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アガサ・クリスティーの秘密ノート
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アガサ・クリスティーの秘密ノートの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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『アガサ・クリスティーの秘密ノート』(アガサ・クリスティー、ジョン・カラン著、山本やよい・羽田詩津子訳、早川書房・クリスティー文庫、上・下)は、アガサ・クリスティー・ファンには堪らない本と言えるでしょう。熱烈なクリスティー・ファンであるジョン・カランが、クリスティーの住居に残されていた73冊の手書きノートの乱雑な文字を4年かけて解読した成果だからです。 カランのおかげで、私たちはクリスティーの執筆の楽屋裏を覗くことができるようになりました。「『スタイルズ荘の怪事件』のエンディングは、最初の原稿ではどうなっていたのか? 『そして誰もいなくなった』の登場人物は、もともとは何人にするつもりだったのか? 『ABC殺人事件』のAの殺人の舞台として最初に候補に挙がっていたのはどこか? これまで知らなかったことがいっぱいわかって、ワクワクしてくる」。 クリスティー作品の中で、私がとりわけ気に入っている『無実はさいなむ』が、高く評価されているので、嬉しくなりました。「ノート28には、ほぼ40ページにわたってこの小説のすべてのメモがある。・・・『これはこの数年で、まちがいなくノンブランドで(=ポアロ物でもマープル物でもない)最高のクリスティー作品である・・・『無実』(=当時はそう呼ばれていた)は古典的探偵小説と犯罪小説の現代的着想を見事に一体化させた作品といえるだろう』。これは1958年5月1日に、コリンズ社が最新のクリスティー作品を受けとったときの熱狂的な意見である。・・・『無実はさいなむ』は、後期のクリスティー作品におけるベストのひとつである。これは古典的な探偵小説とは異なる犯罪小説であり、真実と正義、罪と無実について固い信念を持って描かれている。・・・いつものように創造力を駆使して、アガサ・クリスティーは法的な正義と道義的な正義というむずかしい問題を解決した」。 | ||||
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『アガサ・クリスティーの秘密ノート』(アガサ・クリスティー、ジョン・カラン著、山本やよい・羽田詩津子訳、早川書房・クリスティー文庫、上・下)は、アガサ・クリスティー・ファンには堪らない本と言えるでしょう。熱烈なクリスティー・ファンであるジョン・カランが、クリスティーの住居に残されていた73冊の手書きノートの乱雑な文字を4年かけて解読した成果だからです。 カランのおかげで、私たちはクリスティーの執筆の楽屋裏を覗くことができるようになりました。「『スタイルズ荘の怪事件』のエンディングは、最初の原稿ではどうなっていたのか? 『そして誰もいなくなった』の登場人物は、もともとは何人にするつもりだったのか? 『ABC殺人事件』のAの殺人の舞台として最初に候補に挙がっていたのはどこか? これまで知らなかったことがいっぱいわかって、ワクワクしてくる」。 「アガサ・クリスティーの作品のひとつひとつが専用のノートを持っているというのが、筋の通った考え方であろう。だが、まったく違う。1冊のノートがひとつの作品だけに使われているケースは、わずか5例しかない。・・・クリスティーのノートに見られる、もっとも興味深くて、そのくせ苛立たしい特徴のひとつは、秩序に欠けることで、とくにひどいのが日付である。ノートは73冊もあるのに、日付が入っているのはわずか77例。・・・未刊に終わったアイディアや、それ以上進まなかったアイディアとなると、推測はほぼ不可能だ。この混沌たる状態が、さまざまな理由によって、なおさらひどくなっている。理由その1。ノートの使い方が行き当たりばったり。クリスティーはノート(正確には、クリスティー自身がいっているように、つねに持ち歩いている半ダースほどのノートのひとつ)を開き、空白のページを見つけて書きはじめる。空白のページが見つかりさえすればいいのだ。たとえ、その両側のページがすでに埋まっていようとも。そして、まだまだ複雑さが足りないというかのように、ノートをひっくり返し、賞賛すべき節約精神を発揮して、今度はうしろから書いたりしている」。 「理由その2.未完成に終わった短篇のためのメモで埋まったページがたくさんあるため、ガイドラインにすべき刊行時期がついていない。ときには、すぐ前とうしろのメモから推測できることもあるが、この方法もまったく欠点がないわけではない。ノート13の内容をじっくり見てみると、でたらめな年代順になっていることがわかる」。 「理由その3.作品のためのメモが書かれたのが出版より何年も前というケースが数多く見受けられる。ノート31に記された『招かれざる客』のもっとも初期のメモには、『1951』という年号がついている。つまり、初演の7年前である。・・・はっきりと年代が書かれたページのあとに、何ページかが続いていても、同じ時期に書かれたものと断定することはできない」。 「ノートの手書き文字について論じる前に、これらが備忘録として書かれたメモや走り書きであったことを強調しておくのが、フェアというものだろう。クリスティー本人以外に読む者はいないわけだから、筆跡をある程度の水準に保とうという努力をすべき理由はどこにもなかった。これらは個人的な日記であり、クリスティーの思考を明快にすることだけを目的に書かれたのだから」。 この一節を読んで、笑いが込み上げてきました。私もかなりのメモ魔であるが、乱暴な走り書きが、後で、どうにも判読可能なことがしばしばあるからです。 クリスティー作品の中で、私がとりわけ気に入っている『無実はさいなむ』が、高く評価されているので、嬉しくなりました。「ノート28には、ほぼ40ページにわたってこの小説のすべてのメモがある。・・・『これはこの数年で、まちがいなくノンブランドで(=ポアロ物でもマープル物でもない)最高のクリスティー作品である・・・『無実』(=当時はそう呼ばれていた)は古典的探偵小説と犯罪小説の現代的着想を見事に一体化させた作品といえるだろう』。これは1958年5月1日に、コリンズ社が最新のクリスティー作品を受けとったときの熱狂的な意見である。・・・『無実はさいなむ』は、後期のクリスティー作品におけるベストのひとつである。これは古典的な探偵小説とは異なる犯罪小説であり、真実と正義、罪と無実について固い信念を持って描かれている。・・・いつものように創造力を駆使して、アガサ・クリスティーは法的な正義と道義的な正義というむずかしい問題を解決した」。 | ||||
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私はアガサ・クリスティーの作品は、本よりもTVドラマや映画で楽しんでいます。いつかは作品を全部読んでみたいと思っているのですが、実際の読んだのはまだ一桁ほどです。そういう立場ですと、本書の作品紹介は本文に「ネタバレ注意」と記されているように、作品を読む前に読んではいけないのかもしれません。しかし、小説家が、どのようにアイデアをためたり、試行錯誤してアイデアを捨てたりすることなどが分かるようで楽しめます。また執筆環境、住まいや家族などの話題も感じられるので、クスリティーがより身近に感じられるようになりました。 | ||||
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クリスティーのノートの写真が多数掲載されていますが、 この人、ほんとに字が汚い、というか、下手。 他人に読ませるためのものではないと言え、 これで、自分自身、後から読み返せたんだろうか、クリスティー? そんなノートを70冊以上も解読して、分析したジョン・カラン氏に、 最大級の敬意を表します。 未発表短篇「ケルベロスの捕獲」は、 たしかに『ヘラクレスの冒険』収録のものとは、まったくの別物。 出来栄えの優劣は、好き嫌いによる部分が大きいと思うが、 私はスケールの大きい、こっちのバージョンが好きだな。 | ||||
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クリスティ文庫をちょうど100冊読み終えたと思ったら、本屋さんに平積みされていました。 読んだばかりの本に関する記録なので、とても参考になりました。 この記録を見てから、また読み直そうと思いました。 アガサクリスティを二度楽しむのによい資料です。 できれば、全巻読んでから読むか、読み進むのに辛いなと思ったときに読むことをお勧めします。 ps. 巻末に未発表短篇「ケルベロスの捕獲」を掲載しています。 「ヘラクレスの冒険」掲載の同名のものと比較して読んでみましたが、 同じ部分がなかなか見つからず、うまく解読できていません。 英語版で、データ入力して分析してみよと思いました。 | ||||
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アガサ・クリスティーが、作品執筆にあたって参考にしたり、アイデアやプロットを整理したりする備忘録として使用していたノート。全部で73冊のノートを、グリーンウェイ・ハウス(クリスティーが、週末や夏の別荘として使った屋敷。詳しく知りたい方には、平井杏子『アガサ・クリスティを訪ねる旅』がおすすめ)で見つけた著者が、“ミステリの女王”の創作の秘密、作品が生まれるその道筋を検証していく研究書。クリスティーのミステリの大ファンである著者の熱意はもとより、丹念かつなかなか鋭い検証の跡が示されていて、読んでいてわくわくしました。著者のガイドに従って、クリスティーの思索の跡をたどっているみたいな感じ。 本書(上巻)の次の個所など、とりわけ興味深く、「なるほどなあ」と頷かされましたね。 <作品のためのメモが書かれたのが出版より何年も前というケースが数多く見受けられる。> p.77 <作家としての生涯を通じてクリスティーが持ちつづけた最高の才能のひとつは、基本的なアイディアをもとにして、ほぼ無限といってもいいバリエーションを生みだす力だった。> p.86 <混沌がクリスティーの精神の糧(かて)となり、整然たる秩序などより大きな刺激となった。秩序に縛られると、クリスティーの創造のプロセスは死んでしまう。> p.111 それと、本書巻末に掲載されたポアロものの短篇「ケルベロスの捕獲」。これは、『ヘラクレスの冒険』収録のものと全く別のストーリーになっていて、諸事情により、出版社が掲載を見合わせた初期バージョンです。で、今回、『ヘラクレスの冒険』収録の第二バージョンと読み比べてみました。私は、穏健で普通の出来映えである第二バージョンよりも、過激で異色の初期バージョンのほうが、数段面白く、楽しめました。短篇ではありますが、ポアロものの思わぬ掘り出し物と言ってもいいのではないでしょうか。 | ||||
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