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忘られぬ死
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【この小説が収録されている参考書籍】
忘られぬ死の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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本書『忘られぬ死』の原書タイトルは、SPARKLING CYANIDE 直訳すると、泡を吹くシアン化合物。 「シアン化合物」とは、殺人犯人が使った毒物、青酸カリ。 「泡を吹く」とは、スパークリング・ワインのシャンパン。 犯人は、シャンパン・グラスの中に「青酸の結晶」(253頁)を入れて殺したのです。 直訳では、アガサのいつもの毒殺ものか、とタイトルだけでネタバレですものね。 そうかと言って、本書のタイトルのように意訳するのも、純文学的で・・・ 「忘られぬ死」。未読の読者には意味不明のタイトルです。 本文を読み終わってみると、心にしみてくるタイトルです。 「忘(わす)られぬ死」 夫ジョージは、一年前の妻ローズマリーの死を忘れられません。 莫大な遺産を手に入れて富豪になった妻の死は、 自殺ではなくて、殺人だったのでは、と夫は疑います。 妻が自殺するわけはないと考えた夫は、 妻を殺した犯人を驚かしてやろうとサプライズを企画します。 「ローズマリー、それは、記憶。 / 忘却はゆるされない」(65頁) 「ほら、ローズマリーだよ、花ことばは記憶」(149頁) 「忘られぬ死」とタイトルを意訳した訳者の気持ちも、もっともですね。 急死した妻を忘れられない夫は、本当に妻を愛していたんです。 本書の「目次」 第一篇 ローズマリー 第二篇 万霊節 第三篇 アイリス 「ローズマリーはアイリスより六つ年上だった」(11頁) 姉ローズマリーと妹アイリスの物語。 姉が死んだら、遺産はそっくり妹へ移るはずでした。 姉ローズマリーが死んだ「あの日は万霊節だった」(261頁) 姉の莫大な遺産が、妹アイリスに移った「あの日」。 その一年後、「アイリスの十八歳の誕生日を祝うパーティ」(163頁)が催されました。 その席で、ローズマリーの夫ジョージが毒で殺されました。 お金がない夫なのに殺されてしまいました。 シャンパン・グラスに入れられた青酸カリによる殺人でした。 何者が毒薬を入れたのか? 気が付いた人間がひとりもいない。誰も見ていない。 妻の死は、自殺ではなく、殺人だった、と疑っていた夫は、 妻の死んだ一年後に、妹の誕生日ディナー・パーティを企画しました。 自分と同じテーブルに、死んでしまった妻のために空席を用意したのです。 殺した犯人を驚かすために、犯人を動揺させる罠をしかけたのです。 この「空席の謎」(364頁)は、 妻にそっくりな元女優のミス・クロイ・ウェストの説明であっけなくとけてしまいました。 「登場人物」の最後に《クロイ・ウェスト………元女優》と入れてほしいです。 本書の表紙カバーの写真は、その「空席」の写真のように感じられました。 写真の中に、(縦長の細い)「シャンパン・グラス」は見当たりません。 ロウソクで照らし出された「HAPPY BIRTHDAY」のテーブルクロスの文字が不気味。 ローズマリーの夫ジョージが殺されたわけ? 口封じ? あるいは、単なる間違い? 殺されなくてもいい人間が、間違って殺されるなんてこともある、この世です。 この世の不条理。それこそ、サスペンス小説のネタです。ネタはいつまでも尽きません。 | ||||
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主要登場人物の印象ががらりと変わるところに、この作品の一番の魅力を感じました。 ローズマリー・バートンならびにアイリス・マール。姉妹であるこのふたりの人物像が、二転三転したんですよね。読んでいる時と、読み終えた時とで。決まりきったものと捉えていたその印象の変化が、自分でも全く思いがけなくて、なんというか、著者のクリスティーにうまいこと操られていたんだなあと。 そういえば、この作品が出版されたのは1945年(昭和20年)。この前年の1944年に、恐るべき傑作『春にして君を離れ』が出版され、また1946年には、個人的にとても気に入っている『ホロー荘の殺人』が出版されている。 その二作品にはさまれた本書は、あまり話題にならないけれど、読みがいのある見事な作品だと思いました。 | ||||
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クリスティの作品はどれもトリックや人物描写が大変優れていますが、これはどちらかというと人物描写に重きを置いた方かと思います。 登場人物たちの思惑が絡み合った、人間関係や心理描写、恋愛描写は素晴らしいの一言に尽きます。 その中でも特に恋愛色が強めで、クリスティの描くロマンスが大好きなのでとても楽しめました。 反対に、トリックの方はかなり強引なのが残念でした。 誰一人あのことに気づかないって、あり得ないのではないでしょうか。 また、犯人は思ってもみなかった人物でしたが、驚きよりも拍子抜けする感覚の方が強く、ちょっとがっかりしてしまいました。 動機の描き方が充分ではなく、衝撃を受けたり憤りを感じたり同情したり…といったような感情が一切湧いてこなかったからかもしれません。 素晴らしい人物描写よりも、このトリックと犯人の残念さの方が目立ってしまい、全体的な満足度は少々低めです。 悪くはないのですが、クリスティの他の作品に比べると特別印象に残る作品ではありませんでした。 | ||||
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アガサが別名義で書いた、非ミステリ物。でも、それなりのどんでん返し?もあって、クリスティーらしくもありました。 | ||||
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犯人は予想通りでしたが、完答はできませんでした。呼称が同一人物でも変わるので、モヤモヤしてしまいます。ポワロやマープルものに比べると、少しゴチャゴチャしてましたが、容疑者一人一人が順を追って描かれて、なるほどなるほどと読み進めれる辺りは、流石にアガサクリスティだと感心させられました。主犯にたどりつけなければ、私の勝ちですよ~、へへェ。 | ||||
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この作品はまだミステリー暦が 少ない人にはお勧めできる作品です。 だけれども、ある程度読みなれた人には 残念ながら、犯人がわかってしまうことでしょう。 事件そのものは 偽装殺人です。 せいぜいその程度です。 後はあまり目新しいものはありません。 驚くのは 読みなれない人に任せたほうがよいでしょう。 読みなれている人は犯人を指摘されようが 別に…と思ってしまうことでしょうから。 | ||||
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美貌で金持ちのローズマリーが、誕生パーティーの席上で毒入りのシャンパンを飲んで死んだ。自殺として処理されたが、妹アイリスの誕生パーティーの席上で、今度はローズマリーの夫ジョージが同じように毒入りのシャンパンを飲んで死ぬ。そして、そのグラスには誰も手を触れていない...という本書、実に見事な作品で、トリックは単純だが、これがなかなか見抜けない。犯人もまずわからないだろう。(私は、全然わからなかったし、疑いもしなかった。) 巻末解説で結城信孝が作者<黄金の12>作品を挙げ、その中で本書をベスト1に推しているのは決して大げさではないと思う。 ただし、結城の選ぶ<黄金の12>には、「シタフォードの秘密」や「ねじれた家」、「鏡は横にひび割れて」などの駄作が含まれているので、全部を真に受けない方がよい。 どうやら結城の視点は作者の「メロドラマ」にあり、ミステリー作品としての評価は二の次のようだ。 その点本書は、結城の記すように、ミステリーとメロドラマの結合作品として最上級と言える。 | ||||
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アガサクリスティの小説を80冊くらい読んでくると、 この話、前読んだことがあるような気がしてくる。 登場人物の類似性、 設定の類似性 地方の類似性、 職業の類似性、 時代の類似性 など、シリーズものでないものの方が、強く既見感を感じることがある。 本作品の既見感は、なぜかは、全巻読んだら考えてみたいと思いました。 | ||||
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犯人は、それ程意外な感じはしませんでしたが、 動機に少し意外性があり、また、少し驚く 仕掛けが用意されていた気がしました。 やはり、トリックや犯人の意外性というより、 恋愛、人間ドラマに重点を置いている作品のようですね。 錯綜する人間模様を楽しめました。 感傷的な雰囲気漂う題名も、良いです。 | ||||
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登場人物それぞれの回想による前半は、惹き込まれる。 しかし、後半からだれる。 犯人と動機の描き方も不充分。 短編「黄色いアイリス」が原形であるが、結末等は変えてある。 | ||||
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個人的に、この作品はアガサの傑作の5本の指に入ります。 読み終わった後の「騙された」感はたまらないし、ちょっとハッピーエンドにちかい終わり方がかなり好きです。 まず読みやすいし、人間の感情も事件に絡んできて、複雑な展開になっています。だけど読みやすい!! まず設定が綺麗だと思います。是非読んでみて下さい。この作品は余り知名度はないようだけれど、何度も読み返したくなる仕上がりです。 犯人を見つけるのはかなり大変でしょう…。是非犯人探しに挑戦してみて下さい。 | ||||
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謎解きもさることながら、強烈な個性の登場人物たちが繰り広げるラブストーリー(愛憎劇と言ったほうがいいくらい)はそれだけでもスリリングで読み応えがあります。華やかな美貌を持つ大富豪のローズマリーが自分の誕生日パーティーで毒死しました。彼女の死後、パーティの出席者一人一人の心理描写によって、誰からも愛されていたはずの彼女の様々な一面が明らかにされていきます。夫は彼女が毒殺されたと信じ、犯人に罠を仕掛けるのです…そして、意外な結末が…。事件を解決するのはおなじみの名探偵ではありませんが、どの登場人物も印象的で生き生きしているので、退屈しません。クリスティ文庫には、新しい解説がついていて、それを読むのも楽しみの一つです。解説者がアガサ・クリスティあるいはその作品についてのこだわりを熱く語っているのがクリスティファンにはたまらないところです。 | ||||
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