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疾走
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疾走の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全273件 221~240 12/14ページ
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主人公が自らにカッターナイフを立てる、読んでいて息が詰まりそうになったシーン。そのシーンの結末が何故か心に染み込んで残っている。筆者の訴えたかった事の一つなんじゃないかって思った。そして疾走シーンもいくつかあるけれど、「ひとつのふたり」になって疾走したシーン。ここがラストでも良かった。映画みたいだけど、素直に素敵だって思えるシーンだった。でもここがラストじゃなくて、しっかり最後まで結ばれる物語であった。語り手は、現実でもなかなか出会えない、ごまかさない大人。全体を通して、「ひとり」を救える「ひとり」になりたいって思った。 | ||||
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「定年ゴジラ」「流星ワゴン」と読んできて これはちょっとというかかなり重いなというかんじです。 昔みた70年代初めのATG映画のような雰囲気がしました。 | ||||
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凄惨な事件が起こった時、メディアは執拗にその動機を追います。ただ嫌いだったからとか利害が一致しなかったからという分かりやすい理由だけでは彼らは納得しません。その犯人の生い立ちから普段の生活態度、家庭環境、果ては社会全体が抱えている問題にまで範囲を広げ、病的なまでに執拗に「動機」を追い求めます。けれど現実には全ての動機の解明なんて、犯人自身にすら不可能でしょう。 でも、小説ではそれが可能になります。作家という神の視点を持つ者の存在によって。 この「疾走」という作品の上巻は、動機の解明でした。シュウジという少年の生い立ちから普段の生活態度、家庭環境から彼を取り巻く社会状況とその変化に至るまで、恐ろしいほどに全ての動機が、克明に記されていました。 そしてこの下巻では、その結果が明らかになります。結果を犯行と言い換えてもいいのですが、私はあえて結果と言いたい。ただの犯行ではなく、シュウジがどう生きたかという結果だと。 この作品は重松清という作家が抱える「闇」の部分がむき出しになった作品です。闇をあるいは空虚と言い換えてもいいかもしれません。しかし私はこの作品こそ、重松清という作家の原点回帰であり、最高傑作だと思います。ジャーナリストであった彼が何故作家になったのか、作家として彼は何が書けるのか、その答えがここにあります。 | ||||
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久しぶりに後に残る本だったと思う。今までひたすらたくさんの本を読み漁ってきたけど、こんなにへこまされて揺さぶられるのは現代小説では類をみない。こんなに汚い人間として生まれ落ちて、苦しいのをやり過ごして我慢して、些細な幸せに生きる意味を無駄に見出そうとして勝手に傷ついたりして、もうなんだかやっていられない。それでも死ぬとも生きるとも殺すとも殺されるとも、決意できない自分に嫌悪させられた。こんな風に疾走できたなら、風景をとり残していくように「ひとり」があんまり恐くならないのになってちょっと思った。 | ||||
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ページをめくる手が止まってくれないほど面白い話でした。ただし、この世の苦という苦が凝縮されたような話なので、重松清らしからぬ面白さではあります。おっさんになってからまた読んだらもっと面白いのかもしれないけど、主人公と同年代という意味での、今しか味わえない面白さもあったような気がします。後味の悪いハッピーエンドなのか、後味の良いバッドエンドなのか、読み終わったあとには重いものが圧し掛かったような気分になるんですが、何となく爽快な気持ちにもなれます。 | ||||
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ページをめくる手が止まってくれないほど面白い話でした。ただし、この世の苦という苦が凝縮されたような話なので、重松清らしからぬ面白さではあります。おっさんになってからまた読んだらもっと面白いのかもしれないけど、主人公と同年代という意味での、今しか味わえない面白さもあったような気がします。後味の悪いハッピーエンドなのか、後味の良いバッドエンドなのか、読み終わったあとには重いものが圧し掛かったような気分になるんですが、何となく爽快な気持ちにもなれます。 | ||||
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ページをめくる手が止まってくれないほど面白い話でした。ただし、この世の苦という苦が凝縮されたような話なので、重松清らしからぬ面白さではあります。おっさんになってからまた読んだらもっと面白いのかもしれないけど、主人公と同年代という意味での、今しか味わえない面白さもあったような気がします。後味の悪いハッピーエンドなのか、後味の良いバッドエンドなのか、読み終わったあとには重いものが圧し掛かったような気分になるんですが、何となく爽快な気持ちにもなれます。 | ||||
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現代社会の問題提起をさせたら流石と唸ってしまう重松清作品であり、本当に妥協が無くとことん詰めた1100頁、どこにも無駄はないなと感じさせてくれました。 文章の人称的にもかなり実験的な書き方をされている為に、対象となる人物像が本に閉じ込められておらず、ひょっとしたら今日もまたこんな事が日本で起きてるんじゃなかろうか、自分にもありえなくないんではと、読中にドキドキを感じる作品でした。 久しぶりに読んだだけじゃ済まなさそうな本にであえました。 きっと読んだらみんな悩むはず。 | ||||
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久し振りに読み応えのある本を読みました。人間は、一歩間違えば誰でもこの主人公になれます。いつもギリギリの塀の上を歩いているのだと思います。でも、中学生のような若い人がこんな目にあうことはないと思います。ディープな小説でした。読み始めたら、止まりませんでした。面白い本でした。 | ||||
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久し振りに読み応えのある本を読みました。人間は、一歩間違えば誰でもこの主人公になれます。いつもギリギリの塀の上を歩いているのだと思います。でも、中学生のような若い人がこんな目にあうことはないと思います。ディープな小説でした。読み始めたら、止まりませんでした。面白い本でした。 | ||||
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これまで重松清の小説を何冊か読んできましたが、一番重たい作品かも知れません。救いのない悲惨な状況に追い込まれていく15歳の少年が主人公です。題名にある通り、歯車の回転の狂い、積み木の崩れ方が疾走感を持って迫ってきます。ヒロインの女の子の背後にも切なくてやりきれなくて声も出ないような漆黒の闇があります。天童荒太が描く「永遠の仔」(幻冬舎文庫)、「家族狩り」(新潮文庫)に合い通じるような、この世界の不条理がたくさん出てきます。結末をどう思うかは各々違ってくるでしょうが、本当にささやかな「救済」の予感めいたものが暗示されているけれど、それでも・・・コトバにならないいろいろな思いが心の中を駆け巡りました。 | ||||
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正直、この作品に対して星いくつつけられるのか、よくわからない。自分の中で、この本をどう解釈していいのか、その落としどころが、どうにも見つからないのだ。前半の同級生や家族とのやりとりは普通に読んでいたのだが、後半に行くに従って、だんだん行き場を失って追いつめられていくのは、物語の主人公ではなくて、物語それ自身のような気がして、読んでいて少々苦しくて、動揺してしまった。 とはいえ、ここで言いたいのは批判ではなくて、「やられた!」という悔しさなのかもしれない。重松さんの作品をお好きな方はおそらく、身近な情景を丁寧に描いてくれることで得られる「共感」と、弱い人を見逃したり見過ごしたりしない「安心感」を求めて作品を読みふけるのではないかと思うが、かくいう私もそのひとりだ。でもこの作品は、そんな期待を「裏切る」を通り超して、「甘ぇーんだよ、お前は」とお叱りを受けてしまったような気分にさせる。いつまでもいい顔ばかり見せ続けるわけじゃないんだよ、オレは、と。だから「いつもと違うじゃん!」という裏切られ感ではなくて、こちらの思惑を見透かされ、一手先を打たれた悔しさに近い気がする。 ……そもそも、私は本を読んだり映画を観ても、レビューは書かないし、ましてやそれを人に見せようとは思わない方だ(シャイなので)。その私が読み終わって30分も経ってない今、パソコンに向かって一心不乱に文章を書いて、誰かにこの気持ちをぶつけたくて、「で、あなたはこの本、どうでした?」と聞いてみたくてしかたがなくなったんだから、この作品には、私にはその落としどころは見えないけれど、とてつもない何かが確かにあるんだと思う。 もうやっぱ、全然叶わないわ、この人の作品には。だから大好きなんだけど。 | ||||
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シュウジの兄は中学入学~卒業まで学年二位以下を落としたことがない優秀な兄だ。しかし、だんだん成績は落ち、カンニングの疑いで停学に…兄は壊れ家庭は崩壊… シュウジが小学生の時に見た鬼ケンとアカネの間の不思議な行動。不思議な感覚…、鬼ケンの死…、アカネとの再会…、壊れていくふるさと… ひとりになったシュウジはたくさんの悲しみを背負い自らも壊れながら下巻に続く… | ||||
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著者は家族をテーマにした作品を多く書いている。悲惨ないじめや家庭崩壊を描いても、最後は再生への希望や救いを感じさせられる作品が多い印象があった。 だが本作で描かれる家族はいとも簡単に崩壊する。作品のラスト近く、あの頃に戻りたいと主人公が思ったときには修復不可能・・・、どうする術もない。 4つ年上の兄が事件を起こしたとき、シュウジは13歳だった。秀才と言われ両親の自慢だった兄は、高校で挫折し壊れた。兄の事件をきっかけに、家族はバラバラになっていく。 父は仕事を失い、生徒たちはシュウジを仲間はずれにし、いじめる。教師たちは顔をそむける・・・。シュウジは心を閉じる。最初は父が消え、次に母、そしてシュウジが残される。死刑囚の弟を持つ牧師、幼少時、両親が心中した少女エリ、ヤクザの情婦アカネ、わずかながらにシュウジを見守る人たちはいる・・。だが現実は過酷だ。シュウジは誰にも寄り添わない・・・。 情感をそぎ落した、乾いた文章はシュウジのおかれた状況を淡々と描く。「おまえは・・」と語られる独特の文章と、随所に引用されるシュウジが読む聖書の文章が独特の雰囲気を出している。 最後まで読むものをはなさない語り口は著者の作品群に共通なもの。暗く重い塊が読後もずっと余韻をひく・・。覚悟して読まれたい。 (蛇足だが、シュウジの家庭環境の一部設定は、実際に起きた通り魔殺人事件の犯人の境遇から取っている模様。) | ||||
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「どうして人は死ぬの?・・・」シュウジは人生の物語のラストにむっかって走る・・・狂った兄から逃げずにただ一人耐える、赤犬の弟として受けるいじめ、エリ、アカネ、神父さん、鬼ケン、宮原雄二との出会い。 壊れた彼は感情を失うこともあった。「一緒に生きて下さい・・・」彼は寂しかったのかもしれない、帰りたい、帰りたい、昔のふるさとに・・・ 助けて下さい、助けて下さい、壊れた僕を・・・ 許して下さい、許して下さい、罪を犯した僕を・・・ シュウジは叫び疾走する。エリのポニーテールを追いかけて・・・兄が壊れ、家庭が壊れ・・・「ひとり」になったシュウジ。 家族の無理心中で生き残り・・・「ひとり」になったエリ。 「ひとり」と「ひとり」は壊れたふるさとに帰る・・・。 「ひとり」と「ひとり」は逃げる・・・。 「ひとり」と「ひとり」は「ひとつ」になって、物語の終わりに向かって風のように疾走する・・・。 この本は、「強さ」「弱さ」を考えさせられる。罪を犯した「シュウジ」の、そして、それを見守る「神父」の目線になり物事をとらえる。ふるさとの崩壊、家庭崩壊、いじめ、セックス、殺人・・・死。シュウジは凄まじい物語を「ひとり」になり、「ひとり」で終わったのだった。 | ||||
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私には重すぎてきつかったです | ||||
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ヒトって弱くもろい生き物。そして誰かと寄り添ってなければ不安でしょうがないというグラグラした状態のなかで生きていく少年の姿に重くそして、空虚感を感じた。すぐに読み切ってしまい、読み終わった時にはヒトの切なさをすごく感じた。今秋には映画が公開されるとのことでとても楽しみ!! | ||||
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読んだことを少し後悔しました。 重い。半年かかりました。読み続けられないです。 でもそれは主人公の思うところを深く掘り下げてあるからなんでしょう。 読む価値は十ニ分にあります。 しかし読破するには私には少し勇気が要りました。 とても奥の深い、現実味の薄いリアルで描かれたお話でした。 | ||||
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田舎町に住む、少年の物語。と内容も特に凄いことになるわけでもなく、淡々と移り変わる世の中と少年が描きこまれています。文章自体は重松さんの筆力で安定レベルの読みやすさ面白さなので、わりとさくさく読めます。 ただ私が非常に面白く感じたのが「おまえ」 文章の要所要所ではいるこの「おまえは」と言う言葉に一瞬、???になるのです。いったい誰の語りべなのか、なんとも奇妙なむずがゆい感覚が脳裏に走ります。なんか自分のことを語られているような妙な感覚で主人公に感情移入してしまい、凄く物語りに没頭できました私は。好みの分かれるところでしょうが、なんか不可思議な文体を味わえます。重松作品としてはきわめて異例なつくりです。一度読んで判断してもらいたいところですね、この感触は。 | ||||
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重松作品の主人公達は、いつも何かに追いめられている。 けれど、本作の主人公・シュウジほどではなかった。多分岡山県であろう海沿いの町に生まれ育ったシュウジ。両親と、優秀な兄が一人の4人家族。町には「浜」と「沖」と呼ばれる地域があり、「浜」の住人による「沖」の住人への差別意識が根強い。バブル期に入り、「沖」にリゾート施設を建設する話が持ち上がり、「沖」の住人達は、大金を手にして次々と去っていく。しかし、結局は、バブルの崩壊とともに、計画は頓挫。町は崩壊したまま残される。町の崩壊と比例するように、シュウジの家庭も崩壊していく。兄シュウイチがカンニングの発覚がきっかけで、不登校から家庭内暴力と堕ちていき、最後には連続放火をしでかしてしまう。 父は職を失い、貯金をもって、失踪。母は、働きにでた先で顧客の裏切りにあい、ギャンブルに溺れ、やがては失踪。シュウジは、学校でいじめにあいながら、どんどん「からから からっぽ」の「穴ぼこ」のような目になっていく。両親のいなくなった家を出てからも、シュウジの身に降りかかるのは、悲惨なことばかり。けれども、「ひとり」のシュウジが、「ふたり」でなくてもいい、「ひとり」と「ひとり」でもいいから繋がりたいと思う相手が、東京にいた。中学の同級生だった、エリ。彼女はいつも孤高の「ひとり」だった。彼女に会いに家をでなければ、シュウジの物語は、もう少しましだったかもしれない。 でも、エリに会えて、エリを人と繋がる世界に残せて、シュウジは満足だったろうと思う。この作品を、傑作と言う人もいる。でも、私は、ここから何を読み取ったらいいのか、わからなかった。そして、今もわからない。最後の1ページほどに、救いがあるんだけど、それが救いなのかすら、私には断定できない。重松が何を伝えたかったのか、私にわかる日がくるのだろうか・・・。 | ||||
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