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ロスト・ケア
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ロスト・ケアの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.22pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全110件 81~100 5/6ページ
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今まで読んだ推理小説の中でも珠玉 犯人を突き止める論理が鋭い また、テーマも深い 労働者3人で一人の老人の面倒を見る社会の問題点が背景にある 気に入っているのだが、不当に評価は低いと感じている | ||||
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高齢化社会の抱える様々な問題と、尊厳死というものについて否応なしに考えさせられる小説だ。 ロスト・ケアとは、被介護者の生命を終わらせることにより、介護者と被介護者の両者を救う方法のことだ。 そんなのは、逃げでしかないと思うかもしれないが果たして本当にそうだろうか。著者は訴えてくる。 認知症はひどい状態になれば自分のことも場所も時間も分からなくなってくる。介護しているのが自分の子どもだと分からず、暴れまわる。 糞尿をまき散らし、子どもを罵る。そこには紛れもない地獄がある。 そしてそんな状況に陥る可能性は多くの人が持っている。持っているのに、実際体験してみないと理解は 難しいと思う。私は祖母が認知症になり家族が大変だったのを見ていたので多少は想像することができる。 もし自分が介護される側で、施設に行ける金銭的余裕はなく家族に介護されることになったら。 もう子ども孫もろくに分からず、被害妄想で暴れたり、夜徘徊したり、下の世話をしてもらったらどう感じるだろうか。 しばらくは大丈夫かもしれないが、介護する側も次第にストレスをため込み、ついには虐待を受けることになったら。 そんな状況で一体だれが望んで何のために自分は生きているのだろうかと思わないだろうか。 そしてそれを感じながら生きることほど、人間の尊厳を踏みにじることはないのではないだろうか。 それならば、殺してくれと、願わずにいれるだろうか。 たとえば妊娠しても望まれない生命は中絶することが法的に許されているが、これは国や宗教、時代によっては殺人だ。 一方で、安楽死は法的に殺人罪に問われるが、これも国によっては合法である。 つまり法は正義ではないのだ。必ず正しいわけではない。 私は個人的には安楽死という選択をすることは人間の尊厳を守る方法として守られるべき権利であると思う。 尊厳死という言葉がる。これは終末期において延命治療をしないということだ。これは明らかに命を”縮める”ことだが、 これは現在罪には問われないことになっているという。しかし命を”奪う”ことは法に触れる。 死ねる幸せと死ねない不幸があるという事実を見過ごしてはならない。 | ||||
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介護格差を痛感しました 介護認定の厳しさ介護サービスの短縮、介護保険料の値上げ、特老の順番待ち家族の 介護疲れ、とても共感できるところがありました | ||||
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私の父親も、この小説の登場人物と同じ、年齢にさしかかります。 年齢は止められることはできません。 いつかきます。 それは、私自身にもくるのです。 自身が介護に携わる時、本当にこなせられるのか。 そして介護される側になった時、幸せな最後を迎えられるのか。 とても考えさられました。 | ||||
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もうすぐ闇がやってくるのに何もできない。 安全地帯にいない庶民には… すぐ側にある穴の存在にぞっとしました。 | ||||
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第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。 介護の現場に焦点を当てた社会派ミステリー。次々と要介護の老人が殺されている、誰に?目的は?ミステリーとしてはそこそこだったけど、取り扱っているテーマや介護事業の実態は、勉強になった。私が介護を必要とする年になった時、どうなっているだろうか。 | ||||
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面白かった。考えさせられた。長生きすることは世の中にとって家族にとっていいことなのか?私自身はどうするのだろうか?と考えさせられた。自分の寿命を自分で決められないのだろうか?現役のときは何歳で家を買って、何歳で出産して、と計画して生きてきたのに、死ぬときを自分できめられないのは変だ。自分の持っているお金に見合った寿命を自分で決められたら私自身は安心して暮らせる。若い世代に負担をかけることは老人のエゴだ。 | ||||
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『絶叫』がとても良かったので、遅ればせながら文庫になってデビュー作のこちらを読ませていただきました。 いや~~、面白かった!! 個人的にはいままででベストです。久々に満足する読後感でした。 介護業界の暗部をえぐるようなストーリーで、43人もの要介護老人が3年以上にわたり、ひっそりと、ゆっくりと殺されていきます。 事件にもならず、検視もされずに自然死として処理されて。そのことに気づき、数学畑出身の事務官と共に統計学を駆使して事実に迫ってゆく検察官の「大友」。ここまででも充分に面白いのですが、クライマックスは、≪彼≫と大友の取り調べ。ここで二重の驚き! ひとつは、読者が、作者にしてやられていたこと。ミステリーを読み慣れている方は、想像できていたかもしれませんが、私にとってはまさかの展開でした。 そしてもう一つは、≪彼≫の供述の内容。≪彼≫の供述に対して、さて、いったい誰が、どんな反論を提示できるでしょうか。善悪を超えて≪彼≫は完結しているのです。ここで私は感動さえ覚えました。最後も良かったです。楽しい読書をありがとうございました。次作を楽しみにしています。 | ||||
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介護・・・それは今、この国の大きな問題点です。 もしも私自身が介護をする立場になったなら、とても1人では背負いきれません。 だからこの主題には共感を覚える箇所が多々ありました。 殺人を肯定するわけにはいきませんが、かといって家族間介護を前面支持するわけにもいきません。 高齢者の親を抱えている方、一読をお勧めします。 深く考えさせられること間違いなしです。 | ||||
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介護の現場で悲鳴をあげるヘルパーや家族の実態を描きながら、豊かといわれる日本社会の歪みを知らしめる社会派ミステリ。 戦後に発生した連続殺人事件としては最多となる43人の人間を殺害した「彼」。「自らがして欲しいことを人にせよ」という聖書の黄金率に従って行動を起こした「彼」の決意と覚悟が生々しく描かれており惹き込まれた。 介護業界の問題や日本の人口問題に焦点をあてながら、いかに今の日本社会が大きな問題を抱えているかが具体的に示されていたのがよかった。 ・金をもらわず、無欲無私で他人の尻を拭ける人間がどれだけいると思っているのか ・介護で金儲けなんて言語道断、無欲無私の精神などというメディアが一方的に流す想像力を書いた良識が介護に関わる人間を追い詰める ・介護と仕事の両立ができず、まともに三食たべられないにも関わらず、生活保護が受けられない現実 ミステリ的な要素は少なく、社会問題をメインとした小説だったが、今の日本社会にぽっかりと空いた穴を的確についている良書だと思った。多くの人が介護について考えさせられる一冊。 | ||||
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《彼》(=犯人)は、要介護度の大きな老人を、本人の人間性と介護に疲弊している家族を救うためとして、次々に毒殺します。その事件の推移と、事件に関して犯人や犯行を発見して起訴する検事の心情を綴った物語です。 この国の出生数が減り、そのために人口構成がいびつになって、財政と社会保障の問題が耐えられない大きさになるということは、前から分かっていたことだというくだりが何度も話の中に出てきます。確かに、事ここに至っては、最早手遅れという感があり、政治家の不作為が悔やまれますが、ポピュリストばかりなのは、国民のデキのせいでもありますから、仕方がありません。その、”前から分かっていた・・・”に潜んでいる情けなさや無力感に強く共感しました。 他方、上記の検事は、倫理や法の根本を、人間が生来持っている善を欲する心に求めますが、これには同意できませんでした。そういう心がなぜあるのかを、信仰ではなく論理で説明しなければ、話が浅くなってしまいます。 一点、若干の引っ掛けがあるのみで、ミステリ的な意外感、驚きというのは少ないのですが、これから日本が否応なく向かい合わなければならない極めて厳しい現実を、リアルに描いています。”とても面白かった”と言うと不謹慎なようで適当な褒め言葉とは思えませんが、読後の満足感がある作品でした。 | ||||
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現代の日本が冒されている病魔の如き課題を背景に描かれた社会派ミステリー。デビュー作とは思えないほどの見事な構成とストーリー展開に驚いた。 四十三人を殺害した戦後最悪の凶悪犯、『彼』に降された死刑判決で幕を開けた物語は『彼』に関わった人びとの視点で目まぐるしく動き出す。そして、介護現場の実情、認知症問題、高齢者を狙った振り込め詐欺、麻薬問題、原発問題などを背景に『彼』が殺人を犯すに至った理由と過程、『彼』の正体を少しずつ明かして行く形でミステリーが展開する。 ある事をきっかけに検事の大友秀樹が『彼』を追い詰める事になるのだが、その辺りが一つの山場で、展開が非常に面白い。 | ||||
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本自体がちょっと古いものです。中身は何度も読み直していますが社会は大変な老人社会になろうとしています。人ごとではない 死に方が問われていて深く考えさせれられます。一度お読みください。 | ||||
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犯人が誰かとか、手段は何かなどより、今の福祉の問題を付いている。福祉とは二文字とも幸せという意味だが、誰にでも与えられるようにみえて、実は恩恵を受けられる人は行政によって選別されている。つまり切り捨てられている人がいる。そういう切り捨てられた人達に対してのロストケア。肯定はもちろんできないが、今もどこかで見捨てられている人がいる。そういう福祉の現実を思い起こすことがてきた。 | ||||
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拡がる格差、福祉行政の穴を抉った哀しい物語。荒唐無稽の ひとことでは片づけられないものがある。犯罪を憎む気持ちの一方で、犯人の心情に寄り添う自分がいる。素晴らしい作品に出会えた喜びでいっぱいである。 | ||||
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高齢者に関わる者の現代事情、 そして介護側、要介護側の感じ方考え方や、 そういったものを対岸の火事としてしか 捉えられず、官僚や政治かさながらに 机上でしか考えてない者達の滑稽さ等、 介護に関わることがかなりリアルに シビアに書かれていると思います。 そんなポイントを抑えながらのミステリー というか、エンタテインメントに仕上がって いるので、良作だと思えます。 | ||||
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ミステリーとしては二流かもですが、 問題提起というか、安全地帯でのうのうとしている、だからこそ正義でいられる所謂「勝ち組」にたいする嫌味としては一級品ですな。。。 性善説を信じられるのは恵まれているからwww 貧すれば鈍す人間を山ほど見てきた身にはいまさら・・・って思いつつ、 アマゾン中古で送料いれて750円じゃ申し訳ない読み応えでした。 しつこいようですが、ミステリーを期待して読むとがっかりしますらねー | ||||
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私事ですが、離れて暮らす実家の父が認知症を発症したと知らせを受けました。 慌てて駆けつけたのですが、母にあれこれと叱責をされつつ日常生活をなんとか送る様を目の当たりにした自分としては、この小説の中で綴られる状況は、あまりに迫真の部分があり過ぎて、正直読むのがツラい部分はありました。 「この社会には、大きな穴が空いている」 冒頭には、稀代の大量殺人者として裁かれる<彼>にまつわる周囲の人達が描かれ、そこから紐解く形での高齢者医療や介護での過酷さ・またそれに携わる労働者らの待遇の悪さなどが、淡々と綴られていきます。取材したのが数年前という事で、当時は大きな話題となった介護の大手『コムスン』の破綻も題材として取り込まれています。 この、『介護』と『ビジネス』は並び立つ概念か、を作中では登場人物の目線を通して自問する場面もあります。 私が思うに、これらの状況は社会のあちこちに、"穴"どころか『地雷』が埋まっているような物だと思います。 比喩で『地雷を踏む』とは、現在は“その人やコミュニティでの逆鱗にうっかり触れる”事を指しますが、対人兵器としての地雷は「死ぬほどでは無いものの満足に働けない人間を増やし、結果的にその国の国力を削ぎ、社会負担を増やす」という製作意図があると聞きました。ゆえに、地雷はしばしば『悪魔の兵器』とも呼ばれます。 かつ、総人口のうち1/3ほどが高齢者・つまり「社会にとっての負担」となる現在の日本の社会で、それの世話に費やされる労力は、果たして景気その他の経済活動という点ではプラスなのか…何よりも、「それに“仕事”として携わる者自身が、幸福になれるのか?」という命題は、本作で重く突きつけられます。 この文脈を踏まえ、作中では「オレオレ詐欺グループ」の情景(また、そういうグループに名簿を横流しする介護職員の実態)が描かれていますが、当事者の「後生大事に眠らせている老人らの富を、俺達は社会に還流しているんだ」という嘯(うそぶ)きを、完全に否定する事ができない自分にふと気付いた時には、ハッとしました。 それ以外でも法の整備が追いつかない部分として、日本では「安楽死」が認められていません。”胃ろう”ほか延命医療に関しては熱心でも、「当人(あるいは代理人)の意思で、これ以上ムダに生き永らえたくない」と表明された場合への、社会的合意としての対処ができない事態です(もし仮に、医師が手を貸して命を絶てば、それは「殺人罪」に問われます)。 この点でも、「生=幸福・死=不幸」という単純な図式では割り切れない部分が残る事にもまた、本著では触れられています。 長々ととりとめも無く書いてしまいましたが、本著には平成の日本の社会が抱える色々な問題がコンパクトにまとまった形で提示されていますので、介護する側・される側を問わず一度はぜひ通読してほしい本だと思います。 | ||||
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ミステリーには珍しく介護の現場が舞台になっているので、介護に興味のある人も多く読んでいるよう。そんな介護問題に詳しい方からは、そんなのは知っている話だと手厳しいレビューもあるようだが、世の中は介護業界に勤めている人や、親の介護をしている人ばかりではない。作者だって、介護に詳しい人向けに書いているのではなく、どちらかというと知らない人に向けて、ミステリーを織り交ぜながら書いているのだと思う。 ミステリー部分にはちょっとした仕掛けをしているが、この作者の本領はトリックとか謎解きとか犯人捜しとかといった事にあるのではなく、社会問題をテーマにしたミステリーを書く巧さにあると感じる。何となくだが、高野和明や薬丸岳タイプの匂いがする。今後に期待したい作家さんだ。 | ||||
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葉真中顕さんによる小説。 第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞している。 介護問題という身近ではあるけど見過ごされがちなテーマの作品。 日本で進行する問題点を炙りだした社会派作品だというのが感想。 殆どが現実にあった出来事や事象も取り上げていて大変現実感あふれる作品になっている。 振り込め詐欺、不安と恥が人を行動させる・・ 介護職の離職が多い理由。高齢者虐待がやまない原因・・ 安楽死の是非・・ そのもろもろがこの小説を通じて明らかになっている。 何もドキュメンタリーだけが社会問題を知る手がかりではないのだと痛感。 彼がたとえ死んでも世の中を変えようとした行為を責めることが出来るだろうか。 ぽっかり穴が開いているという指摘はまさにその通りだろう。 介護以外でも何かしら穴が開いているだろうが・・国民に身近な分もっと意識されてしかるべきだろう。 | ||||
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