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疾走
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疾走の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全273件 241~260 13/14ページ
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重松清の「疾走」には参った。 愛すべき家族、血族が教えてくれたのは、絶望だった。バブル期の狂乱と、土着的な差別、そして少年期独特のいじめ。その奔流のなかで少年は、少女は、走った!生きた!その生の果てにたどり着いたのは…。 全編を貫いているのは、「深い憎しみ」と「それでも憎むことを拒みつづける愛情」。 勢いで書いた部分もあると思うが、間違いなく、重松清の新しい傑作。改めて、命について、考えさせられる作品。 | ||||
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筋書きは単純、エピソードも安易。だけど、それがどーした。主人公は、一人の少年。なんてことはない日常を生きていた彼が、次第に奈落のそこに引きずり込まれていく。それに立ち向かうには、彼はあまりに無力だ。彼は、自分と世界を憎み、本当の地獄を見る。繰り返して言うけれど、物語は本当に安易。けれど、無力さゆえの絶望をここまで描き出した日本人がいただろうか。ページにナイフを突き刺せば、本物の知が流れ出してきそうなほど生々しいこの小説は、きっとあなたの心を揺り動かすだろう。 | ||||
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家族をテーマにした作品を多く書いていた著者だが、悲惨ないじめや家庭崩壊などを描いても最後は再生への希望や救いを感じさせられた作品が多かったように思う。だが、本作で描かれる家族はいとも簡単に崩壊し、バラバラになっていく。ラスト近く主人公はあの頃に戻りたいと思うが、どうする術もない・・・。4つ年上の兄が事件を起こしたとき、シュウジは13歳でしかなかった。秀才と言われ両親の自慢だった兄は、高校で挫折し壊れた。事件をきっかけに、家族はバラバラになっていく。最初は父、次に母、そしてシュウジが残される。父は仕事を失い、生徒たちはシュウジを仲間はずれにし、いじめる。教師たちは顔をそむける・・・。シュウジは心を閉じる。死刑囚の弟を持つ牧師、小さい頃、両親の心中に残された少女エリ、ヤクザの情婦アカネ、わずかながらにシュウジを見守る人たちはいる・・。だが現実は過酷だ。シュウジは誰にも寄り添わない・・・。情感をそぎ落した、乾いた文章はシュウジのおかれた状況を淡々と描く。「おまえは・・」と語られる独特の文章と、随所に引用されるシュウジが読む聖書の文章が独特の雰囲気を出している。 最後まで読むものをはなさない語り口は著者の作品群に共通なもの。暗く重い塊が読後もずっと余韻をひく・・。覚悟して読まれたい。 | ||||
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492頁上下段の長編 弟に罪を背負わせた牧師が見た1人の少年の人生 街が変わる時、家族が崩壊していったシュウジが主人公 バラバラになってしまう中で、聖書の言葉が所々出てくる 生まれてきた人生で、幸福を得る事が出来なかった15才の疾走 主人公の住む街はかなり古い時代に感じる 救えなかった牧師の苦悩=重松清の苦悩と感じるほど、著者が己を癒す為に書いたとしか思えない作品 | ||||
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とにかく胸が痛くなった。とてつもなく重い!!成績優秀の兄の精神が崩壊していったことから、家族の崩壊が始まり、、、。そんな中、独りで強く生きる少女エリに魅かれ、憧れ、 孤独でなく、孤立でなく、独りでいることに誇りを持ちたいと願う主人公の少年。兄は精神崩壊、父は疾走、母はパチンコで借金まみれ・・・物語は、本当に救いようがなく、読み終わったとき、ストーリーが終わったとき、ハッピーエンドではないけど、なぜかホッとした。結局、人は独りでは生きていけないんだと思う。人を信じ、愛さなければ生きていかれない。とにかく「疾走」していった主人公の人生に、私も一緒に走りきった、っていう感じだ。 | ||||
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人間ってやっぱり限りなく生き物なのだなと思った、もともと限りなく孤独なんだなって思った。だから、シュウジに、そんなにつっぱしらなくとも、大丈夫なんだよ、どんな状況になっても生きていること自体が大事なんだよ、と言ってあげたくなった。でも、そう感じている今の自分というものは、もしかすると傲慢なのかもしれない。「疾走」の少なくともある一面は、自分が自分であることを認められているかどうかという物語だ。自分が一番関心があるのは、実は自分自身についてだし、人間の究極の欲望は、自分をいかに人に認めてもらえるか、認めさせるか、という一点につきる。その欲望にさいなまれながら、生きているうちに、語っているうちに、たまたま自分の自我に近しい言説を見つけると、それを借用して、あるいは誤認して、それでコミュニケーションがとれたと傲慢に思っているのが、人間なのだろう。誤認を認めない、純粋であるがゆえの絶対孤独というのは、無間地獄なのかもしれない。 | ||||
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一気に読みました。かなり重いお話なので、ものすごい疲れました。 リアルで生々しく暗いものでしたが、最後に私は泣きました。 主人公は最後に救われた気がしたから・・・。 人とつながれたことを嬉しく思って。 爽快感とは違うけど、すっきりした気持ちが残りました。 疲れたけど、読んでよっかった! でも、聖書の部分は難しかった。。。 | ||||
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1日で全部よんでしまいました・・。 僕も15歳なので、シュウジと年が近いのですが(今年高校生になたばっかりなので、もしかして死んだ時点では同じなのかな?) その分、彼の心情にそのままひきずりこまれていくようでした。 兄シュウイチが壊れていく様子や、父親は母親の弱さ、醜さ。 エリの過去や今、アケミの強さや弱さ、全部の醜いメンが見えてしまうような重い話だけれど、どうしても引きずり込まれてしまう、すごいハナシだと思います。 | ||||
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同世代、同窓(大学・学部が同じで、年が一緒だが、学生時代には全く面識なし。)のこの作者の作品は感覚がとてもよく分かるものが多いが、これは全く別物といって良い。重い、暗い、悲惨、でも読み始めたら止まらない。いつもの作風と違い、とてもグロテスクな描写もあるが、力作であり読んで損はしないと思います。 | ||||
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人がその人生を踏み外すきっかけなんてささいなこと。そして一旦踏み外すととことん落ちる。すごい速さで。あるいは死まで。日常の日向と日陰の境界は紙一重。いつ誰が落ちてもふしぎではなく、そして今そこここで実在するあやうい、視界の端に横切るけれど目をそらしてきた日陰の容赦ない残酷さを、首ねっこをつかまれたまま抗うことも出来ずに凝視させられる。でも底を流れるこの不思議に静かな流れはなんだろう。人間の根本?生の?主人公シュウジは全編を通して全力で走る。風を切る。助手席で、自転車で、自分の足で。それは逃げる為に?ここではないどこかへ向かう為に?瞬きもせず、見た。彼の胸の奥を。一瞬も目をそらすことが出来ずに。 | ||||
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僕がこの本を買った理由は重松さんの本だったからです。大変ページ数が多いので読みきれるかなと、不安になったのですが多さをカンジさせないストーリーにぐいぐい引き込まれ、結局最後まで読みきってしまいました。兄の放火で主人公の、学校生活での立場一変し、いじめにあったり、人殺しをするハメになったり、好きだった兄が高校でのいじめをキッカケに醜く変わってゆくなどとても悲しい物語なのですが、ぐいぐい読まされました。主人公と同じ年代だったという理由もあったと思いますが、それよりも重松さんの文章力だったと思います。読んでいる途中は、主人公に完全に感情移入しとても暗い気分になりました。重松さんの作品はこのような主人公に感情移入できて暗い気持ちになるようなものが多いと思います。しかし悲しく暗い分、教訓・戒めをまなぶことができます。 | ||||
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圧倒的な筆力で一人の少年の生を描いた一冊。その人生は破壊的で絶望的。 それでも、ほとんど突っ走るように読めてしまうのは筆者の実力と、少年が心の底で求めている光を僕が持っているからだろう。その光に彼も辿り着けると信じさせるほど、彼はある意味で純粋なのだから。 それだけに読み終えるとため息が知らず知らず零れてしまう。途絶えた命と新たに始まる命に…。 | ||||
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誰が最初に言ったんだか知らないけれど「人は産まれるときと、死ぬときは結局一人。」みたいなこと。それって、それ以外のときは一人じゃいられないってこと?この本はそんな気がします。 | ||||
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孤高と孤独と孤立は違う。 シュウイチもエリもひとりで生きて故郷にいた時は輝いていたのに ひとりでいられないひとりが二人になるのはただ弱いから? と思えるような展開にがっかりしました。 最後まで一息で読ませる力は流石だと思いますが、自分の中に変なしこりが 残る本で 何か納得できず再度自分にあてはめて考えてしまう。そういう意味ではすごい話だとは思う。 ただ 僕も卑怯だったりずるかったりの部分もある方が人間らしいと 思うし ずっとお前といわれつづけている感じにすこし違和感を覚えました。 | ||||
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この本には聖書からの”言葉”が数多く引用されている。古のイエスキリストは人間の罪を一身に背負い、それを償うため死を迎え入れた。キリストの”言葉”は彼を囲む弟子たちによって記録され、長い年月をかけて広められていく。彼の”言葉”は世界中の罪に苦しむ人たちの支えとなり、救いとなった。我々と同じ時代に住むこの本の物語の主人公はキリストのような聖人では、もちろん、ない。にもかかわらず、家庭崩壊、いじめ、暴力、セックス、人殺しなど望みもしない罪を次々とかぶせられ身を落とし、悲惨な結末を迎える。彼は孤独の中で聖書の”言葉”を読みつづけ、最後まで内なる”言葉”をもって”にんげん”とつながっていようと苦闘する。その”言葉”と生き様は最後まで彼を見守る人たちによって書きとめられ次の世代に伝えられていく。。。主人公の破局は現代社会に住む我々にとって贖罪の意味をなし得たのだろうか?それは私にはよくわからない。ただこの物語からは、「生きていくためには”にんげん”とつながっていなければならない、そしてそのためにはどんなときでも”言葉”を失ってはいけない」、という作者の強いメッセージが伝わってくる。主人公の”言葉”を受け継いで生きてゆこうとする人たちを描いたラストが限りなく心地よい。 | ||||
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重松清は大好きな作家の一人ですが、今回の作品はここまでの作風とはうってかわって大変重いものでした。それだけに新境地かと期待して読んだのですが、結果は期待はずれでした。今回はなんだか馳星周の作品を読んでいるような感覚なのですが、慣れていないためか、暴力やセックスの描写も生々しいだけでうまくはなく、読んでいて不快な気分になるだけでした。なおかつこの本から何が言いたかったのかも理解できず、ただただシュウジとエリの不幸体験を延々見せられただけという感想です。 | ||||
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鬼ケン、シュウイチ、徹夫などの絡みをずっと読んでいたかった。殺人を犯しながら美化されていく展開には反吐が出ます。「浜」にいた頃の強くあろうと、「ひとり」でいようと葛藤していたシュウジが良かったのに、大阪、東京でタダの負け犬になってしまいました。人は結局「ひとり」ではいられない弱い生き物ということでしょうか。神父やエリやシュウジよりも、鬼ケンやシュウイチ、徹夫の方がずっと人間的で、共感できます。前者の三人は作者が作り上げた都合のいいキャラでしかありませんでした。後者の三人に星三つ。 | ||||
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まず感想。とにかく痛い。心がきりきり痛くなる。地域差別といじめが物語の重要な要素になっているが、とても痛いと感じた。地方の差別の皮膚感覚というか、実感のこもった差別がよく書かれていると感じた。舞台は恐らく鹿児島あたりかと推測されるが、差別の構造はどこも似ていて、差別する側とされる側がその地位になんとなく甘んじている感じがした。主人公の少年は自らの意思と関係なく不幸の道を歩まされ、誰かに助けを求めればもう加速度的に不幸になってしまう。結末はうーんんん・・・・そうか・・あああ虚無感・・救いはないのかよーはああ・・。て感じでした。物語の中の神父さんの存在が、本当に救いになります。ホントに神父さんがいなかったら読めませんわ、救いようが無くて。ちなみに感銘も神父さんが届けてくれます。後、読後感は、九州で時折起こる死ぬほど残忍な事件をニュースで見たときのような、怖さですな。たぶんこの本を読んで感じた閉鎖性が日本の正体で、それですべて昨今の年少者の起こす猟奇的な事件から何から、説明できてしまうような曖昧な確信をもってしまう曖昧な日本人の曖昧な・・・・・・ | ||||
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一気に読んだあと体がずっしりと重くなって疲れた。おそらくにんげんの生が剥き出しになってリアルだからだと思う。生きるということがきれにオブラートに包まれて、メディアから、教育から流され続ける僕達の社会。嘘臭くて、反吐がでる人間関係。摩擦係数が少なすぎて、表面がつるつるな偽りの現実を生きている。嘘をついていない物語は疲れるのだろう、そして生きるということも。読んだら自分の中で何かが変わりそう。 | ||||
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重松清は初めて読んだ。暗くて重い、気がめいるようなストーリーは好きではない。なのに目が離せず、タイトルのように読みぬけてしまった。ラスト2~3ページにさしかかるとそれまで全く無かった感情が突き上げてきて泣いてしまった。本当に人間とは愚かで悲しい存在で、だからこそ心を動かされるのか。 | ||||
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