鏡は横にひび割れて
評判
鏡は横にひび割れての評価:
4.31/5点 レビュー 71件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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ポワロのシリーズはかなり読んでいるのだが、ミス・マープルものはあまり読んでいなかったので、評価の高い本作品を読んでみました。
1962年発表の作品だが、著者は、1976年に85歳で亡くなられているので、晩年の作品と言ってよいでしょう。それでも、ミステリの醍醐味が十分に味わえる良作でした。
ミス・マープルの住む、セント・メアリ・ミード村にも都市化の波が押し寄せてきていた。その村で、かつて起きた事件の舞台になった屋敷に、映画女優が引っ越してきた。その引っ越しパーティの席上、招待客のひとりが、毒の入ったカクテルを飲んで死亡してしまう…。
ミステリの世界では、フー・ダニット(誰が犯行を行ったのか)、ハウ・ダニット(どうやって犯行を行ったのか)、ホワイ・ダニット(なぜ犯行を行ったのか)という謎の提示の分類があります。本作品では、フー・ダニットについては、一応意外性がない訳ではないですが、「え?この人が?」という驚きはあまりないでしょう。
そこで、多くの招待客がいる中で、どうやって毒がカクテルに入れられたのか、というハウ・ダニットと、どんな理由でその犯行を行ったのか、というホワイ・ダニットが中心になります。中でも、本作品の評価を高くしているのは、ホワイ・ダニットの部分でしょう。この真相を見破るのは相当に困難だろうと思います。
例によって、このミステリの女王は、伏線の張り方が巧いです。
作品の至るところに伏線はありますが、私は、kindleで読んだのですが、物語が始まって10%に達する前に、最初の伏線が張られていることを、読後確認しました。
物語の最初の10分の1までの時点で、張られた伏線。事件が起きるのは、全体の4分の1(25%)くらいなので、それ以前は、村の様子や、ミス・マープルの身近な人たちとのやり取りで、ストーリー的には、あまり面白くはありませんが、そこに、伏線が潜んでいるのです。
現代のミステリと比べると、物語展開は、平板な感じですが、きちんと張られた伏線と意外な真相というミステリの骨格をしっかり備えた良作と感じました。