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64(ロクヨン)
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64(ロクヨン)の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全546件 521~540 27/28ページ
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| 真実と真実の間に虚構をはさみ、作品にリアリティーを持たせる。 タイムリミットを設定することにより、緊張感を加味する。 「ミステリーの書き方」という書物の中で、「動機」を題材にし、横山さんはこのようなことを書かれていました。64はまさにこのテクニックを駆使した傑作です。警務部、刑事部、新聞記者に関する圧倒的な蘊蓄と蘊蓄にサンドされた虚構は真実味を帯び、荒唐無稽のはずの事件の数々は読者をも切迫させていきます。タイムリミットは警察庁長官の視察日であり、その設定ゆえにページを繰る手が止まりませんでした。 横山さんの傑作は「第三の時効」辺りの短編だ、と思っていたのですが、この64にはやられました。5年、いや10年に1度巡り会えるかどうかの快作といっても過言ではありません。本を読んで泣きそうになったことは皆無なのに、中盤の広報官と記者のやりとり、終盤の三上と美那子の会話に目頭が熱くなりました。読後、さて次は何を読もうかと思ったのですが、余韻がすさまじく、立て続けに2回読み、まだ他の小説に食指が動きません。三上、美那子、松岡一課長がD県の中に住んでいそうな気がします。文庫化されたら、加筆、訂正箇所を探しながら再読します。その前に3回目行きます。 | ||||
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| 『クライマーズハイ』で虜になって、横山秀夫さんの作品は全部読んでいます。 「横山秀夫、なんか体壊してるんだって・・・」初めてその情報を聞いたときのショックは今でもよく覚えています。 久しぶりの新刊、それも長編大作。 勝手に身内に感じるような「大丈夫だろうか」などという小さな不安を見事に払拭してくれました。 どの作品も面白く大好きですが、自分の中のナンバーワンである『クライマーズハイ』を超える作品となりました。 現在は育児中なものですから、本を読める時間は子供が寝た後だけ。 添い寝しながら薄明かりで夢中で読んでいました。 読み始めると時間が経つのが恐ろしく早く、気付けば夜が明けて慌てて本を閉じる日が続きました。 寝不足が続き、風邪をひき熱まで出してしまいましたが、読書タイムが楽しみで楽しみで 読み終えてしまった今、幸福感と、終わってしまったという少々のさびしさがあります。 D県警シリーズを読み直し余韻にできるだけ浸ろうと思います。 途中でアマゾンのレビューはどうかなと思い、「全レビュー最高の☆5つ」というのだけ確認し、 読み終えてから皆さんのレビューを読んで頷きながら共感しました。 皆さんがおっしゃるよう本当に傑作です。 怒涛の展開、いくつものドラマ、横山秀夫独特の人間臭い切なさでいつも涙が出ます。 横山秀夫先生には、すばらしい傑作をありがとうございましたとお礼とともに、 しばらく体を休めてお体ご自愛してほしいです。 | ||||
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| 人物の存在感がすごい。 紙上から生身の人間が苦悶し、怒号し、むせいでいるかのような圧倒的存在感である。 モノには魂が宿るというが、この本に出てくる登場人物たちは、現実世界の人間達より生々しく、魂を有している。三上広報官が、銘川老人の「事実関係」を記者たちに読み上げる場面は、不覚にも涙が出た。横山氏はお涙頂戴よろしく感動を誘う気などさらさら無い。小説で涙するなど何らかの意図ある誇張であり嘘だと思っていた。しかし、胸に来るのはそこに圧倒的な臨場感のある生身の人間の生の葛藤があるからである。 雨宮の執念、幸田の弱さと侠気。全ての伏線が明らかになる瞬間の驚愕。 読み終えた時、もう一度最初のページの電話ボックスの絵を眺めてみる。 その風景は、最初と全く違って見えるはずだ。 本物の小説をありがとうございました。 | ||||
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| いま読み終わって、本当に幸せな読後感を味わっている。ものすごく血湧き、肉踊るというテンションのストーリーではない。グッと泣かせるわけではない。ただただ、そこに人間がいるだけである。それがなぜか心にしみる。途中、読みづらい部分もある。それは自分では気づかない心の不安を見せられているせいだ。著者がどれだけの時間と才能を費やしたか、想像するだけで、ただただ感謝、ありがたい気持ちでいっぱいとなる。次回作、、、といっても、そんなに多作な作家ではないので、また数年待つのかもしれない。であればこそ、我々読者は、中古や文庫で買わず、ぜひこの本を買っていきましょうよ!それが著者が次回作に集中してとりくめる環境作りに貢献できるのであれば。 | ||||
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| 他のレビューが軒並み★5をつけてるのでわかるとおり、最高傑作と呼んでも差し支えない内容でした。 主人公はD県警の広報官。日ごろ地元のマスコミたちを相手にしているが、元々刑事で、いつか刑事に戻りたいと願っている。 そんな主人公がキャリアの上司や、マスコミや、刑事たちといろんな形で戦い、共闘し、大きな事件のうねりに巻き込まれていく、そんな小説です。 他の作家の警察小説との大きな差は人物造形の深さでしょうか。多くの脇役が登場するので、そんなに説明に文字数を使っていないにもかかわらず、彼らのすごさを簡潔に表現してます。今回も参事官の松岡など魅力的な脇役がでてきます。 また、リアリティのある小ねたも読み応えあります。本作ではトイレでお目当ての人物を待ち伏せするエピソードがそれにあたるのですが。 伏線もほんとに緻密で、最後にあっといわされる真相が待っています。 とにかく睡眠時間を削って読みふけてしまい、翌日の出社時も電車の中で寝ずに読み、仕事の昼休みも読み、といった感じでした。 本当にこの本に出合えてよかったと思っています。 | ||||
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| 7年ぶりの新作ということで自ずと期待値が上がり、正直読むのが怖い気持ちもありましたが、そんな心配は全く無用。 横山秀夫完全復活!と言える作品だと思います。 登場人物一人ひとりを多彩な表現でこれでもかこれでもか!というぐらいに掘り下げていきながら、最後は綿密に練られた登場人物間のつながりで あっ!と言わせる所はさすがの一言に尽きます。 次作が7年後にならないことを祈ります(笑) | ||||
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| 待ちに待った横山さんの長編小説。 一字一句かみしめて読ませて頂きました!! 家庭のあり方、階級社会・組織社会の不条理、 一人の男として、父親として、組織人として どのように関わり生きていくのか?一人の人 間としての生き様、自分の人生のあり方、い ろいろな事を思い読み進めました。 私の中では、美那子が言ったひとこと・・・ 「小さな世界なら守れると思った」に涙!涙! どうしても大きさを気にしてしまうが、家庭、 会社など小さなコミュニティーの集まりで社会 が成り立っていると考えると、小さな世界が守 れない(言葉をかえれば小さな世界すら大切に、 真摯に向き会うことが出来ていない)事は非常 に寂しい事なのかな?と感じました。 言葉では簡単だが、真摯に向かい合う事は・・・ ん==、本当に俺に出来るのか??? | ||||
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| 読みはじめたとたんに密度の濃さを感じる。とば口にしては濃すぎないか? この7年間、同ジャンルの別の作家のものを読みすぎたせいかもしれないと 思った。 ところが、密度の濃さに慣れたと気づいたときには、もう横山ワールドにいた。 あっという間に連れ去られていた。流れるストーリーにぐいぐい引っ張られて、 読んでいるという意識すら忘れていたのだった。 今回、登場人物は多いが、まるで以前から知っているような錯覚を覚えるほど、 彼らの思いが手に取るように伝わってくる。対立する立場や考えでありながら、 どちらの言い分にもリアリティという筋が通っている。だからこそ、彼らが 織り成すドラマが、絵空事でも他人事でもなく、わが身に降りかかったことと 感じられた。 作家の想像力(創造力)を思い知らされる作品である。なにもないところから 現実以上のリアリティを紡ぎ出すとはこういうことかとあらためて驚かされる。 読了した充足感のなかには、至福の時間が終わってしまったことへの寂しさが つきまとう。旅は準備しているときからすでに始まっているとよく言われるが、 ならば、横山さんの次の作品を待ちわびることも、再びやってくる至福の時間 を夢想し、心が浮き立つのを感じる、幸せな準備段階ではないかと思う。 どうか体調に留意されて、ご自身の納得する作品を書き上げていただきたいと 心から思う。ファンはあなたの小説を何年でも必ず待っているのだから。 | ||||
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| 待ちに待った新刊です。早く読みたいでも読むのがもったいないと悩んでいたのに、 読み始めたら止まらなくなって一気読みでした。 横山秀夫が描く組織の中での生き方や、男たちの様子、そこに絡んでくる いろんなしがらみ、すべてがリアルでミステリーというよりも 人間ドラマとして興味深く読んでしまいます。 もちろん物語がどう転がって行くのか、ハラハラしながら読み進めて行く醍醐味は健在。 細やかに張られた伏線が最後にギューッとひとつに束ねられて行く構成はまさに名人です。 最近、ただ過激であればいいとか、いたずらに人が殺されるとか、単なる驚かしのミステリーが すっかり多くなって、あとはあまーいファンタジーが入ったものとかで、 あまりしっくりくる作品には出会えませんでした。 だからこそ横山氏の新刊はありがたかった。読み始めると本を置けなくなるのでそこは要注意ですけれども。 今後もどんどん新作を出していただきたいです。読者は待っています。 | ||||
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| 全約640ページのうち500ページを過ぎても警務部広広報官と各紙記者の攻防とその背景の刑事部警務部の組織間争いが物語の中心でしたので、「本当にこれが数年間の沈黙を薮lつて著者が書きたかったことなのか?こんな組織内の諍いなんか実社会で嫌というほど見てるのでたくさんやで」と失望しかけていたところ、このamazonでの皆さんの高評価を信じて読み進めたところ残り100ページで見事に裏切られました!子供を誘拐された親の情念の凄まじさ、捜査を指揮する松岡参事官のかっこよさ、痺れました 久しぶりに 大満足です | ||||
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| 重量も内容もずっしり重い1冊で、読み応え十分です。 横山さんの著書は『クライマーズ・ハイ』を皮切りに(たぶん)全部読んでいますが、 この『64』は、個人的にはナンバー1だったその『クライマーズ〜』に匹敵する面白さでした。 とにかく主人公が悩む・悩む・悩む。そしてのたうち回る。 まずそのドタバタぶりがイイ。私自身を投影する必要がないほど 微細に葛藤が描かれ続けるので、途中で読むのを止めることができない。 だから寝不足です。 続いて、潔く痛快な開き直り。そして見事な結末。 さあ、もう一回読もう! | ||||
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| たった7日間しかなかった昭和64年に起きた“翔子ちゃん誘拐殺人事件”の時効があと1年となったいま、警察庁長官のD県警視察が決まった。1週間後である。本小説の主役は、D県警警務部の広報官、三上義信警視。彼に降りかかる様々な難題を描いた長編小説である。三上は、長年刑事部のエースとして活躍してきた。ところが、突然広報のトップに抜擢され、不本意ながら、三上の考えるマスコミ対策や理想的の広報体制づくりに対峙していく。だが、娘の家出や妻との関係といった家庭内のトラブルから警務部長に弱みを握られ、広報方針への介入を許すことに。そのような時、三上は交通事故加害者の匿名問題をめぐって記者クラブと対立。記者は長官視察の取材ボイコットを示唆する。広報官として警察の発表のあり方に苦しむ三上が、記者たちと真剣に対峙する場面は感動的である。また、長官が慰問する予定の被害者遺族は、これを頑なに拒否する。三上の前に不可解な箝口令の壁が、これは、上司からの圧力、キャリアへの反発、刑事部と警務部との反目等の・・・根深い対立が。長官の視察予定日は迫る。記者クラブとの葛藤、内部の勢力争い。この部分の著者の記述は流石に凄い、板挟みの中にある三上の苦痛、息詰まる緊張感を見事に描き切っている。長官の視察には何か裏が?思惑が?あるのだろうか・・・・。 話が佳境に入った時、思いがけない・・・が。ここから、これまでとは異なる相転移の世界へ・・・著者7年ぶりに描く感動の真実をお楽しみください。これは一気読み! | ||||
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| 元新聞記者が警察発表や記者クラブを題材にする強烈なリアリティ。 サラリーマンの多くが共感する派閥、組織での処世術を題材とするセンス。 丁寧に伏線を敷きながらも、終盤にならなければ気付かないミステリーの完成度。 推敲されつくした意挙手一同足の描写。 どれをとっても「究極の警察小説完成」の謳い文句に偽りがない。 クライマーズ・ハイに勝るとも劣らない。 | ||||
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| 著者の作品は単行本化されたものは総て読んでいます。 他の方も書いていますが、短編こそ筆者の真骨頂というか、後世に残る秀逸なものがあると思ってました。 長編は、映画化された「半落ち」「クライマーズハイ」など有名な作品が多いものの、実はそんなに感銘を受けませんでした。 しかし、この「64」は、違います。ひょっとしたら著者の最高傑作かもしれません。 後半になるまでこの物語がどう収束するのか全く予想が付かなかったのですが、 長々とした導入部にあった伏線はやがて見事に回収され、読者が十分なカタルシスを得る大団円を迎えます。 それまでの主人公三上の思考、行動、逡巡を、丁寧に綴り、見事に纏め上げる著者の筆力にも感服しました。 映像化するとすれば、2時間ドラマや映画ではなく、5回以上の連ドラにしてほしいです。WOWOWかNHKがいいです。最悪TBSでも。 上川隆也のイメージが強い二渡はそれでいいとしても、主人公三上は誰がいいのか、この長い本を読みながらずっと考えてました。 イケメンではなく強面、オールバックの髪型でかつ剣道が強いという設定なので、遠藤憲一あたりかなあ、などと。 | ||||
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| 主人公の広報官三上は警察官である前にひとりの人間である。 集大成とも呼べる横山秀夫渾身の一作。 この大作を書き上げるにあたり、かなりの苦悩があったと聞く。 鬱、記憶喪失にも悩まされたそうだ。 それもそうだろう。 組織、家族様々な苦悩を抱える三上の深い深い心情を 独特の短い文章で書き連ねていくことは想像を絶するストレスに違いない。 しかも一文たりとも無駄のない完ぺきな作品を追求したと思われる緊張感溢れる仕上がりだ。 著者最長の600ページ超の作品だが、全く飽きることなく読み切ることができる。 ありきたりの警察小説かと侮る事なかれ。 本年イチ押しの長編小説である。 | ||||
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| 正直、最初の100ページはなかなか読み進められなかったです。 説明的な文章が続いたので、いまいち物語にのめりこめませんでした。 しかし、段々と物語の世界に引きこまれていきました。 私は20代女性なので、主人公に感情移入する要素は少ないと思います。 それでも、主人公の三上広報官の苦悩、家族というものへの葛藤には感情移入してしまいました。 最後の50ページは、本当に心を奪われ、胸がどきどきしましたね〜!!! 途中からうっすら筋が見えてしまっていたのですが、それでも細部の構成は見抜けず。 そしてそこがこの話の、キモでした。 冗長的に思えた最初の部分も、総て必要なものだったのだと思えます。 無駄な文がないのです。伏線が随所に張り巡らせられており、それが見事に回収されていく。 まさに職人技ですね。脱帽! | ||||
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| ”あ〜。読み終わっちゃた。。。” という、あの独特の寂しさとともに胸の中に熱っぽさが残り、普段は横になったら速攻眠ってしまうのに 「64」最終日はなかなか寝付けませんでした。 ずっしりした重さにもためらうことなく毎朝カバンに入れ、その重さに腕がしびれながらも 満員電車の中、片手で読み進め、仕事から帰るとさっそく続きを読む至福感。 他の方も書いてらっしゃいますがクライマックスは本当に圧巻で、 1ページ1ページから熱が伝わってき、すっかり物語の中に入り込んで涙しながら読みました。 この横山ワールドの熱にずっとうなされていたい、とさえ思っています。 | ||||
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| この厚さ、この値段(それでも安く設定されてると思います)、誰でも文庫化を待ちたくなるでしょう。 それを差し置いても、今買って読んだ方がいい。それくらいの力作だと思います。 これだけ前評判がいいと、期待が高すぎて最後の印象が薄まる事があるが、それを差し引いても驚くべき結末に圧倒されました。 7年を空けてもこの圧倒的な筆力を維持している著者がすごい。 復帰を祝うためにもこの本は売れないといけない。 | ||||
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| とにかく、新作を読みたかった。 書店に行っては、「あ」から始まって、「や」行まで覗きながら、「横山秀夫」の新作を探していた。 けれど、なかった。 けれど、「や」行で「横山秀夫」に7年かかってたどり着いた。 そんな気がする。 驚くばかりのその分厚さ、そして本そのものの物理的重量。 ずっしりとした手ごたえは、そのままレジへ持っていくのにためらいを感じるほど。 それは杞憂ではあったのだけれど、しかし、氏の作品には、いわゆる「本物の長編」が少ない。 登場人物が同じでも、それぞれのエピソードが独立しており、そして一つ一つが珠玉ともいえる完成度を誇った短編、そんな趣が横山秀夫の作品にはあり、それが何よりの魅力の一つだと感じていたからだ。 「半落ち」にしても、主役が入れ替わりつつ物語が進んでいく一種の短編ともいえたし、文句なしの名著「第三の時効」もまた然り。 「クライマーズ・ハイ」が長編としては最も好きだが、「深追い」や「臨場」のような、濃密かつ後味の濃いシリーズに睡眠時間を削られている身としては、もちろん大好きな「D県警シリーズ」をベースにした長編とはいえ、けれど既存の世界観を踏襲した長編が今度の新作であることに、やや不安も感じたのだ。 もしや、横山秀夫は、創作に情熱を失ってしまったのではあるまいか。 編集者や読者の声にこたえるために、わざわざ「D県警シリーズ」を銘打ち、ページ数を稼ぎ、上梓したのではないか。 それはもうまったくの杞憂以外の何物でもなかった。 北海道は新刊の発売が、相も変わらず三日は遅れる。 これだけ物流が発達した世の中だというのに、30年前と大して変わらないその流通システムに憤りを感じながら、おそらく北海道は札幌市での発売日に、ほんのわずかな逡巡とともに、「64」を購入した。 結局、この分厚く重く、圧倒的な物語を、睡眠時間を削って読み切ってしまった。 短編ならば、エピソードで区切って「あとは明日また読もう」とページを閉じることができるのに、この「64」はそれを許してくれなかった。あたかも主人公のD県警広報官・三上が終盤、睡眠時間を削ってなぞに対峙するかの如く。氏は読者にもその過酷な任務を任命したのだ。 横山秀夫ファンならば、何も言わずに、新品で買うべし。 古本屋に並ぶのを待つのは、時間の浪費である。 一刻も早く手に取り、十秒くらいはこの本の分厚さと重さに覚悟を決め、そして帰宅してから第一ページを繰るまでの時間、期待に大いに胸をふくらませるべし。間違っても帰宅途中にページを開かないこと。止まらなくなること請け合いだからだ。 ストーリーは伏線が巧みに張られている。 警察小説であり、しかしこの物語がれっきとした「ミステリー」なのだと思い知る筋立て。 いくつも張られた伏線が、もしやこのまま消化不良で終わるのではないかと心配になるかと思いきや、それらはしっかりと回収されるのは、もう見事としか言えない。 やはり横山秀夫という作家は、非凡中の非凡だ。 警察官。 それも、刑事部ではなく、警務部所属の、しかも広報官。 序盤は様子見。 「見知った」名前もちらほら出てくる。 婦警担当警察官に懐かしい名前を見、もしやあの似顔絵婦警も登場かと期待を持たせる展開に、しかし今回は記者、刑事部の本物の刑事たち、そして横山小説の真骨頂ともいえる上層部と現場の対立が次第に立て込んでくる。 この分厚い小説の半分も過ぎるころ、いったいどうやってこの物語は終わるのかとまったく先が見通せなくなってくるが、そのあたりから物語はどんどん動き始めてくる。 主人公・三上の「決意」は、「クライマーズ・ハイ」の悠木の「決意」を思い起こさせる。 記者会見で記者ともめる一幕は、雫井脩介「犯人に告ぐ」の1シーンをふと思い出したが、あの小説の「修羅場」がこちらはさらに濃密かつリアリティをもって迫ってくる。このあたりはさすがに元新聞記者の持つ経験といったところ。 終盤はとにかく圧巻。 ストーリーの紹介はしない。 予備知識なしに読んだ方が圧倒的に面白い。 それにしても、読み終えてしまったことがとにかく残念。 次に氏の小説を読めるのは、いったいいつになるだろう。 「17年後」ということはまさかあるまい。 7年程度なら待ってもいいかもしれない。 それまでの間、また書店の書棚の「あ」から順に数えて、「よ」まで辿ることを続けていこうと思う。 案外早く次の物語が……。 この小説を最高得点にしなければ、なにを最高得点にしたらいいのかと思えるほどに、今年読んだ小説では断トツで面白かった。 | ||||
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| 7年分ためたものを一気に吐き出すような、最初から最後まで横山秀夫節がグレードアップして全開、大いに楽しめた! たたみかける文章はより一層シンプルで、その言葉の一つ一つが強い。 警察内の男たち女たちの価値観、矜持、猜疑、欲望、弱みがひとりひとり見事に活写され続け、ただ単純なエリート官僚vs叩き上げの物語にはならない。 そこは、登場人物たちの生きざまが問いかけられ続ける世界なのだ。 何より、横山秀夫は主人公に「足枷」をかけるのがうまい。足枷はあまりに酷く強い力で主人公を縛り、物語の中で思うように行動をさせない。 主人公はその足枷ゆえに、己が立位置に苦しみ、悩む。揺れ動く。俺は自分の誇れる仕事をしているのか、ためらいを家族のせいにしているのではないか・・・。 そこに滲み出てくる主人公のあたりまえの人間臭さがいい。その自分の弱さに焦れる気持ちに共感できる。 だからこそ、主人公がこの過酷な状況を果たして打破できるのか、目が離せなくなるのだ。647ページも! 最後の無線、携帯での会話とパソコン画面だけを通して描写される追跡捜査も、リアリティがあって面白い。 広報官、という職業を主人公にしたてたのも、新鮮だ。警察機構の仕組み(のゆがみ)にまた一歩踏み込んだ世界を読める思いがする。 不気味に出没する二渡という人物ががいまいち分からないなー、これだけが瑕かなと思っていたら、ちゃんと最後に。 言うこと無しです。 | ||||
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