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(短編集)
アンボス・ムンドス
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アンボス・ムンドスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.98pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全44件 1~20 1/3ページ
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桐野夏生さんが描く女性たち、私大好きなんです。全作品を読破したわけではありませんが、桐野さんの本を勧めるなら今作がいいかな〜と思いました。桐野さんの世界観を気軽に楽しめる、お得な一冊です。 短編集で全7編。どれも生々しく毒々しく。短編なんだけどお腹いっぱいになるし、でも話がもっと続いてほしいという気持ちにもなる。そんな中で、とくに魅力的だった話、「えっ、意外!」と感じた話を挙げました。 *とくに魅力的だった『アンボス・ムンドス』 小学校の新任教師の女性が体験した(巻き込まれた)事件。そのはじまりから真相まで、女性が語っていくというかたちで展開されます。 事件のカギは、彼女が受けもつ教室の女子生徒たち。小学生女子たちのせまくるしいジメっとしたグループ。その中の階級や勢力図。「うへぇ残酷だぁ…」と引いちゃうくらいの子どもたちの好奇心。もちろん創作だろうけど、いやに現実的でありえそうな話。自分が小学生のころにも、学級の一大勢力みたいな女子グループがあったなぁと思い出しました。 *読んでいてちょっと動揺した『毒童』 貧乏寺で日々うっぷんを溜め込み生活する女性に、ある父子が現れて…。こちらは少しオカルトチックというか非現実的なストーリー。 私は桐野さんの本を何冊か読んでいるのですが、「えっ!こんな話も書かれるんだ」と意外でした。個人的に新しい発見ができてうれしかった作品です。「これもきっと毒気があって生々しいやつだろう(タイトルに毒ってついてるし)」と予想して読みはじめたら、まさかのへんてこりん展開でやけに印象に残ったのでした。 話の終盤に抱いた、な〜んか覚えのある、嫌な予感。熱湯風呂を前にして「押すなよ!?絶対に押すなよ!」ってさわぐ、あのお決まりの感じ。で、「あっ!やっぱり!そうなった!」と笑って読み終えました。 あと、『植林』は巻末の解説を読んでようやく「そういうことか!おもしろい!」となりました。バカな私は一度読んでも理解できず…。ぜひ最後まで読むことをおすすめします(笑) | ||||
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この人は、なぜ書くのか。餅が 喉を とうらない不快感がある。いつもの棚には、いつもの 。 埃の被った商品がある。 包装紙の中には何の内容がない。文学がパート職業になっているのなら、お孫さんだけにして下さい。 | ||||
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えげつない。わたしには駄目でした。 女の本性を描くために、ここまで書かないといけないの?と思ってしまいました。 | ||||
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不倫に関する短編小説が2話ほど入っていて激しい心の内が描かれています。ドキドキ読み進め、結末が「あっ・・・」となる短編集でした。 | ||||
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7編収められた作品は、気にいるものもあれば、あまり好きになれないものもあったが、同性に対する視線が厳しいな、と思った。そして「植林」に描かれるように容赦がない。 これはもしかして男性に対する厳しさを遠慮するあまり、女性に厳しいのだろうかと思ってしまった。(高村薫なら男にも手厳しいような気がする) 有名な作家の史実を連想させる「浮島の森」や、破滅的な「怪物たちの夜会」よりも、「ルビー」「愛ランド」のエログロさには女性の複雑な情念が描かれていると思った。「毒道」の異質さは悪夢のよう。 表題作「アンボス・ムンドス」に至っては、スキャンダルな週刊誌的な設定や告白体の形を借りて、小学生でも女性同士の恐ろしさというものを痛感させてくれる衝撃を与えてくれる。 | ||||
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既に定評ある桐野夏生。 むしろ「何だ、この人の短編ってイマイチじゃんか」と思わせるに足る。 短編だと単なる構図を作っておしまい、となる。長編で描き出す男女のおどろおどろしいドラマは此処にはない。 | ||||
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悪意の描写、巧みなストーリー展開は他の方のレビューのとおり。個人的には谷崎と佐藤春夫の事件を使った浮島の森が良かった。子供時代の自分を思い出すシーンを読むとこの作家の子供の悪意を描く力が感じられる。表題作の「小説という形式だったら私の気持ちをうまく表せるかもしれません。」に作者の力強い思いを感じた。 | ||||
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短編集ではありますが、インパクトの強さは長編なみ、いやそれ以上かもしれません。それぞれに作者の「アクの強さ」がにじみ出ていて、一種独特な桐野ワールドで埋め尽くされた感があります。全く世界の違う話をこれだけまとめて話に出来る、その才能に拍手です。厳密に言えば一つだけあまり好きではない話もありましたが、そんなことはどうでもよくなるほどの読後感の強さに圧倒されます。ややもすると冗長になりがちな長編小説に比べ、すべてが「凝縮」されているので、その「濃さ」に心地よく酔いながら、ほとんど一気に読み進めてしまいました。今までに読んだ桐野さんの作品の中では一番好きかもしれません。 | ||||
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『柔らかな頬』『グロテスク』『メタボラ』などの長編が大好きな私は、短編集である本作には正直、あまり期待していなかった。 しかし一読して、これらの長編に匹敵する魅力が本作『アンボス・ムンドス』には凝縮されていると感じた。 各短編を貫いているその魅力は、一言で表すと「自分が意識している『自分』と他人から見えている『自分』が一致しない、ということの恐怖」、つまり「自分を把握できていないことの恐怖」を味わわせてくれる点だと思う。 「自分は魅力的な人間である」「自分には特別な価値がある」などといった自意識は、誰もが持っていたことがある(or持っている)と思う。しかしそうした誤った自意識は、周りの人間の言葉や行動に接することで修正されていくものだ。そしてそのような修正の過程には、しばしば羞恥や屈辱といった苦い感情が伴うものではないだろうか。 『アンボス・ムンドス』に収められている話では、自分を把握できていなかった主人公たちが、ふとした出来事をきっかけに他人から見えている(醜く惨めな)自分を意識してしまう。その瞬間の心臓が締めつけられるような恐怖を、著者は見事に描いていると思う。 | ||||
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彼女が大ブレイクした「OUT」、大絶賛された「柔らかな頬」は共に秀作でしたが、やはり短編は得意ではないのか、以前読んだ短編集も、この本も途中で放り出してしまう出来でした。 ミステリでも短編はキレのある文と、めくるめく展開、そして意外なラスト等々が必要だと思うのですが、それらが一切無し。まどろこしい文章で、なかなかページが進まず、なんとか最後に辿り着いたら、何のサプライズもないあっさりしたエンディング。 この本の前に読んだばかりの東野圭吾氏の作品があまりに感動的だったので反動が大きかったです。 みなさんの採点はおおむね高いようですが、最後まで読みきれば傑作に巡り合えたのでしょうか・・・・ | ||||
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相当嫌な女なのかしら?もし、周りの女友達がこんな人ばかりだったら怖すぎる。 それとも女の嫉妬や羨望の被害者?一体どんな人生を送って来た人なんだろう? この短編集もどの話も作者の幅を感じさせそれぞれ個性的で面白いです。でも、最後のアンボスムンドスで、やっぱり暗い、嫌〜な気分に突き落とされ。丁寧で判りやすい文章で淡々と話がすすめられていくのがまた怖いです。 底知れぬ才能を感じます。どの本もですが、こちらもまた面白くて一気に読んでしまいました。 | ||||
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女性を主人公とした7編の短編が並んでいるのですが、かなり濃厚。 幸せで人生が順調に進んでいるときは読まないほうがいいかも(ていうか、手に取らないか)。 桐野さんの特徴的な、ソリッドな刃のような文章が堪能できる「植林」や「怪物たちの夜会」、 かたや静謐な印象もある「浮島の森」は谷崎潤一郎の細君譲渡事件を彷彿させながら業を描きます。 話が飛びますが、最近、湊かなえさんの作品を多くの中学生や高校生が読んでいるのは、 作品に描かれている人間の情念や醜さに惹かれているから、のような気がしてます。「私もわかる」っていう。 女性の情念、という点では共通点もあるのだろうけど、何でしょう、桐野作品と湊作品の違いは。 一読者の感覚としては、桐野作品のほうには、粘度があるというか嫌に絡みつく棘みたいのがある。 またそれがクセになっちゃう。絡みつきすぎて血が出てそうだけど。 登場人物の粘度の高い情念にお腹いっぱいになりながら、一気に読んでしまいました。 そんな一読者も、何かにひどく鬱屈し、粘りつく情念を抱え込んでいるのかもしれませんね。 | ||||
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最高峰の作家は長編、短編、掌編、、、全てに長けている。 その一人。 官能やそれぞれの短編にすごみ大。 素晴らしい。 | ||||
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すごく嫌な人たちばかり登場するが、とてもリアルで怖い。 | ||||
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桐野夏生さんの作品は、 村野ミロのシリーズや、「OUT」など、 長編は、いくつか読んでいるのですが 短編集は恐らく初めてです。 「アンボス・ムンドス」には 7編入っているのですが、 私としては、表題の「アンボス・ムンドス」よりも 前半の4編、「植林」「ルビー」「怪物たちの夜会」 「愛ランド」の方が印象に残りました。 桐野夏生さんらしい、という感じでしょうか。 この短編集について、ネットで感想を見てみると 皆さん、決まったように、女性の「毒」といった言葉を 使われてる方が多いのですが、 私は、感覚が鈍いのか、読みなれてるのか それほどは感じなかったです。 自分にとって衝撃的だったというか 印象深い桐野夏生作品は 映画化もされた「OUT」と、もうひとつ、 タイトルは忘れてしまいましたが 村野ミロの人間関係が全部壊れて、 シリーズ最後かと思われる作品。 それらに比べれば、 やっぱり物足りないかなあという感じ。 無意識のうちに、桐野夏生さんには、 重い長編を期待しているのかも知れません。 | ||||
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「愛ランド」では、地味で中年の独身女性、鶴子が自分の性体験を告白する。それは結構突拍子もない話で、さまざまな年齢の女がある島に連れられ、その島で女たちは男どもに競り落とされるというもの。鶴子も男たちから競り落とされ、思いっきりいたぶられるがそれが快感で止められないという話。 地味な40代の自分を奴隷として性の対象としてみてくれることに渇望感があり、それを満たしてもらえる喜びが鶴子にはたまらないのだろう。今まで見向きもされずに生きていただけに、自分のためにお金を払ってまでチヤホヤしてくれていることに恍惚するのだろう。 美人で才女の桐野さんの「想像力」に脱帽してしまった1冊だ。 | ||||
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「グロテスク」以来、あまりにバイオレントなパワーに臆していたが、短編集ならと久しぶりに手にとった。一作ごとの完成度が高く、「読んだ」というずしりとした手ごたえを感じた。しかし、読後感はあまりよくなかった。世界はこんなに悪意や敵意に満ちた場所だったろうか? 女とはかくも残酷で邪悪だったろうか? とくに、見ず知らずの子どもに恐怖を植えつける「植林」や、毒草ばかり植えて義父への恨みを募らせる娘が、義父ともども突然殺されてしまう「毒童」はすごい、うまい、だけど救いがない! 疲れてしまった。「小説を書くのは悪人でなければならない」「表現することは闘うこと」という桐野さんの文章に、悪人になって闘う彼女自身が投影されているように感じた。 | ||||
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初期の頃から桐野さんの本が好きだったが、でも最近、もう方向性が違うことがこの本を読んではっきり わかった。それぞれの短編は確かにすばらしい出来だし、インパクトもある。でもプロットがだんだんなくなってきて、ただ人間の奥底にある闇、や悪意、そして露骨な性描写などを書き連ねるようになってきたのだ。 「残虐記」や「グロテスク」など人間の精神構造ばかりを深く掘り下げても、それは深くなっているようで表層的な捉え方に収斂していくように感じる。読んでいて壮快な気分もなければ、ただただ露悪的な気持ちになるだけだ。 一個人ファンとしてはしばらく遠ざかりそう。 | ||||
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桐野夏生は基本的に長編の人だと思う。その溢れ出す想像力、二枚腰、三枚腰の体力、すべてにおいて過剰だ。デビューが遅かったことによる人生経験の蓄積が才能の枯渇を恐れないアグレッシヴさに繋がっているのだろうか?とにかく埋蔵量がハンパじゃない。 それは、この7作品を収めた短編集を読めば手に取るように分かる。はっきり言ってどれひとつ取っても短編のフォーマットに収まっていない。大きくはみ出してしまっているのだ。本来なら長編として書かれるべきはずの短編。濃縮果汁を素で飲むような、もったいなさと消化不良感がある。 桐野夏生自身も桐野夏生が描く女たちも、まさに「女」だ。そこに誇張はなく、リアルだ。俺は男だけど、桐野夏生が描く女が「女」なんだろうなと思う。俺も「女」になってみたかったよって憧憬と、反面、男で良かったよっていう安息と。 リアルに対するヴァーチャル側からの挑戦って著者の意図もますます鮮明だ。やっぱ「アンボス・ムンドス」。確か、なんかの事故だか災害報道がきっかけで教師の不倫旅行がばれたってニュースを耳にした気がする。でも、それが「アンボス・ムンドス」発表の前だったのか、後だったのか、自分の中でわからなくなっているし、そんなことどうでもよくもなってる。とにかく、桐野夏生はリアルの素材をほんの取っかかりとして、まったく別の物語を構築し、我々に放り返してくる。“リアルを超えてく創造力”こそ、今、誰しもが意識して身に着けなくちゃ生きていけないサバイバルスーツなのだと思うし、その前衛として桐野夏生を尊敬もし、信頼もする。まぁ、やっぱ、桐野夏生は、とことん深く、長く、しっぽり、ねっとり長編で味わいたいけどな。 | ||||
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表題にもなっている、アンボス・ムンドスが傑作。 装飾に惹かれて図書館で借りて読みました。 どの作品も女性の内面的な「嫌らしさ」が書かれていて、 読後に気分が盛り下がることこの上なしです。 あまり人には勧められないですね。 現実にあった事件をプロトに話を展開させるという手法については 私はちょっと「ずるい」と思います。ちょっと間違うと 三流雑誌の投稿内容と変わらなくなるのと、紙一重ですが 文章表現の上手さでぎりぎり小説になっているのだと思います。 | ||||
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