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アガサ・クリスティーの秘密ノート



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アガサ・クリスティーの秘密ノートの評価: 3.67/5点 レビュー 12件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.67pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全12件 1~12 1/1ページ
No.12:
(5pt)

アガサ・クリスティーが、長きに亘り、多くの作品を発表し続けた舞台裏

『アガサ・クリスティーの秘密ノート』(アガサ・クリスティー、ジョン・カラン著、山本やよい・羽田詩津子訳、早川書房・クリスティー文庫、上・下)は、アガサ・クリスティー・ファンには堪らない本と言えるでしょう。熱烈なクリスティー・ファンであるジョン・カランが、クリスティーの住居に残されていた73冊の手書きノートの乱雑な文字を4年かけて解読した成果だからです。

カランのおかげで、私たちはクリスティーの執筆の楽屋裏を覗くことができるようになりました。「『スタイルズ荘の怪事件』のエンディングは、最初の原稿ではどうなっていたのか? 『そして誰もいなくなった』の登場人物は、もともとは何人にするつもりだったのか? 『ABC殺人事件』のAの殺人の舞台として最初に候補に挙がっていたのはどこか? これまで知らなかったことがいっぱいわかって、ワクワクしてくる」。

クリスティー作品の中で、私がとりわけ気に入っている『無実はさいなむ』が、高く評価されているので、嬉しくなりました。「ノート28には、ほぼ40ページにわたってこの小説のすべてのメモがある。・・・『これはこの数年で、まちがいなくノンブランドで(=ポアロ物でもマープル物でもない)最高のクリスティー作品である・・・『無実』(=当時はそう呼ばれていた)は古典的探偵小説と犯罪小説の現代的着想を見事に一体化させた作品といえるだろう』。これは1958年5月1日に、コリンズ社が最新のクリスティー作品を受けとったときの熱狂的な意見である。・・・『無実はさいなむ』は、後期のクリスティー作品におけるベストのひとつである。これは古典的な探偵小説とは異なる犯罪小説であり、真実と正義、罪と無実について固い信念を持って描かれている。・・・いつものように創造力を駆使して、アガサ・クリスティーは法的な正義と道義的な正義というむずかしい問題を解決した」。
アガサ・クリスティーの秘密ノート(下)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:アガサ・クリスティーの秘密ノート(下)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.11:
(5pt)

アガサ・クリスティーの執筆の楽屋裏を覗く楽しみ

『アガサ・クリスティーの秘密ノート』(アガサ・クリスティー、ジョン・カラン著、山本やよい・羽田詩津子訳、早川書房・クリスティー文庫、上・下)は、アガサ・クリスティー・ファンには堪らない本と言えるでしょう。熱烈なクリスティー・ファンであるジョン・カランが、クリスティーの住居に残されていた73冊の手書きノートの乱雑な文字を4年かけて解読した成果だからです。

カランのおかげで、私たちはクリスティーの執筆の楽屋裏を覗くことができるようになりました。「『スタイルズ荘の怪事件』のエンディングは、最初の原稿ではどうなっていたのか? 『そして誰もいなくなった』の登場人物は、もともとは何人にするつもりだったのか? 『ABC殺人事件』のAの殺人の舞台として最初に候補に挙がっていたのはどこか? これまで知らなかったことがいっぱいわかって、ワクワクしてくる」。

「アガサ・クリスティーの作品のひとつひとつが専用のノートを持っているというのが、筋の通った考え方であろう。だが、まったく違う。1冊のノートがひとつの作品だけに使われているケースは、わずか5例しかない。・・・クリスティーのノートに見られる、もっとも興味深くて、そのくせ苛立たしい特徴のひとつは、秩序に欠けることで、とくにひどいのが日付である。ノートは73冊もあるのに、日付が入っているのはわずか77例。・・・未刊に終わったアイディアや、それ以上進まなかったアイディアとなると、推測はほぼ不可能だ。この混沌たる状態が、さまざまな理由によって、なおさらひどくなっている。理由その1。ノートの使い方が行き当たりばったり。クリスティーはノート(正確には、クリスティー自身がいっているように、つねに持ち歩いている半ダースほどのノートのひとつ)を開き、空白のページを見つけて書きはじめる。空白のページが見つかりさえすればいいのだ。たとえ、その両側のページがすでに埋まっていようとも。そして、まだまだ複雑さが足りないというかのように、ノートをひっくり返し、賞賛すべき節約精神を発揮して、今度はうしろから書いたりしている」。

「理由その2.未完成に終わった短篇のためのメモで埋まったページがたくさんあるため、ガイドラインにすべき刊行時期がついていない。ときには、すぐ前とうしろのメモから推測できることもあるが、この方法もまったく欠点がないわけではない。ノート13の内容をじっくり見てみると、でたらめな年代順になっていることがわかる」。

「理由その3.作品のためのメモが書かれたのが出版より何年も前というケースが数多く見受けられる。ノート31に記された『招かれざる客』のもっとも初期のメモには、『1951』という年号がついている。つまり、初演の7年前である。・・・はっきりと年代が書かれたページのあとに、何ページかが続いていても、同じ時期に書かれたものと断定することはできない」。

「ノートの手書き文字について論じる前に、これらが備忘録として書かれたメモや走り書きであったことを強調しておくのが、フェアというものだろう。クリスティー本人以外に読む者はいないわけだから、筆跡をある程度の水準に保とうという努力をすべき理由はどこにもなかった。これらは個人的な日記であり、クリスティーの思考を明快にすることだけを目的に書かれたのだから」。

この一節を読んで、笑いが込み上げてきました。私もかなりのメモ魔であるが、乱暴な走り書きが、後で、どうにも判読可能なことがしばしばあるからです。

クリスティー作品の中で、私がとりわけ気に入っている『無実はさいなむ』が、高く評価されているので、嬉しくなりました。「ノート28には、ほぼ40ページにわたってこの小説のすべてのメモがある。・・・『これはこの数年で、まちがいなくノンブランドで(=ポアロ物でもマープル物でもない)最高のクリスティー作品である・・・『無実』(=当時はそう呼ばれていた)は古典的探偵小説と犯罪小説の現代的着想を見事に一体化させた作品といえるだろう』。これは1958年5月1日に、コリンズ社が最新のクリスティー作品を受けとったときの熱狂的な意見である。・・・『無実はさいなむ』は、後期のクリスティー作品におけるベストのひとつである。これは古典的な探偵小説とは異なる犯罪小説であり、真実と正義、罪と無実について固い信念を持って描かれている。・・・いつものように創造力を駆使して、アガサ・クリスティーは法的な正義と道義的な正義というむずかしい問題を解決した」。
アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.10:
(3pt)

ファンとしては★5つ! といきたいところだが

これは上巻を読み終えたときにも感じたことだけれど、ジョン・カランさんというかなりマニアックなクリスティー・ファンのおじさんが、4年間かけて取り組んだこの精力的な仕事には大いに敬意を表しつつも、残念ながら「ああ面白かった!」というような本ではない。

僕はクリスティーを普通小説も含めてすべて読んでいる。そんな、一応熱心なファンといってもいいであろう僕でもそんなふうに思ってしまうのだから、これはもう「ごめんなさい、ジョンさん」としか言いようがない。それでも『スリーピング・マーダー』が書かれた時期の考察などは、なかなか面白かった。それがどういうわけか、話が微に入り細を穿ってくると、途端に退屈になってしまうのだから不思議。

もしかして翻訳がまずいのかな? と思ったところもある。例えばP193〜194で、『カリブ海の秘密』と『バートラム・ホテルにて』にはタイトルページに「アガサ・クリスティーによって創作された独創的人物ミスマープルが主人公」という注が付いている、という説明をした後で、「マーガレット・ラザフォードもどきが、最近の画面でミス・マープルを演じているせいに思える」と書いてある。この2冊は確かに映画でラザフォードがマープルを4作演じた61〜64年の後、64年と65年に発刊されており、当時その映画シリーズはそれなりにもてはやされたのだろうが、現在では「原作とは似て非なるもの」という評価が一般的なので、おそらくジョンさんもそういう視点で裁いているのだろうと思うのだけれど、ならば「マーガレット・ラザフォードが最近の映画でミス・マープルもどきを演じているせいに思える」という文章になるべきなのだ。ああそれなのに、マーガレット・ラザフォードもどきとは何だ? 最近の画面とは何なんだ?

それはとりあえずいいとして(いいのかな?)、本書の最大の目玉は、新たに発見された短編「犬のボール」が収録されていることだろう。未発表とはいっても長編『もの言えぬ証人』の原型なので、物足りないとか言い始めると、まあ確かにそれはそうなのだけれど、これはこれで値打ちがあるのではないかと僕は思った。久しぶりにポアロとヘイスティングズに会えたことは、素直にうれしかった。なので、ファンとしてはぜひ★5つを付けたいところなのだが、客観的な評価だとやっぱり「普通」の★3つあたりが妥当かもしれない。
アガサ・クリスティーの秘密ノート(下)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:アガサ・クリスティーの秘密ノート(下)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.9:
(3pt)

〈ストランド・マガジン〉の判断は賢明だった

面白いか、面白くないか、で一刀両断するなら、“面白くない”本だと思う。
しかし、そんな単純な二元論で片付けるべき本ではないのではないか。
というのは、すべての作品を読み切ってしまったクリスティー・ファンにとっては、
まさに待ちに待った、未発表作品のお披露目を含む創作ノートの公開なのだから!

と、自らのファン心理を鼓舞してみるのだが、やはり面白くないのである。
こんなことなら、お気に入りの作品を繰り返し読んでいる方がいいように思うのだ。
クリスティーが備忘録に書き留めて(あるいは書きなぐって)おいた未完成の素材を、
ただずらずら並べられても、ふーんそうですか、という感じなのである。
著者のジョン・カランさんの興奮ぶりだけは、一応伝わってきたけれど…。

上巻である本書の巻末には、ポアロ物の短編集『ヘラクレスの冒険』連載当時に、
〈スドランド・マガジン〉が掲載を拒絶した「ケルベロスの捕獲」の初稿が収録されている。
結局この作品は作者によって書き直され、現行の短編集にはそれが入っているのだが、
なぜ初期ヴァージョンはボツにされてしまったのだろうか?
それは内容を読めば、まあ分からないでもない。

私見を述べさせていただくなら、〈ストランド・マガジン〉の判断は賢明だったと思う。
戦後もずっと人気作家として愛され続けたクリスティーの作家生命を考えてみても、
これがボツにされたことは良かったね、という気がしている。
アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.8:
(3pt)

クリスティー好きな妻へのプレゼント

クリスティー好きな妻へのプレゼントとして購入。喜んでいました。
アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.7:
(3pt)

クリスティー好きの妻へのプレゼント

妻は気に入って読んでくれました(上下)。掘り出し物でしょうか、ファンにとっては。。。
アガサ・クリスティーの秘密ノート(下)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:アガサ・クリスティーの秘密ノート(下)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.6:
(2pt)

オタクがテーブルに書き散らしたメモ

クリスティの娘が分類できたら価値があるのではと取り敢えず表紙にナンバリングしたが挫折した、構想メモ兼多少の雑記帳で、自他共に認める悪筆(特に昔)で、こうして発表する段階でも判読不能部分があるという。それを解読してこそのものだと思うのに、中途半端だ。
また炭素分析その他、科学的アプローチを用いたりすれば、眠らせていたアイデアにプラスして作品化出来た、というような経緯が明らかになったのではないかと素人ながら努力不足を疑う。
この本の著者は単なるクリスティファンであり、偶々クリスティの孫息子のマシューと知り合えたので資料を見られただけの素人で、こういう資料を研究する資質があったのか疑わしい。
メモから創られただろう作品を評するにしても、それが彼個人の私見なのかイギリス一般での評価なのか判然としないし、首を傾げたくなる部分があった。

そのノートの写真があって、そこの文字を訳(解読)してあるのなら、その図や書き込み方から読者それぞれが想像したり、著者の解説に納得出来るだろうが、挿絵的に幾つかのモノクロ写真があるだけで、後はそれらを解読した著者の解釈だけ、しかも著者とクリスティは時代も性別も違うのでそのフィルターがどう働いているかも不明だ。

日本で訳されたクリスティ名義の本はコンプリートしていて、秘密ノートも上下で買ったが。この本は睡眠薬代わりに最も適していると思う。未だ全編通して読了出来ていない。何より読者がこうも読むのが辛い本を訳した方はもっと苦痛だったろうと思う。
ある作品は宣伝段階で犯人以外暴露されてしまい、クリスティに同情が集まったとか、別の作品はテスター全員が序盤で犯人を当ててしまったとか、それなりに内輪話が載ってもいるが、自分が好きな作品が駄作だったのか、と知りたくなかった気持ちもある。
拾い物かなと思えるのは、ある作品の創作時期が一般に知られているより後年なのではないかという説。そうなるとどういう目的で眠らせたのかなと謎が生まれる。

この本がなくてもクリスティの作品は十分楽しめる。マニアネタを押さえておきたい人が覚悟して買う以外オススメできない。
ノートの図解タイプが出版されたら読んで、見てみたい。別の著者なら。
注意・この巻末にあるのは未発表作品『犬のボール』一作のみ
アガサ・クリスティーの秘密ノート(下)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:アガサ・クリスティーの秘密ノート(下)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.5:
(4pt)

クスリティーを身近に感じられる

私はアガサ・クリスティーの作品は、本よりもTVドラマや映画で楽しんでいます。いつかは作品を全部読んでみたいと思っているのですが、実際の読んだのはまだ一桁ほどです。そういう立場ですと、本書の作品紹介は本文に「ネタバレ注意」と記されているように、作品を読む前に読んではいけないのかもしれません。しかし、小説家が、どのようにアイデアをためたり、試行錯誤してアイデアを捨てたりすることなどが分かるようで楽しめます。また執筆環境、住まいや家族などの話題も感じられるので、クスリティーがより身近に感じられるようになりました。
アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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No.4:
(1pt)

他のアガサ読本と違い、この本は、一般読者が楽しんで読めるようなものでは全くない

この本は、一般読者が楽しんで読めるようなものでは全くないと思う。著者のジョン・カランは物書きではないようなのだが、この本を読んでいると、それが実によくわかるのだ。とにかく、読者を飽きさせずに読ませようという工夫の跡が全く見られないし、そもそも、そうしたテクニックを持っていない人なのだと思う。まるで、下手な論文を読んでいるような退屈な本なのだ。 

さまざまな作品のアイデアを、思い付くままに書き留めていたアガサのノートは、アガサにしか理解できない単語や単文の集まりに過ぎないので、それを一般読者にわかりやすく提示するためには、相当な工夫を要する。しかし、この本は、100ページくらいまでは、それなりに読める体裁を取っているのだが、そこからは、ノートの内容の羅列にわずかな説明が付くだけの構成が、下巻のラストまで延々と続くのだ。 

アガサの作品は、238本もあるのだ。訳者の山本やよい氏も認めているように、アガサの全作品を読んでいる読者であっても、その内容について、おぼろな記憶しかないものや、ほとんど忘れているものも一杯あるわけで、この本に書いてあることを理解し、楽しもうとしたら、その大半を再読しなければならないのだが、そんな暇のある読者は、どこにもいないだろう。

また、各章の標題には作品(集)名が付されているのだが、下巻の「ヘラクレスの冒険」以外は、本文のどこを見ても、その作品(集)についての記述がないのだ。この中には、わざわざ他の章で見出しを起こして詳細な記述をしているものもあり、「この人は、一体、何を考えているのだろう?」と、本気で思ってしまうのだ。 

この本の中で唯一の収穫といってもいいのが、この上巻に収録されている「ケルベロスの捕獲」だろう。アガサ自身が「出版に値せず」と発表を控えた下巻の「犬のボール」と違って、当時の政治的事情により、出版社から出版を拒否されたものであり、読む価値は十分にあると思う。 

アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151301011
No.3:
(5pt)

労作です、ほんとに

クリスティーのノートの写真が多数掲載されていますが、
この人、ほんとに字が汚い、というか、下手。
他人に読ませるためのものではないと言え、
これで、自分自身、後から読み返せたんだろうか、クリスティー?
そんなノートを70冊以上も解読して、分析したジョン・カラン氏に、
最大級の敬意を表します。

未発表短篇「ケルベロスの捕獲」は、
たしかに『ヘラクレスの冒険』収録のものとは、まったくの別物。
出来栄えの優劣は、好き嫌いによる部分が大きいと思うが、
私はスケールの大きい、こっちのバージョンが好きだな。
アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151301011
No.2:
(5pt)

ちょうど100冊読み終えたら

クリスティ文庫をちょうど100冊読み終えたと思ったら、本屋さんに平積みされていました。
読んだばかりの本に関する記録なので、とても参考になりました。

この記録を見てから、また読み直そうと思いました。
アガサクリスティを二度楽しむのによい資料です。

できれば、全巻読んでから読むか、読み進むのに辛いなと思ったときに読むことをお勧めします。

ps.
巻末に未発表短篇「ケルベロスの捕獲」を掲載しています。
「ヘラクレスの冒険」掲載の同名のものと比較して読んでみましたが、
同じ部分がなかなか見つからず、うまく解読できていません。
英語版で、データ入力して分析してみよと思いました。
アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151301011
No.1:
(5pt)

“ミステリの女王”の思索の跡を訪ねる旅路に、わくわくしました。

アガサ・クリスティーが、作品執筆にあたって参考にしたり、アイデアやプロットを整理したりする備忘録として使用していたノート。全部で73冊のノートを、グリーンウェイ・ハウス(クリスティーが、週末や夏の別荘として使った屋敷。詳しく知りたい方には、平井杏子『アガサ・クリスティを訪ねる旅』がおすすめ)で見つけた著者が、“ミステリの女王”の創作の秘密、作品が生まれるその道筋を検証していく研究書。クリスティーのミステリの大ファンである著者の熱意はもとより、丹念かつなかなか鋭い検証の跡が示されていて、読んでいてわくわくしました。著者のガイドに従って、クリスティーの思索の跡をたどっているみたいな感じ。

 本書(上巻)の次の個所など、とりわけ興味深く、「なるほどなあ」と頷かされましたね。

<作品のためのメモが書かれたのが出版より何年も前というケースが数多く見受けられる。> p.77
<作家としての生涯を通じてクリスティーが持ちつづけた最高の才能のひとつは、基本的なアイディアをもとにして、ほぼ無限といってもいいバリエーションを生みだす力だった。> p.86
<混沌がクリスティーの精神の糧(かて)となり、整然たる秩序などより大きな刺激となった。秩序に縛られると、クリスティーの創造のプロセスは死んでしまう。> p.111

 それと、本書巻末に掲載されたポアロものの短篇「ケルベロスの捕獲」。これは、『ヘラクレスの冒険』収録のものと全く別のストーリーになっていて、諸事情により、出版社が掲載を見合わせた初期バージョンです。で、今回、『ヘラクレスの冒険』収録の第二バージョンと読み比べてみました。私は、穏健で普通の出来映えである第二バージョンよりも、過激で異色の初期バージョンのほうが、数段面白く、楽しめました。短篇ではありますが、ポアロものの思わぬ掘り出し物と言ってもいいのではないでしょうか。
アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151301011

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