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魂萌え!
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魂萌え!の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全111件 101~111 6/6ページ
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平凡な59歳の主婦が、突然の夫の死の後、どのように生きていくのか。すごく期待して一気に読みました。 そのせいでしょうか、読了して、えっ、そうじゃないでしょう。と、思ってしまいました。 主人公と他の登場人物との関係の描写が浅く、どの人物も、確かに自分の周りにいるような人物であるけれど、今ひとつリアルさに欠け、主人公の主婦、敏子自身が、存在感が薄く中途半端で、(でも、こういう設定かも知れない)物足りなく思いました。 中高年は、もっとリアルに世間の荒波にもまれているし、一見、ここに書かれているように見えても、もっと切実に人生と向き合って生きている。どこか、現実とずれを感じてしまいました。 | ||||
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帯のコピーどおり、「若い人にはまだ想像できない世界」が存分に描かれています。 確かに最近の路線から比べるとおとなしい作風ですが、リアリズム的にいうと圧倒的にこちらの世界は生々しい、日本人たちが描かれおり、考えようによっては、こういった作品のほうがはるかに読後に来る重さが違います。 長年連れ添った主人の死。そこに残されたあることによって、残された妻敏子の人生が大きく動き始めるといった内容。 登場人物、出来事など、自分たちの身の回りのどこにでもありそうな話なのだが、それがかえって面白い。 私にはまだ先の話で想像は少しくらい出来る年にはなりましたが、20代たちの人には考えられない世界でしょう。でも先んじてその世界を少しは感じてみる事をおすすめします。そのときがくれば逆に考えたくない世界に変わっていると思いますので(笑。って笑い事では無いのですが・・)。 | ||||
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私は「OUT」から入った桐野氏ファンで、今までの作品も手に汗握りながら読んできた一人です。 本作は、確かに従来の作品とは傾向が違い、いわゆる殺人や流血はありません。しかし、冒頭などのスピーディーな文体は桐野氏だなと思わせるものがあります。 そして、特に桐野氏に近い世代の私にとっては、この作品はフィクションであって、まさに現実にほかならず、身につまされる思いで読みました。身内の急死、相続にからむ骨肉の争い、いろいろ口を出してくる人々の間での板ばさみ、不倫、そんな中で揺れ動く感情…。「事実は小説より奇なり」という言葉がありますが、それは経験から言っても本当のことです。それをこの作品は見事に描き出してくれています。 日常こそ、実は一番スリルとサスペンスに富んだものだということを私たちは忘れて生きています。一瞬先には何が起きるかわからない。自分が思い描く人生が現実になるとは限らない。 そうであっても、自分はそのときに自分がそうしたいと思ったことを実行するのだ、という気概を持って生きていきたいと、この作品はあらためて思わせてくれました。 これからいろいろな経験をしていく若い方々にも、実際に同じような経験をしている世代の方々にも読んでいただきたい作品だと思います。 | ||||
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小国の王子だったブッダ。東西南北4つの城門から外へ出るたびに、衰えた老人、苦しむ病人、死者を嘆き悲しむ人々に出会う。最後に北の門で托鉢僧に出会い出家を決意する。この生・老・病・死にまつわる逸話は「四門出遊」と呼ばれる。手塚治の漫画『ブッダ』で知った。桐野夏生の小説『魂萌え!』を読んで思い出した。還暦を前に寡婦となった一人の平凡な主婦が「世の中」に直面し、強く賢くなっていく。亡き夫の不倫が発覚し、身の上話を聞かせて金を取る老婆に立川のカプセルホテルで出会い、オペラ歌手おっかけ命の友人はアルツハイマー病の片鱗を見せ、息子・娘は相続を巡って勝手なことを言う。静かな暮らしが見事なまでにぐちゃぐちゃになっていく。それでも一人、ときには人の力も借りて、強くなっていく。本当の意味で「第2の青春」を深く描き切った快作と思う。 | ||||
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タイトルを書店で見た瞬間「ん?今までのテーマからシフトしたな」という感じを受けまず拝読。小説の完成度から言えば、やはり「OUT」「グロテスク」らの緻密さ・重層性には及ばないのだが、あえて思ったのが「著者ももう50代半ば。これは当人の人生にとってもリアリティがあるのかも」と感じた。私自身、主人公や著者の年齢にはまだ遠いが加齢を重ねて思う事は『悩みや傷ついたりすることとその重み』は若い時と変わらず、その時点・時点で必ず存在する、という事だ。30代含めそれ以下の世間的な感覚から言えば、還暦近い人間の「恋愛や自意識の苦しみ」というのは「いい歳して何を」といったものだろう。しかし、きっとその問題は回避できずに存在する。「老いてこそ尚」といった言葉は不適切かもしれないが、老いてからの人生の充実というのはかなりやっかいな事して自分を縛るのだろうなぁ。と素朴な読後感だった。今回は卓越した完成度が見られたわけではないし、著者のキャリアとなったクライムノベルに見られる人間の暗部は今後もライフワークとなるのだろうが、本作「加齢の実感」の深まりと連動した作品に向け、今後も期待したい。 | ||||
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読み始めたらとまらなくなり、一気に読んでしまったのはいつもの桐野作品と同じです。 もし映画化されるとしたら、「野田」役は、ぜひ笹野高史さんでお願いします。登場人物のなかでは、マモルに惚れました。 | ||||
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久々の桐野作品、500頁に成ろうかと思われる実に読みごたえの有る作品でした。内容事態は紆余曲折は有るが50代で夫を亡くした一人の女性が自分という存在を見つめ直し新たな希望をむねに生きていこうとする物語である。 ひょっとすると何処にでも有りそうな作品で、がっかりする方も居るかも知れませんが、とかく自分を見失いがちな現代において、この作品は、これから作中の敏子さんと同じ年代を経過しなければ成らない人々には貴重な道標に成るのかも知れないと思いながら読ませて頂きました。そういう意味で星五つとしました。老いは誰にでも訪れるもの、その時周りに左右される事無くより自分らしく生きたいものです。 | ||||
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~タイトルはとても良かったのに、内容は・・・。ちょっと期待はずれでした。 著者の作品は良くも悪くも人間のぎりぎりの線、あやうい心を描いていて、いつもそれに惹かれて読むので、今回の主人公にはそれを感じる事ができず、消化不良な読後になりました。 主人公が夫の死後長年の不倫を知った所から、もっと暗い世界に進んでいくのか、と思ってしまったの~~ですがそうではなく、逆にそうなのかな?疑問が湧いてしまいました。 どんな状況であれ、魂の自由を手に入れたい渇望はわかるけれど、ちょっときれいごとすぎるように感じます。~ | ||||
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平凡な主婦である敏子が、突然夫を亡くすという、誰にでも起こりうる話から始まるが、その先からテレビドラマのようにくるくると展開していく。 内容そのものは、夫の死後現れた愛人、遺産相続問題、子離れ親離れによる主人公の孤独感などありふれたものだ。しかし、それらを息もつかせず読ませる作者の筆力は凄い。 最近の高齢の方々が、パソコンやスイミングなどを励む姿を見て、どうしてそんなパワーがあるのかと思っていた。たが、一例として敏子のように家族のためだけに日々暮らし、自分を押さえてきた人が、老いて、いろんな枷がはずれたとき、変わろうとする姿勢の表れではないかと思い当たった。もちろんその後も悠々自適というわけではないのだろうが・・・ この本は現役の主婦、夫だけでなく、子どもの立場にある人も一読の価値はあると思う。 | ||||
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毎日新聞に連載していただけあって、近作のような暴走小説ではありませんでした(ホッ)。60歳前後の、初老の主婦をめぐって繰り広げられる物語です。ささいな意趣返しや喧嘩、恋愛感情や不倫のうしろめたさなどの日常的小説です。ですが、40歳くらいまでなら当たり前なことが、60歳後も続いているという目からウロコの設定に価値があります。 私は前半が面白かったのですが、登場人物に「風呂ばあさん」という強烈なキャラクターが登場します。このキャラクターを味わうだけで、十分楽しめます。やや地味ですが、桐野夏生の’まともな’小説を読みたかったファンとしては、満足です。さあ、一息ついたんで、次はどんな暴走小説にもついていきますよ、桐野様! ちなみに、老年小説のタイトルに「萌え」とか「!」を使うセンスに、皮肉っぽいものを感じました。やはりこの人ワカッテラッシャル。 | ||||
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今までの著者の、心の奥底の闇を描いてきた作品とは違って「あれ?」と拍子抜けするけれども、夫に先立たれた妻が知る、遺産目当ての実の子供、そして夫の愛人・・・と、平凡な日常と思っていても、皆何かしら心には踏み込めない何かがあるんだ、醜さがあるんだと思わせる。 しかし、本当に外の世界を知らなかった主人公が、「自分のために生きる」と決め、生きていく姿は、ある意味で「青春」だなぁと思う。歌野正午の「葉桜の季節~」ではないけれども、人間、いつでも心さえ美しくあれば、きれいに見えるのだなぁと思わせる、本当にこの著者には珍しく、希望さえ感じさせる1冊。 | ||||
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