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ソロモンの偽証
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【この小説が収録されている参考書籍】
ソロモンの偽証の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全509件 461~480 24/26ページ
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発売日の深夜に買いに行くほど待ち遠しかった本です。 場面の表現が細かく丁寧なので、その場面が容易に頭に浮かび、勝手に脳内で映像化して映画を見ているかのように一気に読みました。 裁判なので検事側と弁護側が証人を出し合っては尋問をしていく訳ですが、その攻防戦も面白いです。 意表を突かれることもしばしば。 登場人物も期待通りの個性を発揮して、応援したくなる人物も出てくるでしょう。 これから読む人には有罪・無罪のような大まかな推理ではなく、「何」が起きてどんな「思惑」だったかを探りながら読むと良いと思います。 過去のエピソードが意外なところが結びついたりします。 ※帯に余計な煽り言葉があるので、読み終わるまでは帯を外しておいた方が良いかもしれません。 | ||||
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切望していた第3部が発刊され、発売日の翌日には読了しました。 さすがに宮部作品。最後まで一気に読ませる力には改めて脱帽しました。 物語自体が短期間での進行(第3巻は数日間)なので、こちらものんびりとしていられない気分でしたね。 2100ページを飽きさせずに読ませるのだから、星5つは揺るぎません。 ただし、起承転結に関して論じれば、「結」がやや単純というか、想定内だったのが少し不満。 第2巻であれだけ「転」を転がしたのだから、推理ファンとしては「もっとぶっ壊してくれ」という感じですか? ですけど宮部ワールドとしては、この結末でいいんですよね。本作では決して推理小説を読まそうとはしていませんから。 私の浅はかな推察では、思春期の無邪気な悪と無垢な善との対比を書きたかったんですかね。 そして、とても現実的ではない早熟な中学生たちの戦いは、若い世代への夢と期待と見ました。 それにしても被告人はどういう人生を歩んだんですかね。 告発人は、どうなったんでしょう。 そして弁護人は・・・? 検察官は・・・? エピローグの弁護補佐人の今日の姿を読んで、不思議と目頭が熱くなりました。それだけでも傑作です。 | ||||
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面白かった! ストーリーも文章力もちょっとした漢字やひらがなの使い分けに至るまで色んなところに感心させられた。 でもやっぱ登場人物たちのスーパー中学生ぶりは現実味が無い気もしました。 特に法廷での弁護側、検事側の弁説には迫力と駆け引きなどの表現が凄かった。 怒られるかもしれないがゲームの逆転裁判を思い出しました。 個人的に私からすると致命的で恐ろしい毒の様な2人の登場人物が居たのだけれど、その人物たちのまとめ方が気になった。 不必要だとは思うけどもう少し踏み込んで欲しかった。 | ||||
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第一部では、人間の悪意、それも誤解に基づく悪意をいくつも見せつけられ、読み応えはあるけれども、楽しくは読めない作品だな、と感じました。しかし、第3部にいたって、第1部で登場人物に抱いた第一印象をおもによい方向に変えつつ読了することができました。 しかし、いくつか気になったキズがあります。1990年が舞台なのに、「パソコンの文字」、「どん引き」、「ウザい」といった表現が出てきて気になってしまいました。当時の人間はこんな表現を使うかなと首をひねってしまいました。 | ||||
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分厚い本ですが一気読みでした。長かった〜 中学生の時って誰でもヤンキーに憧れたり、自分が特別な存在だと思う時期がありますよね。 読者に「自分もこんな時期あったわ〜」とか、「こいつ、中学生の時の俺と似てる」と思わせてくれる登場人物が必ず一人はいるはずです。 自分の場合、大出と竹田が自分が中学の時と重なりました(笑)。 印象的だったのは、裁判が終わった後、涼子視点で見る子供に対する大人の対応。 二人をわが子のように抱きしめる弁護士、中学生にありがとうと深々頭を下げる不良の子供を持つ母親・・・・。子に対する親の愛を感じます。 かと思うといまだに兄と向き合わず、死んだ弟ばかりを愛す両親(特に母親、こいつ本当嫌!) それぞれの場面を見てなにを思うかは読者次第だと思います。 この小説は事件の真相よりも、自殺した卓也が何を思ったか、どういう人間だったかということのほうが重要な気がします。ラストもぶっちゃけ衝撃度はあまり高くありません。が、多くの登場人物を誰一人見捨てずに愛した作者の魂が伝わった作品でした。星は文句なしに5です!!! | ||||
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待ち切れない思いで、出張先の地方小書店にて第三巻目を購入。ホテルの室内で、喫茶店で、夕食時のレストランで、そして移動中の飛行機内などで読み継ぎ、一気に読了しました。素晴らしい魂の救済のドラマでした。 本作の内容そのものはもっと頁数の少ない形で描くことができたのかも知れませんが、丁寧にしかも細密に描写された登場人物たち(特に城東第三中学校の生徒たち)の内面や行動は、イメージ性が高く、あたかも一幕の映画を観ているかのように(脳裡ではなく)眼前に迫ってくるものでした。今はただ、充実した読了感に満足しているところです。 一点だけ、エピローグのところは、主な登場人物たちのその後も描き込んでほしかったなと思いました。(人生の一大経験をした藤野涼子や神原和彦は、将来やはりそれぞれ検事と弁護士になったんじゃないかなとか、倉田まり子と向坂行夫は結婚したのかとか、大出勝氏はどうなったのかなあとか、気になってなりません。それとも、宮部さんは彼らたちのその後を描いた新著を構想中なのかしらん。) 最近面白い本がないなあとお嘆きの方は、本書を是非。 | ||||
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これまで、宮部みゆぎさんの小説は数々読んできました。間が空いていた期間はあるものの、ごく初期作から読ませていただいています。 確かな文章力とストーリーテリング。 高くは評価していましたが、しかし、「ぞっこん」というほどではないのは確かです。 自分は、宮部みゆきさんの人間観、人生観、(本来の意味での)世界観にいまひとつ馴染めなかったのです。宮部みゆき作品の底流に(どんなに悪意に満ちた人間を描いても必ず)いつも流れている宮部さんの「性善説」――これだと語弊がありますか――ときに青臭ささえ漂いかねない「母性で世界を包む寛容さ」というべきか、そういうものにいまひとつ得心いかず、没入できなかったのです。 なのに何故読んできたかといえば、上に書いたようにひとえに宮部みゆきさんの職人気質にも似た巧みさ故ですが、そうした確かな構成力・構想力などは本作でも健在でした。 ……う、巧いっ! その筆力に、宮部みゆきというベストセラー作家の地力を改めて思い知らされました。 ただし、第三部の新聞広告にでかでかと書かれた「あなたはこのラストを絶対に予測できない!」との惹句には「絶対に」納得いきません!(笑)。 公衆電話の件等々も複数回に渡って「背格好が似ている」点など第二部序盤において、すでに作者が目に見える「ヒント」をばらまいていますし、○○のの反応などで、事件との「強い関わり」が、何度も繰り返し示唆されていたのです。 ラストは、正直、想定の範囲内というか、想定のど真ん中でした。 上記、出版社の惹句のせいで、最後の最後に更なるツイストがあるのかと期待してしまったではありませんか(笑)。 一切、本作に関する情報を仕入れず読み始めたため、第一部から第二部への「大転回」に、「うーん、そうくるかあ」と感じましたし、突然ジュヴナイル風になったなあとも思いました。第一部の流れで第三部まで行ってくれれば、「大傑作!」と言ったかもしれません。 しかし、それでも、なかなかに読ませるいい作品でした。快作です。 匠・宮部みゆきここにあり、です。 細やかな筆致と、日常における人間観察力が生きたであろう、ひとりひとりの登場人物に「憑依する」その力量。 そう、自分が「いまひとつ馴染めなかった」作家・宮部みゆきの「慈愛」は、本作でもそのままなのです。そのままでありながら、「腕力(かいなぢから)」に持っていかれたという感じです。 相変わらず「前提」がフィットしないので「ぞっこん」になったわけではありませんが、これからも変わらず宮部みゆきを読むだろう、という気持ちになったことだけは確かです。 | ||||
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1巻から3巻全部を読んだ総合感想としては、一言「小説としての仮想世界に入り込むワクワク感も多いけど、同じだけ現実世界を目の当たりにする嫌気も多い」作品でした。 読み応えがあったのは、もちろんです。こんなに分厚い本が3冊ですから。 中学生男子が死んだことに端を発して、直接および間接的に、そして自主的にまたは強制的にかかわることになった多くの人々のストーリーを彼らの動向を通してすごく緻密に描いてある本でした。 一見エンターテイメント性が強い作品にも見えますし、実際そう決めつければそうなのでしょうが、そこかしこに心にぐさっと刺さる身近な現実が埋め込まれていて、嫌でものめり込まずにいられなくなる作品でした。 作風の好き嫌いは別として、一度は読んでおいて損はない長編だと思います。 なにか自分が忘れてしまったもの、過去のことになってしまっていたものを思い出させてくれる懐かしさもあり、大の大人が童心に返れる作品でもありました。 | ||||
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実にすばらしいファンタジーでした。 宮部さんの作品は時代物やSFから、本作のように「現代ミステリー」と評されるものまで幅広いですが、 本作は、読み応えのあるすばらしいファンタジーでした。 何を書いてもネタバレにしかならないので、抽象的な書き方になって申し訳ないのですが、登場人物 の誰もが、主人公たちに翻弄される大人たちも含め、みんな、人の心を尊重し大事にしながら、しっかり 現実に立ち向かう立派でやさしく強い人物に描かれていて感動的です。 無責任な教師だと糾弾される原因となった告発状を盗みだした隣室の女性ですら、最後には「私のよ うな大人にならないでね」という一言を残します。 事件のきっかけになった雪の日に死んでいた同級生も、ウソの告発状を出した女生徒も、粗暴で短絡 的な学校の鼻つまみ者も、その愚かな子分たちも、かれらに暴行されて重傷を負った他校の生徒も・・・ いやらしい功名心に走るジャーナリストすら、みんなに見せ場があり、そして決定的なことは、みんなが それぞれに救済されています。 誰もがやさしく強く、誰もが理解者を得て、穏やかに日常に戻っていく。 それはリアリティではありません。 決して嫌みや当てこすりで言っているのではありません。実にすばらしい「ファンタジー」でした。 そして、確実にこの「ファンタジー」は、読む者の心を和ませてくれました。 私は長年、宮部さんの読者ですが、『模倣犯』の読後感に、現実に心が折れそうなものを感じて、少し 現代物から遠ざかって時代物に逃げていました。しかし『小暮写眞館』あたりから、明らかに筆致というか テイストが変わったように思います。 読了後に圧倒的な “多幸感” が襲ってきます。 リアリティでは断じてありません。 宮部さんのこの最新作は、「現代ミステリー」の意匠をまとった最高の「ファンタジー」です。 | ||||
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クラスメイトの自殺と思われる事件の発生に端を発した出来事の中で、中学生の少年・少女を 主人公にストーリーは進みます。10代の少年少女の心の中にある「闇」の描き方は秀逸です。 長編三部作3となるのは描写の細かさ故でしょう。ページ数が多いですが一気に読めるおもしろさ です。1990年代を舞台にしていることで読み手にはよりリアルに感じることができます(私が 同年代ということもありますが)現代を舞台にした場合ケータイ電話が物語の質を邪魔するので しょうね。 | ||||
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ある生徒の死をきっかけに、 どこにでもある中学校が事件に巻き込まれていった過程が描かれた第一部。 第二部は、タイトルの通り「決意」の章。 自分たちの通う学校が巻き込まれた事件なのに、 警察も教師も保護者も、誰ひとり真実を教えてくれない。 そんな状況下で、主人公の涼子を中心に生徒は自分たちの力で真相を調べ、 それを学校内裁判で明らかにすることを決意します。 殺人犯として疑われた生徒、 告発者として疑われた生徒、 弁護人を希望しながら、検事として挑むことを決めた生徒、 他校の生徒ながら、弁護人をかってでた生徒、 ひとりひとりが自分なりの理由から「決意」して、 「自分たちの」事件を調べていく。 登場人物を丁寧に描く手腕は健在で、 彼らの「決意」と「成長」を感じながら、 ともにひと夏を過ごすような気持ちで読みました。 700ページが、本当にあっというまです。 ミステリとしては、第一部で描かれた「事実のように思われたもの」が揺らぎ始め、 この事件の真相はどこにあるのか、純粋に気になりました。 いよいよ第三部。 彼らの事件、そして裁判がどのような結末を迎えるのか、 タイトル『ソロモンの偽証』にはどんな意味があるのか、 とても楽しみです。 | ||||
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第一部に続いて丁寧な書き方は同じなのですが、違和感を感じる部分があります。 第一部で主人公の少年少女たちの心の中にあった「闇」がどこかに行ってしまい、 実に素直な子供たちに変化しています。あまりにも簡単それぞれの抱える闇を 処理しすぎなような・・。 また、多くの親や教師が子供たちの行動を手放しで応援していますが、実社会 においては書かれている方向とは逆にシフトすると想像します。 第二部は少しご都合主義の傾向が強く感じました。とはいえストーリーは ぐいぐい読ませます。早く第三部を読みたい。発売まで他の小説は読まないことに しています。この話に集中していたいのでエッセイなどを読んで第三部の発売日 を心待ちにしています。 | ||||
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久々の現代劇ミステリーで「模倣犯」や「理由」のような神作品よ再び! と息巻いて読んで今この'Uを読み終えるところですが,ここまで読んで 「…よくまぁこんな展開でここまで引っ張ったな〜っ」てのが正直な感想。 700ページ×2っていうと大河小説なら孫の代まで進む位なのが ここではクリスマスから夏休み数日間まで,っていう超スローペース。 しかもこの2は…実質数日間。が、とにかくみっちり描き込まれてますが, そこまで必要かといえばそうでもないような…なくてもいいような場面が 凄まじく多い。というか同じようなシーンばかりが延々続く。 宮部作品といえば人情の描写が巧みで名人の域だが,本作においても宮部節は健全で各キャラクターの個性,家族との関わりなどわかり易くて登場人物多くても 混乱したり渋滞したりしない。 だからこそこんなに凡庸な展開でも飽きないでついて行けるのだが 学校の「いじめ」や「引き篭もり」などの今の社会問題を扱っているのに そこに独自の鋭いメスがある訳でもなく, 苛めの被害者やその家族の描写に心の琴線に触れるような部分がある訳でもなく とにかく特定の人物の,こと細かい仕草や言葉に頁数が費やされてゆく。 これが宮部作品でなければここまで読むだろうか 「模倣犯」は被害者側も加害者側も強烈な描写で緊張感も感動も半端なかった あれをもう一度というのは無理な話なのか | ||||
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それぞれの登場人物の内面とその他者への観察をなめるように描写し、また彼らの発言と内面の独白を巧妙につなぎ合わせることで、あたかもその人物が生身を伴って眼前にいるかのような錯覚さえ受けました。様々な事象と事象、微細な点と点が、やはり次第につなぎ合わさって「物語」という怪物がムラムラと立ち上ってくるさまは見事としか云いようがありません。これぞ読書の醍醐味。 宮部さんの現代物作品は、これまでも時々の時代や社会に特徴的な事件などとシンクロすることが多かったように思いますが、2002年に本作の連載が開始されているところ、「いじめ問題」が改めて社会の耳目を集めているこの2012年に本書が刊行されたという点には、(単なる符合ではない)彼女のもって生まれたかのような「時代の巫女」としてのある種の預言者性を感じています。 一点だけ、評者としてリアリティが薄いと感じられたのは、三宅樹里の取り扱いです。経営管理者的な視点からみれば、責任は責任ですからその後のフォローは考えるにしても、彼女を問い詰めて「ゲロ」させていれば、多くの人物が不幸に陥るのを防ぐことができたのは、リスク管理上余りに明らかであるように思われます(645頁や667頁、673頁、677頁参照)。しかし、それでは物語が成り立たないので、校長先生のような方が出てくるのでしょう。(もちろん、教育や人道といった問題もあります。)その意味では、読み手の立場や見解により様々な読みができるであろう点も、本書の優れたテキスト性を例証しているように思います。 さて、次は第II部だ。 | ||||
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分厚いハードカバーの本が、こんなにもスピーディーに読めたなんて…。 久しぶりに面白い小説を読みました。 クリスマスの朝の一人の男子中学生の死が次から次へと事件を巻き起こします。 中学生の思惑や複雑な家庭事情も事件の背景にみえました。 いじめと自殺問題が中心にある作品だと思いますので、 中学生を持つ家庭環境のむずかしさや保護者の責任を強く感じ、 現実問題とも受け止められる内容でした。 作者が十年の年月を費やした作品だけあって、中身の濃い現代ミステリーだったと思います。 | ||||
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前半、藤野涼子や神原和彦たちが学校内裁判での主張立証に向けて準備を進めるくだりは、伏線張りなどもちろん物語の構築に不可欠な場面であるとはいえややテンポに欠けた。しかしながら、我慢して読み続けた後、12月24日に柏木家にかかってきた電話の発信元番号が判明したシーン(526頁)からは、またまた一気呵成の面白さ。どうして、第III部の発売が10月12日なの。待ちきれませんよ。 「この疑念を晴らさないことには、あたしは大人になれない」(698頁)。 「真実は、これまでの思い込みから離れたところに存在しているのかもしれない。それを突き止めなければならない」(715頁)。 やはり、キー・パーソンは神原和彦であることを予感させた第II巻(例えば、382頁、466頁、528頁、644頁、652頁、708頁や709頁の描写など)ですが、そもそも彼が自分で小林電器店を訪問しないのが怪しいですね。12月24日の夜、ここから柏木家に電話をかけたのは彼自身だったのではないでしょうか・・・ | ||||
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宮部みゆきさんの5年ぶりの現代ミステリーです。『英雄の書』のなかに入っているチラシにたしか、「構想15年、執筆10年」と書かれていた気がします(うろ覚えです)。 ……。 おもしろいのですが、おもしろいのですが……、登場人物が悪意のある人間ばかりで嫌になってしまい、ページを閉じました。宮部さん、もうしわけないです。3巻すべて読み通さなければ、ほんとうのところはわからないでしょうし、最後はハッピーエンドかもしれません、でも、でも、人生がこんなに大変で読書という悦楽にしばしの間身を委ねようとしているだけなのに、読書でも人生の再体験をしなければならないとは……。故・吉田健一さんなら「人生はに召使いにまかせておけばいい」と云いそうです。あるいは、「人生は純文学にまかせておけばいい」と(ほんとうはヴィリエ・ド・リラダンが云いました)。いろいろなことがあり、純文学から遠く離れたぼくでしたが、こんな陰惨なものにエンターテイメント作品で出会うと思いませんでした。もちろん、人生の深部を描くのが文学だ、と思ってらっしゃって、かつ、それが愉楽だと思ってらっしゃるかたには一級品です。ただ、ぼくには合わなかった、というだけの話です。 以上です。 | ||||
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'T部を読んだ時に、なんだか時事ネタな気がして俗な感じがしたんだけど、'U部の始まり20ページくらいまで読んで腕が鳥になりました。 徐々に真相に近づいて来るような話の展開に終始ドキドキしながら最後まで読みました。 'V部が楽しみで仕方がないです。やっぱり逆転裁判みたいな展開か!? こんなストーリーの展開をこんなに上手く表現できるなんて凄すぎるわ。 出てくる中学生たちが美人すぎたり男前すぎたりで三十路すぎの俺にはいささか眩しすぎます。 | ||||
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「第1部 事件」のラストは「そして学校は汚された。ことごとく無力な大人たちにはもう任せておけない!」と決意するところでした。ヒロインの文武両道で学級委員・藤野涼子ちゃんです。 「第2部 決意」は「保身に身をやつす教師を見限り、学校内裁判を開廷する。期限はわずか15日」ということです。 悪いのはオトナ。良いのはコドモ。ひどく単純だが、宮部ワールドでは、これって受けるパターンなのだろう。 第2部もまた700ページを上回るボリュームですが、事件に進展はありません。 学校内裁判も開廷されていません。 周辺でちょっとした出来事がたくさんおこりますが、核心の謎とのかかわりがないようですから、深読みする必要は感じられません。 宮部みゆきは中学生が催す学校内裁判に迫真力をつけるためいろいろな工夫を凝らしています。 柏木卓也君殺害の容疑者、被告・大出俊次君に対決する検事は誰が適任であるか。彼の弁護士は?判事を誰にするか。弁護士と検事で情報を共有する必要があるのか。誰を証人につけるか………等々の枠組みが激論され、決まっていきます。判事が机をたたく木槌をどうしようか。なぜか制度として存在しない陪審員までつくりあげ、その適任者が選ばれます。 厳格な枠組み?で運営されますから、全校の生徒はもとより、学校も家庭も商店街もマスコミもこの裁判で決定されることが絶対的な真実であると認める雰囲気が濃厚に漂います。 この学校裁判のお膳立てのための記述ですが、物知り顔のガキどもがワイワイガヤガヤとわめきたて、それに教師が加わってさらに喧騒が高まり、証人確保に街中が巻き込まれ………と、法廷らしさの演出にこの分厚いページ数の大半を使いますので、事態はあまり進展しないことになります。 宮部みゆきは気がついていると思うのだけど、「あなたたちのルール・やり方には任せられない。だから、わたしたちのルール・やり方で白黒をつけてやる」という発想の根源、これは一種の集団私刑です。一番のワルはこれの仕掛け人である涼子ちゃんですね。弁護士、検事、判事、陪審員、実質的に彼女が決めました。さらに彼女は警察の捜査官である父から捜査情報を聞き出し、他言無用の約束を破り、この情報で有利にことを進めます。また内部情報をマスコミに洩らし、バーター取引をします。本当に怖い人です。 所詮裁判ごっごでしかない中学生のお遊びに、著者が本気で真相究明を委ねるとすれば、これは全くリアリティを欠いたお話と指摘するしかありません。 この作品は現代ミステリーというよりは、中・高校生にお勧めのラノベ、学園ユートピアなのではないだろうか。 とにかく退屈な700ページでした。 ここまでの出来栄えであればわたしらの年代が読むものではないのだが、「第3部」をどうまとめるかお手並み拝見と高みの見物でいきます。 すべての事件の犯人は最初に死んだ人間だった、というようなアガサ・クリスティの向こうを張った展開にでもなるのだろうか。 ソロモンの偽証とは「真実は知らないほうが幸せなんだよ」という大人の優しさかもしれませんね。 | ||||
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第I部に比べると、無駄な表現が少なくなり、多少は読みやすくなりました。 ただ伏線の張り方がくどくて、ちょっとネタバレ感がありますが、 まあ、ストーリーの骨子は面白いのでこの先が楽しみです。 | ||||
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