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三本の緑の小壜
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三本の緑の小壜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.55pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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今までわたしが読んだミステリーは薄気味悪い猟奇的な殺人モノや導入部から異常に暗くヒリヒリして読んでいるこちらも緊張を強いられるようなものや翻訳が悪いのか読みづらいものが多かったのだが、これはまったく違っていてとても読みやすく物語の中に違和感なくスンナリ入っていけ夢中になって読んでしまった。 | ||||
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本書は、D・M・ディヴァインが1972年に著した本格派ミステリだが、物語に登場する人物たちが、それぞれ一人称で語らせるというすこし変わった手法で書かれている。 プロローグで13歳の少女ジャニスが語り始めるが、この少女が第一の被害者となるから読者は意表をつかれてしまう。 次々に登場する人物たちが語る話を読みながらプロローグへページを戻して読んでみれば、ミステリ読み巧者なら犯人を示す伏線に気が付くだう。 そんなことも知りながらも面白く読み進めたのは、やはりディヴァインの人物描写が巧み(とくに嫌われ者シーリアの独白は秀逸である)だろうと思が、 犯人探しミステリとして少々物足りなさを感じてしまったのも正直な感想である。 | ||||
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1972年発表のディヴァイン後期の作品であり、これまでと同様な丹念な人物描写、巧みに張り巡らされた伏線、加えて少女も含めた多視点による叙述がうまく機能して独特な雰囲気を出している。 解決に至る道筋は消去法により絞り込んでいくため、特に大きなサプライズ、ひねりはないが、安心して楽しめる作品だと思います。 しいて難をいえば、犯行に至る動機が弱く納得感が薄いことでしょうか? | ||||
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メルカトルにあてられた後でこれを読むと大変ほっとします。 作中の探偵が指摘するように、犯人がある二人の内の一人にほぼ絞られることには、早いうちから気づくと思います(細かく言うともう一人ありうる)。ところが、そこから先が長いんですね。「決め手の一句を早く書いてくれないかな」と思ってしまうと、もう作者の手に落ちたも同然。13歳の女の子たちの心の襞を覗きながら、反則すれすれのレッドへリングを躱しながら、頁をめくる手を止められなくなります。 今の言葉で言えば「ツンデレ」な登場人物の描写はありがちなものですが、それすら黄金期の息吹に感じられるほどです。2012年本格ミステリベストテン海外ランキング1位は伊達ではありません。 | ||||
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1972年発表の作者後期の作品だが、語り手をつとめる登場人物三者三様の鬱屈と再生を活き活きと描写する手腕とシリアルキラー物のミステリとしてのツイストを兼ね備えた出来栄えに衰えは感じられない。 「五番目のコード」や「悪魔はすぐそこに」といった代表作にはプロットの複雑さにおいて及ばないものの、この作者の最大の美点である大胆な伏線の仕掛けは見事。読後、該当部分を読み返すとさらに興が増すこと請け合い。 | ||||
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デヴァインの作品、どの作品もストーリーを読ませる力が高くて、本作も視点を変えながらの先を読ませない展開、ミスリード、それでいてフェアな材料の提示など、素晴らしいレベルでした。 とくに殺人に至る動機の絡まり方と悲しさは今日的な問題でもあります。 でもひとつだけわからないことが。 なぜ本作のタイトルは3本の緑の小壜なのでしょう? | ||||
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近年の紹介により再評価されて本格ミステリー愛好家の熱い支持を受け続ける英国本格派の名手ディヴァイン期待の未訳長編が2年振りに刊行されました!本書は「災厄の紳士」の翌年に書かれた著者の第11番目の作品で、私の感想としては前年作よりもグレードアップして見事に復活を果たしていると思います。タイトルの「三本の緑の小壜」の意味が最初から気になって中々解らずにヤキモキしますが、271頁にようやく有名な数え歌の歌詞の一節と書かれていてそうかと合点が行きます。結局題名に触れている部分は僅かにこの一箇所だけなのにも関わらず、緩い童謡殺人の様な不気味な雰囲気を漂わせると共に全体的に考えて真に意味深で巧みな選択だなといたく感心致しました。 夏の夜友人達と泳ぎに行った十三歳の少女ジャニスは一人だけ帰って来ずに翌日ゴルフ場で全裸死体の姿で発見される。容疑者として浮上した若き医師ケンダルが崖から転落死し、警察は自殺と判断して事件は終わったかに思えたが、やがて再び同様の少女全裸殺人事件が起きる。兄の死によりアメリカから帰国した弟のマークは噂話を耳にして兄の汚名を晴らす為に自ら事件を調べ始める。 本書のミステリーとしての素晴らしさは読後に「ああ、そうだったのか!」と読み手を感嘆させる大胆な発想の転換と敢えて描かれた特異な人間関係の意味合いの巧みな仕掛けでしょう。例によってサラリと書かれた犯人の手掛かりはその時点では重要性に気づかず読み逃してしまいますし、結局またもや小説巧者の著者の術中に完全に嵌められた事に気づかされます。今回は多視点による語りの趣向と全5部構成の4部までの直前に置かれたプロローグの最後の場面がスリリングで凄みがあり異様な迫力を生んでいるのが特筆すべき点だと言えましょう。唯一物足りなく感じるのは謎解きの解明の部分が短くて少々呆気なく思える点ですが、理屈を超えた狂気を感じ思わずぞっとする深い戦慄と衝撃の強さに免じてそこは許容したいと思います。そして今回著者が語り手に選んだマンディ、マーク、シーリアのそれぞれ生きるのが下手で不器用な三人が紆余曲折ありながらも最後にしっかりと心を通わせる人間ドラマがしみじみと胸に沁みて来て心が震える程の感動を覚えました。ミステリーである以上犯人が解ってしまえば作品の魅力は半減する事でしょうが、それでも本書の人間ドラマは十分再読に耐える著者の作品中でも最上の部類に入る立派な出来栄えだと思います。 次回の紹介予定作は本書の6年後に著された事実上の遺作とも呼べる作品だとの事で期待に胸をふくらませ読める日を今から楽しみに待ちたいと思います。 | ||||
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