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野兎を悼む春



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【この小説が収録されている参考書籍】
野兎を悼む春 (創元推理文庫)

野兎を悼む春の評価: 4.38/5点 レビュー 8件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.38pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全8件 1~8 1/1ページ
No.8:
(4pt)

シェトランド

ジミー・ペレスに惚れる
野兎を悼む春 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:野兎を悼む春 (創元推理文庫)より
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No.7:
(4pt)

サンディ刑事の成長振りを見られるのも楽しみの一つ

今回は、シェトランド本島からフェリーが15分おきに通う距離にあるウォルセイ島が舞台となっている。
 たまたま実家に帰っていたウォルセイ島出身のサンディ・ウィルソンがそこで祖母の死体の第一発見者となり、否も応もなくその後の物語のキーマンになっていく。
 それまで出番は短かったが、決してペレスの有能な部下とは冗談でも言えないような印象しかなかったサンディが、この自分の身内をも含む親しい関係にあった島民を相手にどのような働きを見せ、物語が終わるころにはどんな刑事に成長しているのかを見ることができるのも本書の楽しみの一つであった。
 サンディにとって、幼い頃から共に育ち同じ空気を吸って生活してきた共同体の仲間が疑惑の対象となり、真相がわかるまでに、周りの誰もが怪しいような筆運びをするのはいつもの著者の手で、サンディの父母は勿論、従兄弟のロナルドや、彼の祖父、両親に至るまで例外などない。
 大好きだった祖母ミマの過去の事件の真相はサンディにとってトラウマ級の残酷なものとなる。
 というように、今回も、過去の出来事が現在の事件に大きく影響しているという重層的なミステリとなっており、山場では多重解決的展開も楽しめ、非常にスリリングな展開となっている。
 第1弾「大鴉の啼く冬」には劣るが第2弾「百夜に惑う夏」よりは出来がいいというのが私の率直な感想である。
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No.6:
(5pt)

シェットランド最高

先にシェットランド四重奏後の作品を読んだ後に、このシリーズを読みましたが、設定、登場人物等限られた地域、環境での審理描写等抜群な面白さがあります。最近のイギリスミステリでは先に紹介されたミネット ウォルターズが好きでしたが、アン クリーブス恐るべしです。
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No.5:
(5pt)

図書館で借りるよりずっと気持ちよい

海外ミステリーを大量に読むので、図書館で借りるという手もあるのですが、かなりの手あかがついていたりすると少し気持ちがめげることもあるのでリーズナブルな価格できれいな本で読めるというのはほんとうに助かります。今後ともよろしくお願いいたします。
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No.4:
(5pt)

3月のシェットランド諸島、ウォルセイ島で起きた不可解な事件

シェットランドの四季を舞台にしたミステリ・シリーズの3作目です。英国の最北部、過去にはノルウェーが支配していたこともあるという北欧の影響が強いシェットランド諸島。コリーの小型犬シェットランド・シープドッグでも有名ですが、その名の通り、過去は放牧と漁業くらいしか産業がなかったものの、最近では観光と油田で潤いつつあります。本島以外にも100以上の島があり、今回は本島の東側に位置するウォルセイ島が舞台となっています。ウォルセイ島は主人公であるペレス警部の部下サンディ・ウィルソンの故郷で、今回は彼が重要な役目を果たします。

彼の祖母のうちの敷地から遺跡らしきものが出て、本島から研究者たちが発掘にやってきますが、その祖母が殺されてしまいます。ウサギ猟の最中に誤射をしてしまったのか、それとも最初から祖母を狙ったものだったのか?またその理由は?祖母は若い頃は奔放で、島内での評判は必ずしもよくない女性でした。しかも撃ったのはサンディ刑事の幼馴染ロナルド。ペレス警部の助けをかりながら、まだまだたよりなげなサンディ刑事の捜索が始まります。この事件で、彼は刑事としても人間としても、大きな成長を遂げることになります。

前2作と同様、昔から住んでいる住民と外部から入ってきた人たちの人間関係が描かれます。やはり少し排他的なところのある島の人々や、現地の男性と結婚したイングランド女性たちの複雑な思い、心の問題を抱えながら発掘にたずさわる女子大学院生などなど。
事件で必要に迫られてサンディ刑事がロンドンに出張する場面がありますが、「アバディーンやインバネス、エジンバラまではまだいい。が、ロンドンは遠すぎて」なにやらよくわからない世界だと島の人々が感じていることが伺えて興味深いです。事件や謎解きもおもしろいですが、シェットランドの気候風土や精神性が感じられるこのシリーズが大変気に入っています。四重奏の4作を超えて5作目も出版されましたが、まだまだ続けていってほしいと思います。
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No.3:
(3pt)

シェトランド四部作の三作目

シェトランド四部作の三作目で季節は春で舞台は本島ではなく、隣接したウォルセイ島。 長い冬が終わりつつあり、前二作で描写されていたような極北の厳しい自然環境から一転して、穏やかな自然の息吹が伝わってくる。 偶然の事故、自殺と思われていた事案に納得できないぺレスと部下のサンディーが閉鎖的な島の人間関係や過去を掘り下げながら、淡々とそしてゆったりとストーリーが進んでいく。 前二作より結末の意外性は弱まっているが、このシリーズを気に入っている方にはおすすめ。そして最後にかわされるジミーとフランの会話と今後の展開にも期待したい。 シリーズ三作目なので、この作品から読むのはおすすめしない。
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No.2:
(5pt)

新米刑事サンディの成長の物語でもある

シェトランド署のペレス警部の部下、新米刑事のサンディはウォルセイ島に帰省した。ウォルセイ島では、サンディの祖母ミマの所有する農場で、大学院生のハティが中心となって遺跡の発掘調査が行われていた。その発掘現場から古い頭蓋骨の一部が発見された。
若い頃、ミマは美しく陽気で、島中の男性から注目を集めていた。早々と結婚したものの、夫を事故でなくし、その後は結婚せずに周囲が眉をひそめるような奔放な生活を送っていた。歳をとった今は、詮索好きで島のスキャンダルに通じていて、人々に恐れられている。
ある雨の夜、サンディは発掘現場の溝に銃弾を浴びて死んでいるミマを発見する。酒を飲んだ従兄がウサギを狙って、誤射したと見られる死だった。地方検察官やミマの親戚たちは、事故として処理されることを望んでいた。しかしペレスはその死に疑惑を捨てきれずにいた。
そうこうするうちに、ウィルソンが再び発掘現場で自殺と見られる遺体を発見する。ペレスはこの自殺にも疑惑の念を抱く。このふたつの死は関係があるのか、そして発掘された頭蓋骨との関係はどうなのか。本書はペレスと二人三脚で捜査を進めるサンディの成長の物語でもある。


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No.1:
(4pt)

過去二作に比べて衝撃度は薄れた物の英国伝統の現代女流本格推理の秀作です。

英国伝統の実力派現代女流本格推理作家クリーヴスの人気シリーズ〈シエトランド四重奏〉待望の第3弾です。まず日本版の訳題についての感想ですが今回はやや微妙な感じで、真に編集者様のご苦労振りが窺えると思います。元々シリーズの原題は「RAVEN BLACK」「WHITE NIGHTS」に続いて本書の「RED BONES」と色づくしなのですが、今回はあまりにもあからさまに過ぎて直訳を避けられたのでしょう。けれども物語の中で誰も兎の死を悼んではいませんので、残念ながら今回の選択にはかなり無理があったなと思います。
故郷のウォルセイ島に帰省していたシエトランド署のサンデイ刑事は思いがけなくも祖母の家を訪ねた折に彼女の死体を発見してしまう。兎狩りの誤射による不運な事故死と思われた事件だったが、ペレス警部は心に引っ掛かる物を感じサンデイ刑事と共に多くの親族達や被害者ミマと親しかった考古学の女学生らに聞き込みを開始する。
本書にも前2作ですっかりお馴染みになった著者の得意技と言える多視点叙述の手法が取られていますが、本書に限ってはその良さがあまり生かされていない様に思えます。絶妙な技巧が凝らされた前2作に比べて本書の推理はストレートで捻りが少ない印象ですが、それでも多くの人々に疑惑の種を蒔いて最後まで真犯人を絞らせないテクニックは流石だと思います。今度も長い分量の本書で私が最も印象に残った人間ドラマは、精神的に不安定な考古学に携わる大学生ハティの薄幸の物語で、彼女が情熱を燃やして取り組んで来た研究にやっと成果が出て、さあこれからという時に志半ばで迎えた不幸な結末には深い悲しみの念と憐憫の情を覚えずにはいられません。他には半人前のサンデイ刑事がペレス警部の助けを借りて次第に人として成長して行く姿が清々しいですが、でも肝心な場面で犯人に丸腰で対する所などはとても一人前とは言えずまだまだ反省と努力が必要でしょう。そして本書では頼りになるテイラー警部の加勢がなく犯罪性が曖昧な中で何時に無く苦戦するペレス警部ですが、己の直感を信じて粘り強くじっくりと長考し最後に真相に辿り着く活躍はお見事です。また自分が同じシエトランド諸島出身者である事と生来の優しい性格から犯人に一抹の同情心を抱くのが如何にもペレス警部らしいと思えますが、この犯罪はその利己的な非道さから見て私には絶対に許せません。最後に今回のペレス警部の不調の原因の一つなのではとも思える最愛の恋人フランの不在は彼の心に秘めた心配を浮き彫りにしますが、そんなモヤモヤを吹き飛ばすサプライズが突然最終行に出て来ますので読者の気持ちがガラリと変わってパッと晴れやかになる事でしょう。
2007年7月の紹介以来正確にきっちり2年毎に翻訳出版されて来たシリーズの次回第4作「BLUE LIGHTNING」はこの分だと2013年7月には読めそうですが、編集者様にはぜひとも訳題のリベンジをお願いしたいのと、本シリーズのみに留まらずまだ今年で57歳と若い著者の他の著作についても今後紹介を進めて頂きたいと思います。

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4488245072

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