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バーニング・ワイヤー
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バーニング・ワイヤーの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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物語の展開は、この人ならではでしょう。ただ、気になる点もいくつかありました。 p26上段〈そしていま、まさにその事件に関わった人物を追跡していた。リチャード・ローガンというのがその男の本名らしいが、リンカーン・ライムの頭の中では、いまも当時のあだ名で通っている──”ウォッチ・メイカー“〉とある。前作でその名前は本名ではなく、偽名だとはっきり聞いているのに、本作では本名らしいと言い切っている。 前作『ソウル・コレクター』516p 下段 〈「リチャード・ローガンという名前は?」ライムは訊いた。 「本名ではありませんね。間違いなく。偽名です。別人になりすましていたんです。それはどうやら驚くほど簡単なことのようですわね」 「ええ、そう聞いています」ライムは苦々しげに言った〉 とあるのだ。 実際、ウォッチメイカーの本名は、ウォッチメイカー自身から「チャールズ・ヴェンスパシアン・ヘイル」と前前作『ウォッチメイカー』で明かされている。『ウォッチメイカー』p427上段〈ヘイルはシカゴで生まれた。父親は高校のラテン語教師〉ヴェンスパシアンというミドルネームについても、なぜその名前を付けられたのか、父親のエピソードまで回想している。『ウォッチメイカー』の後半部では、ヘイルの登場場面には「ヘイル」とはっきり使われている。わけわからん。本作『バーニング・ワイヤー』では、わざとライムに錯誤をさせておいて、なにかどんでん返しの布石なのかなと思ったが、最後までページをめくってもそうでもなさそうだ。 p426下段〈「きみの本名はリチャード・ローガンでいいんだな? それとも、偽名か?」「それが本名だ」〉p433上段〈本名はリチャード・ローガンだと当人が認めたとはいえ、この男とその名はどうしても結びつかなかった」とかあるたびに、作者はいったい、どんなどんでん返しを用意してんだよと、それなりに期待していたのは確かです。 気になりました。p105下段。〈メル・クーパーは、サックスが未詳がケーブルを仕掛けた周辺で採集してきた微細証拠を分析した〉とあるけど、ん?と気になりました。ここは〈メル・クーパーは、サックスが未詳の仕掛けたケーブルの周辺で採集してきた微細証拠〉とでもしたほうがわかりやすいのでは。 p262下段〈エーロゾル粒子〉はエアゾールの間違いでしょう。p245下段に〈エアゾール粒子〉とあるのだから。 p332上段〈一度も呼び止められることなく複数のドアを抜けて、まもなく四〇二号室を見つけていた〉の〈見つけていた〉は前後の流れから違和感があります。〈見つけた〉でいいのでは。 p422上段〈環境に優しいグリーンなエネルギー〉は、〈クリーン〉の間違いでしょう。数行前に〈クリーンエネルギー〉とあるし、同ページ下段の〈グリーン・カクテル〉に引っかけたシャレかとも読み取れないこともないですが、傍点でも振っていないと、おやっとなります。 432p上段。 〈『チャーリー・サマーズは無事だって』サックスが大きな声で言い、携帯電話をしまった。『いまロナルドから連絡があった』 ライムは眉をひそめた。『チャーリーが無事でなかったとは知らなかったな』〉 この会話。一読したとき違和感をおぼえました。自分だけかもしれませんが、この場合の〈無事〉とは、事故がなかったというという意味でしょう。それを〈無事でなかったとは知らなかった〉という言い回しは、なんか引っかかります。〈『チャーリー・サマーズは危険を脱したって』『ほう。チャーリーが危険だったとは知らなかった』という意味だろうとはわかりますが……〉 | ||||
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リンカーン・ライムは最後手術を受けた、 運動機能が少し回復した場面で本書は終わる。ただただ羨ましい。 本当は羨ましがる理由はないのだけれど、同じ病人の目線で考えているから、俺の器が小さいから、嫉妬などという意味のないことをしてしまうのだろう。 | ||||
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「リンカーン・ライム」シリーズの九作目。本シリーズは殆ど全て読んでいるが、結局の所、連続的瞬発力の「コフィン・ダンサー」(一番の本領発揮作)と全体構成力の「ウォッチメイカー」だけが傑作として記憶に残っている。本作には、昨今の環境・エネルギー問題と絡めて、誰にとっても身近な"電気"を使って爆発を起こさせる犯人が登場するが、どうも作者が最近のトピックスを作中に織り込む事に専心し(しかも、作者・訳者共に計算機・ネットワーク・電子工学に詳しくないし、誤訳も多い)、本シリーズの魅力の本質を見失っている感がある。読者が期待するのはライムと犯人との丁々発止の頭脳合戦である。"電気"の専門家から、犯人の次のターゲット候補をライムが教わっている様では頭脳合戦とは程遠いだろう。また、グリッド捜索(今回は送電網のgridと掛けている)、<ロカールの交換原理>、ホワイト・ボードに書き出す証拠物件一覧、犯人によって窮地に陥るアメリアといった定番の記述にはマンネリ感が漂う。全編から緊迫感が全く伝わって来ないのだ。 サブ(?)・ストーリーとして登場する「ウォッチメイカー」の扱いもアッケなさ過ぎて物足りない。むしろ、私が本作で一番印象に残ったのは、レギュラー陣の中では比較的地味なフレッド・デルレイである。デルレイは潜入捜査のプロで、足で稼ぐ昔気質の刑事。一方、デルレイの新任の上司は「cloud data」及びその分析を信奉するバリバリのデジタル派でデルレイを見下している。"電気"を題材としている事もあるが、そのデルレイ(妻の造形が素晴らしい)の描き方を見ると、本作のテーマが「『デジタルvsアナログ』」の対決」と見えてならなかった。「ウォッチメイカー」が水晶発振時計の製作に興味を持ち始めたという意外なエピソードがこれを象徴している様にも映った。科学的捜査を標榜するライムも、実は肝心な所では直観で勝負するアナログ派だし、作者がアナログ派である事は言うまでもない。本作がデジタル万能時代に対するささやかな"抵抗"の書と考えると、ミステリ的緩さも許せるという所であろうか。 | ||||
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今回の敵は電気。見えない電気に翻弄される恐怖はスリリングで前半はスピード感があります。 後半はいつものどんでん返しパターンが読めすぎたのと、動機が今ひとつ腑に落ちなかったので若干失速ぎみですが、 良くも悪くもいつものライムシリーズで楽しめます。 危険が迫りながらも本当の危機は訪れないだろうと思ってしまったり、 シリーズ当初には重みがあった登場人物が抱える問題も前向きに解決され続けていったり、 キャラクターが定着した海外ドラマの長期シリーズを見ているようなハッピーなマンネリ感があって、 そこが好き、という向きもあると思うけど、初期作のような刺激が欲しいという希望を込めての星3つです。 | ||||
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