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疾走
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疾走の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全273件 181~200 10/14ページ
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普通の家庭に育ったごく普通の少年が、兄の犯罪を契機に奈落の底へと落とされて行く物語。孤独と戦い、聖書に答えを求めながら生きる少年シュウジ、それぞれ過酷な運命を背負いながら強く生きる少女エリ、そして神父の姿。 神父が「運命と宿命の違い」について語り、「運命は双六盤です。」と説く場面がある。これが、この作品で作者がもっとも言いたかったことではないだろうか。それからのシュウジの停まるマス目は悲惨なものばかりだった。 上巻は舞台となる干拓地の描写がすばらしく、何気ない心理描写が心憎い。学校でのいじめも描かれ、文章表現が柔らかくて理解しやすいので、中学生が読むといいとも思った。しかし、下巻になってくるとストーリーが過激になり過ぎ、やはり中学生には早いかなと思った。下巻では展開が急激すぎて、描写を楽しむゆとりもなかった。 上巻で、自殺を決意した主人公が母のシュミーズを手にしながらマスターベーションするシーンは、本当に悲しくて泣けた。 読みながら胸がキリキリと痛くなる作品だった。 ストーリーが残酷すぎて救いが無いのが惜しい。 | ||||
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登場人物の表情が目に浮かび、あっという間に上下とも読み終えました。15歳の主人公のまわりにもいい人いたのにどんどんいろんなことが悪いほうへ悪いほうへばかり。シュウジもいい子なのに。アカネやエリも好き。神父様も。人生ってみんな終わってみればいいことと悪いことことと平等にあると思っているけど、(思いたいけど)シュウジは・・・。もっと大人しっかりしないとね。もっと重松作品をよみたくなりました。 | ||||
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一気に読めた。深夜に読み終えて胸を突く結末に声をあげて泣いた。何故?何故?と自問を繰り返す。子供の問題は大人への問題提起。大人だって子供の時代があった。少年の心の動きがよく書かれていて男の子の成長の過程が少し理解できた。性的な成長も少しわかったように思えた。自分を含めた世の多くの母親は、男の子の成長について本当に知らないんだなぁと実感した。物語の中で起きるさまざま事柄といろんな登場人物がさまざまに連鎖していく。皆んな、母親の胎内で育ち愛されて生まれてきたはずなのにと思うのは、甘いのだろうか?父親は、母親は、何故に少年を守ってやれなかったんだろう?少年を守ってやりたかった。 | ||||
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悲しさの中に美しさを感じる小説は沢山ありけど、これは例外。 ただむなしくて悲しい気持ちのまま、読者の心もおちこませてしまう。 特にこの下巻は、苦しくて辛い気持ちのまま、感動も残さずに 終わってしまう。読み終えて、ため息が出ました。 | ||||
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こんなに本の世界に入り込んだことは無い、というぐらい、夢中になって読みました。『誰か一緒に生きてください』私と同じ中学生の少年が疾走した15年の生涯。凄くリアルな表現もしてあって、読むのに抵抗がある部分もあったけど、共感できる部分もたくさんありました。ラストの部分は思わず泣いてしまうほど感動しました。物語が大きく動くまで、『普通の少年の話だなぁ〜』と思いながら読んでいましたが、主人公の兄の犯した行動から、周りの環境も変わっていき、自分の人生まで狂ってしまう。同世代の読者として、ここまで共感できた作品は過去にありません。是非、読んでください。読んでみる価値はあります。 | ||||
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重松氏はまた「思春期」というすごく尖ったものを読者につきつけるものだと感じいってしまう。この「疾走」では、人はずっと思春期で、ずっと不器用なんじゃないかと「おまえ」は言ってくれているようだ。思春期での家庭崩壊、バブルの狂った社会、なにもかもがこわれていく様を、「おまえ」を通じて見つづけなければいけないとページをめくっていくのである。 読者が自身を「ひとり」であると思えば思うほど、少し生意気で、強がりで、敏感な年頃な「おまえ」を自己だと投影してしまう。「『おまえ』はオレだ」と思ってしまう。それが破滅へ向かっていこうとも。だから読んでいくと哀しくてたまらないのだ。上巻はまだまだ疾走でも「助走」段階、その漆黒の闇へむかう「おまえ」の「全力疾走」は下巻で読むことができるのだが、この上巻がなければなりたたないことは必然。まるで語り部が語るような文章も下巻になって「あぁ」と溜息がもれてしまった。 あまりにも哀しい「ひとり」たちの様を読者という「ひとり」がどう「並走」することができるのか。僕は読後その走りを見ているだけに過ぎなかったような気がしています。また、上巻と下巻の分け目は絶妙です。 | ||||
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序盤はじっくりと進み(ダラダラという意味ではない)物語は深さを増してゆき,ある事件を境に主人公の周囲の環境は一転,物語りは疾走,収束に向かう. 息もつかせぬ展開で一気に本を読ませてしまう作者の力量はさすがだが,個人的にはどこか「永遠の仔」を思わせる終盤よりも,大きな動きは無いがジワリと心にのしかかってくる感じの序盤のほうが良かった. 物語を読み終え残ったのは虚無感.シュウジは一体どうすれば良かったのか?ほかに道は無かったのか?あれで救われたといえるのか?運命という大きな流れの前には,人の行いなどかくも儚きものなのか・・・ | ||||
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遅れ馳せながら重松清の小説初めて読んだけど、とにかく凄かった。久しぶりに心が揺さぶられました。 本の世界へぐーっと惹き込まれて、情景がそのままリアルに想像されます。まるで自分もその現場に居合わせているようでした。 特に性暴力の描写が生々しい。同じ痛み、苦しみを味わうように顔が歪んでしまいます。 「人は皆、心の繋がりを求めて生きてゆく」という大きなテーマと 「子供を不幸にする大人の身勝手な行動は許されない」という痛烈な批判を込めた力作だと思います。 | ||||
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凄まじい孤独、読んでいて痛みさえ感じました。 物語が進むにつれて、追い詰められ文字通り疾走しながら暗闇に落ちて行く少年。その彼が最後に、何に代えても守りたかったものは、彼の前を走る希望だったのではないでしょうか。 | ||||
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実は全部よみきれていません。3分の1だけです。息子の母である私は、少年の心が苦しくなる本を読むと、自分の心が苦しくなりすぎてつらくなるので、途中からよめませんでした・・ただ素晴らしい本だというのは分かります。勇気のある人には読んでほしいです。 | ||||
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とにかく一言一言が胸に響く。まず本を手にとって見えた言葉 「誰か一緒に生きてください」 「どうして人間は死ぬの」 その言葉に衝撃を受けた。 はじめはいつものように読み進めていったが、だんだんとすっかり引き込まれていった。 なによりも文中の一言一言が胸に堕ちる。 悲しい。痛い。苦しい。 今ではタイトルや表紙を見るだけで胸が苦しくなる。 本屋に行ってもできれば出会いたくない。でもまた開いてしまう。 少年犯罪について深く考えるようになった。 俺には何が出来るかを考えるようになった。 | ||||
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この表紙の絵が衝撃的。孤独と渇望。主人公の内面がそのまま表現されているかのようだ。本を手にする度に主人公の苦悩が伝わった。 いずれもちょっと古いが、ストーリー設定と展開の仕方はそれぞれ「永遠の仔」と「不夜城」に似ているような感じ。 話が進むにつれて現実性から離れてフィクション性が強くなっていった感がある。 | ||||
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ほんとに疾走感のある話でした。 題材としているものは重く終始暗く重い感じの漂う中、テンポのよさなどで疾走感があり常に早くつづきを読みたいと思わせる作品でした。 なんというか読み終えたあとも心の中になにか重いものが残る作品でした。 | ||||
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しかし巧いですね重松。 そこいらの小説家目指してる人の未来奪ってますよ。 自身が少年時代に現実に犯罪を犯してしまっていたなら、 重松のような人に弁護士になって欲しいなと、 的を外したような感想が沸いた。 弁護士じゃなくても、相談員?とか保護官?とかさ。 ニュースで流れる多くの犯罪は結果しか伝わらないが、 そこには渦巻く人間模様があるのだな。 白と黒では簡単に分けられないのだな。 でも、白と黒で分けなきゃ、人社会は成立しないし、 また、そうじゃなきゃ困るよね。 でも、なぁ。こんな終わり方、悲しいじゃないか。 ふたりがひとりになるんじゃないのかよ。 でも、流れた涙は、なんだかすっきりしているな。 そうか、ひとりになったのかもな、溶け合って。 | ||||
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この本はかなりやばいです。 最初から最後まで圧倒されっぱなしです。 読んでいる最中はいろいろ考えて考えて…。 読み終わった後はず~んときますが。主人公はシュウジなのですが、「シュウジ」と書かれているところと「おまえ」という呼びかけが文章の中にあるので、最初のうちは誰の視点の話なんだろう?って不思議に思います。 でもそれがだんだん慣れてくると、すっかり話の中に引き込まれているんです。 そんな手法も話の進め方も最高です。ホント凄いです。 最初から最後まで圧倒されます。 ぜひ読んでみてください。 | ||||
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一人の少年をとりまく環境の変化が、少年をずたずたにしていく。思春期という年代的な問題、個人的な気質、家庭、学校、地域、すべてが見事なまでにかみ合っていて、誰も止められない破滅のスパイラルに陥っていく。あまりに合理的で、すさまじく残酷なストーリー。 | ||||
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上巻は主人公と環境の絡みが合理的な筆致で書かれていたが、この下巻は壊れていく主人公の情動がほとばしる、文字通り「疾走」したストーリー展開になっている。 孤独や死に向かう内向きのベクトルと他人を求める外向きのベクトルの綱引きを裏社会を交えて語る点が、馳星周の「不夜城」を思い起こさせる。ただ「不夜城」は自分の人生に責任を取れる大人の物語なのに対し、「疾走」は自分で自分を支えきる準備が終わっていない少年の物語である。その分、「疾走」の方が痛ましく、せつない。 結末を読み終え、主人公が苦難から解放されたことに安堵した。でもそうだからといって、その結末は主人公にとって良かったとは、思えない。主人公のベクトルは外に向きかけていた。そして、その彼を「ひとり」にしないで待ってくれている人々が居た。だから、本書の結末は余計に辛い。 合理性と情動、両方踏まえて少年の悲劇を描きつくした筆力に、ただただ脱帽です。 | ||||
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この話には聖書がよく出てくる。 聖書は基本的に言い回しが難しい。この話は決して宗教じみたところはないが、シュウジが聖書を読むところがたくさん出てくる。 そしてシュウジを”おまえ”とよぶ人物は最後にはわかるのだが、 私は作者はその人物と神を重ねていたのではないか、と思う。 かたりべはシュウジの行いを咎めることも励ますこともせず、ただただ、見守り続ける。 それは”主はいつもあなたのそばにいます”とおしえる聖書そのものであり、 いつもひとりだったシュウジを見守っていた人、または神がいたということで私はちょっと救われた気分になる。 | ||||
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この話には聖書がよく出てくる。 聖書は基本的に言い回しが難しい。 この話は決して宗教じみたところはないが、シュウジが聖書を読むところがたくさん出てくる。 そしてシュウジを”おまえ”とよぶ人物は最後にはわかるのだが、 私は作者はその人物と神を重ねていたのではないか、と思う。 かたりべはシュウジの行いを咎めることも励ますこともせず、ただただ、見守り続ける。 それは”主はいつもあなたのそばにいます”とおしえる聖書そのものであり、 いつもひとりだったシュウジを見守っていた人、または神がいたということで私はちょっと救われた気分になる。 | ||||
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この作品をミステリだという意見は聞いたことがない。何しろ、重松はミステリなど一度も書いたことないし、この作品は事件は起きるが、それは重松の「例外」だと捉えられているからである。しかし、この作品には「謎」がある。どきどきするような一級品の「謎」が。重松清はずーと「家族」をテーマに描いてきた。この作品は今まで小説と全然違うという印象を持つ人もいるが、私はいかにも重松らしい作品だと思う。今まで重松の小説に出てくる父親は過剰と思えるほど家族を守ってきた。しかしそれは本当に過剰だったのだろうか。もしも、一人の少年を、人を思いやる心も、年相応の知恵も、少しばかりの勇気も併せ持っている一人の15歳の少年を守るべき家族が崩壊したなら、少年はどうなってしまうのだろう。これはいままでの物語の裏返しの物語である。更に言えば、人はひとりで生きていけるのだろうか。 人はなぜ生きているのだろう。 なぜ人を殺してはいけないのだろう。 そういう重たいテーマを引きずりながら、 この作品はずーと主人公の少年シュウジのことを 「おまえは……」という過去形の語りがけで綴られていく。 この語り手は一体誰なのか。 この部分が一級のミステリなのである。 私は三通りの結末を考えていた。 最悪と、まあまあと、最良の結末である。 どれを選ぶかということは、物語から何を汲み取るか、 ということと密接に関係している。 結果は皆さんが味わってほしいと思う。 | ||||
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