗教を迫害した西欧とは違い、異なった人種や宗教を受け入れたゆるやかな統治の仕方のためだったということがよくわかります。文化的にも科学分野でも、昔はオスマンの方がずっと先進国だったわけですが、もしこのまま存続していたら、今頃世界はどうなっていただろうと考えることがあります。
イスタンブールの地図を広げながら読めば、さらに旅情を感じるのではないでしょうか。有名所もたくさん出てきますし、様々な街区の説明もあります。また、主人公ヤシムの作る料理がものすごくおいしそうで、香りまで漂ってきそうです。自分でも作りたくなりました。

事件の黒幕は意外な人物、意外な動機でした。近代に向かって国が変化していく苦悩のようなものも描かれていて興味深かったです。
また、訳者あとがきも楽しいです。作品に関係した部分についての簡単なオスマン帝国解説と、おすすめの関係本、小説が紹介されていてどれも読んでみたくなりました。作品にも出てきた牛の胃ハチノスのスープの詳しいつくり方も出ています。
イスタンブールの群狼 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:イスタンブールの群狼 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4151775013
No.6:
(2pt)

翻訳に要工夫

内容は別にして、日本語の翻訳が酷い。トルコ料理等への関心は認めるが、日本語の基本が疑わしい。内容的には面白いはずだが、残念だ。
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4151775013
No.5:
(2pt)

むずかしい

期待してたのに、さっぱりストーリーを追えなかった。
誰が何をどうした、という基本的な主語・述語がさっぱりわからない文章が多いような気がします。
他のレビュワーの方も書いてますが、これがすらすら読める人は尊敬します。

それからこれは翻訳の問題だと思いますが、表現が野暮ったいという(ぶきっちょ、ぐいと、まんじりと、あたふたと 等々)

料理と屋台・市場の描写に★2個
イスタンブールの群狼 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:イスタンブールの群狼 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4151775013
No.4:
(3pt)

ちょっと難しい本です。

よく知らない国の、よく知らない時代の話なので、情景を思い描くのが難しい。
正直、すごく挿絵が欲しかった。
また難しい言葉や、分かりにくい表現も多い。
この本をスラスラ読めて、ちゃんと理解できる人ってスゴイと思う。
私はパソコンを前に置いて、色々調べながら読みました。
ストーリーは途中まで非常に良いのですが、終盤(特にクライマックス)つまらなくなりました。
ちょっとやり過ぎではないかと。
イェニチェリどっかいっちゃうし・・・。
最後までメインは『対イェニチェリ』でいってほしかった。
苦労して読んだだけに、ちょっとガッカリ。
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No.3:
(3pt)

エキゾチックなハードボイルド

19世紀のトルコを舞台にしたミステリです。推理より行動を重視したストーリーは、本格ではなくハードボイルドのお約束に従って書かれています。
トルコを舞台にしているという異国情緒なエッセンスを除けば、平凡な話に思えます。
続編が書きたいらしく、シリーズキャラクターとなりそうな人物を揃えていきますが、他の作品でも探偵の周りにこんな役割のキャラクターが良くいるなという人ばかりです。(ちなみに本国では続編がすでに刊行済み)
唯一、「フリーランス」の意味に爆笑しましたが、他は都合の良い女性が出てくることも含めて、良くある話です。
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No.2:
(4pt)

高校生の歴史副読本にしたいくらい上出来

ミステリとしてはスリラー感覚、でもそういうことよりも、19世紀のオスマントルコという日本人には迷宮のように窺い知れない国情を、眼前に見るがごとく活写している様が素晴らしい。バザールの風景、ヤシムが自炊する時の実際の調理の仕方(これを読むだけで、実際に料理ができそうなほど詳細)、そして後宮(ハレム)、宦官といったどこか淫靡な世界。

19世紀半ばと言ったらもう西欧では共産主義運動が頭角を現し始めるほど近代化していた時代ですよ、それなのにこのトルコといったら、何百年も続いた中世帝国のままだったんですよね(その意味では我が国も同じか)、あらためてその歴史的意味を考えさせられました。

歴史副読本として、高校生くらいの夏休みの宿題で読んでほしいくらい、きっと彼らにとっても興味のわく本だと思います。
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4151775013
No.1:
(3pt)

イスラム世界が舞台のミステリ

アメリカ探偵作家賞受賞作品。
 19世紀、列強にじわじわと侵食されて斜陽のオスマントルコ帝国の首都イスタンブール。大々的な閲兵式を控えた近衛新軍の士官4名が行方不明となり、そのうちの一人が市街の馬小屋で大鍋に入れられた惨殺死体で発見される。事態を重くみた軍司令官は、帝国のどこにでも入り込めるヤシムという宦官に事件の解決を依頼する。。。イスラム世界で、列強に圧力をかけられながらもなお絶大な権力をにぎるスルタン。その身辺、大奥にもせまる影たち。事件の背後で暗躍するらしい、かつての最強軍団イェニチェリたちは、何を狙っているのか。
 ということで、舞台設定も雰囲気も独特で、時宜的にも興味をもてる一冊になるはずの本です。
 はず、というのはどうにも訳文が悪いのか、それとも時制や視点がころころ変わるせいなのか、状況がいまいち散文的にすぎる感じがしてプロットの巧みさが感じられないせいです。ところどころすごく面白いのに全体の印象としては散漫、まとまりきれていない感じがします。そのあたりが非常に残念です。
 主人公のヤシムのキャラクター造詣もけっこう魅力的なだけに、もう少しなんとかならなかったかなと残念です。宦官で料理に長けていて、ふだんは本の山に埋もれて街の一角で没落したポーランド大使や近所の八百屋と親しいコーヒー好き、なかなか見れない設定の主人公だけに、本当に惜しいです。まぁ、アメリカ探偵作家賞受賞作ということなので、この人の他の作品も読む機会は生まれそうですから、その時は、できたら同一主人公で別の話を読んでみたいと思います。
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4151775013

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