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64(ロクヨン)
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64(ロクヨン)の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全546件 501~520 26/28ページ
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| なんて面白くて、深くて、心に直接届いてくる小説なんだ! 間違いなく、この作家の最高傑作でしょう。 2012年度のもっとも優れた作品だと断言してしまいます。 それほどまでに、この作品の深度は深く、登場人物の造形と、 ストーリーは素晴らしい。 登場人物全てが、命を吹き込まれ、素晴らしい会話を交錯させる。 飛ばし読みできない濃密さ。 ゆっくり味わうように、かみ締めるように読んだ。 読了後、ほっとため息をついだ。 とてつもなく、深く熱い思いが胸の中に火をともしている。 この本に出会うために、今まで生きてきた。 大げさではなく、そう心から思える本に久しぶりに出会った。 生きていこう。読了後そう思った。 | ||||
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| 難解な漢字がいくつか出てきます。それを調べていくのも本を読む上で必要なのかもしれませんが、めんどくさがりやの私としたら読んでる途中でわからない漢字を調べるのは、読んでる流れを中断されるみたいでとても嫌でした。 後は主人公の問題が私にとっては納得いきませんでした。 | ||||
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| 圧倒された。 精緻に計算され尽くしたプロット、生命を宿しているかのように浮き上がる言葉の数々… 7年の時を経て現れた横山秀夫の世界は、やはり別格だった。 600ページを超えるボリューム、価格に一瞬、躊躇したものの、手にして正解だった。 終盤に差し掛かると、もうすぐ終わってしまうのが惜しく、それでも一気に読み進まずにはいられなかった。内容の詳述は控えるが、想像を超える結末、そこに至る終盤のスピード感には感嘆するしかなかった。若干の消化不良もなかったわけではないが、総じて評価すれば「クライマーズ・ハイ」「出口のない海」「半落ち」「陰の季節」「第三の時効」など、横山の代表作を凌駕する1冊だと思う。 筆者の体調が気がかりだが、良質の人間ドラマ、ミステリーをこれからも期待したい。 横山ワールド、万歳! | ||||
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| ある雑誌で、横山さんは「人様から『お前の代表作はこれだぞ』と教えられたような 気分になりました。」と語っています。それは、『半落ち』のことです。 いや、間違いなく、彼の代表作は『64』になりましたね。 化けましたね。横山秀夫。 横山作品は、『出口のない海』以外全部読んでます。 当たりもハズレもありますが、ハズレも許せる作家だと 私は常々思っていました。 そして、『64』は、新聞の書評などのすべてがベタボメに近いので、 逆に「怪しいな」と思いつつ読み始めました。 とにかく、作者の思い入れが熱いので、 「あ、横山さん、すごい筆が進んでるな」というのがとても伝わります。 自分が多少体調不良でも、読書タイムは欠かさないように している私ですが、 この本に限って、ちょっと風邪気味の時は泣く泣く中断しました。 読むのに体力・気力が必要です。良い意味で。作者の熱い気持ちには、 読者も熱い気持ちで応えねば。そう思える作品です。 他の方も書かれているように、前半ちょっと、というところも ありました。しがらみ、みたいなものに無縁の職場に勤める 私のような者には、正直理解しがたいところもあり、 でも、思い直して読み進めたりしながら、 半分を過ぎる前あたりから、もう止まりません。 読み手が作者に置いて行かれそうになる感が時々あって、 でも食らいついて行かなきゃ、と思えます。 まるでチャイコフスキーの音楽を聴いているかのようです。 最後は、ああ、読んでよかった、今年を締めくくるのに ふさわしかったな、と、達成感を味わいました。 心配なのは、下手に映画化されたりドラマ化されたりするのでは ないかということ。 主人公の三上は誰が演じるの? 私が思いついたのは、石破さん。ごめんなさい、石破さん。でも いい意味で、です。すごい魅力的なんです、三上。 あとは、いつも頭の中に岸部一徳がちらついていました。 岸部一徳っぽい人がいっぱいでてきます。 まあ、映画化・ドラマ化の話は余談ですが、できれば映像化は して欲しくない。絶対変な風に筋が曲げられるにきまっているから。 あ、『24』形式のドラマ化が日本で可能なら、 この作品はぴったりだと思いますよ。 これを読み終えて、よい年をむかえましょう。 | ||||
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| 間違いなく、これまでの作品の中で1番の傑作。読みごたえ十分の647頁だが、面白さのあまり、一気に読み終えた。絶対に読んで損は無い。読むべし! | ||||
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| 傑作という触れ込みで購入しましたが、やはり面白いです。 ぐいぐいストーリーに引き込まれていきます。 そうとう分厚いですが時間を忘れて読めるので三日ほどで読了しました。 時間のあまりない方は、途中時間を空けて読むと 誰が誰だか分からなくなるほど、複雑な人間関係が続くので 暇な時に一気に読み切ることをお勧めします。 設定は難しいですが、文体が読みやすいので すんなり頭に入ってきます。 傑作に偽りなしだと思いました。 | ||||
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| 横山秀夫さんの本は何冊も読んでいますが、単純な刑事ものよりも、社会との接点を模索しているクライマーズ・ハイ (文春文庫)のような作品の方が良い作品が多いと感じていましたが、これは久しぶりにそちら側の作品でとても面白く、一気に読めました。 刑事出身の広報官という異色な、それゆえ二つの組織のはざまで悩む主人公が、その立場に腹を括るところまでの葛藤と、そのクライマックスの盛り上がりに突如襲い掛かってくる過去の事件の亡霊、そしてすべてがつながるエンディングと、ミステリー的要素も交えつつ重厚な人間ドラマが描かれています。 特に、広報官としてやるべきことを決意し、それをぶつけていくところのシーンの盛り上がりは素晴らしかったです。仕事に対するプライド、大組織と社会との接点の作り方等々、青臭い部分もありましたが、今ある仕事にどこか逃げてしまっている職業人に対するエールとして力強いものでした。 | ||||
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| 7年ぶりの新作だという。これは長かった。この間、横山秀夫の作品は全て読破した。映画化作品もテレビ(再放送を含め)も観た。「第三の時効」「クライマーズ・ハイ」が特に良かった。それから、どのくらい時間が経ったことか。今、日本の作家で、文庫化を待たずに即座に買うのは横山秀夫ぐらいだ。読み応えが有るのを知っているからだ。 平成14年。D県警の三上広報官は公私とも悩みを抱えていた。私的には一人娘のあゆみが家出をして3ヶ月になる。公的には新聞記者クラブとの軋轢で二進も三進も行かない状況で、輪をかけたように警察庁トップの長官がD県警に視察に来るという。時効寸前の「64 ロクヨン」事件の応援も兼ねるらしい。「64」 とはD県警内部の符丁で、昭和64年の正月明けに起こった「翔子ちゃん誘拐殺人事件」の事である。そして視察の裏には大きな人事が画策されているという。 本書には「陰の季節」等の二渡警視が登場するが、三上を同期と書いているので、三上はテレビで清水宏次朗が演じた刑事課長の事かと思って調べたが、そうではなかった。本書のために新たに登場した主人公である。二渡が三上の行くところに先手を打って現われるのが不気味だ。文章の一行一行、会話の一言一言に圧倒的迫力があり、息を呑む。 ただ終盤近くなっても、タイトルの「64」事件そのものの進展が明示されないので、その事が気懸かりだったが、それは杞憂だった。大きなどんでん返しが仕掛けられていたのだ。後から読めば伏線も巧妙に張りめぐらせている。現時点で横山の最高傑作であり、オールタイムでも日本のミステリーシーンに存在感を示す作品となった。横山秀夫健在なり! | ||||
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| 待っていた新刊、さすが横山秀夫作品.帯にうたってる通り究極の警察小説の完成・・・、一気に読みました。 つぎは、映画化かテレビドラマでまた今度は目と耳で楽しめるのを期待してます。 | ||||
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| もう書かないのではないか。書けないのではないか。七年間待ちに待った待望の新作は、そんなファンの心配を覆す起死回生の大長編、大傑作となった。 昭和64年にD県で発生した幼女誘拐殺人事件。「64(ロクヨン)」と呼ばれるその未解決事件を軸に物語は進行する。当時刑事部にいた主人公三上義信は警務部に移り、三ヶ月前に失踪した愛娘あゆみへの想いに翻弄されながら、マスコミへの対応に追われていた。そんな折、本庁からのD県警視察の報が警務部を揺さぶる。時効を控えた64事件の風化に歯止めをかけるという建前とは裏腹に、しかし三上と同期の二渡調査官の動向が何やら慌しい。幸田メモとは何なのか。やがて三上は64事件にある重大な隠蔽があったことを突き止め、さらに今回の視察の目的が刑事部トップへのキャリア導入を目論んだ「召し上げ」であることを知る。刑事と警務の二つの顔を持つ三上は葛藤に苦しむが、視察前日に起こった大事件が全てを粉砕する。64を模した少女誘拐事件。十四年経った今、なぜこのタイミングで? 被害者は無事なのか? 犯人の目的は? そして64との関係は? 複雑な心理や人間関係を簡潔に表現する濃密な比喩も、警察官同士の臨場感あふれる切迫した対話も健在である。物語の面白さもさることながら、久しぶりに味わう横山節に酔いしれ、それこそ嘗めるように読む時間は至福のひとときだ。千五百枚近い長編だが、途中で飽きることが全くない。読むのを中断することの方がむしろ苦痛なくらいである。といって早く読み終えるのも勿体無い……。 短編は文句のつけようがないが長編は――と正直思っていたが、今回の大長編でそのような不満は霧散した。横山秀夫復活。それを読者に知らしめてあまりあるこの新作は、後々まで語り継がれる横山秀夫屈指の名作となろう。 | ||||
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| 横山氏の新作を首長くして待ってたので即購入。 いや〜横山節健在で何よりなんだが作者が相当前のめりになって書いてるのがわかる まさに入魂の1作。本作が重厚で中味の詰まった作品で横山氏の本は一応全部読んでる私も 氏のベスト1に挙げてもいいような内容なのだが,入魂と面白さは別というか正直あんまり のれなかった。(あくまで氏の作品の中では、という批評です。) それにしても主人公の心情描写と状況に対する説明描写が大半を占めてると思わせる位長い。展開の流れを遮断しても仮説やそのまた仮説が現れ,その中で新しい登場人物が出てきて,それが前に出てきた誰かとキャラ被ってたりするので誰だ誰かかわからなくなってくる。それら多い人物の何層にもなる思惑の連鎖で読んでて状況を把握してるか不安になる。 横山作品を読む場合いつもクセのあるおっさん俳優を沢山思い浮かべておいて読みながらキャスティングしてゆく私でも今回は状況を追うのに必死でその余裕もなかった。 しかし後半一気に加速して凄く面白くなり,張り巡らせた伏線が次々と腑に落ちる形で 突破されてゆくのは快感を伴いそこはさすが言葉悪いがその辺のミステリー作家なんかじゃ 真似も出来ぬだろう醍醐味がある。 もうチョッと流れが全体であれば、と思い惜しい。 | ||||
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| 内容は面白くて、満足感はあります。 ただ、細部どころで、ストーリーを運ぶために都合が良すぎる部分も若干あるように思いました。 作者は元記者であり、本小説でも警察やそれを取り巻くマスコミにおける組織的人間模様と葛藤を、持て余すところなく描き切っています。 それが横山作品の強味でもあるのですが、本小説は特に鼻につきました。 登場人物の思考やそれに至る背景を、作者が得意気に説明しまくっている感じで、読者が参加する余地がありません。 警察小説を初めて読む人にはいいのでしょうが、ある程度土地勘のある人は、お仕着せがましく感じるのではないでしょうか。 ノンフィクションならいいのでしょうが、小説ですから、行間を楽しみたいものです。 | ||||
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| 読み出したらきりが無くいかといつて一期に読み切るにはページがおおすぎて 久し振りに読んだと感じがしました。 | ||||
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| 組織と個人、官僚と現場 上司と部下 親と子 圧倒的なリアリティで書き出しその問題を突きつけます。 そこへ奇想天外な驚きのミステリーを盛り込んでも まったく不整合がおきない、その力にただただ関心しました。 | ||||
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| 横山秀夫の新刊は2005年7月発行の「震度0」以降パッタリと止まってしまっており、私はずっと、横山秀夫は何らかの事情で断筆してしまったのではないかと心配していたのだが、ようやく新刊が発行されたようだ。本書は、「別冊文藝春秋」251号から263号までに掲載された作品とのことであり、263号は今から6年以上も前の2006年4月に発行済のものなのだが、全面改稿とあるので、今現在も執筆活動は継続していると思っていいのだろう。横山秀夫のファンとしては、嬉しい限りだ。 さて、その本書だが、率直にいって、ラストまでは、色々と思うところもある作品ではあった。まず、本書は、少女誘拐殺人事件を扱った作品なのだが、「震度0」の阪神大震災ほどではないにしても、少女誘拐殺人事件は従で、警察の体質や組織間抗争を描くことが主になっているのだ。しかし、所詮は部外者に過ぎない読者にとって、どうでもいいような警察の不毛かつ度を越した組織間抗争を、ほどほどならともかく、事件に絡めて終盤まで延々と描かれても、正直いって、うんざりしてしまうところがある。また、マスコミが、報道の自由という錦の御旗のもと、歪んだ特権意識を持った傲慢で独善的な人種であることは私も日頃から感じているのだが、それにしても、幾ら何でも、ここまではやらないだろうというような極端な場面まで見せられると、共感を感じるよりも引いてしまう。 主人公三上が醜男であることに起因する彼の家族問題を描いたサブ・ストーリーも、特に年頃の女性にとっては、自分の容姿の美醜が切実な問題であることは事実だとしても、もっとましな理由付けが出来なかったのだろうかと思ってしまう。よりによって、そんなことを起因とした家族問題を大問題に発展させられても、「醜い」、「こんな顔」などと書かれれば書かれるほどこの作品の品位が落ちてしまうような気持ちにさせられて、興醒めしてしまうのだ。 終盤の新たな展開も、筆者の巧妙なミス・リードも相俟って、「長いブランクもあり、横山秀夫の腕も落ちたか?」と思わせる程度のものにしか見えなかったのだが、ラストの真相は、読者の想定範囲の遥か上を行って、それまでの全てを鮮やかに収斂させており、「横山秀夫の腕は健在だった!」と感嘆させられる素晴らしいものだった。ただ、この素晴らしいラストだけで、必ずしもそれまでの評価が根本的に覆るというものでもなく、やはり、特に、序盤から終盤まで、しばしば退屈を感じてしまうような冗長なところがあったことも、消すことの出来ない事実ではあったと思う。ラストまでが、もっとテンポ良く引き締まったものであれば最高評価を与えられたのにと、今一つ惜しまれるところのある作品だった。 | ||||
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| 二つの話が混在しているように感じました。 1.警察広報官を主人公とした警察小説 2.昭和64年に起きた未解決誘拐事件を題材としたミステリー 社会派小説としても読みごたえのある作品でしたし、ミステリーとしても秀逸でした。 が、しかし、これら二つは別々の話として書かれていた方がよかった気がします。 私は、ただ単純に、後者の話、ミステリー作品を読みたかった・・・と思うのです。 | ||||
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| 皆さんが褒める程ではないです。私は読むのに退屈しました。 基本的に暗いですね。組織の中の人間の心理を事細かく読むのは疲れます。 こんな小説が好きな人が多いんだな、と感心します。 | ||||
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| 私が警察小説を好きになったきっかけが横山作品です。 そして、この「64」も帯の文句以上におもしろい作品でした。 いったい、どこに落ちがあるんだろう? 結果的に主人公の味方になるのは誰なんだろう? そんな風に考えながら読み進めていくうちにあっという間に結末でした。 横山作品に登場する人物は正真正銘の悪党というのがでてこない気がします。 一方からみると確かに「悪い」のだけれど、 反面からみるとそうではなかったりする。 そして、その人物が「悪」になる事情が想像できるように書かれています。 どこかに救いがある、、、、 この作品も今までの横山作品と同じくそんな作品となっています。 間違いなしの五つ星★でした! | ||||
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| 《五十八万世帯、百十二万人……。朝刊で目にした人口動態調査の数字が頭に残っていた。その(D)県人口の三分の一近い人間が、ここD市に住むか勤めるかしている。難産の末に隣接市町村と合併を果たし、地方版一極集中が加速したが、真っ先に行うはずだった公共交通機関の整備はいまだ手つかずだ。》 冒頭の舞台説明にすぎぬ文章だが、じつはこれが本小説の最奥にうめこまれたトリックの、枢要な一部をになっていたのだと、あらためて驚愕を新たにする。 昭和六十四年は七日間で幕を閉じ、一月八日からは平成となった。時代の間隙であるこの昭和六十四年に起きた未解決の誘拐殺人事件=64が、いままさに時効をむかえんとする平成十四年末、それが今の時制だ。交通環境がしめすように人の動向は停滞したままだが、この間なにより変貌したもの、それが携帯電話の普及であろう。この小説は、ハイテクがすすむ平成十四年を、あくまでも昭和元号の七十七年と化そうとする、時代を超えた妄執の物語といえるだろう。携帯電話ではなく、有線の固定電話、公衆電話で。携帯は遅れてその謎を解き明かすだけ。 D県警広報官三上は、反目する新聞記者に交通事故死の老人の孤独な人生を公表する。 《「店主の話によると、事故当日の銘川は上機嫌だった。数日前買い物から戻ると留守電のランプが点滅していたのだという。メッセージは何も吹き込まれていなかった。最近は……電話が鳴ることはめったになかった。古い電話なので発信元はわからない。誰かなあ? 誰だろう? さかんに首を傾げていた。その様子がいつになく嬉しそうだった。……北海道県警に照会したところ……遺骨の取引を拒否」》 本書の四百三十一ページ、これじたい感動的ないちクライマックスといっていい場面だが、とどうじに、さきにのべた秘された驚くべきトリックの、これまた一端ともなっているのだ。かような、のちに意味の一変する細部の連携仕込みぶりにはまったく嘆息するしかない。 無言電話というラインにはあらゆる思いがやどりうる。悪戯、邪悪だけではない。困惑、懇願そして慰安、希望もあろう。だが小説のトリックが告げるそれは、万感を発しつつ、かつ圧倒する。匿名無数の万感(「二十万通り」といえるかもしれない)のさざ波をおこしつつ、狂気と一体の妄執を一気に浮上、突出させるのだ。さあ残りはまだ二百ページ、この怒涛の、地と図が反転してゆく瞠目の展開は、もう語るまい、読むしかない(かつて全盛の連城三紀彦を思いだした。横山は彼に比肩したトリックメイカーだとあらためて思う)。 このトリックは、横山秀夫の七年ぶりの新作上梓、いわば七年間の無言を秘した渾身の一作と対応している。作中の酷使された「黒ずんだ指先」は、パソコンキーを叩く横山のものでもあろう。 当初は都内某区図書館で借りようと思っていたが、所蔵四冊にたいし予約数は百五十をこえていた。いまはもっと増えているだろう。読みおえたこのわが一冊は、図書館へ寄贈するつもりだ。日ごろお世話になっているいわば浄財だ。多くの人の眼にこの一冊がふれ、多くの耳にこの「無言」の想いが届きますように、と他人事ながらそう思う。日本推理小説史に残る傑作と、蛇足ながら記しておこう。 最後に主要な脇役D県警捜査一課長松岡警視のしびれる執念の一言。だからこそ、かれはいちはやく無言電話の謎を解きえたのだ。 《「俺はな、初めて会う人間すべてに目で問いかけることにしている。お前はロクヨンのホシか?」》 | ||||
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| 文章の一つ一つが、芸術作品です 登場人物の、生身の感情がむき出しになって、ぐいぐい迫り、横山ワールドから逃げられないという感じ めったに読めない、すごい本を読んでいるというワクワク感が、仕事へ向かう車の中でも続き、この高揚感は「24シリーズ」を観ていたときの感じに似ているなあと興奮しています 直木賞では足りない!(横山秀夫さんも、いらないと宣言しているらしいですが…) 横山秀夫賞を設立するしか、この本に値するものはない 「64」という題名の響きが、恐ろしく、身震いするほどです | ||||
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