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64(ロクヨン)
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64(ロクヨン)の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全542件 541~542 28/28ページ
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「これを書かずに死ねるか」のひと言に釣られ手に取った。 ずっしりと分厚い単行本はこれまでになく重い。 最初は文庫本になるまで待つか、あるいは中古でもいいか、 という想いもよぎった。 だが、かつてのインタビューで毎日睡眠3時間半。正月以外ほとんど帰らず 執筆に明けくれ、危うく心臓発作で死にかけたという記事を読んでいた。 恐らく著者自身の生きざまなのだろう、いつも主人公は思うようにならない 組織のはざまで生きる姿をかもし出してくれる。 この世の中はそういうままならない世界。その中にひと筋の光を見い出していくのが 横山小説の醍醐味だ。 私は横山氏の短編小説「真相」あたりのファンであり、 描写部分を引き伸ばした感のある64は買おうかどうか少し迷ったのも正直なところ。 しかし2度目に手にしたときそのずっしりとした重みのある文章に、 健康に留意しながらも横山氏が並々ならぬ想いで書き上げたのではないか、 という気がした。そして2度目に手にしたとき、これは買わなければ、との想いが 出て購入に至った。 内容の細かいことはほかの人がレビューするだろうから割愛するとして 大事なことは、主人公の生きざまに対する描写。組織のジレンマにさいなまれながらも 自らの主義を貫いていくところにいつもながらの横山小説の醍醐味がある。 私自身組織のはざまで苦しんだ。だからこそ彼の言わんとするところはよくわかるし 救われた身だ。 横山氏のジリジリと訴えかけてくる文章は今回も秀逸だ。「半落ち」で彼の世界に触れ、 私自身も本を出せるきっかけとなった。 7年も待たされたし次はいつ出るかわからないのだからぜひ単行本の新刊で手にされたし。 | ||||
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ずっしりとしたボリューム。それもそのはず、ページ数は著者最長の647ページにも及ぶ。 長い。しかしそれだけ作者には書きたいことがあったということだ。 組織と個人。警察とマスコミ。家族の問題。過去の因縁。。 著者が今まで書いてきたテーマで直球勝負している。「俺にはこれしかない」という作者の魂(覚悟)がこもった一球だ。 七年ぶりの横山秀夫の文章は懐かしく心地よい。鈍るどころか鋭さを増し、読者に読むのを止めさせない。もう一章、もう一章と思っているうちに、読み終えてしまっていた。 長年待っただけあり、読み応え十分の大作になっている。 著者の警察小説の特徴として、派手に事件を解決する刑事よりは、どちらかと言うと地味な事務畑の人が主人公になることが多い。今作もその例にもれず広報官が主人公だ。 D県警の広報官・三上義信の家族に起こったある事件を通奏低音として、物語は緩むことなく次々と展開していく。全編に渡り緊張感が張り詰め、三上の息遣い、叫びが聞こえてくるかのよう。 三上は少ない手がかりを追って、徐々にD県警を揺るがしかねない秘密の核心に迫っていく。その過程で多すぎることを考え、悩み、葛藤し、怒り、脅し、涙する。まさに一人の人間が主人公なのだ。 組織での男の葛藤を見せられると、自分の父を思わずにはいられない。自分の父も(程度の差はあるが)会社という組織に属し、子供である自分を含め家族を養ってくれた。父の、決して家族の前では見せない苦悩を垣間見た気がした。 そして著者は、警察官である限りどんな人でも全員警察官としての誇りを持ち働く姿を描いている。 横山秀夫の本を読んで奮い立たされる本物の警察官もいるのではないだろうか。 | ||||
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