■スポンサードリンク
ロスト・ケア
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
ロスト・ケアの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.22pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全110件 61~80 4/6ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
様々な角度から介護に関する課題にアプローチしている。 性善説、キリスト教といった倫理の観点。 正義を重んじる公明正大な観点。 そして、介護現場に立った観点。 国家とその行政の問題点。 高齢化を続けていく現代社会の歪として問題提起し、警笛を鳴らしている。 臨場感たっぷりに描かれており、赤裸々である。 極論に走らず、いま置かれている現状から逃げないこと。 決してあきらめず、必ず道はあると信じること。 国家や行政が悪いという前に、ひとのせいにしないこと。 本書を読んで、そういう気持ちに落ち着いた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
先月、入院患者を殺害した容疑で、神奈川県の元看護師が逮捕された。点滴に消毒液を混入するという手口で、2016年7月から9月までの間、約20名が被害にあったとみられる。容疑者は動機について「自分の勤務時に患者に死なれると、家族への説明が面倒だった」という趣旨の供述をしており、終末医療・看護に関わる辛さが事件の引き金になっている点で、この本の物語と似ている。 高齢者を支える上での負担を軽くするにはどうしたらいいんだろうか。もはや手遅れという事案が続出しているのが現状である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本レビューは結末、社会的なメッセージを内包しています。一読後に読まれることをお薦めします。 年老いて足手まといになった仲間の面倒を看るのは人間だけだという。ある種族によっては真っ先に殺す、という研究報告もある。 果たして現代を生きる我々はどうか。介護職と名付けられ確立された仕事があり、かつて若者だった老人たちは法律と専門職の人々によって守られている。 こう書くと現代の日本は理想郷の様に思える。 ではその内部はどうか。介護職の現場は劣悪である。安月給、利益の事しか頭にない上層部と悲鳴をあげ続ける現場。仕事が絶える事はまずない。全国至るところにいる認知症の老人たちが次から次へと施設に運び込まれてくるからだ。 銃声のない戦争である。現場の人間たちはまず、腰を病み、足を破壊され、終いには心を破壊される。場合によっては心を真っ先に破壊されるケースもある。 老人たちを憎むのは簡単である。だが憎んでもどうしようもない。彼らは認知症で現在時間はわからない。排泄方法はとっくの昔に忘れてしまった。でもオムツはいやだ。股がごわごわして異物感がするからだ。足腰は健康だ。何せ若い頃はこの足で稼いだのだ。かつて商売道具だったこの足が、簡単に衰えてくれては困る。 本書に登場する殺人犯は自宅介護の経験がある。父であった「もの」に追い詰められたのだ。そんな彼が辿り着いたのが、タイトルにもなった「ロスト・ケア」である。被介護者の「死」によって介護者を救う計画だった。 世間が殺人犯を糾弾するのは簡単である。日本(それ以前に世界の様々な国で)ではいかなる理由であれ殺人は違法で、罪に問われるからだ。だが介護経験者は彼を糾弾する事などできない。 現実世界では2016年の夏、相模原の施設を悪魔が襲った。犯人の青年は心を悪魔に乗っ取られていた。その悪魔が、自分の心の中に住んでいるのをよく知っているからだ。 虐待という言葉が日常に浸透してから、マスコミは虐待の被害者を善なる存在として描写するが、これに騙されてはいけない。 認知症という悪魔は紛う事なき悪魔である。感情は剥き出しにし、糞尿を撒き散らし、へらへら笑っているかと思えば烈火のごとく怒り出す。かつては正常な判断のできた人間を真っ当な人間ではなくしてしまうのだ。下記で紹介するのは介護者の言葉である。 「何度、主人を連れて川に行こうと思ったか。そこで流してしまえばどれだけ楽になれると思ったか。わかりません。でもできませんでした」 老人を施設に預けた者はそれでいいだろう、金さえ払えばそこで終わるのだ。だがその先でも看る人々がいる。彼らは私生活と、劣悪な職場との関係性、そして認知症という悪魔の症状と向き合わなくてはならない。人を扱う仕事のはずなのに給与は安く、大事にされる事はない。一方で搾取する側にまわり、何不自由なく暮らす人々にはこの現状は理解されていない。経験がないからわからないのだ。テレビでコメントする介護の専門家/慈善活動家を自称する人々の家庭に、認知症で徘徊し、時間と金を食い潰す老人はいないのだ。事件を追求する検察官の言葉の、何と虚しい事か。本作は叫んでいる法律は法であり、その国を法治するためのものである。正義とは別物である、と。名作を引き合いに出せばミステリーからは『オリエント急行の殺人』、映画からは『ダーティハリー4』がそれであった。二作を拡大解釈すれば悪のはびこる世界に善が手を差し伸べ、救いをもたらす内容であったのに対し、本作での善は「理解されない」のである。そもそも戦うべき「悪」自体がわかりやすい「悪」ではないのだ。この国では長生きが善で、若死には悲劇とされている。無意識な悪魔と化した老人たちを長生きさせるために、若者たちが人生の春を捨てて酷使され追い詰められ、心を病んで早死にしていく。この現状の、何と虚しい事か。 老人たちの命を奪えば罰せられ、法が、その者の人生を取り上げてしまう。残された人生は空虚という言葉では描写しきれないほど虚しく、絶望と孤独に包まれる。でも、誰かがやらなくては苦しむ人はいなくならない。彼に共感するのは必然だが、危険であるという認識を忘れてはいけない。そう、犯人である彼は介護に疲れ、心を病み、朝の来ない夜の中で一線を越えてしまった我々ひとりひとりの未来の姿なのだ。 本書を閉じたところで物語は完結するが、現実は終わらない。 夜はやってきた。夜明けがやってくるのはいつなのか。その時見える光景はどんなものなのか、そもそも夜明けの時間がやって来た時、太陽が存在しているのか。本当に昇ってくるのか。一点の曇りもない真っ暗な夜空に、星のない夜に、我々は天使たちが輝く梯子を使って舞い降りてくるのを待っている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
作品にパワーがあって読み応えがありました。 介護現場の実態がよく分かるミステリー作品でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
いままでで一番現実味があってとても面白かった。裕福といわれてる日本の闇の部分が表されてて、少子高齢化の日本の将来を考えさせられる本だった | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
介護の闇に鋭く切り込んだ秀作。社会正義とは何か?人を殺めることは本当に罪なのか?悪とは何なのか、考えさせられる。 介護に苦しむ人間への死は救済、衝撃的だが、決して否定出来ないと思う。 社会の歪みに強烈にメスを入れるとともに、ミステリーの要素も余すことなく記されており、完読後の何とも言えない余韻を感じさせらた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
すごく面白かったです。 良くできたストーリーだと思いました。 考えさせられたり納得したり… 重いテーマだし正解はないのかもしれないけど いろんな人の気持ちがわかりすぎてハマってしまいました。 ハマりすぎて単行本買ったのに文庫本が出たらそれも買っちゃいました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
高齢化社会と言われて久しいですが、 これからこういう問題が出てくるのだろうな、 としみじみ感じました。 生きていればいいのか? 周囲の人の幸せは? 自分に置き換えてあれこれ考えてしまいました。 ものすごく細かく取材をされているのでは ないでしょうか。 介護関係の仕事をする知り合いに 思わずすすめてしまいました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
長寿は幸せかという疑問を感じられずにはおれませんでした。 全ての人が長生きしたいと思っているかはわかりませんが、長生きしても、必ずしもそれが幸せではないような気がしました。 むしろ家族にとっては、それが苦しみへと変わることもあって、しかし放置するることもできず、どんどん深みにはまっていくこともあるのでしょう。 本書は、ある事件を通して現在の介護事情と今後の課題を示しますが、具体的な将来の介護環境は見えにくい感じでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
長寿は幸せかという疑問を感じられずにはおれませんでした。 全ての人が長生きしたいと思っているかはわかりませんが、長生きしても、必ずしもそれが幸せではないような気がしました。 むしろ家族にとっては、それが苦しみへと変わることもあって、しかし放置するることもできず、どんどん深みにはまっていくこともあるのでしょう。 本書は、ある事件を通して現在の介護事情と今後の課題を示しますが、具体的な将来の介護環境は見えにくい感じでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
アマゾンで買った本のみレビューしています。物語・作り話が好きなので小説しか読みません。リアリテイー等は関係ありません。事実と違うなどと言ってる人がいますが、なぜ事実じゃないと知っているのでしょうか?学者が書いているから?不思議で仕方がありません。物語では信長は本能寺で死ななくてもいいのです。面白いか面白くないかのみが判断基準です。それではよろしくお願いします。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
連続殺人犯に対する死刑判決で幕を開ける本作品は、現代の介護の実情に踏み込んだ社会派ミステリ。 ターゲットとなった四十人を超える被害者は、いずれも要介護老人だ。多くの人々が避けては通れない問題が、読者に重くのしかかってくるだろう。 読み進めていくうちに、真犯人を追い詰める検事の正義という信念は、この物語の中ではとても奇異なもののように思えてくる。殺人犯の語る正義に心を揺さぶらざるを得ないのだ。 犯人当てとして意外性がありフーダニットとしてよくできているが、見るべきは破滅へと突き進む社会において何が正義かなのだと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
期待を裏切る(いい意味で)素晴らしい作品でした。私は長年、介護福祉士として働いていますが…本当に読んで良かった。そして、日本人みんなに読んでほしい作品です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
たどり着いた良書。 僕も一気に読み終えた。 介護医療、あるあるネタ。 まだ介護のない自分が、これからどうなるか。考えさせられる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私の知らないことばかりのASLの患者の赤裸々な実態を垣間見ました。一人の人間として、当たり前の日常をどのようにサポートしていくかを考えさせられました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
幸せな人生の終末が送れる世の中にするために、良い制度を考えていただきたいからです。 一部の悪徳な老人ホーム関係者のために、介護業界が儲けられない仕組みを作り、その締め付けがキツすぎて、やる気を持って入っても、賃金が少ないために苦しいのが実情です。 介護はやる気によって質が大きく変わります。それには心の余裕が必要です。本来の志を捨てずに生活の心配をせずに介護職に従事でき、また、家庭を壊さずに在宅介護ができる仕組みにしてほしいものです。 一番哀れなのは、人生の終末を、やっかいに思われてしまわざるをえないお年寄りです。明日は我が身かもしれません! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
最後まで読んでも明確な答えは出ませんが、突き付けてくるものが、近年もっとも凄まじい物語です。何度か読み返しました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
素晴らしい作家さんに出逢えて最高の気分です。 冷静かつ、内に秘めた熱い思いは、読み手に とてつもない感動と問題意識を与えてくれました。 絆はともすれば足かせ、それでも繋がらずには 生きられない。なんともやりきれない思いと 同時に、改めて感じていた内なるおもいを 再認識出来た1冊でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
葉真中顕は「絶叫」を読んで舌を巻いた記憶がある。直ぐに本書を買ったが間隔を開けた。そうすると「ロスト・ケア」の前知識がきれいさっぱり忘れ、まっさらの気持ちで読めるからだ。だから冒頭、43人を殺した裁判のシーンにびっくりする。普通のコロシでは現在の日本では起こり得ないので頁を繰ると、やがて介護に行き着く。そこで「ロスト・ケア」のタイトルが生きてくる。「喪失の介護」。少し重いが読むしかない。 先般、川崎で老人ホーム転落殺人事件が発生し、介護の実態が露呈されたが、厚労省は介護保険制度を幾度か改悪し、そのしわ寄せは介護分野に進出した企業を圧迫し、当然の帰結として介護に携わる人間の慢性人手不足を呼んだ。本書は勿論、この事件以前の作品であるが、薄給や長時間労働等の劣悪な環境の中で、介護当事者の家族の苦労を見据え、登場人物各々の個人に関わる事象を挿入し、そこに世の中を震撼とさせる事件を組み入れていく。 さて本書は冒頭で加害者を〈彼〉と呼んでいる。犯人は誰かという謎かけだが、半世紀以上も前の高木彬光「誘拐」で同じ手法が取られていたので、非常に懐かしく感じた。大量殺人は変死扱いになるのだが、巧妙に事件性を消す。しかし、ひょんな事からそこに綻びが生じ、露見していく過程が見所だ。そして〈彼〉とは誰かは大した問題ではないと思っていたが、後半で読者を翻弄させる。見事に騙された。 10年以上前、ママゴトのような親の介護を短期間しただけでも心労が有った事を想い出すと、本書の内容は他人事ではない。しかし、そのような暗く重い題材にも関わらず、エンターティメント性を失わず、ましてや本格推理まで狙って成功させるとは・・・しかも新人なのである。願わくは今後、このような作品を順調に上梓していって欲しい。少なくとも私は図書館など行かずに、本を買う行為で、この作家を育てたい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
介護の問題なんて当事者にならなければリアリティ感じられないけど、この本はそれを現実の物として提示してくれる。 長生きって本当に幸せなことなのか。 そういうことを深く考えさせられる話だ。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!